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人手不足深刻な介護現場の救世主!? 進化する”介護テック”最新機器が創る「幸せな社会」

RKB毎日放送 / 2024年10月18日 14時30分

介護分野の人材不足が深刻化する中、現場を支援するテクノロジー=「介護テック」が進化しています。

海外からも注目される北九州市の開発現場や実際に活躍している最新の介護システムとは

開発進む”近未来の介護テック”

北九州市若松区にある九州工業大学キューテックラボ。

「スマートライフケア共創工房」では、最先端のロボット技術を駆使し先進的な介護機器の研究・開発を進めています。

介護負担を和らげる人工筋肉を使ったスーツや、カメラで手の動きを読み取り、触れなくても作業ができるロボットアームなど、近未来の介護テックが生まれようとしています。

指導するのは、介護ロボットのスペシャリスト、柴田智宏教授です。

九州工業大学 生命体工学研究科 柴田智広 教授「介護分野の技術開発は、世界的にも大変注目されています。北九州市にも中国や他の国から介護施設の見学者が訪れますし、ここのスマートライフ共創工房自体も世界中から見学に来ます。そうなると、ますます企業も参入して、製品が進化していくんです」

安心・安全・負担軽減・・・最先端の介護機器とは

北九州市は、最先端の介護機器の介護施設への導入を積極的に支援しています。

北九州市小倉北区の「福祉用具プラザ北九州」内にある「北九州市介護ロボット導入支援・普及促進センター」では、介護施設を想定した部屋に介護機器が展示されています。

北九州市介護ロボット導入支援・普及促進センター 樽本洋平 センター長「実際に介護現場でいま活躍しているような機器を、手にとって触って確かめることができるような展示をしています」

まずはベッド周辺の機器。

各種のカメラで介護者の様子を見守るだけでなく、マットレスの下に敷いた「非接触型センサー」によって自動的に健康状態をチェックし、モニター上で心拍数や呼吸数などを常に測定することができます。

そして、介護現場で大きな力となるのが「移乗支援機器」です。

展示されているのは介護ロボット「移乗です」

座ったままの状態で安全に、簡単に移動をサポートします。

RKBの江越楓リポーターが体験しました。

北九州市介護ロボット導入支援・普及促進センター 樽本洋平 センター長「乗っていただくようなイメージですね。お尻や背中が落ちなように安全のためベルトをします。これでお尻を上げていきます。ぎゅーっと今、持ち上がっているの分かりますか?」

RKB 江越楓 リポーター「ええ、あ、すごい!」

北九州市介護ロボット導入支援・普及促進センター 樽本洋平 センター長「いまお尻がベッドから浮いたのでこの状態で外側に出てきます。この状態で車いすに行きます。あるいは、逆にベッドに戻る時であればこのまま戻ります」直接体に触れなくてもいいので、介護者は力を使わず、介護される側も気兼ねなく安全に移動できます。

RKB 江越楓 リポーター「とっても簡単。楽ですね」

北九州市介護ロボット導入支援・普及促進センター 樽本洋平 センター長「極力こういう機器を使っていただいて、人力ではなく安全に移動・移乗を支援するっていうことが、こうした機器で可能になります」

また、スマートフォンで歩いている姿を撮影すると、その速度や体の傾き、姿勢やリズムなどを解析するアプリもあります。

歩行状態を把握することが可能になり、リハビリの進み具合や転倒防止などにも役立てることができます。

北九州市介護ロボット導入支援・普及促進センター 樽本洋平 センター長「このアプリケーション、スマートフォンさえあれば歩行状態を評価できるので、専門的な評価をしなくてもある程度、全職種で使えます。そして1か月後、3か月後にどう変わったかを目安にしていただくのは非常に有効だと思います」

ドラえもんのようなロボットも夢じゃない!?

また、一見、おもちゃのようなコミュニケーションロボットも目覚ましく進化しています。

手足がリアルに動く多機能な「パルロ」は、実際に介護施設で入居者たちを釘付けにする活躍ぶりです。

パルロ「次は肩の上下運動です。肩を耳につけるような気持ちで・・・」

北九州市八幡西区の介護施設「第二わかば」では、入居者がパルロと一緒に軽い運動をしています。

こうしたコミュニケーションロボットの進化は、今後の介護テックの未来を象徴しているといいます。

九州工業大学 生命体工学研究科 柴田智広 教授「介護職員が、少ない人数だけど何とか現場を回せるというのが最初のラインだと思うんですけど、続いて「より幸せだ」と、それを越えていく技術ができるはずですよね。AIがこれだけ進んでくると、しゃべっても楽しいっていうほうも段々進んできますので、本当にドラえもんみたいな、お友達みたいな社会も全然不可能じゃない。だいぶ見えてきました」

現場で活躍80人の高齢者を見守る”介護テック”

実際の現場では介護テックがどのように使われているのでしょうか。

北九州市戸畑区の特別養護老人ホーム「やすらぎの郷牧山」では、約80人の高齢者の生活を見守る最新の介護システムを運用しています。

介護士主任 矢ヶ部那知さん「静態センサーと起き上がりセンサー、それにカメラによって、職員のタブレットやモニターで利用者の状態をリアルタイムで見ることができます。例えば、ベッドに誰も寝ていない場合、「離床」、ベッドから離れて起きていらっしゃいますという表示になります。そして人が寝ると「臥床」という表示になります」

RKB 江越楓 リポ-ター「眠っているか眠っていないかもセンサーで分かるんですか?」

介護士主任 矢ヶ部那知さん「そうですね」

さらに毎日測定する体温や血圧などは、測定するだけで自動的に個人記録の画面に登録。

パソコン上には個人の測定記録がグラフで表示される仕組みとなっています。

RKB 江越楓 リポーター「グラフまで?これまでは手書きでされていたんですか?」

介護士主任 矢ヶ部那知さん「手書きで定規を使ってやっていたんですが、それも全部パソコン上でやってくれるので、大幅な時間短縮につながっています」

また、見守りシステムは職員のインカムに連動しているため、以前はナースコールが鳴ると慌てて駆けつけて状態を確認していましたが、現在はインカムとスマホの画面上で状態を確認、落ち着いて対処することができるようになったそうです。

介護士主任 高浪奈津美さん「利用者さんも夜間に明かりを照らされて、安否確認をされるというのではなくて、ちゃんとベッド上で休まれている状態で確認がとれるというのは、お互いのためにメリットがあるのかなと思っています」

こうした最新システムの導入で、職員の作業時間短縮など現場での効率が改善されることによって、入居者とのふれあいや会話をする時間が増えるという効果もあらわれています。

やすらぎの郷牧山 熊谷妙子 施設長「絶対に人の手じゃないといけない作業もあります。例えば食事の介助やおむつの交換など。ですがそうじゃなくてもいいものって実はたくさんあって、人の手で絶対にするものと、ロボット化していくものと、ある程度しっかり分けて活用していくことがいいんじゃないかなと思っています」

より使いやすく便利に

現場の声を生かして改善日々開発が進む介護テック。中でも注目を集めているのは排泄関連の機器です。

こちらの施設では、ふたつの最新機器の運用を検討しています。

プレゼンテーションの場ではそれぞれのメーカー担当者の前で、職員が改善してほしい点を挙げていきます。

1つ目は、ベッドに敷いて、臭いで排泄の状況が判別できる「ヘルプパッド2」。

パッドに内蔵された臭いセンサーが排泄をキャッチ、AIが解析して情報を送るというもの。

メーカー担当者の前で挙げられた問題点とは?

やすらぎの郷牧山 熊谷妙子 施設長「臭いで検知ということですが、消臭剤とかけっこう使うので、感度が良すぎて拾い過ぎちゃうとかないですか」

「ヘルプパッド2」開発メーカー・aba 営業部 奈良めぐみさん「いま消臭剤を使われている理由や頻度をまず教えていただく必要があると思っています。そして運用を決めていただくことによって、誤作動というふうにとるのか、とらないのかっていうような所につながると思っています」

2つ目は「おむつナビ」。

2本のセンサーがついた専用のパッドと発信機でおむつの中の状態を感知、効率のよいおむつ交換が可能になります。

こちらも交換時期を色で知らせる画面がありますが、現場からは?

介護士「アラートが鳴らないのでタブレットを開いてみないと色が確認できないっていうところはありますね」

「おむつナビ」の開発メーカー・三和 HCB事業部 篠田素輝 主任「例えばナースコールの会社とかとシステム連携をすることによって、手軽に情報をインカムに飛ばすことができるのではないかと思いますので、他社との連携ということころを強化していきたいと考えています」

こうした現場の声によって製品はさらにブラッシュアップされ、世界が注目する画期的な介護テックへと進化していくのです。

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