平均年齢76歳!「おばあちゃんのカレー屋さん」オープンから2か月、人気のヒミツ
南海放送NEWS / 2025年1月30日 17時0分
スパイシーな辛さが特徴のこちらのカレー。特徴はカレーだけでなく…提供するスタッフも。平均年齢は76歳。元気なおばあちゃんたちのカレー屋さんです。
【ゆっくり真剣に作りますゆっくり笑顔で運びます】
【注文を間違えたら少し大きめの声で「違うよ」って笑顔で伝えてください】
こんな注意書きのあるお店が新居浜市にあります。お邪魔しまーす、注文してカウンターテーブルに、座ってと。
お店の看板メニューはスパイスの効いた“辛口”のカレー。
男性:
「いつも辛口を食べるんですけど、かなりビリっとスパイスが効いているカレーなので、今日はちょっと胃に優しく甘いのにしようと」
男性2人組:
「うまい、うまい!」
「辛いね」
女性:
「ちょっとピリッとして体が締まった」
標準が辛口、辛みをおさえても甘辛、甘々辛と、辛いところは外せない、刺激的なカレーです。
スタッフは74歳から81歳の6人
カウンターテーブルには、先ほどの文言が書かれています。ばあちゃんタイム?
「お待たせしました。カミカツでございます、どうぞ」
そう、このお店のスタッフは全員おばあちゃん。メンバーは74歳から81歳のこちらの6人。平均年齢は76歳です。なので…
「ありがとうございました」
「さかゑさん、渡してあげて!」
「あ~あ~、待ってちょっと待って!」
ドタバタすることもありますが、愛情たっぷりのカレーと愛情たっぷりの接客でお客さんをもてなしています。
去年11月にオープンした酒井カリー、営業時間は、月曜から金曜の11時から15時。土日祝日はお休みです。
ひろみさん:
「3日位は入ってますね週に」
えくこさん:
「カミカツです。愛媛県産の媛ポーク、柔らかい媛ポークを薄く紙みたいに薄くしているからトンカツじゃなくてカミカツ」
この女性が、酒井カリーの発案者、酒井知子さんです。酒井カリーは新居浜市内で産業廃棄物処理などを行っている、創業54年の「酒井興産」が運営していて、酒井さんはこの会社の3代目の社長です。
酒井社長:
Q.今回の応募条件は?
「75歳以上です。なかなか働きたくても働く場所がない、なかなか仕事が無いことを以前から聞いていましたのでそうしたら逆に酒井カリーは75歳と年齢を逆に設定する事で求人を求めて来られる方がいるんじゃないかと思って」
2025年問題で注目されるシニア人材
今年、日本の人口の5人に1人が75歳以上となる、“超高齢化社会”。後期高齢者が増加することで「労働力人口の減少」など、日本経済に深刻な影響を及ぼすといわれているのが“2025年問題”です。シンクタンク会社の試算では2030年、日本では644万人の人手が不足すると見込まれています。機械やロボットの導入に加え、注目されているのが“シニア人材”です。
75歳以上を応募条件に行った酒井カリーには問い合わせが60人、面接は40人ほど。本業とは全く別のカレー屋の経営ですが、共通点があるといいます。
酒井社長:
「事務所には間伐材、ロスになる木を加工したものを一部使っています。アップサイクル。今あるものに新たな価値を生み出す。まさしく今の酒井カリーはおばあちゃん達がいることでおばあちゃんたちのお仕事が出来る場所でもあるが、おばあちゃんが活躍できるアップサイクル、新たな価値」
働きたいと希望する理由は様々です。
さよこさん:
「給料もらったら孫にお菓子とかちょっとした靴下とか買えるでしょ。でも年金だけじゃそこまでいかないでしょ」
以前の仕事場が閉店し8か月間、職を探していたというさかゑさんは…
「韓流ドラマ見たりテレビ見ててもね。これではいけないと思って、そうしたら(求人が)出してたんですよ。『さかゑさん、一緒に酒井カリーで働きましょう」と採用の通知が来たんですよ。飛び上がってその晩寝られなかったですよ」
店には、坂井社長などのサポートメンバー1人以外は全員がおばあちゃんですが、皆さん営業時間の4時間はほとんど動きっぱなしで作業を続けます。
愛情たっぷりのカレーと接客が魅力
この日もオープン直後からお客さんがひっきりなしに訪れます。無料のサラダは通称“女王様のサラダ”。オリジナルのヨモギドレッシングがかかり…
男性:
「おばあちゃんからハートもらった。むっちゃ可愛いですね、コレ」
ニンジンはハート型に切り抜かれています。料理だけでなくお客さんが元気をもらえるのが…
初来店の男性:
「エネルギーもらいに来たのよ」
さかゑさん:
「肩甲骨を押さえてあげたらエネルギーが出るんです」
さかゑさん:
「お仕事モリモリだ!」
女性:
「頑張ります」
おばあちゃんとの会話です。
男性:
「明日休みやけん行ってみようと!またこーわい!」
えくこさん:
「ありがとうございます!お気をつけて、お仕事頑張ってね」
男性:
「ごちそう様!またこーわい」
自然と会話が生まれる空間に初めてきても、どこか気持ちがほっこり♪
働いてみて…おばあちゃんの本音は
オープンから2か月あまり。
あやこさん:
「すごくイキイキできる」
あつこさん:
「休みが金土日と3日も休んだらちょっといかん、早く行きたいと思う。これ本音。無駄遣いしなくなった」
Q.お給料あるけど?
「今まで家でブラブラいたら用もないのにイオンをウロウロしてね、お金無駄遣いしてた。給料もらいだしたら無駄遣いするのが惜しくなって」
さよこさん:
「今はここの分だけで自由に好きなことできます。幸せです!」
酒井社長:
「お家に帰って来たよみたいなのと、おばあちゃんたちの輝ける場所が、同時にこの場所にある。相互にそれぞれのパワーを感じながら少しの時間ですけどゆったりとした気分で過ごして頂けているような気がします」
一度来ると、カレーの辛さもおばあちゃんとの会話も、どこか癖になるカレー屋さん。
「またこーわい!」「またね」
この場所で、あしたもまたおばあちゃんが待ってくれています。
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