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福岡県のブランドイチゴ「あまおう」県外でも生産可能に!? ”育成者権”期限切れで苗の流出懸念 知事「県内に限定」 生産者は「一抹の不安も・・・」

RKB毎日放送 / 2025年1月21日 14時10分

今、旬を迎えているイチゴ「あまおう」。

福岡県のブランドイチゴですが、20日から福岡県以外の地域でも生産が出来るようになりました。

「育成者権」というものが、19日で期限切れとなったためです。

一体何が起きているのか取材しました。

「あまおう」観光客にも人気

福岡県糸島市にある磯本農園です。いちご狩りの本格シーズンが始まっています。

18日、沖縄県から団体旅行客が来ていました。

お目当ては、「あまおう」の食べ放題です。

沖縄からの観光客
「あまいですよね」「初めて来た」

沖縄からの観光客
「イチゴ美味しいです。あんまり来る機会がないので」

5年かけて福岡県が開発 高いブランド力

「あまおう」はイチゴの生産量、日本一を目指して、福岡県農業総合試験場が5年かけて開発し、2003年に販売が開始されました。

2008年取材 JNN バンコク支局 スティーラ記者
「ここはバンコクの高級果物店です。あまおうは一番人気ということで値段は800バーツ。日本円でおよそ3500円です」

国内だけでなく、海外にも積極的に売り出し、あまおうは現在、福岡県で最も多く輸出をしている農産物になっています。

こちらの磯本農園では2012年から「あまおう」の生産を開始。

16棟のハウスで年間約11トンを農協に出荷しています。

磯本農園 宝金愛理さん
「知名度としてブランド力は高いと思います。国内は一番遠いところで北海道とか、海外では台湾とか香港とかアジア圏の方が多い」

そんな、あまおうに今、転機が訪れています。

”あまおう味のイチゴ”県外でも生産可能に!?

育成者権とは知的財産権のひとつで、新しい品種の開発者だけが「種子」や「苗」の販売が出来るというものです。そのため、これまでは「あまおう」を開発した県が、福岡の登録農家に限り苗を販売し、譲渡を禁止していました。

ただ、この育成者権が19日で切れたため、20日から福岡県外でも「あまおう」と同じ品種が生産できるようになりました。

沖縄からの観光客
「これが作れたら、地元で食べられたら最高ですね。自分は全国で食べられるのもいいかなと思います」

福岡県民(小学4年生)
「あまおうが一番好きです。美味しかったり、高そう。値段的に」

福岡県民(小学1年生)
「甘いところが好きです」

福岡県民
「福岡の特権でやってきたものですので、それが外に出るのは喜ばしいことはではない。福岡の特有のものとして守っていきたいのが県民としての願い」

「あまおう」という名前は商標登録をされているため、今後も福岡県産のものにしか使えませんが、同じ味のイチゴが別の名前で出回る可能性はあります。

知事は「苗の供給 県内に限定」

福岡県 服部誠太郎 知事
「我々としては苗の供給については県内の生産者に限定することで進めてまいりたい」

福岡県はあまおうブランドを守ろうと、苗を販売する農家や事業所に対して、他者への苗の譲渡や販売を行わないよう要請を行っています。

生産者は「心配していない」と言うものの・・・

こうした福岡県の動きや商標権で「あまおう」という名前が守られていることで、磯本農園では育成者権が切れることについて、現時点で「心配はしていない」と話します。

一方、あまおうの将来については一抹の不安を感じるとも言います。

磯本農園 馬場一也 農園長
「県外や海外の人が『あまおうと同じ品種を作りました』という書き方をして売られることもあると思うと、ジェネリック医薬品じゃないけど値段も安いしそっちでいいやと消費者が流れるのではと不安はあります。現状、「あまおう」のブランド力は感じています。でも、2強でいいと思うし3強でいいと思うので、福岡県としても他にも柱がある状態が安心かなと思う」

国内だけでなく、海外でも人気が高いブランドイチゴ「あまおう」。今後の行方に注目です。

福岡県が誇るブランドイチゴ「あまおう」

福岡県によりますとあまおうの国内出荷は
・東京などの首都圏に4割
・関西に3割
・九州に3割ということです。

そして、海外への輸出量は2023年度、福岡県の主な農林水産物・食品で最も多かったのが、イチゴ=あまおうで約600トンということです。

2位が「柿」で約285トンですので「あまおう」が断然多いことが分かります。

それだけ、福岡県にとっては大切な農産物なのです。

磯本農園の馬場農園長は「次の柱となる新品種の開発を」と話していましたが、福岡県では「あまおう」の前には「とよのか」という品種があって、より福岡のブランド価値を上げようと「あまおう」が開発されました。

佐賀県でも2018年に20年ぶりとなるイチゴの新品種「いちごさん」が誕生しています。

今後も福岡県外の生産者が「あまおう」と名乗れない理由は

品種名の登録を「福岡S6号」、商標を「あまおう」にしたのは育成者権が切れた後のことを考えているためです。

品種名が「あまおう」だと、期限が切れた後に福岡県以外の産地でも「あまおう」が名乗れますが、「あまおう」は商標なので、福岡県以外の産地が許可なく名乗ることはできません。

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