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LiSAが魅せた今年最初で最後のライブ、心燃やした希望の曲たち

Rolling Stone Japan / 2020年12月16日 21時0分

LiSAにとって初のオンラインライブ『ONLiNE LEO-NiNE』(Photo by 上飯坂一)

LiSAが12月12日、初のオンラインライブ『ONLiNE LEO-NiNE』を開催した。このライブはLiSAにとって2020年最初の本格的なライブとあり、昨年末の『第70回NHK紅白歌合戦』やTVアニメ『鬼滅の刃』のオープニングテーマ「紅蓮華」で彼女を知ったというライトリスナーにとって注目のイベントとなっただけでなく、今年予定されていた初のアコースティックツアーや全国アリーナツアーの延期に落胆していたファンにとってもうれしい公演となったはずだ。

このライブの2日前の12月10日、LiSAは10月発売のニューアルバム『LEO-NiNE』購入者を対象としたスペシャルオンラインライブ『ONLiNE LEO-NiNE〜Episode.0〜』も実施している。筆者もこの配信を視聴したが、最近はテレビ出演などで見慣れていたはずのLiSAのライブパフォーマンスにあり得ないほど心を揺さぶられ、来たる12日の公演への期待が一気に高まった。きっと筆者と同じような感覚に陥った視聴者も多かったことだろう。

そうして迎えたオンラインライブ当日。PCの前で開演を待ち続けていると、定刻を過ぎた頃に画面に扉が映し出される。その扉が開くと、童謡を思わせるストーリーのアニメーションがスタートする。『ONLiNE LEO-NiNE』の物語の序章ともいえるこの演出は、過去のLiSAのライブにも通ずるものがあり、早くも気持ちが高ぶり始める。

そして画面が切り替わると、ギターのフィードバック音が鳴り響く中、照明の骨組みが建てられた倉庫のような場所にLiSAとバンドメンバーの姿が。そしてLiSAの「『ONLiNE LEO-NiNE』、開幕!」を合図に「マコトシヤカ」からライブはスタートした。アリーナクラスでのパフォーマンスを思わせる豪快なステージングと、まるで最前列で目撃しているかのような迫力ある映像と、最高の場面を一瞬たりとも逃さずとらえようとする計算され尽くされたカメラワークは圧巻の一言で、きっと観ている誰もが「今日、LiSAが自分のためだけにライブをしてくれている!」と錯覚するほどのプライベート感を味わえたのではないだろうか。

2曲目には早くも代表曲「Catch the Moment」が登場。久しぶりのライブにも関わらず、LiSAの歌からは余裕すら感じられ、改めてこの約1年間に経験したすべてが今日の歌に表れているのではないか、と実感させられた。そして「ようこそ『ONLiNE LEO-NiNE』へ! 今日この特別、全部届けるからね。受け取ってーっ!」と簡単に挨拶を済ませると、最新アルバムからの新曲「晴レ舞台」を披露。オーディエンスとの一体感を築くのに最適な1曲になりそうなこの新曲を、LiSAは満面の笑みで飛び跳ねながら歌い続ける。


「エレクトリリカル」を披露した理由

3曲終えたところでデニムジャケットからカラフルなファージャケットへと着替えたLiSAは、「1年ぶりじゃない、ライブするの? この日を待ってました!」とモニターの向こうにいる”キミ”に語りかける。そして、いつものライブのように「愛と思いやりを大切に、ここにいるみーんなで、最高に楽しんでいきましょう。ピース!」と告げると、ダンサーを交えて「エレクトリリカル」をパフォーマンス。モニターの前にいるオーディエンスと一緒にダンスする様子が目に浮かぶこの曲で、「ああ、久しぶりにLiSAのライブを体験できている」と再確認できたファンも多いことだろう。一方で、バーチャルをテーマにしたこの曲を久しぶりにセットリストに組み込むあたりに、LiSAのこのライブに対する姿勢も感じ取れたのではないだろうか。


Photo by 上飯坂一

ここまで親密な距離感でライブが進行してきたが、続く「愛錠」では空気感が一変。暗めの照明のもと、囁くような繊細さと叫びにも似たエモーショナルさの緩急に富んだ歌唱で、観る者を魅了した。そして、ファージャケットを脱ぎ捨て白いワンピース姿に着替えたLiSAは四方八方をLEDスクリーンの壁面で囲まれたステージに移動し、「わがままケット・シー」を披露。CGが映された床に寝そべって歌うその姿からは、大人の魅力が伝わる。オンラインライブならではの演出と新境地を伝える曲調とが相まって、LiSAの新たな可能性を見事に伝えることに成功したのではないだろうか。


Photo by 上飯坂一

さらに、「unlasting」ではダンサー2名を加え、LiSAは広大な宇宙を感じさせる密室の中で感情の高ぶりをそのまま歌に乗せる。そこにダンサーたちのコンテポラリーダンスが合わさることで、歌の主人公が抱えた心の痛みがダイレクトに伝わってきた。「unlasting」を表現する上で完璧な演出だった気がする。

濃密な3曲を経て、再び歩き始めたLiSAの動きに合わせ、LED壁面が取り除かれると、目の前にはバンドメンバーの姿が。モニター側から逆光となる形で、LiSAとバンドメンバーはヘヴィな「cancellation」をプレイ。視聴者側に背を向け、逆光でシルエットしかわからない映像ながらも、楽曲が持つハードな世界観と見事にマッチし、その計算された映像美にドキリとさせられる。最新アルバム『LEO-NiNE』収録曲を最高/最良の形で届けるための演出の数々は、LiSAが当初「ライブで見せたい」と思い描いていた形とは異なるのかもしれない。しかし、ピンチをチャンスに変えた結果、こうした意欲的な試みを目撃することができたという点においては、我々はラッキーだったのかもしれない。


興奮の瞬間、「炎」と「紅蓮華」

「cancellation」を終えると、最初にいた場所へと戻るLiSAとバンドメンバー。照明の骨組みは宙釣りとなっており、背景には真紅の壁が設置されている。そんなムーディな雰囲気の中スタートしたのが、エネルギッシュなアップチューン「赤い罠 (who loves it?)」。ジャズテイストが施されたアレンジと、真紅の壁面とが生み出す世界観はどこか映画の中のようで、激しく切り替わるカメラワークが楽曲の持つスピード感にさらに拍車をかける。


Photo by 上飯坂一

アグレッシブな2曲を経て、場の空気が再び変化。会場内にいくつも灯された炎の中、真っ赤な羽織を身にまとったLiSAが最新シングル「炎」を時に優しく、時に激しく歌い上げる。その幻想的な空気を打ち破るように始まったのが、「炎」とともに今や知らない者はいないほどの代表曲へと成長した「紅蓮華」だ。鬼の面を付けたダンサー2名とともに、LiSAは気迫に満ちた表情で力強い歌を響かせる。そのエネルギーは曲が進むにつれてどんどん増していき、エンディングでは真紅の壁を突き破る演出も。まさにこのオンラインライブのクライマックスと呼ぶにふさわしい瞬間だった。

その壁の向こうに見えるのは、まるで廃墟のようなセット。真紅の壁が取り除かれるとともに、迷彩柄のジャケットを羽織ったLiSAとバンドのギタリストであるPABLOの2人が姿を現し、今後のライブにおけるアンセムになるであろう「play the world! feat. PABLO」を2人で熱唱する。ダンサーも交えたこの曲では〈この世界を遊び尽くせ〉という歌詞にもあるように、視聴者含めこの場にいる者すべてがLiSAを通じて「自分にできる、自分なりのやり方で遊び尽く」しているんじゃないかと思えてくるから不思議だ。


Photo by 上飯坂一


Photo by 上飯坂一

ライブもいよいよ佳境に。LiSAのライブには欠かせない”キメ”の1曲「Rising Hope」「ADAMAS」を連発すると、演者側の熱量が尋常じゃないほど高まっていることが、モニターを通してでもはっきり伝わってくる。特に「ADAMAS」では、LiSAがフロアタムドラムを叩きながら歌う様に、気づけば観ているこちら側もシンガロングで応えていた……なんていう視聴者もきっと多かったはずだ。それほど、ここまでのパフォーマンスにはオンライン/オフラインの差が感じられないほどの熱が感じられたのだから。


「今日を越えていけ!」

いよいよライブも最後の時を迎える。LiSAがこの日のラストナンバーに選んだのは、最新アルバム『LEO-NiNE』にも収められた1曲「ハウル」だった。「あなたに届ける最後の曲です」の言葉にふさわしいこの曲は、まるで映画のエンドロールを思わせるような優しさとハッピーな空気に包まれており、LiSAもそんな曲調に合わせてか、歌いながら会場内を練り歩く。その絵は、まるでこの日のライブ演出のネタばらしのようでもあり、そんな彼女の「観て! 観て!」と言わんばかりの行動に、思わずこちらも笑みが溢れる。

最後の最後、紙吹雪が舞う中、LiSAは「いつも当たり前のようにあった幸せが、特別なんだって気づいた2020年。”キミ”のことをたくさん想って、どうしても”キミ”に会いたくなった2020年。不安があったり、不安になったり、立ち止まったりしそうになっても、今日私たちは、ここにたどり着いた。いつも本当にありがとう。もっともっと最高な未来が、私たちに待ってますように。今日を越えていけ! もっともっと越えていけ!」と思いのこもったメッセージを送りライブを終えた。その言葉は、ライブのことを”デート”と呼ぶ彼女らしさに満ち溢れており、早くも次の”デート”が楽しみになってしまったことも付け加えておく。


Photo by 上飯坂一

大躍進を遂げた2020年、LiSAが行なった本格的なライブはこの1公演のみ。だからこそこの1公演には強い思いが込められているし、そのライブをオンラインという形を通じて”観たい人すべてが観られた”ことは非常に大きな意味を持つ。LiSAはこの先、『第62回 輝く!日本レコード大賞』『第71回NHK紅白歌合戦』にて2020年を締めくくり、2021年1月13日発売のニューシングル『dawn』にて2021年の幕開けを飾る。彼女にとって最高の1年となった2020年をどう更新していくのか、そして今度はどんなライブで我々を楽しませてくれるのか。期待はさらに高まり続けるばかりだ。

【写真ギャラリー】初のオンラインライブで熱演を繰り広げるLiSA

LiSA『ONLiNE LEO-NiNE』セットリスト

01. マコトシヤカ
02. Catch the Moment
03. 晴レ舞台
04. エレクトリリカル
05. 愛錠
06. わがままケット・シー
07. unlasting
08. cancellation
09. 赤い罠(who loves it?)
10. 炎
11. 紅蓮華
12. play the world! feat. PABLO
13. Rising Hope
14. ADAMAS
15. ハウル

■見逃し配信情報
12月19日(土)23:00まで見逃し配信中!

【ONLiNE LEO-NiNE特設ページ】
https://k.lxixsxa.com/ONLiNE_LEO-NiNE/

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