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「生理休暇」申請わずか0.9% 「申請しにくい」状況変えるには 高校で導入の動きも

RKB毎日放送 / 2024年11月15日 19時25分

「生理休暇」について、労働基準法では次のように定められています。

【労働基準法】第六十八条使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。

生理に伴う体調不良で就業が困難な場合、誰でも請求することができます。

しかし、働く女性のうち生理休暇を請求した割合はわずか0.9%と極めて低い水準です。

我慢せずに休めるようにするための新たな取り組みが始まっています。

列車運転士の女性の思い

福岡市博多区に本社を置くJR九州。約7600人の社員のうち1200人ほどが女性です。

JR九州 南福岡運転区 河北瑞希運転士「(生理休暇について男性上司に)『自分の体調だから当日じゃなくて前日に分かるでしょ』みたいなことを言われたことがあって『分かんないんだよなあ』と」

JR九州で列車の運転士を務める河北瑞希さんです。

乗客の安全のため、体調が万全でないと勤務できないルールが設けられていて、これまでも年に2~3回ほど生理休暇を取得していたそうです。

「男性上司に言いにくい」

しかし、上司に生理休暇を申し出る際の「言いづらさ」に悩まされていたと話します。

JR九州 南福岡運転区 河北瑞希運転士「基本的に代わりがいない仕事になりますので、私たちが休むと誰かが代わりに出なきゃ行けない。休みにくいうえに、男性の上司がほとんどで言いにくいというところがあったので」

下腹部や腰などの痛み・頭痛・吐き気・下痢・眠気など生理に伴う症状は個人差が大きく、多岐にわたります。

「男性の上司に言いにくい」という女性社員の声を受けてJR九州は、新たな取り組みを始めました。

「生理休暇」から「静養休暇」へ

JR九州 人事部勤労課 上野七海さん「『生理休暇』という風に名前を設けてやっておりました休暇を『静養休暇』という名前に変えて運用しております」

従来の「生理休暇」に不妊治療のための休みも加える形で今年4月から「静養休暇」に名称を変更したのです。

JR九州 人事部勤労課 上野七海さん「『生理のために休みます』という風なことを伝えなければいけないということで、取得しづらいという声もございましたので、そういう声も踏まえてですね、名前を改めたというところでございます」

「静養休暇」に変更で取得倍増

名称を変更後、「静養休暇」のうち生理に伴う休暇の取得日数は、今年4月からの半年間に延べおよそ120日と、去年の同じ時期に比べ倍増したということです。

河北さんは従来の「生理休暇」に比べ申請のハードルが下がったと話します。

JR九州 南福岡運転区 河北瑞希運転士「『生理休暇』とダイレクトに伝わって、他の方にも聞こえてしまうとプライバシー的にもどうなのかなという部分があったので、名前が変わったことで伝えやすくなったのかなという風に感じています」

取得率低迷の背景は

生理に伴う休みが取得しやすくなるよう取り組む企業があるものの、その取得率は低迷しています。

厚労省の2020年度の調査では、申請した女性労働者の割合は0.9%。

20~40代の働く女性を対象に実施された民間の調査では、生理休暇について「利用したいと思うことはあるが利用したことはない」と答えた人は全体の半数近くを占めていて、取りづらいと感じている人が多いことが分かります。

・「男性上司に申請しづらい」
・「利用している人が少ないので申請しにくい」
・「休んで迷惑をかけたくない」といったことが利用しにくい要因となっています。

「生理痛放置するとリスク高まる」

産婦人科の医師は「生理痛の症状を放置すると、子宮内膜症が進行するなどリスクが高まる」と話します。

総合母子保健センター愛育病院 百枝幹雄院長「(子宮内膜症は)生理痛の原因として一番多いものなんですけど、生理痛を放置していることによってだんだん進行していく病気なんですね。(子宮内膜症が進行すると)だいたい4割くらいの方が不妊になる。(子宮内膜症が卵巣にできた場合)9倍くらい内膜症がない人に比べて卵巣がん率が上がるということが分かっていたり、心臓血管系の病気が増える」

「不調抱えて働くと企業側にも影響」

従業員の健康問題を経営的な視点で考える「健康経営」にも詳しい百枝院長は「従業員が生理での不調を抱えながら働くことによって、作業効率が落ち、企業側にも影響が生じる」と指摘します。

総合母子保健センター愛育病院 百枝幹雄院長「だいたい1年間に月経のトラブルによってロスしているものが、4000億円とか、ものによっては6000億円とかいろんな試算があるんですけど、そのレベルのことが起こる」

生理休暇を巡る新たな動きは企業だけではありません。

高校でも「生理休暇」導入の動き

福岡女子商業高校生徒会 定例会議「大阪に2校、生理休暇を導入している高校があるので、電話でアポとかとりながら、どのように導入していったのかを聞きます」

福岡県那珂川市の福岡女子商業高校では、「生理休暇」を導入しようという取り組みが生徒会を中心に進められています。

福岡女子商業高校1年 馬場橙奈さん「私がもともと生理が重くて、中学とかも生理で休んでいたりとかそんなに学校も行けていなかったので、高校になって生理休暇を自分でも作りたいなと思っていました」

全校生徒の7割が導入賛成

生徒会が行ったアンケートでは、全校生徒の7割以上が生理休暇について「必要だと思う」と回答。

この結果を踏まえ、生徒会では実際に生理休暇を導入した大阪の高校からのヒアリングを計画しています。

「自身の体と向き合うきっかけに」

教員も生理休暇の導入は「生徒たちが自身の体と向き合うきっかけになる」と話します。

福岡女子商業高校 大坪由紀教諭「(生理休暇が)制度として実現すれば、彼女たちが自分の体と向き合うことも、もっと大事にするでしょうし、不調を訴えるということは恥ずかしいことではないんだと感じるようになると思いますので、自分の人生を前向きに生きていくきっかけになるんじゃないかと思っています」

誰もが生理による体の不調を我慢せずに仕事や学業に臨める社会へ。企業や学校でのさらなる取り組みが求められています。

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