【グルメ】パリラーメンウイークに出展した福島県のラーメン屋『とら食堂』の秘めたる力 / 福島からパリ そして福島へ

ロケットニュース24 / 2014年7月28日 13時0分

【グルメ】パリラーメンウイークに出展した福島県のラーメン屋『とら食堂』の秘めたる力 / 福島からパリ そして福島へ

この記事を書こうかどうか、かなり迷った。しかし、ラーメン業界の頂点に近きポジションに立つ、そのラーメン屋に敬意を表しつつ掲載することにした。意味と意義のある記事であれば、載せるべきという結論にいたった。この記事の主役は福島県白河市の『とら食堂』である。

・日本の名立たる人気ラーメン屋がパリに集結
2014年1月にフランスのパリで開催された『パリラーメンウイーク』。人気ラーメン屋『一風堂』が主催し、日本の名立たる人気ラーメン屋がパリに集結してラーメンを提供。フランス人や日本人のみならず、ヨーロッパ各地から本場のラーメンの味を求めてグルメな人たちが集まった。

・福島県白河市で大絶賛されている『とら食堂』
ラーメン好きなら知らない人はいないというほどの『とら食堂』は、福島県白河市で大絶賛されているラーメン屋だ。手打ち麺の使用を徹底しており、パリのイベント中も店主が粉から麺を作り、ラーメンを作って提供していた。その姿はまさに職人。たくさんの人たちが見守るなか、真剣に麺を打つ店主。

・パリでこの味に出合えている事に感動
『パリラーメンウイーク』に集まったラーメン屋のラーメンをほとんど食べたが、どれもこれもレベルが高く、パリでこの味に出会えている事に感動を覚えた。正直、日本で同等のレベルのラーメン屋を見つけるのは至難の業。それほど美味なるラーメンたちだった。

・気になったラーメンがあった
しかし、今回ひとつだけよくない意味で気になったラーメンがあった。『とら食堂』のラーメンである。確かに見た目は美しい。確かにスープは繊細だ。そして確かに「フランスでこのレベルならOK」と感じた。しかし、正直、いちばんイマイチだったのだ。

・波に削られてゆく砂浜のサンドオブジェ
イマイチなポイントは、店主がいちばん心を込めて作ったであろう「麺」である。コシがなく、食べてもボソボソとした食感で広がりをみせない。波に削られてゆく砂浜のサンドオブジェのようにただ崩壊していくだけ。噛んでも麺特有の旨味が出ず、非常に心苦しい言い方だが「単なる粉を水でこねた塊」といった印象を受けた。

・日本から匠として行くからには
日本から匠(たくみ)としてパリに行くからには、この程度の味で許されていいはずがない。厳しいかもしれないが、日本人客の立場からすれば、そう思わざるを得ない麺のクオリティだったのだ。日本から匠として行くからには「フランスでこのレベルならOK」ではNGなのだ。

・何かしら理由があるのではないか?
筆者と同行取材をしていた漫画家も同様の印象を受けたようで、「これでいいんですかね……」と話していた。いや、これでいいはずがない。あの一風堂が主催するラーメンイベントであり、パリに「日本グルメの代表」としてやってきたわけで、これでいいはずがないのだ。このような麺になってしまったのには、何かしら理由があるのではないか? その真相を知るべく、筆者はフランスから帰国後、すぐに福島県白河市へと向かった。

・すでにたくさんの人たちが行列を作っていた
新幹線の新白河駅からクルマで15~20分ほどの場所に『とら食堂』がある。到着してみると、すでにたくさんの人たちが行列を作っていた。『とら食堂』の周囲は畑だらけ。ほとんどの客がクルマできたようで、わざわざ近県からやってきた人たちもいた。よほど美味しいに違いない。

・店員さんは全員がニコニコしていて優しい
数十分待って、ようやく店内に入る。店員さんは全員がニコニコしていて優しく、それだけで冷えた身体が温かくなる。しかし味には厳しく立ち向かわなくてはならない。パリと同じクオリティであれば、せっかく温まった心が冷え切るのは必至。ラーメンを注文して待つこと数分。ついに目の前にやってきた。パリと同様、見た目は素晴らしく美味しそうだ。

・これを絶品と言わずして何が絶品なのか!
パリと同じショックを受けるのではないか? 不安になりつつもズズッとすする。結論から言おう。絶品だ。絶品中の絶品である。これを絶品と言わずして何が絶品なのか! すするだけで麺の旨味を感じ、かめばスープと合奏してジュワワ~ンと染み入る麺の味が広がる。

・後追いで小麦の美味しさが訪れる
鶏ガラのダシの取り方に秘密があるのか、単なる醤油と鶏ガラの組み合わせでは生まれない奥深さがある。アッサリとした旨味のあとに、後追いで小麦の美味しさが訪れる。麺を食べていなくてもだ。アッサリしているのに深さを感じるのは、麺を丼に入れた際に放出される小麦のエキスが関与しているのではないかと推測。

・素晴らしいのひとことに尽きる
麺は質の良いコシをしており、弾力が強すぎず、弱すぎず、はごたえを感じさせた瞬間に切れて旨味を出す。素晴らしいのひとことに尽きる。その麺の味、その麺のコシ、そして麺とスープのシンクロした旨味の合奏こそ、パリにはなかったものだと確信した。

・パリにおける手打ち麺の苦労
失礼を承知で店員さんに「実はパリで食べてイマイチと思ったのです。しかし日本を代表する匠としてパリに行ったのですから、何か理由があると思ってここまできました」と聞いた。すると、店員さんはパリにおける手打ち麺の苦労について語ってくれた。

・いつもとは違う麺に仕上がってしまった
パリの水は硬水のため、手打ち麺を作るのはとても難しいという。そういう条件下で麺を作ったため、いつもとは違う麺に仕上がってしまったとのこと。なるほど。それならば理解できる。パリでは、麺以外はほぼパーフェクトに近かった。白河の『とら食堂』は素晴らしい知識と腕と心が一体となったラーメンを作る。きっと、次回の海外イベントでは今回の問題を解決したラーメンを出すに違いない。

・『とら食堂』のラーメンに秘められた魅力
ある意味、単にまずいラーメンだったらここまで興味がわかなかっただろう。筆者も素人ながら、『とら食堂』のラーメンに何かしら秘められた魅力を感じたからこそ、福島県まで足を運んだわけだ。恐るべし『とら食堂』といったところか。筆者は東京に住んでいるが、年に4回くらいは『とら食堂』に通いたいと思っている。パリと福島の思い出として。

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 とら食堂
住所 福島県白河市双石滝ノ尻1
時間 11:00~14:30 / 16:00~18:00
休日 月曜日

執筆: Kuzo.
Photo: Rocketnews24.

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