コメ不足いつまで 例年の1.5倍の価格でもとぶように売れる新米
RKB毎日放送 / 2024年9月4日 17時43分
スーパーなど、小売店の商品棚から主食のコメが姿を消しています。新米の価格も例年の1.5倍ほどに上昇。
それでもすぐに売り切れる状況です。
主食であるコメに、何が起きているのでしょうか。
産直でも商品棚からコメが消えた
RKB 田中康徳 記者
「筑紫野市のJA直売所です。普段であればお米が並んでいる棚ですが、このように完売の状態が続いています」
筑紫野市にある農産物の直売所「ゆめ畑・筑紫野店」。
旬の野菜は並んでいますが、普段であれば様々な品種のコメが並ぶ商品棚に、商品はまったくありません。
JA筑紫 ゆめ畑筑紫野店 店舗長 山田正清さん
「現在流通している令和5年産のお米につきましては、8月22日から完売しております。今年の6月ぐらいからですね、新規のお客様が非常に多くなりまして、1.3倍から1.5倍の売上となって」います
「買いたいけどないから・・・」
コメを探して直売所を訪れた人もいましたが、品切れと聞いて落胆していました。
買い物客
「買いたいんですけど、今日はないからお米以外のあるものをちょっと買ってます」
買い物客
「基本は朝ごはんはちゃんとご飯を食べるので、ないと困るものではありますね。値上がりしていることは間違いないので、必ず必要なものなので、家計に対する割合は多くなるかなというイメージはあります」
主食のコメが売り場から姿を消すという異常事態。
いったい、何が起きているのでしょうか?
水不足と高温 主要産地が不作
JA筑紫 ゆめ畑筑紫野店 店舗長 山田正清さん
「コメの主要産地で昨年が非常に高温と水不足があって、コシヒカリは高温耐性を持っていないので高温にさらされて等級が下がったりという話は聞いています」
農林水産省によりますと、去年、全国のコメの収穫量は前の年より9万トン少ないおよそ661万トン。
夏の猛暑の影響で収穫量全国1位の新潟県や3位の秋田県など、主要な産地が不作に陥りました。
また暑さに弱いコシヒカリなどの品種では、収穫したコメの粒が小さく、精米した後の歩留まりはさらに少なくなっています。
インバウンドで需要も増加
そのうえ、新型コロナの影響で落ち込んでいた外食産業が急速に回復したことや、インバウンドによる需要の増加も影響しているといいます。
JA筑紫 ゆめ畑筑紫野店 店舗長 山田正清さん
「業務米の需要が例年の1.1倍とか1.2倍。それが毎月ですので、それが積み重なっていくと凄い量になってしまう。お米の消費の中で、業務用のお米の比重が大きくなることで、一般の家庭にいくお米が減ってきている可能性はあると思います」
「買いだめ」に拍車
ただでさえ新米が出回り始める直前の8月は在庫が1年で最も少なくなる時期。
そんな中、日向灘で起きた地震をきっかけに「南海トラフ地震臨時情報」が発表されたことで備えとしての「買いだめ」も起き、品薄に拍車がかかったということです。
エムズ 美和台店 店長 久松浩一さん
「うちの方は問屋さんがかなり確保して頂いているので、ちゃんと発注したら数量持って頂けます」
新米の価格は平年より割高
福岡市東区のスーパーは、週に3回コメを入荷していますが、価格には大きな変化が出ています。
エムズ 美和台店 店長 久松浩一さん
「通常、高くても5キロで1980円とか、それくらいだったのに、もう3000円する感じですね。新米になると」
新米の価格は例年の1.5倍に値上がりしていますが、それでも入荷したそばからすぐに売り切れる状態です。
本格的な新米の流通を前に坂本農水大臣は。
坂本哲志 農林水産大臣
「新米の価格についてはこの品薄状態でありますので平年よりも多少の割高感はあるというふうには思っております」
生産者にも負担が
長引く円安などで肥料をはじめとした生産コストが上昇しているため、生産農家は苦しい状況に置かれていると話します。
筑紫野市で農業を営む井上ユキヱさん
「もう資材が上がっているからね。食糧に対しての、安いのが良いちゃないのよ、安いの安いの求めてきたからこうなっとうとよ。やっぱり安全なものを食べないといけないし。そのためには農家もかなり努力しているんだけど、やっぱりそれが伝わらない。うん。伝わらない」
JA筑紫 ゆめ畑筑紫野店 店舗長 山田正清さん
「お米の価格については、農家の方の肥料など非常に値上がりをしている、コストが増えている一方でお米の値段は今までずっと下がってきた。農家の皆さん苦しい思いをされてきている。安心して農業ができるように、適正な価格になればと思っています」
9月中旬ごろには安定か
JAによりますと、9月中旬ごろには新米の収穫が本格化し、安定的に供給されるということです。
コメ不足は一段落しますが、価格が高い状態は当面の間続く見込みで、家計の負担増は避けられません。
事実上つづく減反政策
国は2018年に減反政策を終了していますが、その後も「水田活用の直接支払交付金」という形で水田での飼料用米や麦、大豆などの生産に対し補助金を払っています。
安定したコメの流通に必要なもの
コメ農家が生産コストの増加に苦しむ問題もおきています。
食の根幹であるコメを安定して市場に流通させるために、今何をすべきなのか。対策が必要です。
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