【高校ラグビー】東福岡に憧れて集った選手たち 今度は憧れられる立場に
RKB毎日放送 / 2024年12月24日 18時4分
ここ数年で増えた県外出身者
12月27日に開幕する第104回全国高校ラグビー大会。前々回の覇者で前回準優勝の福岡県代表・東福岡は、25大会連続35回目の出場。
そんな東福岡のメンバーの会話を聞いていると、九州弁ばかりが飛び交っていた数年前とは様子が違うことに気づく。この何年かで、寮から通学するいわゆる“県外組”が増え、かなりの数を占めるようになってきている。
最前列は3人とも寮生
今季のメンバーの特徴は、3年生主体だった昨年度やその前年と違い、3つの学年が入り混じった構成であることにある。スクラム1列目は3人とも2年生だ。
1番・左プロップの勝又篤選手は、神奈川県の古都・鎌倉市からやってきた。ジュニア時代のポジションはバックスで、センターやウイングだったそうだ。「たまにバックスに戻りたいなぁと思う事はある。」と思わず本音が。そして、「東福岡を選んだ決め手は練習の雰囲気の良さ。入ってみて思った通りだった。」
2番・フッカーを務める須藤蒋一選手はさいたま市。同じく中学時代はバックスだった。「そもそも東福岡の強力フォワードに憧れて入学したので、今が一番充実している。」バックスへの未練があるのかと思いきや、こちらは全く反対の回答だった。
体重100キロ超の3番・右プロップ武田粋幸選手は、平成28年熊本地震で被災した益城町で育った。被災した当時、小学2年だった武田少年は、弟とともに家の手伝いをしながら日々を過ごし、その経験がラグビーに生きていると前を向く。強い東福岡のラグビーに憧れていたそうだ。
4年前の死闘を見て
父親がラグビー強豪国・サモア出身のラガーマンという2年生・セホビストー勇貴選手のポジションもフォワード。
こちらは横浜市。4年前の花園、100回大会ベスト8、東福岡×東海大大阪仰星戦を見て、すっかりファンになったという。21対21のまま後半なんと47分まで続いた死闘。この時の東福岡フォワードの戦いぶりが当時13歳だった少年の心を奪ったのだ。
この他、「型にハマらない自由奔放なプレー」「みんなが笑顔で楽しそうにプレーする姿、それでいて強いという格好良さ」を憧れた理由に挙げた選手もいた。
兄とOB福井翔大選手、そして忘れられないある光景
そして、ラグビー強豪校がひしめき合う関西地区・滋賀県出身で3年生のセンター・深田衣咲選手は東福岡を志した背景をこう語る。
「兄の進路という点も大きかったが、福井翔大(2018年卒、現埼玉パナソニック)さんに憧れたこと、そして、バックスでしっかりトライを取りきるヒガシの強さが自分の心に刺さった。」
と、ここまでの説明には驚かなかったが、続きはこうだ。
「トライを奪っても、そこまで派手に喜ばない姿や、試合後に、着ていたジャージーを選手一人一人が畳んで渡していた光景を見て、『こんなチームに行きたい』という思いがさらに強くなった。」
目からうろこが落ちる証言だった。
全国の少年たちが憧れるプレーを
特に関東出身者は、箱根も関ケ原も、そして関門海峡も越えて東福岡の門を叩いた。みんな「ヒガシのラグビーへの強い憧れ」からだ。
全国高校ラグビー大会は27日に開幕。30日に初戦を迎えるBシード・東福岡は、毎回花園で、戦いながら成長する姿を見せる。
深田選手が言う。「自分は東福岡に憧れて入ってきた。今度は自分が、今の小学生や中学生に憧れてもらえるようなプレーをしたい。そして、将来そんな子たちにヒガシに入学してもらいたいし、そんなエピソードを話してくれたら。」
この伝承が始まって久しい東福岡。これが“強さの連鎖”なのだろう。今回も全国のどこかで、少年ラガーマンが、東福岡の戦いに憧憬の眼差しを向けることになりそうだ。
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