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グリーン・デイのビリー・ジョーが選んだ「ロックの名曲14曲」を解説

Rolling Stone Japan / 2020年11月28日 20時45分

ビリー・ジョー・アームストロング(Photo by Warner Music Japan)

「俺たちみんなが外出自粛をしている間、俺は俺の人生で最も重要なこと――家族、友だち、そしてもちろん音楽についても振り返ってみたんだ」

今年3月、そんな言葉とともにグリーン・デイのフロントマン、ビリー・ジョー・アームストロングは毎週月曜日、さまざまな宅録カバー曲をYouTubeで発表するという企画をスタートした。題して「No Fun Mondays」。

【動画】1986年のバングルスの大ヒット曲「マニック・マンデー」もカバー

新型コロナウイルスのパンデミックによって、2月にリリースした最新アルバム『Father of All...』をひっさげたグリーン・デイのワールド・ツアーが延期になってしまったため、空いた時間を使って、同じように外出を自粛している世界中のファンをワクワクさせるものを届けたいという思いが「No Fun Mondays」を始めた、そもそもの動機だったことは言うまでもない。しかし、ビリーも言っているとおり、ファンを楽しませるつもりが、選曲しながら、音楽だけを心のよりどころにこれまで生きてきた自分の半生を振り返ったことを思わせるラインナップになってしまったところが興味深い。

ビリーという人はこと音楽に限っては、真面目すぎるくらい真面目なのだ。

カバーで取り上げた大半の曲が、影響を受けたという理由で選ばれたのだと思うが、それも含め、1曲1曲、取り上げる意味や曲にまつわる思い出をしっかりと考えながら選んだに違いない。取り上げる意味が何もないカバーは、そこには1曲もない。だから、毎週月曜日に発表してきた全14曲を1枚にまとめ、『No Fun Mondays』という同じタイトルを冠したソロ・アルバムを、ビリーの人生のサウンドトラックと謳うことは、それほど大袈裟なことではない。

ノラ・ジョーンズをパートナーに迎え、エヴァリー・ブラザーズのカバー・アルバム『フォーエヴァリー』をリリースしたこともあるビリーを含め、グリーン・デイは自分たちの音楽的なバックグラウンドについて明らかにすることを躊躇しないバンドだった。ライブではさまざまなカバーも披露してきた。

もしかしたら、そんな彼らによるカバー・アルバムをいつか聴いてみたいと考えていたファンもいるかもしれない。それがフロントマンのソロ・アルバムとして実現した。世界のロック・シーンを代表するパンク・バンドのフロントマンのルーツ(特に類稀なるメロディ・センスの源!)に今一度迫ることができるという意味でも、今回のアルバム・リリースは大いに意味がある。

以下、ビリーがカバーした全14曲を、アルバムの収録順に紹介していこう。


ロックダウン中にビリーがチョイスした「ロックの名曲」とは?

「アイ・シンク・ウィアー・アローン・ナウ」



60年代に活躍したアメリカのポップ・ロック・バンド、トミー・ジェームス&ザ・ションデルズによる67年のヒット・ナンバー。全米4位を記録した。全米No.1になったティファニーによる87年のリバイバル・ヒットのほうに馴染みがあるという人も少なくないかもしれない。”僕たちは2人きりだよ”と恋人に歌いかけるこの曲を、ビリーはオリジナルのニュアンスを生かしながら90sパンク調にアレンジ。世界中のファンに”俺たちは一緒だから”というシリーズのスタートに相応しいメッセージを送っている。


「ウォー・ストーリーズ」



79年にイギリスでスマッシュ・ヒットになった北アイルランドの4人組ロック・バンド、スタージェッツの代表曲を、ビリーはオリジナルに忠実にカバーしている。大好きな曲なのだろう。グリーン・デイの未発表曲と言われたら、うっかり信じてしまいそうだ。因みにスタージェッツは79年発表の唯一のアルバム『God Bless The Starjets』が00年代のパワー・ポップ・ブームの下、発掘され、再評価されるまでは知る人ぞ知るバンドだった。マニアックなビリーの趣味が窺える選曲だ。


「マニック・マンデー」



ガールズ・バンド史上最も成功したと謳われるバングルスによる86年のヒット・ソング。全米2位を記録した。プリンスがクリストファー名義で提供したことはあまりにも有名な話。オリジナルのバロック・ポップ・サウンドを、ビリーらしいギター・ロックにアレンジしているが、”また月曜日がやってきた”という歌詞は、毎週月曜日にカバーを発表しなければいけない彼の気持ちなのか、それとも歌詞に描かれている慌ただしい月曜日の朝を懐かしんでいるのか、果たして⁉ 「No Fun Mondays」はそれぞれに趣向を凝らしたMVも見どころだったが、「マニック・マンデー」はバングルスのメンバー、スザンナ・ホフスの客演も話題になった。


「コーパス・クリスティ」



78年1月14日、セックス・ピストルズのサンフランシスコ公演でオープニング・アクトを務めたパンク・バンド、アヴェンジャーズのレパートリーから、「オールタイム・フェイバリット・ソング」という言葉とともにビリーは異色曲と言えるこの曲を選曲。エネルギッシュなパンク・ロックを身上としていたアヴェンジャーズがメロディーを重視したというこの曲は、バンドの紅一点シンガー、ペネロープ・ヒューストンにとってもその後のキャリアに繋がるという意味で大事な曲だという。因みにビリーは82年にシンガー・ソングライターに転向したペネロープが98年にリリースした『Tongue』にプロデューサーとして参加。また、99年リリースのテレビドラマのサントラ『Friends Again』では「Angel And The Jerk」をペネロープと共作している。


「ザット・シング・ユー・ドゥー!」



トム・ハンクスが監督した青春映画『すべてをあなたに』(96年)で、劇中バンド、ワンダーズが64年の夏に放ったヒット・ナンバー。作詞・作曲はアイヴィー、ファウンテンズ・オブ・ウェイン、ティンテッド・ウィンドウズといったバンドのメンバーとして活動するかたわら、ソングライターおよびプロデューサーとしても活躍したアダム・シュレンシンジャー。今年4月、新型コロナウイルスの合併症によって急逝したアダムへの追悼の意を込めてビリーはカバーしたようだ。オリジナルのマージー・ビート調は、ビートルズを愛するビリーの得意とするところ。グリーン・デイの覆面バンド、フォックスボロ・ホットタブスを思わせる仕上がりに。


「アミコ」



60年代前半に数々のヒットを放ったイギリスの女性ポップ・シンガー、ヘレン・シャピロによる62年の「浮気はダメよ(Keep Away From Other Girls)」のドン・バッキーによるカバーで、63年にシングルとしてリリース(作曲はバート・バカラック)。ドン・バッキーは60~70年代に活躍したイタリアのポップ・シンガー兼俳優だそう。ホーンをフィーチャーしたソフト・ロック調のオリジナルを、ビリーは彼曰く「パワーポップ・ツイスト」にアレンジ。ビリーが挑戦したイタリア語の歌詞の語感もキャッチーだ。


「ユー・キャント・プット・ユア・アームズ・ラウンド・ア・メモリー」



「チャニーズ・ロックス」や「ボーン・トゥ・ルーズ」と並ぶジョニー・サンダースの代表曲。ジョニー・サンダースはパンクの誕生に影響を与えたニューヨーク・ドールズのギタリストとしてキャリアをスタートさせ、その後、自らがフロントに立つハートブレイカーズを率いて、イギリスのパンク・ロック・シーンに乗り込んでいった。ハートブレイカーズ解散後、ロンドに残ったジョニーがスティーヴ・ジョーンズ、ポール・クック(ともにセックス・ピストルズ)らと作ったソロ・アルバム『ソー・アローン』(78年)に収録されているこのバラードは、これまでマイケル・モンロー、ガンズ・アンド・ローゼズ、ロニー・スペクター他、多くのミュージシャンがカバーしてきた。ジョニーが持つセンチメンタリズムを物語る名曲にビリーは真正面から取り組んでいる。


「キッズ・イン・アメリカ」



現在も活躍しているイギリスの女性ポップ・シンガー、キム・ワイルドによる81年のデビュー・シングル。全英2位を記録した本国のみならず、アメリカでも全米25位のスマッシュ・ヒットとなった。ビリーはこの曲のカバーを、グリーン・デイのベーシスト、マイク・ダーントの誕生日である5月4日に「Happy birthday!」というメッセージとともにアップ。マイクは10代の頃から不法占拠住居で一緒に生活してきた盟友だ。《Were the kids in America.》というサビの歌詞は、そんな彼らの誇りと受け止めたい。オリジナルのシンセ・ポップ・サウンドをパンク・ロックにアレンジしたカバーは、昨年10月2日に逝去したキム・シャタックが率いていたロサンゼルスのパンク・バンド、マフスのヴァージョンを参考にしているようだ。


「ノット・ザット・ウェイ・エニモア」



ニューヨークのセックス・ピストルズと謳われたデッド・ボーイズのヴォーカリストだったスティーヴ・ベイターズがデッド・ボーイズ解散後、79年にソロ名義でリリースしたシングル・ナンバー。当時、スティーヴがパンクのエリック・カルメンになろうとしていたというエピソードも頷けるパワー・ポップ・ナンバーを、ビリーは手数の多いドラムも含め、忠実にカバーしている。この曲は収録されていないが、スティーヴのソロ・アルバム『Disconnected』(80年)はパワー・ポップの隠れた名盤だ。同アルバム・リリース後、スティーヴはシャム69のメンバーと組んだワンダラーズ、そしてダムドの元ギタリスト、ブライン・ジェームズらと結成したローズ・オブ・ザ・ニュー・チャーチで活躍する。


「ザッツ・ロックンロール」



70年代後半に活躍したアメリカの男性アイドル・シンガー、ショーン・キャシディによる77年のヒット・ナンバー。全米3位を記録した。オリジナルはラズベリーズ時代のヒット曲の数々やソロ転向後のバラード・ヒット「オール・バイ・マイセルフ」などで知られるエリック・カルメンだが、ビリーはショーン・キャシディ・ヴァージョンでこの曲を知ったそうだ。曲が持つノスタルジックなロックンロールの魅力を大事にしながら、ビリーは彼らしいパワー・ポップにアレンジ。この曲を歌っているとき、ビリーの脳裏に浮かんでいたのは、妹がこの曲を聴きながら家の周りで踊っていたという思い出だ。


「ギミ・サム・トゥルース」



タイトルのリフレインも含め、ここで歌っていることは、今の世の中に対するビリーのステートメントなのだろう。オリジナルは言うまでもなくジョン・レノンの代表作『イマジン』の収録曲だが、ビリーはジェネレーションXのカバーを参考にパンク・ロックにアレンジ。この曲を聴いたのは、ジェネレーションXのカバーが先だったそうだ。ジェネレーションXは80年代にソロ・シンガーとして大成功するビリー・アイドルが76年に結成。ポップでスピーディーな楽曲に加え、ルックスの良さからイギリスのパンク・シーンでは異例のアイドル人気も博した。グリーン・デイはライブで彼らの代表曲「キス・ミー・デッドリー」をカバー。ビリーが作るメロディーからは時折、ジェネレーションXの影響が窺える。


「ホール・ワイド・ワールド」



なんとも渋い選曲! ニュー・ウェーブ世代のシンガー・ソングライターと謳われるレックレス・エリックが77年にリリースしたシングル・ナンバー。自分に相応しい女の子を探し求め、世界中をさまよう虚しさを、ちょっととぼけた語り口で歌うこの曲は、これまでエルヴィス・コステロ他、多くのミュージシャンがカバーしてきた。レックレス・エリックはビリーのカバーを聴き、「これまでで最もパンク・ロックなヴァージョンだ」と大喜びしたそうだ。


「ポリス・オン・マイ・バック」



たぶん若きビリーもそうだったように多くの人がクラッシュの曲だと思っているかもしれない。しかし、オリジナルはポップなR&Bを演奏するイギリスの5人組、イコールズによる67年のシングル・ナンバー。イコールズは70年代以降、レゲエ・シンガーとして活躍するエディ・グラントが65年に結成した、当時では珍しい黒人白人の混成バンドだった。因みにセックス・ピストルズ、ダムドとともに70年代のUK 3大パンク・バンドと謳われたクラッシュはもちろん、ビリーのフェリバリット・バンド。グリーン・デイは「ポリス・オン・マイ・バック」同様、クラッシュが有名にしたアメリカのロックンロール・バンド、ボビー・フラー・フォーの「アイ・フォート・ザ・ロウ」をカバーしたこともある。R&B、ジャズ、レゲエ、ロカビリーといったいわゆるルーツ・ミュージックに造詣の深いクラッシュから、きっとビリーは多くのことを学んだに違いない。


「ア・ニュー・イングランド」



ひとりクラッシュと謳われたパンクなフォーク・シンガー、ビリー・ブラッグが83年にリリースしたデビュー・アルバム『Lifes a Riot with Spy Vs Spy』の収録曲。85年にイギリスの女性シンガー、カースティ・マッコールによるカバーが全英7位のヒットになり、ビリー・ブラッグのオリジナルも多くの人に知られるようになった。ビリーはエレクトリック・ギターによる弾き語りだったオリジナルを、シンプルなバンド・サウンドにアレンジ。せつなさがにじむパンク・ロックとしてカバーしている。因みにビリーによると、ニュー・ウェーブなロックにアレンジしたカースティ・マッコール・ヴァージョンもオススメだそうだ。

<INFORMATION>


『No Fun Mondays』
Billie Joe Armstrong(ビリー・ジョー・アームストロング)
全世界同時リリース
ダウンロード/ストリーミング:https://Japan.lnk.to/BillieJoeArmstrongMe
 
■グリーン・デイ グッズ情報

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