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「今のまま鉄道を維持した場合、30年間で338億円の赤字が発生」 維持か別の選択肢か どうなる「平成筑豊鉄道」

RKB毎日放送 / 2024年10月4日 16時51分

福岡県直方市と行橋市を結ぶ第三セクター「平成筑豊鉄道」がいま、存続の危機を迎えています。赤字が続く中、地域の交通インフラをどうやって維持していくのか、検討が進められています。

赤字額は30年で338億円試算「平成筑豊鉄道」の今後のあり方は

平成筑豊鉄道は、JR九州が所有していた伊田線・糸田線・田川線の3つの路線を1989年に継承した第三セクター方式の鉄道です。

9月、沿線自治体の田川市議会では、平成筑豊鉄道の今後のあり方を検討する「法定協議会」の設置について議論が交わされました。

田川市議会建設経済委員会に出席した市の担当者「今のまま鉄道を維持した場合は、(赤字額は)338億円になります。30年間で338億円の赤字が発生している」

鉄道を維持した場合、毎年およそ10億円、30年間でおよそ338億円もの赤字が発生するとの試算が示されました。平成筑豊鉄道の河合賢一社長は、今後の経営について危機感を募らせています。

平成筑豊鉄道・河合賢一社長「今までの厳しい厳しいと言っているものと質的に異なった状況というものがもう始まっていますし、今後10年、20年、30年というところを考えたときにですね、老朽化であったり担い手不足というような厳しさを解消するのが今までと全く違う状況になると想定しております」

重くのしかかる設備更新・修繕費

赤字額を押し上げる要因となっているのが、鉄道の運行に欠かせない設備の更新や修繕にかかる費用です。

岩本大志記者「平成筑豊鉄道が走る嘉麻川橋りょうです。こちらはきれいに整備されていますが、もう片方は老朽化が進んでいます」

橋りょうは、塗装のはがれが目立ちます。さらに深刻なのが、線路を支える枕木です。

平成筑豊鉄道の担当者「くぎの部分。こういうのがきいていない。木とレールをとめるくぎなんですけど腐ってきいていないという状態が非常によろしくない」

現時点で安全運行に支障はないものの、将来的に交換が必要な枕木はおよそ3万本で全体の3割近くにのぼります。

利用客ピークは年間約342万人→去年は124万人

平成筑豊鉄道の年間の利用客数は、ピーク時(1992年)は、約342万人でした。

その後、利用客は減り続け、新型コロナの影響を受けた2020年には118万人まで落ち込みました。去年の利用客は124万人です。

通学で利用する生徒「ほぼ毎日使っています。なくならないでほしいです。なかったら通学とか難しくなるので」

通学で利用する生徒「学校通う時とかも結構助かっているのでなくてはならない」

路線バスへの転換や「上下分離方式」検討のため「法定協議会」設置を要望

沿線の9つの自治体は、今月中にも福岡県に法定協議会の設置を要望する方針です。

協議会が設置されれば、路線バスへの転換や鉄道設備の保有と運行を切り離す「上下分離方式」などの検討を進めていくことになります。

田川市・村上卓哉市長「予断を持たずに様々な可能性を協議会の中で議論をして参りたいですし、その大前提として、沿線自治体住民の皆さんの移動の手段の確保をどうやっていくかこれを大前提に議論して参りたい」

平成筑豊鉄道・河合賢一社長「交通の足というのは人々の毎日の生活ですね。生活がかかっておりますし、地域の皆さんの実情に応じて冷静な議論をして頂ければありがたい」

沿線の人口減少が進み収入拡大のめどが立たない中、鉄道を維持するのか、それとも別の選択肢をとるのか。今後の議論の行方が注目されます。

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