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「人に迷惑かけていい」…お笑いコンビ「バッドボーイズ」清人が語るヤングケアラーへの思い

RKB毎日放送 / 2024年11月18日 10時53分

障害や病気のある家族に代わって料理・洗濯などの家事をしたり、幼いきょうだいの世話をしたりして、子供らしい生活を送ることができない「ヤングケアラー」。

福岡市出身で、お笑いコンビ「バッドボーイズ」のボケを担当する清人さんも、目の不自由な祖母の世話や家事などを日常的に行っていた元ヤングケアラーです。

ヤングケアラーとして過ごした体験を漫画にした清人さんは、福岡市で講演を行い、「みんなが自分は100点だと自信を持てる明るい未来にしたい」と訴えました。

物心ついた時、すでに母親は不在

バッドボーイズ 清人さん
「自分自身『人間として100点』だと思う方、どのぐらいいらっしゃいますか?」

福岡市で開かれた「ヤングケアラー市民フォーラム」。
ヤングケアラーについて知ってもらい、支援の輪を広げようと企画されました。

バッドボーイズ 清人さん
「物心ついたときにはもう、母親がいなかったんですね」

目の不自由なおばあさんとの日々

講師を務めたのはお笑いコンビ「バッドボーイズ」の清人さん46歳。3歳から18歳まで、目の不自由な祖母とほぼ2人で暮らしていた元ヤングケアラーです。

バッドボーイズ 清人さん
「おばあちゃんは目が不自由なので、週に2回病院に連れて行かないといけない。行った後、今度は買い物に連れて行かなきゃいけない。『買い物がようやく終わったな』と思って家に帰ったら、今度はお風呂を炊かないといけない」

学業や友人関係・就職にも影響が

本来大人が担うはずの家事や家族の世話などを日常的に行う「ヤングケアラー」。
自分の時間が取れなくなり、学業や友人関係・進学・就職などに影響を及ぼしたり、心身が疲労したりするおそれが大きいのが実情です。

もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるように保障されるべき子供の権利が損なわれてしまうのです。

小学6年生の6.5%がヤングケアラー

厚生労働省が実施した実態調査によりますと「世話をしている家族がいる」と回答したのは、
小学6年生で6.5%
中学2年生で5.7%
高校2年生で4.1%
大学3年生で6.2%

中学2年生の17人に1人、高校2年生の24人に1人がヤングケアラーであるという実態が浮かび上がりました。

中には、自分がヤングケアラーであることに気付いていなかったり、一人で悩みを抱えこんでしまったりする子供もいます。

「人に迷惑をかけていい」

バッドボーイズ 清人さん
「『人に迷惑をかけるな』ってやっぱり言われて育つじゃないですか。『恥ずかしいな』というのもあるでしょうし、『情けないな』もあるから心配かけたくない。ちょっとでも悩んでいたら『人に迷惑をかけていきなさい』って言ってほしい。子供にちゃんと『君、100点だよ』『迷惑かけていいよ』ぐらい言える人間でありたいと僕は思っているんです。ヤングケアラーを通してですね」

ヤングケアラーはこれまで法律上の明確な規定がなく、支援も自治体によってばらつきがありました。

ヤングケアラーを支援の対象に

今年6月に子ども・若者育成支援推進法が改正され、ヤングケアラーを「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」と初めて明記し、国や自治体が支援を行う対象としました。

福岡市こども未来局 桑野裕史 こども家庭課長
「ヤングケアラーについては家庭内のことなので、なかなかは数字は行政としても把握できていない状況でございます。福岡市ではヤングケアラーにヘルパーの派遣やオンラインサロンを現在取り組んでおります。今後はこの様な市民フォーラムを通じて、市民の方、関係機関の方にヤングケアラーについて広く知っていただきたいと思います」

就職してもすぐに介護離職

9歳から33歳まで、母親の介護と家事をしていた高岡里衣さんです。

元ヤングケアラー 高岡里衣さん
「部活したりとか放課後遊んだりとかはあまり記憶になくて、雲ひとつない秋晴れみたいなスカッとした心模様の日って一日もなかった学生時代を過ごしていました」

大学卒業後、一度就職はしたものの、母親の病状が悪化したため、すぐに介護離職した高岡さん。

母親が他界した今は、「元ヤングケラー」として、子供たちの支援に携わってます。

「キャリアのフォローアップを」

元ヤングケアラー 高岡里衣さん
「生活困窮とかの面もあるし、後は学習の機会を逃した人のために、学習を再履修をするような機会とか、就職がうまくいかなかったりするので、そういうキャリアのフォローアップみたいなのも必要ですし、昔より支援がいっぱいできているので『使えるものは使う』と思って生きてくれたら嬉しいなと思います」

今回福岡市で開かれた市民フォーラムにはおよそ150人が参加しました。

参加者した女性
「大人も子供もみんなで支え合えるような社会になれば、みんな笑顔になれるかなって」

大学生
「ヤングケアラーをまずは知るのも大事だと感じましたし、心に余裕を持って自分以外の周りのことも目を向けていくことは大切だと感じました」

バッドボーイズ 清人さん
「自分の心のSOSが出たときは、人に迷惑かけてほしいと。それを受け止める大人たちも増えてほしいなと思います」

福岡県内では推定131人

福岡県が2022年度に実施した調査によりますと、県内のヤングケアラーは推定で131人。

しかし、子供自身がヤングケアラーということを認識していないことも多く、支援を必要とする子供や若者はもっと多いことが考えられます。

支援に課題も

また、福岡県が2年前、自治体にヒアリングしたところ、ヤングケアラーの実態を把握するための課題にあげられたのは、
(1)家族内のことで問題が表に出にくい。
(2)関係機関からの情報量が十分ではない。
(3)子供の意向確認や調査する技術、さらに人員が不足している。
(4)ヤングケアラーに該当するのか判断が難しい。などとなっています。

こちらはケアに費やしている時間をまとめたグラフです。

今年6月の法改正では「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子どもや若者」と定義されましたが、何を持って「過度」と判断するのか基準があいまいで分かりにくいといった声も上がっています。

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