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辞意の定番コメント「不徳の致すところ」 兵庫県知事の釈明に思う「徳のなさ」

RKB毎日放送 / 2024年9月12日 15時58分

斎藤元彦兵庫県知事のパワハラ疑惑が混迷を深めている。2021年の知事選で自民とともに推薦を出した維新も、辞職を求める申し入れ書を提出。RKB毎日放送の神戸金史解説委員長は9月10日に出演したRKBラジオ『田畑竜介GrooooowUp』で、進退窮まった状況にもかかわらず、引き際を間違っている知事を批判した。

兵庫県知事には「徳がない」

RKB神戸金史解説委員長(以下、神戸):兵庫県知事については「この人は大丈夫かな」といつも思っています。よく、選挙で落選した人が「私の不徳の致すところ」と頭を下げるでしょ。知事の話を聞いていると、「この人には徳がないな」という感じがすごくするのです。

田畑竜介アナウンサー(以下、田畑):まさに「不徳」と。

神戸:高校時代の漢文の授業で習った、「巧言令色鮮(すくな)し仁」という言葉が論語にあります。巧みな言葉を用い、表情をとりつくろって、人に気に入られようとする人は、仁の心が少ないのである。「仁」は、”深い人間愛”を意味する孔子の言葉です。どうもそんな気がしてしようがないのです。

漢文の参考書を買ってみた

神戸:私は高校時代にあまり勉強しなかったので、「漢文をもう1回学びなおしたい」と思い、高校参考書『シグマベスト 理解しやすい漢文』(文英堂、税別1500円)を買ってみました。

田畑:受験を考えて?(笑)

神戸:受験は、数学もあるので無理です(笑)

橋本由紀アナウンサー(以下、橋本):厚い参考書ですね。

神戸:でもね、カラーでものすごくわかりやすいんです。もう忘れているから、「あー、そうやったな…」と、楽しくこれを読んでいます。

田畑:「レ点」とか。

橋本:あああ(とすごく嫌そうな声)。

田畑:「豈(あに)、いわんや」とか(笑)

幕末の志士たちが心情を記した漢詩

神戸:『幕末維新の漢詩 志士たちの人生を読む』(筑摩選書、税別1700円)という本によると、西郷隆盛(薩摩藩)とか橋本左内(越前藩)、佐久間象山(信州松代藩)とか、幕末に活躍した人たちはみんな漢文ができるんです。寺子屋で論語などを学んでいるから。漢詩で自分の心を書くんです。帯には、歴史学者の磯田道史さんが「志士は漢詩にだけ素直に心情を吐露した。だから、本書を読めば志士の真の姿がわかる」と書いていました。この本、面白そうなんですが、よく読めないところがあったので”積ん読”にしていたんです。これをもう1回読みたいと思った時に、「そうだ、参考書を買ってからにしよう」と。

田畑:漢詩をまず学ぼうと。

神戸:受験じゃないと、勉強って面白いですね。

田畑:やっぱり、「自分が学びたい」って能動的になってるのと…

橋本:やらなきゃ、やらならきゃって(笑)

田畑:…と受動的になっているのは、違うよね。

神戸:参考書を半分ぐらい読んだところで、もう志士の漢詩を読みたくなりました。いろいろな人たちが気持ちを漢詩にしていて、本心が漢詩に出ています。明治に入ったころの人たちは、みんな漢文ができる日本人なわけです。

「漢文を廃止せよ」百田尚樹氏の暴論

神戸:作家の百田尚樹さんが2017年に「そもそもなぜ学校に漢文の授業があるのか。英語と違って使う機会なんてない」と批判し、「中国に対する漠然とした憧れを持つことはやめるべきだし、そんな勘違いを育む漢文の授業も廃止したらいい」と書いています。僕はあまり漢文をちゃんとは勉強していなかったけど「いや、それは暴論だろう」と思いました。漢字が伝わってからずっと日本人は、中国語の詩を読みそこにある思想を学んできた、2000年近い歴史があるわけです。実際に、日本人の心の中に深く入っています。例えば、この漢文の参考書にも、「五十歩百歩」「温故知新」「起承転結」…。

田畑:故事成語は中国から来ているのが多いですよね。

神戸:そうです。日本語の中に入っています。だから、日本人を理解するにはもうちょっと漢文を知った方がいいのじゃないか、と前から僕は思っていたので、こういう参考書を読みたくなったのです。

田畑:ましてや、幕末の維新の志士たちも、漢文を。

神戸:そう。みんな漢文で物を考えていた。それをもっと知りたい、と僕は思ったんです。

「天網恢恢疎にして漏らさず」

神戸:「天網恢恢(かいかい)疎にして漏らさず」という言葉を習いましたね。神が張った網は、ゆるいようだが、決して漏らすことはない。つまり、悪事を行えば、一時的には逃げおおせるけれど、結局はその報いを受けるということ。兵庫県知事を見ていて、ちょっとかじった漢文を思い出しました。県政は大停滞中。それは、あなたが進めさせていないからじゃないか。こんな状態では何も決められません。他の維新のリーダーたちの中にも、人を攻撃することは得意だけど守ることは苦手で、常に攻撃する対象を別のことに変えることで矛先をかわしてきた印象もありますが、さすがに今回そうはいかないかな、という感じがします。「天網恢恢疎にして漏らさず」だし、選挙を待つまでもなく、「私の不徳の致すところ」と言って辞任した方がいいんじゃないか、と私は思っています。

田畑:完全に、自分の引き際をもう見誤ってしまって…どこで引くのか。9月議会を待って不信任決議が出されてなのか、注目です。

神戸金史(かんべ・かねぶみ)

1967年生まれ。毎日新聞入社直後に雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。ニュース報道やドキュメンタリー制作にあたってきた。やまゆり園事件やヘイトスピーチを題材に、ラジオ『SCRATCH差別と平成』(2019年)、テレビ『イントレランスの時代』(2020年)・『リリアンの揺りかご』(2024年)を制作した。

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