アルツハイマー病の疑い 見分けられる簡単な3つの質問 「困っていること」「楽しみ」「気になるニュース」
RKB毎日放送 / 2024年11月28日 18時14分
慶應義塾大学病院などの研究チームは、アルツハイマー病の疑いを3つの質問をするだけで判別できる方法を確立したと発表しました。
早期発見、早期治療につながればと、当事者とかかわる福祉の現場からも期待の声があがっています。
簡単な3つの質問はこれ
発表された、認知症の主な原因とされるアルツハイマー病の疑いがある人を簡単な方法で見分けることが可能な質問は、3つです。
1現在、困っていることはありますか?
2現在、楽しみはありますか?
3最近、気になるニュースはありますか?
慶應義塾大学病院によりますと、「困っていることがあるか」と「気になるニュースがあるか」という質問には「ない」と答え、「楽しみがあるか」という質問には具体的に回答した人は、アルツハイマー病の精密検査で、83.3%が陽性だったということです。
慶應義塾大学病院・メモリーセンター長 伊東大介 特任教授「アルツハイマー病の特徴というのは『取り繕い』と言いますが、『自分が健康である』『元気である』ということを第三者、家族以外の人にアピールする、正しい答えを伝えたいということで、助け船を付き添いの人に出す」
質問に直接答えようとせず、隣にいる同伴者の方を振り返って手助けを求める「振り返り動作」をした人の87.0%が陽性だったということです。
慶應義塾大学病院・メモリーセンター長 伊東大介 特任教授「これまでアルツハイマー病の診断というのは心理テストを行っていました。10分から15分ぐらいで行いますけど、計算をしてもらうとか、物を覚えてもらう。患者によってはかなりストレスを感じるんですね。3つの質問とか、振り返りサイン兆候というのは、普通に問診している中で盛り込むことができるので、患者にストレスなく評価することができます」
早期アルツハイマー病の治療薬「ドナネマブ」
11月26日、厚生労働省が承認した早期アルツハイマー病の治療薬「ドナネマブ」の発売が開始されました。アルツハイマー病の原因物質に直接働きかけ取り除く薬としては、国内2例目です。
価格は1瓶6万6948円で、年間費用はおよそ308万円かかりますが、保険が適用されます。
ドナネマブは、患者の脳内に蓄積する異常なタンパク質を取り除き、病気の進行を抑える効果が期待されています。
臨床試験では1年半の投与で、認知機能の低下をおよそ7か月半遅らせることができたということです。ただ、投与できるのは、軽度認知障害と軽度認知症の患者のみです。
そのため、アルツハイマー病の疑いがある人を早く見つけ、治療につなげていく必要があります。
慶應義塾大学病院・メモリーセンター長 伊東大介 特任教授「アルツハイマー病にはレカネマブ、それから最近承認されたドナネマブという薬があります。いずれも、初期の認知症もしくは認知症の予備軍が適用になります。つまり中等度以上、さらには末期のアルツハイマー病の方には適用できません。今回のスクリーニング法で少しでも早くアルツハイマー病の方が専門医を受診し、治療できればと思っています」
「安心して暮らしたい」を叶えられるか
福岡市中央区の認知症フレンドリーセンターです。
認知症に関する情報を発信し、社会福祉士などの資格を持つスタッフが当事者や家族からの相談にも応じる施設で、認知症になっても安心して暮らせることを目指しています。
福岡市 認知症フレンドリーセンター 党 一浩 センター長「脳の検査を受けるということに対してかなりの強い抵抗感があると思いますし、その背景として認知症に対するネガティブなイメージ、「なりたくない」「なったら終わり」ということがあると思うので、そこをなんとか変えていく必要があるんじゃないかなと思います」
センター長も「簡単な3つの質問」によるスクリーニング法を取り入れていきたいと話しています。
福岡市 認知症フレンドリーセンター 党 一浩 センター長「早期発見することで適切な治療にもつながっていくと思いますので、次のステップというか、一歩を踏み出す、後押しできるようなものになるんじゃないかなと思っています。」
厚生労働省の研究班によると、認知症の高齢者は、来年471万6000人となり、団塊ジュニアの世代が65歳以上になる2040年には584万2000人にのぼると推計しています。
これは、高齢者のおよそ15%。
6.7人に1人が認知症という試算です。
早期発見につながる新たな方法が社会の希望につながることが期待されます。
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