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「言うことを聞かないと殺される」20歳の男が12歳女子児童に性的暴行 通学路で起きた卑劣な犯罪に、判決は懲役6年6か月

RKB毎日放送 / 2024年7月27日 22時13分

登校中の女子児童(当時12)に対し、性的な暴行を加えるなどした20歳の男に対し、福岡地裁は、懲役6年6か月の判決を言い渡した。

被害後、女子児童は、父親とふたりでいることさえできなくなった。

時には聞いているのがつらくなるほどの法廷が突きつけたのは、性暴力が及ぼす被害の残酷さだ。子供に残す傷はあまりにも大きい。

◆朝の通学路 後をつけられ

事件は、去年11月、小学校の通学路で起きた。

判決によると、午前8時40分頃、福岡県宗像市の無職・八並孝徳被告(20)は福岡県内の路上で、1人で登校していた女子児童(当時12)の口をふさぎ、性的な暴行を加えた。

女子児童の供述調書「後をつけられて、怖くなって逃げたら、口を抑えられた。大声を出したら『包丁で殺す』と言われ、下着を全部脱がされた。途中でバスが通って中断し、『(学校の)裏門に行こう』と言われた。言うことを聞かないと殺されると思った」

◆女子児童は「夜もひとりになることができなくなった」

検察側によると、被害を受けた女子児童の父親は「娘は昼でも夜でも1人になることができなくなった。男性に恐怖心を持つようになり、父親の私とでも2人きりになれない。(被告が)刑務所に行っても、娘の傷が癒えることはない。絶対に許せない」と話しているという。

◆被告はなぜ小学生を襲ったのか「一生傷が残りやすいように性行為を」

今年2月、福岡地裁で開かれた初公判で、八並被告は不同意性交等の罪について「間違いありません」と起訴内容を認め、弁護側も争わない姿勢を示した。

八並被告の供述調書「仕事を辞めて自暴自棄になり、誰かを傷つけたいと思うようになった。殴る蹴るより一生傷が残りやすいように性行為をした」

5月31日に行われた被告人質問。うつむきながら入廷した八並被告は、質問に対し、何度も口ごもりながら答えた。

八並被告は、事件の約4か月前、去年7月に仕事を辞めたと話した。

八並孝徳被告「自暴自棄になって辞めました」

無職になり持て余した時間には、動画配信サイトで動画を見るなどして過ごしていたという。

◆「誰かを巻き込んで自分自身も死のうと」「襲わなきゃという強迫観念があった」

事件当日の去年11月29日。午前0時頃に家を出て、犯行時刻の午前8時40分頃まで、街を徘徊していたという八並被告。

八並孝徳被告誰かを巻き込んで自分自身も死のうと思って、誰かを傷つけようとしていました。たまたま近くを通りかかった女子児童を見つけました

弁護士 なぜ犯行に及んだ?

八並孝徳被告 理解されないと思うんですけど、『襲わなきゃ』という変な強迫観念はあったと思います

◆逮捕までの1週間「死のうかと」「自分がされたらと思うと震える」

八並被告は、犯行から1週間後の去年12月5日に逮捕された。逮捕までの1週間について問われると、「死のうかと思ったんですけど、怖くなって迷っていました」と答えた。

逮捕後、毎日被害者に宛てて謝罪文を書いていると話した。

弁護士 被害者に対してはどのような気持ちですか?

八並孝徳被告 まずは申し訳ないという気持ちが一番。罪と向き合う中で自分がされたらと考えると震えるところもあったので、それを忘れずに生きていこうと思います

弁護士 社会復帰後はどのように生きていきますか?

八並孝徳被告 傷つけてしまった被害者のことを1日たりとも忘れずに自分自身も一生懸命働いて生きていきたいと思います

◆検察側「本当に自暴自棄だったのか」

事件当時「自暴自棄だった」と話した八並被告だが、果たして本当なのか。検察官が問い質した。

検察官 被害者を襲ってすぐ胸を触ったりキスしたりしていますね?

八並孝徳被告 はい

検察官 女の子の名前聞いたり、生理が来ているかを聞いていますね?

八並孝徳被告 はい

検察官 「傷つけたい」というために必要なことでしたか? やりたいことやっただけじゃないんですか?

八並孝徳被告 それはないです

検察官 やりたくもないのにやったということ?

八並孝徳被告 そうですね

検察官 本当はしたくなかったけどやったんですか? やりたかったんじゃないんですか?

八並孝徳被告 そうならあそこまで小さい子にやりません。そういう趣味はないから、だとしたら大学生とかを襲っていたと思います

◆事件の2か月前40代女性を襲う「傷つけようと思って後ろをつけた」

八並被告は、女子児童に性的暴行を加えた事件の約2か月前にも、女性を襲っている。

去年10月2日、福岡市東区千早の路上で、通行中の女性(当時49)を押し倒し、全治10日間のけがをさせたとして、傷害の罪にも問われた。傷害の罪については起訴内容を否認し、無罪を主張した。

弁護側によると、八並被告は傷害事件の前日の夜から、福岡市東区のバーで酒を10杯近く飲んでいた。その後帰路に就くも、帰る方向を誤り、午前1時半から午前2時頃にJR千早駅に到着した。始発に乗ろうと考え、公園のベンチなどで時間を潰していた八並被告は、午前4時頃、被害者の女性を見つけたという。

八並孝徳被告 傷つけようと思って、後をつけました

八並被告は、「気持ちが薄れてつけるのをやめた」、「被害者が転倒した」と述べ、傷害については否認した。

弁護士 被害者がしりもちをついた後どうしましたか

八並孝徳被告 被害者が大きな声で叫んだので大慌てで逃げました

弁護士 現場では触っていない?

八並孝徳被告 被害者が倒れた時に自分自身が全く触れた感覚がなく、逮捕状を見た時びっくりしたので触っていないと思います 触っていないです

検察官 傷害の件で逮捕される前の取り調べで「待ち伏せをしていたところちょうど女性が走ってきたので暴行を加えましたという発言をしていますが?

八並孝徳被告 覚えていないです

◆福岡地裁が判決 懲役6年6か月

福岡地裁は7月19日、不同意性交等事件、傷害事件をともに認定した。

今泉裕登裁判長は、傷害事件について「通り魔的に犯行に及んでおり、暴行態様はそれなりに危険で被害女性に与えた傷害結果や精神的苦痛は軽くない」と指摘。

不同意性交等事件については、

・「年少の被害女児の人格を踏みにじる、卑劣で悪質なもの」

・「被害女児は多大な恐怖や苦痛を味わい学校や日常の生活にも支障を来している」

・「性的欲求を満たすための犯行であることが明らかであるのにそのような目的がなかったことに強くこだわっていることからすると、自身の問題点に真摯に向き合っているとは言い難い」

などとした。

一方で、「若年で前科前歴が全くなく、不同意性交等の犯行については罪を認めて、被害女児に対する謝罪の言葉を述べている」「社会復帰後は性障害専門医療センターで性犯罪治療プログラムを受けることが予定されている」などとして、八並被告に懲役6年6か月の判決を言い渡した。(求刑:懲役7年6か月)

◆計り知れない被害者の苦しみ 再犯防ぐ手立てを

裁判を傍聴して公判の中で明らかになっていく事件の内容を聞き、想像を超える悪質な犯行態様に言葉を失った。検察によると、女子児童は被害後、男性に強い恐怖心を抱き学校の授業に全て出席できなくなった。苦しみは計り知れない。

一方、被告については、検察が論告求刑で「再犯の可能性が高く相当長期の徹底した矯正教育が必要」と指摘している。被告は今後服役し、社会復帰した際には性障害の専門医療センターで治療プログラムを受けると話した。被告が治療を受けたところで、被害者たちが負った傷が癒えることはないが、被告には二度と同じような事件を繰り返さないよう、自身が犯した罪や被害者の思いとしっかり向き合い、徹底的に治療に臨んでほしいと思う。

RKB毎日放送 記者 奥田千里

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