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職場の同僚からママ友へ そして被告人になったふたり 真っ向から食い違う主張 ホームレスの女に「脅されて従うしかなかった」は本当か、嘘か

RKB毎日放送 / 2024年12月3日 19時38分

去年6月、福岡県水巻町の町営住宅で、当時52歳の姉を殺害し預金通帳などを奪ったとして、ホームレスの妹(52)と知人の女(48)が逮捕・起訴された事件。

1審で無期懲役判決を受けたホームレスの妹に続き、知人の女に対する判決が12日に言い渡される。

女には、ホームレスの妹が20年に及ぶ売春で得た約5800万円が送金され、事件で奪った金のほぼ全額が渡っているが、法廷で女は「脅されて従うしかなかった」とくり返した。

ふたりの主張は真っ向から食い違う。どちらが真実なのか。

町営住宅で女性(当時52)が殺害された

事件は去年6月、福岡県水巻町の町営住宅で起きた。

住人の辻つぐみさん(当時52)が手足を結束バンドで縛られた状態で死亡しているのが発見され、妹でホームレスの辻和美被告(52)と、知人の無職・岡村恵美被告(48)がそれぞれ逮捕・起訴された。

福岡地裁小倉支部は8月、妹の辻和美被告(52)に対し、強盗殺人の罪を認定し、無期懲役の判決を言い渡した。(その後、和美被告が控訴)

「犯行は、知人の女の利益を図るために行われた」

判決によると、辻和美被告(52)と岡村恵美被告(48)は共謀し、和美被告の姉のつぐみさん(当時52)の顔に催涙スプレーを顔に噴射。つぐみさんの首を圧迫し、窒息死させたうえ、通帳や印鑑を奪った。

実行役は、辻和美被告だが、「犯行において岡村恵美被告は、犯行に用いるための道具の準備や犯行現場への送迎等、犯行の実現に不可欠な重要な役割」を果たした。
また、犯行は、「岡村家に利益を図るために行われたもの。
現に、被害者の預金から引き出した現金のほとんどが、岡村恵美被告の手に渡って、岡村家内(恵美被告とふたりの子供)で分配されている」。

和美被告は裁判で、ふたりの関係について、「路上生活をしながら売春で稼いだお金を岡村被告に送金していた」「債権者と債務者のような関係」と話したが、岡村被告は、11月に始まった自身の裁判で、真反対の主張をくり返している。

”知人の女”岡村被告の言い分 「脅されて従うしかなかった」

強盗致死罪で起訴された岡村恵美被告。

14日の初公判で、福岡地裁小倉支部の法廷に落ち着かない様子で入廷し、起訴内容についてはっきりと「私は共謀していません。無罪です」と述べた。

岡村被告は、和美被告のことを、タレントの志村けんのものまねをすることから「シムラ」と呼んでいたが、法廷でも、「シムラ」という呼称を使っている。

25日被告人質問。

弁護士あなたにとってシムラ(和美被告)との関係は?
岡村被告逆らってはいけない人。支配者と従う人としか答えられません

岡村被告「息子ががんになったと言われ金を貸した」

岡村被告は中学を卒業後、高校には進学せず16歳で当時の夫と出会い長男と長女、2人の子供を産んでいる。

20代だった2004年頃、ごみ収集を担う会社の同僚として辻和美被告と出会った。

当時ふたりとも小学校高学年の男の子がいたことから、ママ友として子供を連れ一緒に公園に行くようなこともあった。

法廷で岡村被告は、そのころ約500万円を和美被告に貸した、と主張した。

岡村被告
(和美被告の長男が)がんになったと言われお金を貸すようになりました。
3~4回返済として振り込んでもらったんですが、抗がん剤にお金がかかるようで、「振り込んだお金おろした?」「おろしてないならそのまま貸してくれん?」などと言われていました。
トータルで500万。何回かに分けて貸しました。細かくは覚えてないんですけど、4~5回、5~6回くらい。2~3か月の間に貸しました

弁護士
原資は?
岡村被告
シムラに会う前に友達がいて貢いでもらっていて、そのお金を子供のためにタンス貯金していたのを貸しました

弁護士
借用書などの書類を作成した?
岡村被告
口約束でのんきに考えていました

弁護士
本当にがんだった?
岡村被告
のちにがんだったのが「嘘だった」と言ってきました

過去に貢いでくれる人がいた、と証言した岡村被告。検察と裁判官が、詳細を質問した。

検察
「貢いでくれた人がいた」その方の名前は?
岡村被告
個人情報になりませんか

検察
女性の方?
岡村被告
はい

検察
いくら?
岡村被告
何千万です

検察
その後は?
岡村被告
調停になりました。分割で払って、それは終了しています。

検察
親から訴えられて調停?
岡村被告
そうです

裁判官
2004年頃、友人に数千万円貢いでもらっていた、と。どのくらいかけて返した?
岡村被告
年数までは覚えていませんが、完済したのは覚えています。

裁判官
その原資は?
岡村被告
主人の給料から支払っていました

ホームレスの女から突きつけられた”10箇条”?

岡村被告は、貸しては返してもらう、をくり返していたある時、「全てが変わった」と主張した。

岡村被告
病院の裏にお金を届けに行ったときに、シムラから「北朝鮮の家の中にもランクがあって、うちは北朝鮮の家の中でもとてもえらい人間で・・・」と、拉致被害者の事件の話をされたり、世田谷一家の殺害のことを話されたりして、シムラのカバンからスケジュール帳を見せられ、拉致する人の名前が書いてあるのを見せられて、「その中に私の家族の名前が載っている」と言われて、「これから安全のために口座を使わせろ」と。よく意味が分からなかったので、無言のまま立ち上がったら、シムラから思い切り両肩を捕まれて、「家族を守りたいならうちの言うことを聞け!」って。怖くて「分かった」と答えるとシムラが「1!」「2!」という順番で条件を出してきて

岡村被告が何をすればいいか尋ねると、和美被告は「(自分が)送金した現金をそのまま持っていてくれ」と指示したうえ守るべき10箇条を課したと主張した。

【10箇条】
・借金の返済について言ってこないこと
・和美被告が入れたお金に手をつけないこと
・和美被告とのことを公にしないこと
・和美被告以外の友人と付き合わないこと
・朝連絡、夜連絡をとること
・和美被告との会話について口を割らないこと
・会うとき遅れてはいけないこと
・和美被告とのことを誰かに聞かれたら大親友と言うこと
・会うときに防犯カメラに映らないようにすること
・連絡をとぎらせないようにすること

この日から、支配者と従う人の関係が始まった、指示に従わないと「家族を殺す」などと脅され逆らえなかった、などとくり返した。

岡村被告
逆らってはいけない人。シムラから言われたことを全部人にこぼすのが怖いくらい私はシムラがとても怖いんです。

弁護士
当時シムラ以外の友人は?
岡村被告
友達がいました。シムラから命令されて、お金を借りてからは付き合いをさせてもらえなくなったので、友達を失いました。

服やバッグの購入・事件当日の送迎も「指示されたこと」

岡村被告は事件前に和美被告のため動きやすい服やバッグ、手袋などを購入しているほか、防犯グッズ販売店に和美被告と一緒に訪れている。
事件当日にも防犯グッズ販売店に送迎し、和美被告が催涙スプレーを購入している。

事件の1週間前に和美被告が「つぐみ襲おうかな、催涙スプレーかスタンガンで脅そうかな」と言っていたが「(和美被告は)平然と冗談を言うので」信じていなかったと主張。
前日の夜に和美被告から「つぐみのところに金を借りに行く」と伝えられ、送迎を指示されたという。
全て和美被告の指示に従ったことで、目的などは「聞くことが許されていなかった」と話した。

渡された約90万円 奪い取ってきたものと知るも「脅されて返せなかった」

検察側によると、事件後、岡村被告は、和美被告が奪った通帳で引き出した約103万円のうち、少なくとも90万円を受け取っている。

「はい、90。借金の返済の一部」などと言われ現金の入った封筒を渡されたと話す。

岡村被告
お金を返そうとしたら「うちの手元に来たお金をお前拒否るんか。殺し屋に連絡するぞ」といわれました。

検察官
受け取った90万円は?
岡村被告
私の娘と息子に40万円ずつ分けて、残りの10万円を私が貰いました

検察官
長女は40万円を何に使いましたか?
岡村被告
息子の車のために10万を息子に貸しました。
残りを駐車場の契約とコンテナの料金をため込んでいたので10万円使って。
山口に引っ越そうとしていたので、その交通費と生活費に使いました

検察官
長男は40万円を何に使いましたか?
岡村被告
車を買いました

検察官
あなたは?
岡村被告
生活費

検察官
90万全部使った?
岡村被告
使い切りました

検察官
脅されてしたくもないことをさせられた?
岡村被告
そうですね

検察官
警察に相談は?
岡村被告
警察に口を割ったことが分かってしまったら、北朝鮮の方が襲いに来ると思って言えなかった。警察、弁護士、裁判官、シムラの言いなりと聞いているので言えません

岡村被告の主張によると、岡村被告は、受け取りたくもない90万円を”脅されて”受け取り、すべて使い切った、ことになる。この点を、裁判官も質問した。

裁判官
なぜ子供たちに渡した?
岡村被告
・・・

裁判官
受け取りたくないので、返そうとして怒られていたお金をなぜ子供たちに?
岡村被告
シムラは山口に引っ越そうとしている話や(息子が)車をローンで買おうとしている話を知っていたので、子供たちにこのお金を分けたらいいやんと

裁判官
首を絞めて取ってきた金と理解して、受け取りたくないお金を子供に渡したのは?
岡村被告
今となっては反省していますが、その時は判断できませんでした

岡村被告は、証人として息子や娘が法廷に入ってくると、大好きでたまらない様子で笑顔を見せた。手を振るなどし、横にいる刑務官から注意されることもあった。

2人の上下関係は? 判決は12月12日

和美被告から脅されていたと話す岡村被告。

弁護側から「最後に言いたいことは?」と尋ねられると、「シムラから解放されたいです。助けてください」と震える声で答えた。

また、19日に行われた和美被告の証人尋問では和美被告の姿を見た瞬間震えながら泣き出し、和美被告を直視しないようにしていた。

全く異なる2人の主張。真実はどこにあるのか。

検察側は、「『和美から北朝鮮への拉致、殺害等をほのめかされ、和美が怖くて従わざるを得なかった』という主張について、そもそも荒唐無稽というほかない」「和美被告より上位の立場であることを利用し、自らの手は汚さず和美被告に実行犯を担わせ、大半の利益を得ていて狡猾」などとして懲役27年を求刑。

弁護側は、改めて無罪を主張した。

判決は12月12日に言い渡される。

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