下水汚泥から肥料を生産 価格高騰で”脚光 来春から販売予定
RKB毎日放送 / 2024年12月3日 17時19分
植物の成長に欠かせない肥料は、原料の多くを輸入に頼っていて、ウクライナ侵攻や円安などの影響で、価格の高騰が続いています。
そんな中、福岡県北九州市が下水の処理で発生する「汚泥」を肥料として活用する取り組みを始めました。
1日165トンの汚泥
RKB 岩本大志記者「私の後ろにあるのが北九州市から集まってきた下水です。実はこの下水から、植物の成長に欠かせない肥料が作られているということです」
北九州市小倉北区の日明浄化センターです。
市内に5か所ある浄化センターでは、処理の過程で、1日およそ165トンもの汚泥が発生します。
RKB 岩本大志記者「こちらにあるのが脱水して運ばれてきた汚泥です。近づいてみるとかなりにおいがきついです」
乾燥させ5ミリ以下の粒に
集められた汚泥は、専用の機械でミキサーにかけ、乾燥させていきます。
すると、このように黒い5ミリ以下の粒となります。
植物の成長に必要な「窒素」や「りん」が豊富
北九州市はこれまでバイオマス燃料などに利用していましたが、植物の成長に欠かせない「窒素」や「りん」が含まれていることから、新たに肥料として活用することを決めました。
北九州市 上下水道局・施設課 大庭健司 計画係長「下水汚泥というのがなかなか一般の方に還元できるものがなかったので肥料として多くの方が使用していただける可能性が出てきたということで非常に嬉しく思いました」
来年春ごろから販売予定
北九州市が下水汚泥から作った肥料は、「OH!DAY!(オーデイ)北九州」と命名されました。
植物の生育試験で害がないことが確認されたため、農林水産省が定めた新たな規格「菌体りん酸肥料」に九州で初めて登録されました。
他の肥料と混ぜ合わせた「配合肥料」として来年春ごろから販売される予定で、年間およそ1000トンの製造を計画しています。
北九州市 上下水道局・施設課 大庭健司 計画係長「下水処理場で作った肥料を使って作物を作っていただく。市民の方が食べていただく。そうするとまた下水の方に帰ってくる。そういった循環が非常に良いサイクルになっていると思います」
北九州市と共同で肥料を開発した企業も期待を寄せています。
日鉄エンジニアリング 汚泥資源化営業室 中本真マネージャー「新たな取り組みということで、北九州のみならず全国からどのような利用をしていくのかとか、どれだけ利用されていくのかは注目浴びているのかなと感じております」
私たちの生活で発生した下水汚泥が、植物の成長を支える肥料に。
循環型社会を目指す北九州市の新たな取り組みが注目されています。
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