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松尾潔「兄弟が組んだときの化学反応を誰よりも知っている」Oasis再結成

RKB毎日放送 / 2024年9月3日 15時48分

英ロックバンド「Oasis」が15年ぶりに再結成し、ライブツアーを行うことを発表した。同バンドのギャラガー兄弟は長らく不仲で知られ、今回の再結成に世界中のファンから喜びの声が上がっている。音楽プロデューサーの松尾潔さんは9月2日に出演したRKBラジオ『田畑竜介Grooooow Up』でギャラガー兄弟について「2人が組んだ時の化学反応を誰よりも知っている」とコメントした。

「第二の国歌」名曲を数多く持つOasis

イギリスのロックバンドOasisが15年ぶりに再結成します。イギリスを代表するバンドとして特に1990年代から2000年代に青春時代を過ごした方にとっては馴染み深いバンドかと思います。世界的に有名になったのが1994年で、2009年に一旦解散という形をとりました。

Oasisをよく知っている人たちは「あー! あの兄弟仲が悪いバンド」という認識。兄がノエル、弟がリアム。兄のノエル・ギャラガーはイギリスのロック史に残る名ソングライターです。人によってはThe Beatlesのジョン・レノン、ポール・マッカートニーと比べる人もいますが、彼らと違ってOasisの場合は作る人と歌う人とに分かれています。

もちろん兄のノエルも歌を歌うし、弟のリアムも曲作りをするんですが、ソングライターとしての能力に恵まれていた兄と、カリスマ性があって惹きつけられるような声を持つ、やんちゃな弟と、キャラ分けもはっきりしていました。

彼らの「Don’t Look Back In Anger」は今のイギリス人たちにとって「第二の国歌」という位置付けとも言われています。2012年のロンドンオリンピック閉会式で、弟のリアムが結成したBeady Eyeというバンドが出てきたんですが、その時もOasisの「Wonderwall」を歌い、観客みんなで大合唱という場面がありました。

「絶対あり得ない」もいつか好転することもある

Oasisは、ギャラガー兄弟が喧嘩を何度も繰り返していて、YouTubeなどでも演奏の途中で兄弟のどちらかが機嫌を損ねてしまって、特に弟のリアムが歌うのを止めてステージから消える所とか、結構そんな映像がたくさん残っています。

茶番みたいなことも何回もやっていて、僕は当時「Oasis命」という距離感では曲を聴いていなかったので、「なんかまたやってんな」「何か話題作りじゃないかな」みたいに感じていました。変な言い方ですが「兄弟喧嘩と言えばOasis」という評判は世界中に広まっています。

今回の再結成に関しても、まずノエルとリアムがそれぞれのSNSで「27.08.24」「8am」という日時が入った同じアートワークをポンッと出して、それが結局、来年夏の再結成発表のタイミングを示していて、それからようやく公式にツアーを行うことが発表されたんですね。

このことから私達は何を学び取れるかというと「(再結成なんて)もう絶対あり得ない、とみんなが思い込んでいることが、いつか好転することもある」と言うことだと思いました。

ちょっと真面目な話をすると、彼らはいつも兄弟の確執というプライベートの感情をぶちまけてきただけのように思われていますが、社会情勢に対しての発言もたくさん残していて、その時々の政権についても忌憚なく意見を表明しています。

その彼らが今、地球を取り巻く状況に対して、無関心であるはずではなくて、本人たちがこの雪解けを見せることで、ロックセレブリティにしかできないことをこれから始めようとしているのかなという気がします。つまり「争いを止めよう」という意思表明ですね。

自分たちが組んだ時の化学反応を誰よりも知っている

ジョン・レノンと比べられることも多い兄のノエルは、ジョン・レノンのように「戦争をやめよう」とか「平和になろう」と声高に言うわけではないけれど、「音楽を一緒に奏でる」という違う形を示すことで、普段は照れて言えないようなことも一緒に言えるという「善行」に導く役割を果たしている気がします。

兄弟仲が悪かったという件も、彼らが仲直りするのを見るのは悪い気はしないと思うんですよ。その姿を見ながら、みんな我が身を考えてしまうんじゃないでしょうか。もちろん、今回の再結成の前に不機嫌をこじらせた時期があってこその和解ということになるんでしょうけれども。

「そんな美しい話じゃないんだよ」みたいなことを言う“業界通”もいますが、結局2人ともそれぞれソロ活動やバンド活動を続けたところで、Oasis以上の名声を獲得したわけではないというのも確かなこと。彼らは「自分たち2人が組んだときの化学反応を、誰よりも知っている」ということかもしれませんね。

今が一番ファンを獲得するタイミングなのかもしれない

The Beatlesは北米やアジア、日本を含む世界的な人気を博しました。それに比べるとOasisはUK/アイルランド、英語圏でも北米を除く地域に人気が集中しているように見えます。でも、もしかしたら今回の再結成で、僕のように「今度、日本に来るんだったら行ってみようかな」という気持ちになる人も沢山いるので、実はこれからがファンを獲得する絶好のタイミングかもしれませんね。

実際、本国イギリスのSpotifyやApple Musicといったサブスクの音楽配信では「Wonderwall」などが軒並みチャートインしていて、期待の大きさを伺わせます。日本のCMでもよく使われるので「どこかで聞いたことある」という方もいると思うんですが、これを機会に知識を深めてみてもいいんじゃないかと思います。

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