【完全解説】続・扇風機評論家が教える「扇風機を買う時のポイント」がコレだ / 設計上標準使用期間・羽根の形状・モーター

ロケットニュース24 / 2014年7月15日 17時0分

【完全解説】続・扇風機評論家が教える「扇風機を買う時のポイント」がコレだ / 設計上標準使用期間・羽根の形状・モーター

台風8号が過ぎ去ってから、日本列島は猛烈な暑さに見舞われている。蒸し暑い毎日が続き、扇風機なしで夏を乗り切れるかどうか心配になってしまう。

前回に続いて今回も、扇風機評論家として活躍する星野祐毅氏から、扇風機に関する役立つ知識を教えてもらった。以下は星野氏による寄稿である。再び回転する羽根の向こう側の世界へ。今回は扇風機選びのポイントのひとつとして挙がっていた「パッション」の続きからである。

・「パッション」とは言うけれど……
扇風機評論家の星野です。前回、扇風機を選ぶポイントはパッションである、激情である、直感である、と書いたところ、多数の反応をいただいた。「もっと詳しく教えろ」と。そこで、「パッション」で選ぶ前段階、大前提として知っておいていただきたい3つのポイントについて、少し掘り下げてみようと思う。

・前回のおさらい
前回のおさらいになるが、扇風機を選ぶ際にまずチェックするべきポイントは、以下の3点である。厳密に言えばもっとほかにもあるのだけれど、最低限この3つを抑えておけば問題ないと思う。

1.設計上標準使用期間
2.羽根の形状
3.モーター

以下に、各々見てみよう。

■設計上標準使用期間
「設計上標準使用期間」。これはメーカーが考える、たとえば “1日8時間、「中」くらいの風量でマワした際に何年はちゃんと動きますよ” という年数である。改正消費生活用製品安全法に基づく表示制度により、掲示が義務づけられている。扇風機の場合どこに記載があるかと言うと、だいたいモーターの部分。そう、正面からは見にくいが、モーターの部分に表示されている。

これを、一般的なメーカーごとに分けて行くと、以下の通りである。

・メーカーごとの設計上標準使用期間
12年: 三菱
11年: パナソニック
10年: 東芝、日立、シャープ、ツインバード、ユーイング
8年〜6年: ユアサ、ドウシシャ、アイリスオーヤマ、トヨトミ、プラスマイナスゼロ、アビテラックス、ツィンズ、そのほか
3年: ガイズ

・各社の分析
ボトムラインは8~6年で、「お手頃価格」のメーカーがならんでいる。いわゆる「大手メーカー」はもっとしっかり造っているためか、10年。パナソニックは、実は旧三洋電機の事業をまるまる吸収して、当初は三洋製の扇風機にパナソニックのロゴだけつけて販売しており、その頃は10年であった。しかし独自にも造るようになって来て、11年に格上げされた。

今でも売っている三洋時代からのラインナップも、みな11年と表記されているが、これは測定基準が変わったと言うことなのだろうか。三菱は、独自の「全閉式モーター」により、他を寄せ付けない孤高の12年持ちだ。理論上は、たとえば “ユアサの倍頑丈だ” ということになる。どれを買ってもよいのだけれど、まずはここを抑えた上であれこれ悩んだ方がよいと思う。

■羽根の形状
「羽根の形状」は、もはやここ数年来扇風機の個性を形成し、「これだからこのメーカーなのよ」という基準になっている。代表的なところで言えば、以下のようなものがある。

・ドウシシャがカモメの羽に着想を得て開発した「カモメファン」
船舶プロペラシェア第1位、ナカシマプロペラ社との共同開発でまっすぐムラのない風を実現。超微風を出すことも可能。

・シャープが動物の羽根全般を対象に研究し開発した「ネイチャーウィング」
アホウドリやアサキマダラチョウを手本としており、小口径ながらもよく届く風をつくりだす。

・バルミューダが独自に試行錯誤の末、たどり着いた「グリーンファン」
外周と内周に異なる形状の羽根を配置することにより、ムラなく遠くまで届く、自然の風に近い風を出す。

・ツインバードが流体力学の基礎に立ち返り考案した「コアンダエア」
羽根の真ん中を空洞にした独自の形状により、やさしい風をつくり出す。同社によると、赤ちゃんがいる家庭におススメとか。

そして、扇風機の元祖である東芝(明治初年に国産初の電動式扇風機を世に出して、以後業界をリード)が満を持して投入したのが、「7枚のプロペラファン + 10枚の斜流ファン」合計17枚の羽根が織りなす滑らかな羽根。こちらも注目である。

・羽根にまつわる壮大な物語
ツインバードのコアンダエアを例にとると、「大きなベアリングをつけて外側から回そうか、リニアモーターのように電磁力で浮かせて回そうか」などと試行錯誤を繰り返した結果、自転車のスポークにヒントを得て現在の形状に至ったのだとか。各社各様に、壮大なる物語りがある。

まあ、ベアリングやリニアモーターまで出て来ては、おそらく市販価格は10万円を下らないだろう。自転車のスポークがあって本当によかったと思うのではあるが。……と、各社各々の理想や理念の元、独自の羽根を載せている。自分のライフスタイルに合ったもの、自分の好みの風が出るものを選びたいものだ。

■モーター
最後に、モーターである。これは、今や家電量販店に行けば大々的に喧伝されているのでイヤでも目に入って来るが、「ACモーターとDCモーター」、どちらを買うか、という話である。

従来型の交流モーター(AC)は、「こなれた技術」なので調達価格も安く、その結果、本体の価格も安くなる。ただし、特性上微妙な回転数を維持することに弱く、「弱・中・強」くらいしか風量の選択ができない。三菱や日立、ユーイングのように独自技術で微風を発生させるところもあるにはあるが、基本的にはそういう特性のモーターだ。

かたや直流(DC)モーターは、無段階での調節が可能。しかし、まだ扇風機用としては出回り始めて日が浅いので、調達価格も高価になり、必然本体価格も1万円以上となる。一部メーカー製品では5000円のDCモーター機もあるが、それは上記「設計上標準使用期間」が6年だったり、立て付けが悪く首振り時に異音が発生するなど、注意が必要である。

■買うときのポイント
ご覧いただいたような観点でまずは選別し、その上で、羽根造りに込められたアツい物語であるとか、他にはない独自のデザインであるとか、そういったもので選べば、扇風機選びに間違いはないのではないかと思う。少なくとも、買ってすぐに後悔することはないだろう。

■扇風機オンリートークライブ
今回説明したようなことを、さらにさらに突き詰めて考察するトークライブが「扇風機大博覧会」である。当然、堅苦しい技術の話がメインではない。実際に風の違いを体感してみたり、ゲストの扇風機にまつわる話を聞いてみたり。ライブパフォーマンスあり、オリジナルカクテルあり。帰る頃にはもう、貴方もいっぱしの扇風機博士だ。

・イベント「第4回 扇風機大博覧会」
日時: 2014年7月21日 開場12:00 開演13:00
場所: 新宿ネイキッドロフト(東京都新宿区百人町1−5−1 百人町ビル 1F)
料金: 予約1300円、当日1500円(飲食代別)
出演: 星野祐毅(扇風機評論家)、エンドケイプ(室外機マニア)、silQ(ダンスユニット)、中野杏(アイドル)、森川さつき(声優)

執筆:扇風機評論家・星野祐毅
Photo:Rocketnews24

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