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危険運転致死傷罪の適用基準見直しへ検討会が具体的な数値盛り込んだとりまとめ案発表 専門家「指針としての運用がベスト」

RKB毎日放送 / 2024年11月18日 16時28分

悪質で危険な運転による死亡事故などに厳しく対処するため、法務省の検討会は13日、危険運転致死傷罪の要件の見直しに向けた取りまとめ案を明らかにしました。

危険な運転による事故でも適用されない「ギャップがある」

危険運転致死傷の罪をめぐっては、法定速度を大幅に超えるなどした危険な運転による事故でも適用されないケースがあるとして、「一般常識とはギャップのある判断がなされている」といった声も上がっています。

こうしたことから、法務省の検討会は危険な運転に対してより厳しく対処するため、交通事故の被害者遺族へのヒアリングなどを行い、危険運転致死傷罪の要件見直しに向けて議論を進めてきました。

検討会が13日明らかにした取りまとめ案によりますと、アルコールの影響で正常な運転が困難な状態に当たるといえるアルコール濃度の基準を規定することや、一定の速度以上の高速度で車を走行させる行為を「危険運転」の対象とする方向で検討しているということです。

検討会の見直し案を受け、法務省は法改正に向けた議論を進めることになります。

法改正に向け進む検討具体的な数値基準は

飲酒運転に対する危険運転致死傷罪の適用について現在の条文では「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」での運転となっていて、具体的な数値基準はありません。

検討会のとりまとめ案では、体内のアルコール濃度が呼気1リットル当たり0.15ミリグラムか0.25ミリグラム、もしくは0.5ミリグラム、いずれかの数値を設けて、数値以上なら一律で処罰の対象とする案が盛り込まれています。

呼気1リットル当たり0.15ミリグラムは酒気帯び運転の基準値です。

一方、高速度運転については現在の条文では「進行を制御することが困難な高速度」での運転となっています。

とりまとめでは、最高速度の1.5倍や2倍の速度を基準として設ける案があがっています。

1.5倍の場合例えば50キロ制限の道路を75キロ以上で走行して事故を起こした場合、処罰の対象となるということです。

今回の見直しの検討、きっかけは遺族からの声です。

福岡でも続く危険運転致死傷罪をめぐる裁判

今年1月、福岡県大牟田市の交差点で右折しようとした原付バイクと直進してきた軽乗用車が衝突し、原付バイクに乗っていた男子高校生が死亡しました。

起訴状によりますと、軽乗用車を運転していた60代の男は、酒を飲んだ状態で時速90キロから110キロで高校生のバイクと衝突したとされています。

検察は当初、男を道路交通法違反の罪で起訴しましたが、その後、より刑の重い危険運転致死罪に訴因を変更しました。

7月に行われた初公判で弁護側は「アルコールの影響で正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で運転していない」と主張しています。

交通事故で注意を怠ったことにより人を死亡させた場合、過失運転致死傷罪の上限は懲役7年なのに対し、危険運転致死傷罪の場合は、上限懲役20年と重くなります。

数値を設ける事のメリットとデメリット専門家は

弁護士法人響・福岡オフィス所長の徳原聖雨弁護士の話

基準となる数字を設けることで、罰せられるかどうかが明確になる反面、基準値に達していないものがすべて危険運転ではないとなってしまう。個人的には法律に明記するのではなく、今後、裁判官が判決を下す一つの指針として用いつつ、あとは解釈の余地を残すと言うことがベストではないかと考える。裁判官が遺族の方も含めて納得する解釈をすればよいのではないか。

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