ドル札吹雪が舞い、クラブ丸ごと精神病棟に 90年代NYのナイトライフを写真で回想
Rolling Stone Japan / 2020年12月19日 21時45分
米ニューヨークの伝説的な巨大クラブといえば、ライムライト、トンネル、クラブUSA、そしてパラディウム。90年代中期、狂騒と混沌に包まれたクラブを撮り続けたフォトグラファーが、当時の写真とともに思い出を語る。
写真家スティーヴ・アイヒナーはピーター・ガティエン氏のお抱え写真家だった。ガティエン氏はライムライト、トンネル、クラブUSA、パラディウムのオーナーだ。「一晩中クラブからクラブへとハシゴして、楽しんでいるセレブたちを写真に撮る。それを世界中に発信して、彼のクラブ帝国を宣伝していたんだ。彼は多様性を広め、音楽やアート、セクシャリティ、デザインのクリエイティビティに力を入れれば、最高のパーティを開けると信じていた」。アイヒナーはそう語る。
新著『In the Limelight(原題)』で、アイヒナーはこうしたクラブでの刺激的な写真や――今回初めて表に出る未公開作品もある――ザ・ロキシー、クィック、レインズ、グラモラマといった今はなき他のクラブの写真を集めた。本の編集者ガブリエル・H・サンチェス氏は冒頭でこう説明している。「セクシュアリティはあらゆる色鮮やかな形で、誰からも批判されることなく称えられた。こうしたクラブではあらゆる部類のニューヨーカーが――つぶらな瞳のパーティガールからウォール街のスーツ軍団まで――互いへの敬意と、忘れられない夜にしたいという熱意で交わっていた」。
今回はそんな刺激的な写真の中から何枚かをアイヒナーの解説とともにお届けする。
・クラブ全体が精神病棟に(1993年、トンネルにて撮影)
Photo by Steve Eichner / ©Prestel Verlag
「1990年代はどのクラブに足を運んでも、何が起こるか予想がつかない状態だった。どこへ行ってもクリエイティビティがほとばしり、新鮮さとエキサイティングさを維持するのにアートインスタレーションが大きな役割を担っていた。中でもトンネルは、地下道の建物に、度肝を抜くようステージが頻繁に組まれることで有名だった。1993年のこの夜はクラブ全体が精神病棟に仕立てられ、拘束服を着た人が檻に入れられ、クラブ・キッズは医者や看護婦の恰好をして処方箋を配って歩いていた。まさにクレイジーなパーティにはぴったりだ」
・”何でもありゾーン”のVIPボックス席にて(1993年、クラブUSAにて撮影)
Photo by Steve Eichner / ©Prestel Verlag
「クラブUSAのVIPボックス席は”何でもありゾーン”と呼ばれていた。1993年のある晩そこへ上がっていくと、クラブの広報がスコット・ウェイランドを紹介してくれた。その当時一番人気だったバンド、ストーン・テンプル・パイロッツのリードシンガーだ。俺も彼らの音楽が大好きだったから、ぶったまげたよ! 当然カメラをぶら下げてたから、1~2枚撮ってもいいかと聞いた。彼は煙草に火をつけて(そう、あの当時はまだクラブは喫煙OKだった)、人差し指と小指を立てるジェスチャーをしてくれた。そのあと唐突にドラマーのエリック・クレッツを捕まえて、2人で――最初のうちは――舌を突き出して、エア・ディープキス、はたまた舌チャンバラみたいに舌を触れ合っていた。そのうちスコットがエリックの肩に手を回し、彼の口に舌を押し込んで、5分ほど(濃厚な)キスをした。間違いなく最高の1枚だ」
・朝8時のビデオ撮影(1993年、クラブUSAにて撮影)
Photo by Steve Eichner / ©Prestel Verlag
「あの当時、俺は24時間365日いつでも撮影できる態勢でいた。ある朝8時ごろにポケベルが鳴った。きっとクラブUSAの広報だろうと思って、電話をかけると、『大至急来てほしいの、ヒップホップ・グループがここでミュージックビデオを撮影するんだけど、新聞に載せる写真が必要なの』。 俺はカメラをつかんでタクシーに乗り込んだ。到着すると、ピチピチのデニムのショートパンツをはいたゴージャスな3人のお姉さま方がステージの上にいた。ソルト・ン・ペパがヒット曲”シュープ”のビデオを撮影していたんだ。ホットでセクシーなシーンの撮影で、”ねえみんな、私の弱点は?(オトコ!)”という歌詞が聞こえていた。撮影の合間に、サンドラ・デントンとシェリル・ジェームズとDJスピンデレラに集合写真を撮らせてくれと頼んだら、彼女たちは喜んでポーズを取ってくれた。そうやって撮ったのがこの写真だ」
・店の奥に設置されたハーフパイプ(1993年、トンネルにて撮影)
Photo by Steve Eichner / ©Prestel Verlag
「トンネルの店内、ダンスフロアの奥の方にあったハーフパイプにはびっくりした。酒飲みどもが夜通しパーティしている中、プロのスケーター連中は夜な夜な宙を舞ってはトリックを披露していた。俺自身もかなりスケボーには熱心だったから、撮影の手を止めては何本か滑ったもんだ。これは超ド級のオーリーを決めた奴の写真だ」
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