人間・氷室京介、プロデューサーが語るロックスターの素顔
Rolling Stone Japan / 2020年11月16日 12時0分
日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出していく。2020年11月の特集は、氷室京介還暦特集。今回は2010年から2016年の「LAST GIGS」までの密着ドキュメンタリー映画『DOCUMENT OF KYOSUKE HIMURO "POSTSCRIPT"』の監督、日本テレビのプロデューサーの山崎大介と共に、彼が見てきた氷室京介を語っていく。
田家秀樹(以下、田家):こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」案内人、田家秀樹です。今流れている音、お分かりになりますか? 曲と言うよりも何かが始まっていく音ですね。そう、オープニングなんです。なんの始まりかというのは、もう少ししたらお分かりになります。これでもうお分かりになった方がいるかもしれません。
今月11月の特集は氷室京介。1988年にソロデビュー、BOØWY結成が1981年。来年はBOØWY結成40周年です。2014年には耳の不調を明かして、氷室京介を卒業すると発表、2016年に東京ドーム3日間を含む、7本のドームツアー「LAST GIGS」でライブ活動を休止。そして、先月7日に還暦を迎えました。その日、還暦をお祝いして、日本テレビで還暦記念の花火ライブというのが行われたんです。過去のライブ映像に実写に花火の映像を組み合わせるというバーチャルライブ。その番組に氷室さんがメッセージを送ってくれまして、目下新作を制作中で来年には届けられるという復活の予告でありました。今月は前祝いともいえる1ヶ月ですね。
今日はゲストに日本テレビの山崎大介プロデューサーをお迎えしております。氷室京介さんの「IF YOU WANT」がテーマで使われていた番組「news zero」のプロデューサーですね。2010年、50歳のツアー「KYOSUKE HIMURO TOUR2010-11 BORDERLESS 50×50 ROCKNROLL SUICIDE」から「LAST GIGS」までの6年間を追ったドキュメンタリー『DOCUMENT OF KYOSUKE HIMURO "POSTSCRIPT"』の監督です。当時は、限定配信と劇場公開だけだったんですが、来年2月にはパッケージも発売されます。180時間の映像と6時間のインタビューをご自身で編集された方です。氷室さんの復活、そしてドキュメンタリー発売に先駆けて、山崎さんがご覧になってきた氷室さんについてお伺いしようと思います。
今お聴きいただいているのは、2016年5月23日、東京ドームでのオープニング。最初の歓声は客電が落ちて音が始まった時のものです。そしてその後に、この曲が演奏されました。「LAST GIGS」東京ドーム公演最終日、一曲目「DREAMIN」。
DREAMIN(2016.05.23 Tokyo Dome) / 氷室京介
田家:1985年のBOØWYのアルバム『BOØWY』の一曲目でもありました。というわけで今日のゲストの山崎大介さんです。こんばんは。
山崎大介(以下、山崎):お招きいただいてありがとうございます。
田家:このライブを音だけで聴いてるとどんな感じでしょう。
山崎:色々なところでこの曲を聴いていたんですけど、耳だけだとあの日の空気感みたいなところに持っていかれるところはありますね。俺もあそこにいたなって。
田家:そう、空気感ですよね。今日は山崎さんがお作りになった『DOCUMENT OF KYOSUKE HIMURO "POSTSCRIPT"』のお話など色々お伺いしたいと思うのですが、還暦ということについて「LAST GIGS」の時にはどう思われていたんですか?
山崎:実は僕は勝手にラブコールを送っていたんです。氷室さんが50歳の時に出会っていたんですけど、次の節目は60歳ということで、ああいう濃い時間を60歳になったらもう一度過ごしたいなと当時から思っていて。あなたが60歳になった時の景色を横で見ていたいですっていうことを伝えていたんです。今年60歳になったので、その約束を叶えたいなって思ってましたね。
田家秀樹(左)と山崎大介(右)
田家:横で見ていたいというだけでなく、還暦の花火ライブも行われました。僕もスタジオでバーチャルで見せていただきましたけど、凄かったですね。現場のライブにいるような感じがしました。あのアイデアはどういう時に思い付いかれたんですか?
山崎:元々はリアルで皆でお祝いしたいというか。映画の時に氷室さんが"もう一度ファンの方が集まるサンクチュアリを作ってくれてありがとう"ってコメントを出してくれたんですね。60歳の誕生日の時に、そういうサンクチュアリをもう一回作れないかなと思っていて。今年のコロナ禍の夏って、エンタメで言うとフェスやライブができなかったことと、花火大会が無かったっていう2つ。これが2020年の夏を象徴する出来事なんじゃないかなと思っていて、だったら本人不在の中でリアルはできなくても、なんとか諦めたくないなと思って。自分は映像の人間だから、映像でやってみたらどうかなっていうことで、氷室さんの楽曲と最新技術のコラボレーション、氷室京介のINGみたいなものを表現するコンテンツを作れないかなっていうところから考えました。
田家:スタジオでご覧になれなかった方は想像しにくかったかもしれませんが、今までの名場面ライブシーンと実際の花火が組み合わさって、実際に自分がスタジアムにいるような臨場感たっぷりの映像を見ることができました。
山崎:まだ見逃し配信もしていたりするので、VRでご覧になりたい方がいらっしゃったらまだ見れます。
田家:あの体験はしてみないと分かんないですよね。そして、本人からメッセージが来て、新作の予告も届きましたね。あれは驚きました。
山崎:僕も驚きました。大阪での展覧会もあって、それから花火ライブがあって。やっぱり10.7という氷室さん還暦の日に、僕らだけじゃなくてファンの方の待っているという想いを、離れていてもひしひしと感じられたからこそなんじゃないかなと思ってますけどね。
田家:こういう場所だったら、自分が何やっているか、これから何やろうとしているのかというのを直接明かしてもいいって彼も思ったんでしょうね。
山崎:まさにサンクチュアリだなって思っていただいたのと、伝えたいっていう想いもあったんだと思うんです。
田家:なるほど。今日なぜ山崎さんがここにいらっしゃるのかというのも、次の曲を媒介にしながらお話ししたいというのも趣旨の一つです。「LAST GIGS」から「IF YOU WANT」。
IF YOU WANT(2016.05.23 Tokyo Dome) / 氷室京介
田家:改めてこの曲で思い出すことを伺いたいのですが。
山崎:いやあ、たくさんありますね。どれをお話すればいいかなっていうくらい自分の中に染み付いている楽曲なんですけどね。震災の年にできた曲なんですが、6月11日、12日に東京ドームでチャリティーライブがあって、あの時って氷室さんは全曲BOØWYの曲でやるということで。「news zero」でもこの曲がオンエアされていた時期なんですが、スタッフも全員ボランティアなのでライブが終わって最後にぜひ労いたいっていうことで、エンドロールのVTRを流す時にこの曲を入れさせてほしいと言われて。僕らが被災地の色々な映像とエンドロールと「IF YOU WANT」で編集させていただいて、それを会場で流したんですね。忘れられないのが、その映像と楽曲が流れた時に、会場で誰も席を立たずに見てくださっていて。すごく多くの方が涙を流されていて、今回のライブの趣旨っていうものを再認識した時間だったというか。それがこの曲で一番思い出すことなのかなと思います。
田家:東京ドームのチャリティの印象が強いと。レコーディングの時もロサンゼルスにいらしたんですよね? その話はCMの後に詳しく伺いましょう。
MC-2(2016.05.23 Tokyo Dome) / 氷室京介
田家:「IF YOU WANT」について、氷室さんが語られていました。この言葉を聞くと、なぜ山崎さんがここにいるのかということがよく分かると思います。感想いかがでしょう?
山崎:いや、言葉が出なかったですね。そもそも「LAST GIGS」っていうタイトルがもう重いわけじゃないですか。その最終日に氷室京介が僕の話をしているということが、もう理解できないというか。でも、その後に氷室さんからいただいた言葉で、"2016年にこういうことや『DOCUMENT OF KYOSUKE HIMURO "POSTSCRIPT"』というものを山崎さんにやってもらって、これが無ければ僕のキャリアはもっと地味だったんじゃないか"って仰っていただいて。こちらこそって感じですよね。「news zero」では、震災の年に僕も200回以上東北に取材に行っているので、それ一色になっている時だったんですが、その最後を締めていただいた。そういうアーティストってもう氷室さんしかいないだろうなって思うんです。編集についても、僕が編集やりたい! ってディレクター陣から嘆願が来るんですよ。これは本編に入れられなかったんだけど、お婆さんとお孫さんの画を「IF YOU WANT」に合わせたいとかっていうアピールがすごくて。毎日誰に頼むか整理するのも大変なくらいでした。取材者としての想いもあって、「IF YOU WANT」という曲がそれに合わさって番組を締めてくれたことになって、本当にそういうところにあるべき曲なんだなって思います。
田家:そこに至るまでには、それなりの時間がありました。そもそも2010年のツアーの前に、山崎さんがツアーを取材したいとお手紙を書いた。その中に「天命」という言葉があった。
山崎:ちょうど「news zero」が始まって5年くらい経って、軌道に乗ってきたところでした。番組も成熟し始めてきた中で、初めて若い人に見せるニュース番組にチャレンジしようと思って。当時は周りにもうまくいくわけないって言われたんですけど、イケてる大人の言葉を届けたいって思ってたんですよ。当時僕は39歳だったんです。「天命」は孔子の言葉ですよね。四十にして惑わず、不惑ということで、僕は不惑なんだなと思ったんです。不惑の僕が、五十にして天命を知るという言葉通り、天命を知っている人の話を聞きたいなと思った時に、氷室さんが50歳になるっていうことをレーベルの方から聞いて、そうなの⁉︎ って思って。それで居ても経ってもいられなくなって、テレビに出ないことも取材を受けないことも知っていたんですけど、ダメ元だしと思って。氷室さんの天命を知りたいんですというお手紙を書いたんです。
田家:そしたら、氷室さんが天命という言葉に反応されて受けてくださって。
山崎:そんなことって言われるまで考えたこともなかったし、一回断られたんですよ。ちょうど『"B"ORDERLESS』のジャケットをニューヨークで撮られていた時に手紙を渡したんですけど、氷室さんが待ち時間にそのお手紙を読んでくださったんですよ。そこで、"とんでもないことが書いてあるぞ、ちょっとこの人を呼んで"っていうことで、ロサンゼルスに向かったんですね。
田家:ロサンゼルスでのツアーのリハからお撮りになっていましたね。でも、天命という言葉を彼がそんな風に受け取るというのは思ってましたか。
山崎:思ってもみなかったです。50歳になった氷室さんの考え方を聞きたいっていうことだったので、氷室さんから"天命が分からないから分かるまで一緒に旅してよ"って言われて。
田家:逆オファーだったんですね。それで、ツアーの最終日の横浜アリーナのステージで天命がわかったと話をされて。その流れで「IF YOU WANT」のレコーディングをされたんですよね。
山崎:お願いしていたのが年末からで、ツアー後半から何度かインタビューさせてもらってるうちに、この人の言葉だけじゃなく紡ぎ出す音楽が、番組のためだけじゃなくて、日本のエンタメ業界に必要かもしれないなって思って。最初のオファーもダメ元でやってできたから、今回も無理難題言ってみようかな、歌詞も書いていただけるんだったらお願いしたいという条件でした。今思うと本当に生意気なんですけど、それでも快く引き受けてくださったという感じですね。
田家:そこから始まって、2016年の「LAST GIGS」までが映像に収められた。その中には2014年の横浜スタジアムのあの映像というのも劇的に収められています。その時の音をお聴きいただこうと思います。事務所から音源をご提供いただきました。骨折と雷雨の中断の中で歌われた曲です。
The Sun Also Rises (2014.07.20 YOKOHAMA STADIUM) / 氷室京介
田家:これは雷の音です。2014年7月20日、横浜スタジアムでのアンコールでした。あの日の映像の一部始終が頭に入っている方もおいででしょうが、何があったの? という方もいらっしゃると思うんですね。7月19日、20日と行われる1日目のリハーサルで、氷室さんがモニターに足をかけて滑って骨折したんです。それを誰にも言わずに、次の日もライブが行われました。骨折しているライブの途中から雷雨が襲ってきた中で「The Sun Also Rises」を披露して、ライブはその後1時間中断。その模様は『DOCUMENT OF KYOSUKE HIMURO "POSTSCRIPT"』の中に克明に収められておいます。
山崎:今聴いてもらったと思うんですが、骨折してるんですよあれ。でも歌は全く揺るぎない。僕はもちろん二日間とも見ていたんですが、楽屋では鬼の形相で痛みを堪えている様子を見ていたんです。信じられないです。具体的に言うと、山口の周南でライブを卒業するということを突然言って。本当はここが最後のステージになる予定だったんですよね。でも骨折と雷雨ということで、全然100点の出来じゃなかった。僕の映画の中でも一番象徴的なカットだなと思っていたんですが、このシーンを撮るために6年間追ってきたんじゃないかって思いました。1時間待っている間、氷室さんがポツンとずっと1人でいたんです。このシーンは僕の中で"あしたのジョーカット"って呼んでいるんですけど、氷室さんが楽屋で一人でうなだれてずっと待っている。10分から15分くらい僕と氷室さんの2人きりだったんです。皆が忙しくしている中、僕は遠目から氷室さんを撮っていたんですね。その時にきっと氷室さんも考えられていたんだと思います。最後、「ANGEL」1曲だけにして今日はもう終わりにしてほしいってスタッフに伝えて。最後のMCで、もう一回リベンジするって話したことは皆も聴いていなくて。それがなかったら、「LAST GIGS」も無かったと思うんです。もしかしたら、60歳やそれ以降の氷室京介の歴史の中で大きな転換点になっていた日じゃないかな。やっぱり氷室京介は伝説なんだと思わせる、端的なライブだったんじゃないかなと思いますね、
田家:伝説とはこういうものなんだという横浜スタジアム公演であり、「LAST GIGS」でした。続いての曲は「LAST GIGS」最終日5月23日東京ドームから、「PARACHUTE」。
PARACHUTE(2016.05.23 Tokyo Dome) / 氷室京介
田家:作詞がGLAYのTAKUROさんで、作曲が氷室京介さんです。2010年のアルバム『"B"ORDERLESS』に入っていました。この曲の後に、氷室さんがロサンゼルスでTAKUROさん達と焼肉を食べていた話をするんですね。その中で、次回作について、"還暦にでもなったらアルバムでも出すか。タイトルは還暦で、一曲目は「Sixty」、二曲目は「年金」かな"と冗談を交わしていた、TAKUROさんからラストライブでそんな話はしないでくださいよと言われたことも話していました(笑)。
山崎:僕もTAKUROくんと会う機会があって、最初に僕の話、後半にTAKUROさんの話をしていて。2人で最後に話してくれてよかったね、って話をしていました。
田家:山崎さんがおやりになった花火ライブでは、氷室さんから来年新作をお届けできそうだというメッセージもありました。
山崎:僕がお願いしたのは、ファンの皆に感謝のメッセージが欲しいっていうことで。最後にそういうコメントがあれば番組も締まるのでっていう話をして、実際メールが返ってきた時にゲッとなりましたね。
田家:流石にタイトルが還暦とは書いていなかったでしょうね(笑)。山崎さんの『DOCUMENT OF KYOSUKE HIMURO "POSTSCRIPT"』も来年発売になるんですね。
山崎:そうですね、まさに今予約期間なんですけど。今までも、盤にして欲しいっていうファンの方からの声が大きかったんですよね。
田家:劇場上映と配信だけでしたもんね。
山崎:今は世の中には出ていないですし、見ることもできない映像なんです。自分の中では切り札でもあるので、一番良いところで届けるにはどうした良いだろうっていうことをずっと考えていて。それで5月23日の還暦の冗談MCと、50歳の時に"60歳になっても僕は一緒にいたい"って伝えたこと。オリンピックは1年延びちゃったけど、当初の予定では夏にオリンピックがあってスポーツが頑張ったら、10月以降は氷室さん頑張ろうよっていう想いも込めたくて。2020年10月の誕生日からの流れで、このDVDかBlu-rayを出す、このタイミングしかないんじゃないかなと思って、花火イベントと誕生日イベント、Blu-ray化をセットでお願いしていたんですね。
田家:今回のパッケージは3枚組で、Disc1が映画版で、Disc2が配信の一部と二部、Disc3が三部と四部と分かれてます。
山崎:さらに特典映像のDisc4もあって、この前の花火ライブの2D版、ライブだけを集めたものも収録しています。あのセットリストは、田家さんにも配信の時に褒めていただいたんですけど、氷室さんのリアルなライブでは実現しなかったセットリストだと思うので、それが一つにまとまっているというのが今回の売りかなと思っています。
田家:予約はいつまで?
山崎:今年の12月14日まで予約受付しています。
田家:ゲストに映画『DOCUMENT OF KYOSUKE HIMURO "POSTSCRIPT"』の監督、日本テレビの山崎大介プロデューサーをお迎えしました。本日最後の曲、「LAST GIGS」最終日の東京ドームでの「ANGEL」です。
ANGEL(2016.05.23 Tokyo Dome) / 氷室京介
田家:映像のここを見て欲しい、ここを受け止めて欲しいという部分はありますか?
山崎:たまたま皆さんの代表ということで近くで見させてもらったんですけど。元々氷室京介って一体何なのか知りたいところから入ったと思うんです。その謎を解く鍵が映像の力にはあるんじゃないかなと思っていて、それを紐解いていく一助になれば嬉しいかなと思いますね。もちろん、氷室さんの全部は分からないんでしょうけど、皆が知りたい氷室京介って何者なんだ、どんな存在なんだっていうことを感じるためにすごく役立つヒントになる映像、インタビューになれば良いと思って作った作品です。
田家:これだけ自分の言葉で語っている氷室さんを見る機会は無かったでしょうし、ライブの裏側も含めて、"人間"氷室京介を感じる映像だと思います。ありがとうございました。
田家:FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」2020年11月氷室京介還暦特集Part1。ゲストに映画『DOCUMENT OF KYOSUKE HIMURO "POSTSCRIPT"』の監督、日本テレビの山崎大介プロデューサーをお迎えしました。今流れているのは、後テーマ曲で竹内まりやさんの「静かな伝説(レジェンド)」です。
「LAST GIGS」から丸4年経ちました。もうそんなに経つんだという感じですね、2016年に出たベストアルバム『LEPILOGUE』のコピーに、"俺たちは氷室京介を卒業できない"とありました。そこから4年、小学校以外なら大体卒業するわけですが、ほとんどの人は卒業しないまま来年の復活を待つことになるでしょうね。たぶん卒業というのはもうしないんだと思うんです。卒業するという考え方を卒業する、とでも言いましょうか。そういう風に何かが始まって何かが終わるということではなくて、ずっと聴いていく音楽がある。人生を共にしていくアーティストがそれぞれにいらっしゃるわけで、それを別に卒業という形で区切る必要もないんだろうなというのも、4年経っての感想であります。そして、そういう時間に合わせてなのですが、私事なんですけど、1988年からずっと氷室さんのことを書いてきた原稿が本にまとまります。ファンクラブの会報誌「KING SWING」や、「R&R NEWSMAKER」、「B-PASS」や「PATi・PATi」などの雑誌で書いてきた原稿やインタビュー、レビュー、ライブレポート、エッセイ……。それらをまとめたものをKADOKAWAから発売します。上下巻1200ページで箱に入っています。読み応えはあると思いますが、それぞれの30年が刻まれていると思いますし、私の30年も刻まれています。こちらの予約締め切りは11月15日だそうです。この日は、山崎さんと日本橋TOHOシネマでトークイベント「氷室京介を探して」をやります。これは映画と本が出るということで、2人でトークしようというものです。また、花火ライブの見逃し配信も11月いっぱい見ることができます。氷室さんの還暦復活、ここから始まります。来週からは、これまでのアルバムも辿ってみようと思っています。
<INFORMATION>
田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp
「J-POP LEGEND FORUM」
月 21:00-22:00
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