懐かし映像で振り返る「椿まつり」の歴史 縁起物は誰が作ってる?意外と知らないユニークな神事とは?
南海放送NEWS / 2025年1月29日 17時0分
伊予路に春を呼ぶ椿まつり。今年は2月4日に開幕します。毎年大勢の参拝客でにぎわう愛媛の一大イベント。きょうは南海放送が保管する秘蔵映像で、その歴史を巻き戻し!
参道を埋め尽くす、途切れる様子のない人波…今から49年前、1976年の椿まつりの様子です。あっちを見ても、こっちを見ても、足の踏み場もないほどの参拝客が訪れていました。お札やお守りを販売する巫女さんも大忙しです。
毎年旧暦の1月8日と、その前後の3日間行われる、伊豫豆比古命神社の「椿まつり」。
(1988年)
露天商:
「飴はいかがですか、飴はいかがですか」
昭和から平成、そして令和。いつの時代も、多くの人たちで賑わう、愛媛の一大イベントです。
祭りが終わると寒さも峠を越え、田おこしなどの農作業に始めていたことから「伊予路に春を呼ぶまつり」と呼ばれているんだとか。
意外と知らない!?ユニークな神事
そんな椿まつりには、意外と知らないユニークな神事があるのをご存じですか?
1975年。椿まつりで神輿を担ぐ、かき夫の皆さん。祭りの見せ場にもかかわらず、静かに…静かに練り歩きます。と、次の瞬間!
「わっしょい わっしょい」
突然威勢のいい掛け声が!実はこれ、祭りの中日に行われる伝統行事。宮出しを終えたあと、参道に出るまでは掛け声を出さず、神輿も大きく揺らさないことから「お忍びの渡御」と呼ばれています。
この日は正月に飾った門松などを燃やして道を照らす「合せ火」と呼ばれる、古式ゆかしい神事も行われます。
そしてもう一つ椿まつりならではの神事が…
伊豫豆比古命神社 権宮司 長宗我部昭一郎さん:
「3日間に限りなんですけども貸銭という神事を行っておりまして」
1年目に20円を借りて、翌年に倍の40円を返し…そして、また20円を借りて3年目に80円を返す…というのを繰り返し、10年目には20円を借りて1万240円を返す、という「貸し銭」。その年の生活に励んで翌年無事にお礼の参拝が出来ることを祈るという意味を持つ神事です。
長宗我部さん:
「神様との静かなお約束といいましょうか、黙約とでもいいましょうか」
商売繁盛には、日々の積み重ねが大事!ということですね。
2021年。新型コロナが流行したこの年、椿まつりは密集を避けるために開催期間を3日間から11日間に延長。屋台の出店も取りやめになるなど、いつもの風景と一変しました。
ようやく通常開催に戻ったのは2年前。参道には多くの露店が軒を連ね、この日を待ちわびた多くの参拝客が訪れました。
皆さんが待ちに待った、椿まつりの復活。多くの人が買い求めるのが…
「(縁起がいいのは)切って切って、福が出るからじゃないかと思いますけどね」
金太郎飴の「おたふく」版、おたやん飴。
65年にわたり縁起物を作る男性の思い
そして縁起物です。
露天商:
「熊手で福を集めて福箕で福をすくう。すくった福を俵に詰めて船にのっける。それで扇子で煽ぐ」
ご利益があるとされている「縁起開運」「商売繁昌」「大漁満足」の3つを祈願する椿まつりの名物。
1975年の映像にも…きらびやかな熊手や、宝船を買い求める人が。こちらの男性は大判がついた立派な俵をお買い上げ。こうした縁起物、実は…地元の人たちが、手作りしたものがほとんどなんです!
今村さん:
「1人でできんけん2人はいるんですけど、お盆とか正月も休みなし。手間がいりますよ」
松山市在住の今村さん。18歳のころ祖父母から教わって以来、65年にわたって宝船を作り続けています。
今村さん:
「手作りです。船の台はしめ縄になっとんですよ」
材料には自宅の田んぼで育てたもち米の藁を使います。
今村さん:
「今年の藁は使ったらいかんのですよ。虫が出るんです。1年置いたら虫が出てしまっとるからね」
今年、20個ほど制作したという今村さんの宝船。すべての工程が時間と労力が必要となる、根気がいるといいます。それでも、毎年宝船を続けるのは…
今村さん:
「やっぱり椿さんと言えば縁起物を売りよるということで、どうしても後継ぎに教えないといけない」
先人から受けついだ技術と想いを、未来へ。今年の椿まつりは、2月4日(火)から3日間、開催です!
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