1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 音楽

【連載】めかくしストリーミング「TEAM SHACHI咲良菜緒、好みのヒップホップは?」

Rolling Stone Japan / 2020年11月17日 20時0分

TEAM SHACHIの咲良菜緒(Courtesy of Warner Music Japan)

TEAM SHACHI咲良菜緒にあらゆる音楽を聴かせ、その曲に対する感想やエピソードを披露してもらうというコンセプトで始まった「咲良菜緒のめかくしストリーミング」。今回から新シーズン「ヒップホップ編」のスタート。

―最近はどうしてますか。

K-POPにハマっちゃったんですよ~! だから、その流れで最近、ラップが聴けるようになったんです。

―どうやってK-POPにハマるように?

Spotifyの<Global Top>を聴いてたらBTSの「Dynamite!」が流れてきて、それがよすぎてずっと聴いてるうちにハマっちゃいました。これまでK-POPにハマったことが一度もなかったんで、これは大きな変化です。私たちの世代だとKARAとか少女時代がめっちゃ流行ってて、メジャーどころの曲はわかるけど、メンバーの名前まではわからなかったんですよ。

―ああ、もうちょっと早くハマってたらBLACKPINKの来日公演を観に行けたのに。

ね! そうなんですよ。逃しました。今は新しい音楽の開拓シーズンです。

―そういうときってありますよね。

あとはTikTokの影響もありますね。日本だとTikTokで人気が出た曲が流行るけど、アメリカだと世の中で流行ってる曲がTikTokで使われてるなと思って。だから、TikTokのおかげでヒップホップとかこれまであまり知らなかったノリの音楽に対して免疫ができました。これまではそうではなかったんですけど、今は心地よくなってきてて、耳がすごく変化してきてます。

―今までがちょっと異常だったんですよ。

そう思います! だから、ちょっとずつ普通の感覚が身についてきてるのかも。一般的に評価される曲に私も共感できるようになってきてるんですよ。それがうれしいし、友達が増えそう(笑)。

―あはは! これまでは仲間になれる人がいなかったけど。

「この曲知ってる!」って言ってくれる人がいっぱいいてくれるんだろうなって思うとちょっとうれしい(笑)。

―「最近、この曲聴いてるんだ」って言ったら、「いいよね!」って返してもらえる音楽(笑)。

そうそうそう!

―まあねえ、周りにラムシュタイン聴いてる友達なんていないでしょうし。

いないですよねえ。でも、結局好きなんですけどね。

―「メタルなんてむさ苦しいし、もう嫌」とはならないですよね……?

ああ、それはならないと思います! 使い分けができるようになると思います。これまでは毎日メタルだったけど、これからはこういうときはメタル、こういうときはほかの音楽ってなってくるはず。あ! 昨日、ラルクのトリビュートアルバムを初めて聴いて。わたし、トリビュート盤の存在を知らなくて。そこに参加してる人たちのなかにオリアンティっていう人がいて、その人がカバーしてる曲がめっちゃカッコよくて、それは久しぶりに聴いたロックでした。

―じゃあ、新しいメタルはそんなに掘ってないと。

ないです。

―まあ、一度行くところまで行きましたからね。

そうですね。自分の好きなメタルがいったんわかったから、今は幅広く、世間で人気のあるものを聴いてます。そのなかからまた好きな人が出てくるんじゃないかな。それもそれなりに好きだけど、超好きって思える音楽にはまだ出会ってないから、そういうのが出てきたらうれしいですね。


1986年にリリースされた大ヒット曲

―さて……今回から新たにヒップホップ編が始まります。

楽しみだなぁ! この連載があるからヒップホップ聴かなきゃっていうんじゃなくて、自然とそういう音楽を聴ける耳ができた気がするからうれしいです。

―今日はベースがある程度できた状態で臨めてると。

そう、何も聴いてないよりはいいはず。

―でも、メタルに関してはhideさんとかある程度基準になる音があったからなんとなく選びやすかったんですけど、ヒップホップはそれがないから難しくて。

たしかに、私の軸が何もないですからね。

―ヒップホップってどういうイメージがありますか。

なんて言うんだろうなあ、声が低い人が多いイメージです。あと、これはすごい偏見ですけど、ワルなイメージがあります(笑)。

―不良っぽいというか。

うん、そうそう。だから、メッセージ性もすごく強そう。でも、最初はゴリゴリなイメージしかなかったですけど、聴いているうちにそうじゃなさそうな人もたくさんいることがわかって。

―じゃあ、この音楽がどう成り立っているかというところまではわからないですよね?

ああ、わからないです! 前に聴かせてもらったヒップホップとメタルが融合した曲はめっちゃ好きだから、そういうのは好きだと思います。

―ただ、残念ながらあれはすごく狭い範囲の話なんですよ。

え、そうなんだ!

―バンドがヒップホップを取り入れるパターンはリンプ・ビズキットとか色々いますけど、ヒップホップのほうからメタルの要素を取り入れて活動している人はごく少数なんです。じゃあ、とりあえず様子見で1曲聴いてもらいましょうか……あ、カルチャーを知るという意味で、ヒップホップは映像表現もけっこう大事なポイントだったりするので、今回からミュージックビデオも込みで聴いてもらいたいと思います。

Walk This Way / AEROSMITH





このフレーズってこの曲だったんだ!

―これは86年にリリースされた、Run-DMCという人たちの大ヒット曲なんですけど、この人たちがエアロスミスの「Walk This Way」という曲をカバーしたんですよ。

あ! なるほど! そういうことなんだ。

―今考えると信じられないですけど、この時代のエアロスミスはすごく低迷していて、メンバーがクスリにハマったりして制作活動が上手くいかなくなって、落ちぶれてしまったんです。だけど、この曲のおかげでエアロスミスが再び表舞台に引っ張り上げられて、その後の活躍に繋がっていくんです。

なるほど。

―あと、Run-DMCはアディダスを流行らせた人たちなんですよ。

アディダス流行らせちゃったの!? アディダスからしたら神様じゃないですか! あはは!

―このMVでもアディダスを履いてます。

……あ、本当だ!

―ヒップホップはこの曲がヒットする前から存在していた音楽ですけど、この曲をきっかけに広く知られるようになっていったんです。

へぇ~。

―ヒップホップとして最初の大ヒット曲がロックとの融合だったというのは面白いですよね。

ヒップホップのほうがロックよりも先に売れてると思ってた。歴史が長そう。


西海岸ヒップホップの名曲

―ああ、ラップのレコードが出てきたのは70年代後半なので、ロックの歴史のほうが全然長いです。あと、ヒップホップには、サンプリングすることで曲を作れてしまうという特徴があるので、楽器が弾けなくてもできる音楽ということで若者を中心に広がっていくんです。簡単に説明すると、サンプラーという機材を使って人のレコードから特定のフレーズを取り込んで、そのフレーズを繰り返すことでビートを作るんです。

なるほど。

―今聴いてもらった「Walk This Way」はロック寄りでしたが、こんな曲もあります。

BIG POPPA / Notorious B.I.G





―これは90年代の大ヒット曲です。

ヒップホップってこういうイメージがある。

―この曲も同じフレーズの繰り返しですよね。

うん、ずっと同じ音が流れてる。

―このラッパーは人気絶頂の頃、何者かによって銃で殺されてしまいました。

え、なんで……?

―90年代のアメリカには、東海岸と西海岸というタイプの違うシーンの争いがあって。ざっくり言うと、西の音はゆるくて、東の音はビートが硬いっていう特徴があるんです。で、例えば、東のラッパーが曲の中で西のラッパーの悪口を言うと、それに対して西のアーティストが自分の曲で言い返す。そういう文化がヒップホップにはもともとあって、それが過熱した結果、こういう悲しい事件が起こってしまったという。話はズレましたが、こういうノリってどうですか。

私、今まで曲の展開に期待してしまうクセがあったんですよ、転調とか。でも、ヒップホップはそういう展開を期待しないで聴くと心地いいんです。曲と向き合って聴くというよりも、日常のBGMとして聴くのにちょうどいい音楽だと思う。ながら聴きというか。最近、そういう聴き方ができるようになって、今までは音楽を聴くだけの時間をつくっていたんですけど、ヒップホップは気を張らずに聴ける音楽だから、朝、身支度してるときなんかにこういう同じテンポの曲が流れてくるといいんですよね。だから、嫌じゃないです。

―さっきも言ったように、ヒップホップって基本的に同じフレーズの繰り返しで進む曲が多いんですけど、既存の曲の一番気持ちいいフレーズをサンプリングしてループさせてるので、名曲と言われる曲はそのループがめっちゃグルーヴィーでカッコいい。だから、みんながノルんですよ。ということで、今の曲のサンプリング元になっている曲を聴いてみましょう。

BETWEEN THE SHEETS / アイズレー・ブラザーズ



(曲が流れ出した瞬間に)同じやん!(笑)。でも、この曲とさっきの曲だったらさっきの曲のほうが好きです。

―こっちの曲はサビになると別の展開をしていくんですけど、さっきの曲は冒頭のフレーズだけをサンプリングして繰り返しています。ちなみに、これは80年代のR&Bのヒット曲です。

ソウル、R&B、ヒップホップは違いが全然わからないんですよ。フェイクがあったらR&B、みたいな。そこがもっとわかるようになったらいいな。

―僕も「このジャンルはこういう音」っていうのは特別学んでないですよ。いろいろと聴いていくうちに、感覚で自然とわかるようになると思います。で、ここで何を伝えたいかと言うと、ヒップホップというのは、どの曲からサンプリングしたかという部分で楽しむこともできる音楽なんですよ。「この曲のこんなところをサンプリングしたのか! センスあるな~!」とか。

言い方は良くないけど、手軽な音楽なんですね。

―でも、カッコ悪いフレーズを持ってきても、カッコいい曲にはならないという。

ああ、センスが必要なのか。


日本のヒップホップ

―だから、とあるジャズのレコードから最高にカッコいいスネアの音を一発だけサンプリングする、なんてこともあるんです。主に90年代のヒップホップというのはサンプリングミュージックだったんですね。

じゃあ、別のアーティストがいないと成り立たないんですね。

―そうとも言えるし、過去の偉大なアーティストの音源にもスポットが当たるっていういい影響もあるんですよ。じゃあ次は、最近日本で人気のあるヒップホップを聴いてみましょうか。これは7月末に公開された曲で、インディーズのユニットながら、MVは850万回以上再生されてます。

……すごっ。

―今、ヒーローですよ。僕も大好きです。

へぇ!

BUDS MONTAGE / 舐達麻





……あれ? これ、もう曲始まってる? お茶のCMかと思った(笑)。……これ、日本語ですか? 英語かと思った……。

(その後、曲が終わるまで珍しくひと言も発しない)

……これはちょっとBGMにはできないかも。日本語だからっていうのもあるかもしれないし、なんかエモくなっちゃいますね。

―ああ、わかりますよ。ピアノの感じとかね。

そう。めっちゃ繊細な音に私がイメージするヒップホップのゴリゴリな声が乗っかってる。これはちゃんと向き合って聴いちゃうかも。これは発見。BGMにできないヒップホップ。

―ヒップホップはしっかり向き合って聴いても全然いいんですよ。

なんか、これは勝手に集中しちゃう。惹きつけられるというか、「聴かなきゃ!」って思っちゃう。映像もいいし。へぇ~、すごい。これはたくさん再生されてるのも納得。何回も観たくなっちゃう。すごいね!

―舐達麻っていうユニットです。ここで言葉にするのがはばかられるぐらい、リアルに悪い人たちです。

うん、悪いことばっかり言ってたよね。

―この人たちのインタビューがめちゃめちゃ面白いんですよ。あ、出身は埼玉の熊谷市です。

暑いとこだ(笑)。

―これだけ人を惹きつけるというのは、何よりもまず曲がいいからなんですよね。それはヒップホップだろうがなんだろうが変わらないんです。

すごかった、本当に。びっくりしちゃった。

―日本人の情緒に合ってるところもあるのかもしれないですね。

たしかに! ちょっと注目してみます!

―続いても日本人の曲を聴いてみましょう。こちらもまだ若手ですが、武道館公演をソールドさせているグループです。

KAWASAKI DRIFT / BAD HOP





今のところ、これが最近聴いてる音楽に一番近いです。馴染みがある。

―そうかもしれないですね。これは川崎出身の8人組、BAD HOPというグループです。

多いね!

―メンバーが多いとそれぞれの声やラップの仕方が違うから、聴いててハッとさせられますよね。

わかる! 声の違いが転調みたいな役割を果たしてますね。(T-Pablowのバースを聴きながら)ああ、私的にはこういう声がいい感じ。(その直後、<川崎区で有名になりたきゃ 人殺すかラッパーになるかだ>のラインを聴いて)なるほど……。

―やっぱり、今のフレーズは気になりましたか(笑)。これは10年代を代表するパンチラインのひとつです。

ああ、そうなんだ! 今のは引っかかるでしょう!(笑)うん、いい感じ。いい感じです! 舐達麻さんは曲としてめちゃ好き。この人たちはスタイルが好き。声のバリエーションもあるし、自分的に好きな声の人がいたし、アガるポイントが作りやすいアーティストかもしれない。

―この流れで、こないだTEAM SHACHIが米百俵フェスで一緒になったCreepy Nutsも聴いてみましょうか。

かつて天才だった俺たちへ / Creepy Nuts





Creepy Nutsさんはライブに行きたくなるタイプの音楽ですね。耳で聴くというよりも、みんなで楽しみたいし、フェスで観たい。ライブで生音で聴いてみたい! 楽器の音が多いせいかも。

―Creepy Nuts はDJとラッパーの2人組です。DJのDJ松永さんは、世界で最も権威のあるDJの大会のチャンピオンで、ラッパーのR-指定さんは日本で最も権威のあるMCバトルの大会で3年連続で優勝しています。

すごっ。

―YouTubeで検索すると出てくると思いますけど、「聖徳太子スタイル」といって、その場で複数の人からお題をもらって、そのお題のフレーズをすべて使って即興でラップするという技をR-指定さんは持っているんですよ。

それはすごいな! たぶん、私的にCreepy Nutsさんはヒップホップというよりもロックみたいに聴いてるのかもしれない。生の演奏にラップを乗せてるっていうふうに感じますね。

―あと、前の2組と違って、Creepy Nutsはけっこう歌ってますよね。

あ、だからか! それもあるかもしれない。歌感がある。


ブラス民からの影響

―結果として、BAD HOPが一番ハマりましたか。

入り口はBGMとしてだけど、熱が入ったら聴き込んじゃうようになるかも。

―じゃあ、ついでにもう1曲聴いてもらいましょう。これはEVISBEATSというプロデューサーの作品で、田我流というラッパーがフィーチャリングされてる曲です。

ゆれる feat. 田我流 / EVISBEATS





(曲が始まってすぐに)ああ、私、これ系が好きなんです。

―お!

さっき、西海岸と東海岸の話をしてましたけど、勝手な想像で西海岸のイメージってこれなんです。うしろで鳴ってる鍵盤の音とか、そよそよと風が吹いてきそうな雰囲気に西海岸ぽさがある。東のほうはもっとシティ感があって、西海岸はいい意味でラフで、カチッとしてない感じ。手ぐしで髪をかき上げる、みたいな(笑)。

―あはは!

わかる? わかる?

―まあ、わかりますよ(笑)。

この曲は私のなかでそっちに寄ってるんですよ。手ぐし系。

―ああ、それは今後の選曲の基準になりますね! 手ぐし系ヒップホップ。あと、こういうのを”レイドバックした音楽”っていうんですよ。ソファにゆったり腰を下ろして聴くような感じ。

へぇ~。うん、これ系が好きです。超リラックスじゃないですか。BAD HOPさんはキメキメだし、聴いててワクワクして楽しいんですけど、感覚としてはどちらかというとロックに近いんですよ。こっちのほうが一番最近発見した音楽の楽しみ方に近くて好きです。

―ああ、なるほどね! 今はこういう音楽でしか味わえない楽しさを重視したい。

そうそう! どっちも好きなんですけど、こういう音楽を知らないから単純に新鮮で面白い。

―まさか、苦し紛れにかけた最後の曲が一番ヒットするとは!

適度に緩いのがいいんですよ。いつもゴリゴリなのを聴いてるので(笑)。

―……うん、好みがちょっとわかってきました。

わかった? すごい~!

―じゃあ、最後にこの曲で方向性の最終確認させてください!

MAIN INGREDIENT / PETE ROCK&C.L. SMOOTH



あ、これが近いですね! 後ろで鳴ってる(鍵盤の)ピヨーンって音がポイントなのかも!

―わかりました。菜緒さんが好きなのはジャズ系のヒップホップだと思います。

ジャズ!? ジャズなの??

―ヒップホップはソウルからサンプリングしたり、ジャズからサンプリングしたり、いろいろなパターンがあるんですけど、菜緒さんはジャズですね。

へぇ~、ジャズなんて無縁だと思ってた。「ラ・ラ・ランド」でしか触れたことないです。あとはブラス民。

―ブラス民からの影響はあるかもしれないですね。

たしかに最近、自然とブラスが気になるようになってるから、それはあると思う!



<INFORMATION>


『TEAM SHACHI TOUR 2020~異空間~:Spectacle Streaming Show ”ZERO”』通常盤
TEAM SHACHI
ワーナーミュージックジャパン
発売中
https://teamshachi.nagoya/
https://www.youtube.com/c/teamshachich/videos

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください