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【変わる葬式事情】お葬式をせずに火葬 バスの中で焼香できる移動式の葬儀車 お布施を料金表示 求める”見送りの形”に変化

RKB毎日放送 / 2025年1月30日 14時50分

超高齢社会を迎えた日本。

年間に亡くなる人の数は増加の一途をたどっています。一方、今起きているのがお葬式費用の減少。

お葬式を行わず火葬するプランや身寄りのない人を想定した移動式の葬儀バスなど、これまでになかった「見送り」の形が注目されニーズが高まっています。

変わるお葬式事情を取材しました。

お葬式を行わず火葬「年々増えています」

ライフサポート 作田智幸 代表
「こちらはご遺族の方が一緒に故人様と過ごしてお別れする、火葬場に行く日まで過ごせるお部屋となっております」

福岡市早良区の葬儀社、ライフサポート。
早良直葬センターでは、お葬式を行わず火葬する「直葬プラン」を中心に5人から10人ほどの少ない人数での葬儀を取り扱っています。

ライフサポート 作田智幸 代表
「だいたい月に30組ぐらいのご依頼いただいておりますけれども、そのうちの当社では6割ぐらいが直葬を選択されています。年々増えてきてると思います。」

高額な葬儀費用 疑問感じる人多かった

多くの人が参列するいわゆる一般葬は減少する一方で、ごく身近な人だけで執り行う家族葬や自宅葬、直葬が増加しています。

ライフサポート 作田智幸 代表
「コロナ禍の時に故人様に会えずお葬式を出さざるを得なかったということもあり、ただ、その前から高額な葬儀費用というところに疑問を感じていた方々も非常に多かったと思います。」

総額15万円以下の直葬プランが人気で増加する依頼に対応するため、およそ1年前に新たにこちらの葬儀場を開設しました。

葬儀社の倒産件数が過去最多に

直葬などの小規模なお葬式が増えた影響で、去年葬儀社の倒産件数は47と過去最多を記録しました。

ライフサポート 作田智幸 代表
「大きなところは100万円200万円という葬儀をいただいて運営していたわけですが、急に低価格のお葬儀になったことで、ご依頼が少なくなれば当然売り上げも上がらないということになると、設備コストとか人件費コストが重なってしまって、きつくなって倒産という流れになっているんだろうなと」

AIで故人が語りかける葬儀 メタバース霊園も

お葬式がコンパクトになる中故人との別れを惜しむ方法も変化しています。

AI
「みなさんきょうは私の為に集まってくれて本当にありがとう。」

先月から埼玉県の葬儀社が始めたサービス「Revibot」は亡くなった人の動画データから話し方や雰囲気をAIに学習させて、参列者に向け遺族が用意した文章を語りかけます。

アルファクラブ武蔵野 小川誠さん
「お亡くなりになられたことで、残された方々のお気持ちを少しでも和らげることができないかということのこのグリーフケアの一つです」

他にもバーチャル空間で、故人の思い出を一緒に共有し最大30人のチャットや通話で亡くなった人の死を悼むことができる「メタバース霊園」のサービスやスペースX社のロケットで宇宙に散骨するサービスも展開しています。

アルファクラブ武蔵野 小川誠さん
「今仏壇がしまわれてお墓がしまわれてということになると思い出せる機会が、どんどん減っていってしまうというところにも当社は危機感を持っている。技術革新で空を見上げたら思い出せるであるとか、スマホを見れば思い出せる。こういったような空間づくりを今後作っていきたい」

身寄りのない人を悼む 移動式の葬儀車とは

お葬式を行わない直葬が増える中、お寺の僧侶の間からも新しい葬儀の形を探る取り組みが始まっています

RKB 金子壮太 記者
「一見普通のバスですが、実は中は葬儀場になっていて、現在お葬式のデモンストレーションが行われています」

このバスは移動式の葬儀車で、車内に棺や焼香台が設置され、どこでもお葬式ができるようになっています。

この日は老人ホームの職員に向けて、デモンストレーションが行われました。

西楽寺・清浄 阿部俊之さん
「ご本堂を模したものになります。真ん中に阿弥陀様を安置して。職員の皆様が時間の合間を見て焼香できる、あと亡くなった方の友達が後ろから車椅子の方でも焼香ができるというのを目指してこの車を作りました。」

バスを作った阿部さんは福岡県みやこ町の西楽寺の元住職で、3年前から自ら立ち上げた葬儀会社「清浄」で移動式の葬儀を行っています。

主に、身寄りがなく病院や施設で亡くなった方が対象です。

デモンストレーションを体験した老人ホームのスタッフ
「身寄りのない人は、もうそのまま直接火葬っていう形になる人もいると思うんですけど、こうやって必要最低限ではあると思うんですけど、皆さんで送ってもらえるっていうのがいいところかなっていう思いましたね」

生活保護受給者からは”お布施”もらわない

警察庁が去年初めて行った調査では孤独死した高齢者は年間およそ6万8000人に上ると見られています。

阿部さんは移動葬儀車での葬儀を20万円とお布施、生活保護受給者からはお布施はもらわず行政から出る葬祭補助のみで受け付けています。

西楽寺・清浄 阿部俊之さん
「命を通して死を通して私たちの自分自身の命のありようを学ぶ場として葬儀をしてるので、できたら葬儀をしてほしい。しかし難しいですね。世の中の流れがそういう風になってしまっています。」

業界の常識くつがえす”お布施”の料金表示

福岡県篠栗町にある祖聖大寺の加藤副住職は「お葬式の出張サービス」を行っています。

自身で作ったホームページにはこれまでタブー視されてきたお布施の料金も明確に提示しました。

きっかけは身内のお葬式で150万円ほどのお布施を請求されたことでした。

祖聖大寺 加藤大周 副住職
「支払った時にやっぱすごく疑問があったんですよね。自分の中で高いなっていうのが。そこからやっぱり自分でお坊さんになった時にその金額を抑えて利用しやすい、接しやすい坊さんになりたいなみたいなことを思っていました」

調査ではお葬式の際、重要視することとして価格の明瞭さや見積書の提示が上位にランクインしています。

加藤さんはお布施の支払い方法としてクレジットカードやQRコードでの決済も受け付けています。

取り組みの背景にはあるのは寺離れです。

若い人の引越しや後継者不足などで地方ではお寺を支える檀家の数も減り、廃業する寺院が増えているといいます。

祖聖大寺 加藤大周 副住職
「坊さん側が自己満足ではなくて、本当に相手が求めているものを出して、それをやっていくことで、お葬式がまたやりたいって人が増えていくような形を作らなきゃいけないんじゃないかな。それもお坊さんの責任かなと思います」

2040年ごろまで死者数が増え続けると予測されている多死社会。あなたはどんなふうに見送られたいですか。

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