「命の尊さを学んでいる」農業高校生が和牛「けんじ」と目指す「和牛甲子園で日本一」
RKB毎日放送 / 2024年9月4日 18時20分
「和牛甲子園」をご存知でしょうか?農業高校で和牛を育てている高校生たちの飼育方法や、育てた牛の肉質などを競う大会です。
その「和牛甲子園」で日本一を目指す高校生たちの奮闘ぶりを取材しました。
和牛の第一印象は「大きくてびっくり」
糸島農業高校3年津田舞香さん「(牛の)あごの下とかを(ブラッシング)して気持ちよかったらあごを伸ばしたりして」
糸島農業高校3年森内まおさん「自分より大きくてびっくりしたけど、お世話をしていくうちにかわいいなあって」
福岡県立糸島農業高校の動植物活用科で畜産などを学ぶ津田舞香さんと盛内まおさん、それに向井優希さん。3人とも現在3年生で、今年が高校生活最後の年。3人で目指している大きな目標があります。「和牛甲子園」です。
全国の農業高校で和牛の飼育に取り組む高校生たちが一堂に集い、日頃の取り組みや育てた牛の肉質で日本一を競う大会です。
和牛「けんじ」とともに「日本一」へ
3人と一緒に日本一を狙うのは生後24か月のオス牛「けんじ」。この1年あまり、3人はつきっきりで世話をしてきましました。
和牛甲子園の審査では、サシの入り方が重要視されます。
そこで3人は、「けんじ」に与えるエサを「稲わら」にすることで、エサ食いを良くし、大きく育つようにしています。
「ビタミン含むエサだと『サシ』が入らない」
津田舞香さん「ビタミンが含まれているとお肉にサシが入らなくて」
RKB冨士原圭希アナウンサー「ビタミンがあった方がいいと思うけど、ビタミンがあるとサシが入りにくいんだ。エサの微調整で牛の味を作っていくんですね」
糸島農業高校では、エサとなる稲わらを外部から仕入れるのではなく、自前で用意しています。
冨士原圭希アナウンサー「広大な田園ですね」
津田舞香さん「10月になったらわらが出来上がるので、それをみんなで全部運びます」
糸島農業高校では、肥育牛2頭と繁殖牛6頭を飼育していて、校内でとれる稲わらだけでは十分ではありません。
士原圭希アナウンサー「1年くらいもたせるんですか?」
津田舞香さん「(この量でも)足りてない」
肥育牛と繁殖牛は異なるエサで飼育
稲わらをエサとして与えるのは「けんじ」ともう1頭の肥育牛だけ。ほかの牛舎にいる繁殖牛6頭には別のエサを確保しなければなりません。
冨士原圭希アナウンサー「隣に積みあがっているのは何?」
津田舞香さん「これはサイレージといって(雑草を)発酵させたものとなっています。サイレージは青草になるので、ビタミンが含まれていて元気に育ってもらうために繁殖牛にあげています」
冨士原圭希アナウンサー「肥育牛と繁殖牛であげるエサが違うっていうことですか」
津田舞香さん「はい」
エサを食べてみると…
冨士原圭希アナウンサー「結構においがしますね」
津田舞香さん「けど、甘酸っぱい感じ」
冨士原圭希アナウンサー「食べたことあるんですか?」
津田舞香さん「食べたことあります。美味しいです。せっかくなので食べて見ませんか?」
冨士原圭希アナウンサー「(青草を)食べる時が来るとは思わなかった。じゃあいただきます」「酸っぱいね」
津田舞香さん「乳酸菌です!それ」
冨士原圭希アナウンサー「直に乳酸菌の味だけするって感じ。ごめん。人間にはおいしくはないね」
このサイレージの元となっている草はある意外なところに生えていたものでした。
エサとなる草は「福岡空港」から
津田舞香さん「福岡空港の滑走路の横にある雑草を刈って、試験的にいただいています」
福岡空港では深夜草刈りが行われていて、その量は年間900トンにも上ります。
この草を有効活用してもらおうと、空港の関係者が糸島農業に定期的に届けているんだそうです。
空港では厄介ものの雑草を牛の飼育に活用するこの取り組みを、津田さんたちは和牛甲子園でも強くアピールしたいと考えています。
より質の高い和牛を育てるために3人が新たに試していることがあります。
竹の消臭効果でストレス軽減
向井優希さん「敷料に竹を入れていて、竹チップを使ったら消臭効果でストレスが軽減するか等を試験的にやっています。休息の回数が多いか、移動していたらどういうことを感じて移動しているかなどを見ています」
牛の寝床に敷かれる敷料には一般的に、もみ殻やオガクズを使用します。3人はそれに竹チップを加えました。
竹は近くの農家から譲ってもらいました。
竹の効果で、糞尿などの匂いが軽減され、「けんじ」のストレスが減るのでは、と考えたのです。
果たして「けんじ」の反応はどうなのか、炎天下の牛舎の中では5分ごとに行動観察が行われていました。5時間にわたって続けるんだそうです。
冨士原圭希アナウンサー「今の状況は?」
向井優希さん「休息しています」
5時間に及んだ観察の結果は?
向井優希さん「前回よりも休息が増えていて、ストレスなく、リラックスして過ごせているなと感じます」
3人が「けんじ」とともに日本一を目指す「和牛甲子園」は来年1月に東京で開催されます。
冨士原圭希アナウンサー「和牛甲子園の目標はなんですか?」
向井優希さん「体験発表会(取組評価部門)でも枝肉評価部門でも最優秀賞をとることです」
「命の尊さ」を学び牛の世話を
冨士原圭希アナウンサー「牛をかわいがっている部分とその命を我々がいただくところをそれぞれどのように捉えていますか」
森内まおさん「『けんじ』がお肉になるっていうのは決まっているので、『けんじ』のためにも食べてくれる人たちのためにも、美味しいお肉になるように頑張ってお世話していきたいと思っています」
津田舞香さん「高校に入ってからより思いとか、命の尊さをすごく学べていると思います」
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