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「出会ったのは合コンです」 弟の存在を隠してきた兄の結婚 障がい者の”きょうだい”に生まれて

RKB毎日放送 / 2024年7月18日 19時6分

障がい者のきょうだいを支える団体として、61年前に立ち上がった「全国きょうだいの会」。
当事者たちが打ち明ける悩みのひとつが”結婚”だ。

事務局長を務める太田信介さん(48)も、そのひとり。
学生時代、ひたすら障がいある弟の存在を周囲に隠してきた。
結婚できるのかな、と思い悩んでいたが、30代で結婚した。
出会いは、合コンだった。

障がいある弟の存在を隠していた兄

太田信介さん(48)には、重い自閉症と知的障がいがある弟の宏介さん(42)がいる。
現在宏介さんは画家として活動していて、兄である信介さんは、弟の作品を世に広めたいと脱サラ。
アートビジネスを起業した。
公私ともにバディとなった太田兄弟だが、学生時代は障がいのある弟の存在を友人にひた隠しにしていた。当然、交際してきた人にも、言わなかった。

太田信介さん
「弟のことを友人に説明をしたところで、どんな風に思われるのかが怖かったんです。お酒を飲みながらわいわいしているのに『実は弟が障がいがあってさ』と言った時に、チーンという様に静まり返ったりするんじゃないかなとか。付き合っている彼女に言った結果、弟が原因で振られたらどうしようか、とも考えていましたね。」

結婚については、最大の悩みだった、と話す。

太田信介さん
「きょうだいの悩みで最も大きいのは’結婚’だと思います。僕も小学校の時から『僕は結婚できるのかな?』と悩んでいましたね。結局、親が死んだときどうなるのかなっていうのを心配していたんです。’結婚’には必ず’親亡きあと’が絡んで来るからですね。」

知り合った恋人を弟の個展に連れて行った

弟と二人三脚でアートビジネスをてがけ、「きょうだいの会」でもリーダー的存在の、今の信介さんからは想像もできない。

そんな信介さんは、30代で、妻・淳子さん(46)と知り合い結婚した。

太田信介さん
「合コンです。しかも成婚率0.001%と言われるような’ねるとん’お形式のパーティーでした(笑)」

当時33歳だった信介さん。
なかなか結婚に希望が持てない中、ダメもとで参加したパーティーで生涯の伴侶を見つけた。
信介さんは33歳、淳子さんは31歳。
互いに結婚を意識する年齢だったことから、交際してすぐに弟に障がいがあることを伝えた。
不安はあったが覚悟を決めた。
「口ではうまく説明できない、直接会ってもらおう」と考えたそうだ。

そして、淳子さんを弟の個展に連れて行った。
そこで、母・愛子さんからも、弟の障がいについて話をしてもらった。

妻は「邪魔者扱いしない家族をみて、安心して結婚決めた」

結婚後、淳子さんは信介さんに、「家族が宏介さんを邪魔者扱いにするのではなく、親もきょうだいも宏介さんを大切しているのが良くわかり、安心して結婚を決意した。」と話したそうだ。

弟の宏介さんも義姉になった淳子さんになついている。

自分の誕生日などには必ず電話をかけて、淳子さんから「こうちゃん、おめでとう」と言ってもらうのを楽しみにしている。

淳子さんも自分の友人を宏介さんの個展に招待するなど、良き応援団のひとりになった。

どの家庭にも悩みはあるもの 妻の両親は

淳子さんの両親は、結婚に反対しなかったのだろうか。

太田信介さん
「全くなかったです。というのも妻の弟は若い頃とてもやんちゃで親としてとても心配をしていたから、宏介の障がいのこともそれほど気にされなかったようです。若い時は経験がないため、物事を難しく考えがちです。僕も自分の家だけが不幸なんだと思い込んでいましたが、よくよく聞くとどの家庭でも大なり小なり心配ごとはあるものなんですよね。」

信介さんは結婚に悩むきょうだいたちに、こうアドバイスしている。
「結婚って価値観が合うことが一番大事です。うちなんか、たかだかスリッパの置き場一つで言い合いになるくらいですから。だからきょうだいが障がい者であることに対して理解がないような相手とは、例え結婚にいきついたとしても長くは続かないと思います。そんな相手はこっちから願い下げして、次の相手を見つけた方が幸せになれますよ。」

「すべてを背負うこと、考えないで。自分の家族を優先していい」

一人で抱え込むのではなく、なにより自分の人生を大事にしてほしい、と力を込めた。

太田信介さん
「自分が何もかも責任を持たないことが大事。自分が面倒見ないと!と思うとなかなか生きづらさだけが残っちゃうかなと思う。きょうだいの会では、たくさんの経験者から社会サービスの利用の仕方などもアドバイスしてもらえるので、悩みも軽減できるかなと思います。自分も弟の生活すべてを背負うことは考えていません。きょうだいたちも、自分の人生だから自分らしく生きてほしい、と思っています。どうしても自分が面倒をみたいという人はそれでいいと思うんですけど、家族がいる人も多いと思いますし、自分の子どもとか奥さんがどう考えるのか、ということを一番に考えてほしい。きょうだいよりも僕はそこを一番に考えるべきと思います。」

RKB毎日放送 石川恵子

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