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シドが語る、16年前からファンに伝え続けてきたこと

Rolling Stone Japan / 2020年12月23日 20時30分

シド

シドが、2020年12月23日に最新シングル『ほうき星』をリリースした。

2020年11月23日から12月21日までに配信した「ほうき星」、「siren」、「声色」といった、希望の溢れる明るい曲から、悲壮でダークな世界観の楽曲を、演奏陣3人がそれぞれ1曲ずつ手掛けており、各々の持ち味が発揮された作品となっている。

Rolling Stone Japanでは、シドにインタビューを敢行。新型コロナウイルスに見舞われた今年1年間のことから、2021年1月14日開催の結成記念日ライブのこと、シドの17年間を通して感じていることまで存分に語ってもらった。

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―前回のアルバム『承認欲求』の取材から1年近く経ちました。2020年は新型コロナウイルスに見舞われ、前回のインタビュー時には全く想像できなかった1年間になりましたが、この1年をどう振り返りますか?

マオ:制限がある中で、いかに今しかやれないことを見つけていくのかが自分の中で課題でした。それと同時に、この期間は敢えて自分としっかり見つめ合う時間も取って、立ち止まる時間の大切さにも気づきましたね。今そうすることによって、新型コロナウイルスが収束した後の世界でもっと走れるんじゃないかなと思って、コツコツと頑張っていました。

Shinji:時間はあったので、僕はギターの練習を一日中してみたり、特にあてもなく1曲作ってみたりしていて。音楽を始めた頃の気持ちにちょっと戻れた感じがしたんです。ギターの楽しさを自分でも再認識して、それをファンの皆さんにも伝えたいなって最近思い始めていますね。

明希:スケジュールの振替日程も決めなきゃいけなかったので、ファンの方へのフォローを考えました。チケットを買ってくれている人たちに次の公演がやっぱり見せられないって普通じゃないと思うんですよね。あとソロでもやっていることがあって、割と目まぐるしい時期でしたね。

―配信ライブもされていましたよね。やりにくさはありましたか?

明希:元々ツアーがあったので、逆に今やらなかったら一生できないんじゃないかと思ったりもして。配信ライブを始める前は、先が見えないことが不安だったんですけど、実際にやってみると表現するという意味では変わらなくて。生のライブと同じようにリハーサルをやって、セットリストを作って、MCもして。やってみると全然問題なかったです。

―ゆうやさんはいかがでしたか。

ゆうや:これだけイレギュラーな年って、僕にとって初めてだったんじゃないかな。何も考えないでやれていたことがやれなくなるって、逆にすごい新しいなと思って。だからこそ、逆に気づかなかったところに気づけることも多くて。機材を揃えたり、部屋を防音にしてみたり、業者に頼むようなことも自分でやってみたりしていました。お酒を飲みに行くルーティーンがなくなって早寝するようになっただけで生活が変わったので、良いこともありましたね。

―コロナ禍でYouTubeチャンネルを始められる方も多いですけど、ゆうやさんはもう1年以上やられています。色々な企画に挑戦されてますよね。

ゆうや:ずっと週2で更新してきたのでしんどいですけど(笑)、皆で色々な企画を出しながら本当に楽しくやらせてもらっています。

―今回は『ほうき星』、『siren』『声色』という3作を連続配信リリースされましたが、創作活動でもやりにくい部分はありましたか?

マオ:ヴォーカルに関してはスタジオでレコーディングさせてもらったので、やりづらさを感じなかったですね。むしろ、デモの段階でメンバーで意見し合えるし、アレンジの変更はリモートでやれる時代なので、逆に良かったです。

―コロナ期間は曲を多く作られたんですか?

明希:僕は曲を書き溜めることを最近しなくて。作るぞって決めたらぱっとやるので。作り溜めるということはないけど、次やるならこういうのがいいなってイメージは常に持っているんです。

ゆうや:作曲ソフトを買ったので、実は色々と曲を作ってはいました。でも、今回の3曲はリリースのために作った曲たちですね。リリースも前々から決まっていたわけじゃなくて、皆での会議の中で急遽出そうという話になって。このために、全員で書き下ろしました。

―今回の3曲は演奏陣3人がそれぞれ手掛けた三者三様の曲になりました。こういう色分けは各々決めていたんでしょう?

明希:メンバー4人で話して、誰がこういう曲作ったら面白そうだよねって話して決めたんです。僕が作曲した「siren」だったら、ちょっとヘビーでロックサウンドな音像でというような。各々がジャンルを決めて作っていくっていう。僕個人的には、そんなにコロナ禍を意識して作ったわけではなくて。思い描いたジャンル感とかそういう音楽的な要素のみで作っていきました。


明希(Ba.)

―その中で新しいアプローチや影響を受けたものってありました?

明希:僕の場合、何かにインスピレーションを受けたというよりは、自分の中で常に鳴っている、イメージしやすいジャンルで。音のアプローチだと、バンドサウンドにノイズを入れたり、自分の中では新鮮なアプローチをしたかなと思います。

―Shinjiさんはいかがでしょう? 「ほうき星」の楽曲制作に対して、コロナ禍という時期を意識してる部分はあったんでしょうか?

Shinji:意識していましたね。作曲の振り分けを決める中で、たまたま僕が元気な曲の担当になったんですけど、暗いニュースが多い中で希望が溢れる曲を本当に作りたくて。でも、元気の押し売りもあんまり好きじゃないし、シドが17年間やってきた熟練された部分も欲しかった。あとは、最近は引き算をメインに考えていて余計な音をこの楽曲に入れたくなかったんです。より一層スリーピースに近い形の音のアレンジ、かつシドらしいメロディアスな楽曲を意識しました。



―前作『承認欲求』制作時も、引き算のアプローチで作られたお話をしていただいたんですけど、それは今でも続いているんですね。

Shinji:そうですね。どの楽器でもそうだと思うんですけど、音色作りって正解がなくて。より良い音にしたいと思う中で、納得いく音が作れるようになっていくんです。そういう音ができると、余計な音を入れずに一発の音をちゃんと綺麗に聴かせたくなるんですよ。

―ゆうやさんは「声色」の作曲に関していかがでしょう?

ゆうや:コロナ禍だからこそというテーマが元々あったので、この世界で生きているからには、自然にそういう気持ちになっていたので、すんなりと気持ちを込めて作れました。例年に比べると悲しい情報がとても多かった印象が強くて。浮き沈みはあるんですけど、その情報や情報量ってすごくこの時代を象徴していると思っていて。そういう中での感情の部分が入っていると思います。

―「ほうき星」の歌詞は、全体的に優しく包み込むようであり、この世界に希望を示してあげるように感じました。この歌詞はどんな想いで描かれましたか?

マオ:まさにその通りで、希望を感じてもらえるような曲にしたいと思って書きました。ファンに送る応援ソングを書くにあたって、今のシドだとこういう形かな? というのを意識しながら歌詞を書きました。

―「siren」の歌詞だと、"そびえ立つ汚れた権力"っていう表現があって、それは政治のことを指してるのかなって思ったんです。政治に関しても意識が向いているのかなと。

マオ:ただ背中を押すだけではなく、そういうフック的な言葉を二番のAメロやBメロで入れていくのは、割と僕が使う手法なんです。今回は、ファンへの応援ソングでありながら、今の世の中のことも歌っている曲にしたかった。直接的な表現を使わずに伝えるっていうのが好きなんですよね。曲の世界観から感じるものや、当時の世の中を俯瞰で見たときの目を逸らしたくなるような部分も時代に刻んでいきたいという気持ちでしたね。

―時代に刻んでいきたいという言葉は、アルバム『承認欲求』の時にも出てきましたよね。時代や社会を意識するっていうのは、ずっと考え続けてるところなんですね。

マオ:初期の頃は、伝えたい想いや世界観、興味から始まって歌詞を書くものが多かったんです。でも、もっとたくさんの人に届いてほしいと考えたり、アニメのタイアップで作品の世界観に近づけたりと、色々な書き方を覚えていく中で、今は作品を残したい気持ちがどんどん強くなってきたんです。大げさに言うと、自分が死んだ後も残っていて恥ずかしくないようなもの。「あの言葉を残せてよかったな」と思える言葉を、いかにたくさん残せるかっていうのは、歌も含めてすごく意識しています。

―表現者として、時代や社会的に意味のないものは作りたくないと思うんでしょうか。

マオ:そんな大それたことを自分でやれるとは全然思っていなくて。むしろ、自分なりにかっこいいものを残したい。かっこいい基準もずっと変化していくんですけど、その変化の仕方までも、しっかり刻んでいきたい。バンドを長くやってなかったら、きっとこういう気持ちにもなってないだろうし。長くやってこれてよかったです。


マオ(Vo.)

―「声色」は、シドからファンへの想いもそうですし、恋人関係、この時代のキーワードの一つでもある"繋がり"を上手く表現している歌詞だと思いました。

マオ:テーマはまさにその通り二つの意味があるんです。「ほうき星」で笑顔になってもらって、「siren」で、落ち込んでる人は一旦深いところまで落ち込んでもらうことも一つの背中の押し方だと思っていて。「声色」に関しては泣きたい人に思いっきり泣いてもらうのも一つのテーマだったんですよね。映画でもそうだと思うんですけど、元気になりたいからコメディ映画ばかり見るわけでもないし、泣きたいのにハッピーエンドの恋愛作品を見てもしっくりこないだろうし。色々な人が色々な感情で動いている。その全ての人たちに当て嵌まるものを意識しなきゃなと思って、今回の3作の歌詞を書きましたね。

―3作連続リリースの順番には、意味があるんでしょうか? 僕は、「ほうき星」が明るい世界観で、いわゆるコロナ前の今まで通りだった時期。「siren」でコロナ禍で沈んだ世界を象徴して、「声色」になると、暗い部分を引きずった感じはありつつも、最後にまた希望を見出していくストーリー性を感じました。

マオ:それかなりいいですね。意味は特になかったんですけど、いただきます(笑)。

―(笑)。お話を伺っている中で、シドにとってファンの存在は、他のアーティストと比べても特別なのかなと思っていて。やっぱりシドにとって、ファンは特別な存在なんですか?

マオ:とても特別な存在だし、年々お互いを想う熱が強くなっている気がしています。特にコロナに入ってからは、さらに表面に出てきたと思うんですよね。会いたい気持ちも膨らんできているので、配信ライブでいかに埋めるかも課題です。ファンに向けてのメッセージを歌詞や曲に乗せて送り続けることってバンドを続けないとできないじゃないですか。伝え続けることを一つのテーマとして、シドの作詞、バンドの演奏、作曲をやっていけたら、ファンの皆も僕たちも一緒になってる幸せな姿が見えてきますしね。

Shinji:まさに今マオくんが言っていた通りです。ライブをやっていても、昔と比べてファンのリアクションやエネルギーが違うなと感じていて。こっちがパワーを与えなきゃいけない場なのに、とても助けられている感じがするんですよ。それが年々とても強くなってきていて。若い頃はそんなに思わなかったんですけど、今はすごく感謝することが多いですね。


Shinji(Gt.)

―活動を続けていく中で、ファンの重みも強く感じているんですね。

Shinji:それこそ17年間ずっとシドを追いかけてくれている人とか、昔からのファンも一緒に年を重ねてきているし、ファンも考え方が変わったりとか。かっこよく言うと、一緒に歩んでいる感じがあるんです。逆に僕たちも希望をもらっている気がするし、だからより一層、こういう時代に希望や元気を与えなきゃなって強く感じるようになりましたね。

―コロナ時代、世間から音楽活動やライブハウスへの風当たりが強くなった時期もありました。その中でもシドがバンド活動していくことに、どういう想いを持っているんでしょうか?

明希:自分たちのペースを自分たちでしっかり見極めて、歩いていくのが一番大切なことなのかなと思います。僕らも色々な波の中でやってきたんですけど、やっぱり今が一番4人の歩みのスピードとかバランス感覚が良い状態でいられるので。そういうところが環境に左右されない、一つのバンドの形なのかなと思います。

ゆうや:実は今年いくつも発表できなかったライブがあって。世の中の状況を見ながら、この時期だったらやれるかもしれないと思って希望を持ってやっていたんです。でも、蓋を開けてみたらあまり活動ができなかった。全員同じような状況で不安を抱えている中でも、僕らを希望の星だと思ってくれている人たちもいるし、僕らもそれに支えられてずっとやってこれている。僕らも何かしらの発信をしなきゃいけないというのを強く思ってました。


ゆうや(Dr.)

Shinji:エンターテイメントって必要なはずだけど、一番難しいところですよね。ご飯は食べないと死んじゃうけど、音楽は聴かなくても死ぬわけじゃないですし。でも、それで元気をもらって生きる糧になったりするし、僕自身も良い曲を聴いたときに夢を持てたりとかしたこともあったんです。誰もがまだ正解が分からない中ですけど、音楽って自分にとってもすごい必要だし、試行錯誤してでもやっぱり伝えるようにしていきたいですね。

マオ:エンタメに限らず、医療・介護系、飲食、観光業の人など、僕らとは違うレベルの辛い状況に立たされてる方がたくさんいらっしゃるじゃないですか。そう考えると、僕たちってまだまだやれることがたくさんあるし、もうこれ以上やれないと思ったとしても、その中でも必死に探して何かを伝えてくことが音楽をやってる意味だと思います。シドのことを好きって言ってくれている人には、ちゃんと今までの応援の恩を返していく気持ちは忘れずにやっていきたいですね。

―2021年1月14日には結成記念日ライブ「SID LIVE 2021 ~結成記念日配信ライブ~」を開催します。それにあたって、シドの結成から今日までの活動を振り返って、どんなことを思いますか?

明希:ありきたりですけど、僕らはファンの方としっかり歩めてきたバンドなのかなって思います。そこには受け取り手がいる以上、皆の気持ちがあって。楽曲ってそういう気持ちの中で生きていくものなんだなっていうのは、17年やってきて一番思ったことでしたね。

Shinji:シドって他のミュージシャンよりも楽曲の幅が広いと思うんです。色々なジャンルをとり入れて、4人の個性が上手くぶつかり合って、シドというジャンルが上手く出来上がってきたし、これからも追求していくと思うんです。色々なジャンルを取り入れても、滅茶苦茶にならずに一人一人が個性的なものがやれている。音楽家になれた以上、やっぱりやりたいことをやりたいですね。

―やりたいことを各々やってきたことが、シドを唯一無二のものにしてきたんですね。

Shinji:それはシドの曲を聴いている方々が判断することなのかもしれないですけど、自分たちでもそういう、「らしさ」みたいなものが、年々強くなっていると思います。

ゆうや:シドってとてもバランスのとれた良いバンドだなって思いますね。皆しっかり役割が別なんですよ。だから、お互いに補って上手いことバランスが取れてるというか。同じピースの人がいないからこそ、上手くハマっている。だから17年間ずっとやってこれたんだろうなと感じます。

マオ:初期の頃は有名になりたい、人気者になりたくて集まった4人だったんです。伝えたい音楽とか、何かを意識して世の中に発信したいみたいな大きいことは全く考えず、ただ目の前のことをがむしゃらにやってきた。最近は、誰かの背中を押したいってことまで考えられるようになった。でも、目の前のことを一つずつやってきたっていうスタイルだけはずっと変わってないなと思っていて。これから先もきっと、目の前の人にこういう音楽を届けたいからやっていこうというスタイルでやっていくし、それが僕たちが長続きしていく秘訣なのかなと思っています。


<リリース情報>

シド
最新シングル『ほうき星』

発売日:2020年12月23日(水)
【初回生産限定盤(CD+写真集)】2273円(税抜)
【通常盤(CD)】(税抜)
=CD収録内容=
1. ほうき星
2. siren
3. 声色

<配信ライブ情報>

シド
「SID LIVE 2021 ~結成記念日配信ライブ~」

2021年1月14日(木) 
時間:20:00より
チケット料金:
通常視聴チケット:3000円(税込)
VIPチケット8000円(税込)
=VIPチケット内容=
・購入者限定Tシャツプレゼント ※後日配送
・購入者限定ピクチャーチケットプレゼント ※後日配送
・終演後、楽屋より打ち上げトーク視聴
※Tシャツはフリーサイズとなります。サイズは選べませんのでご了承ください。(XLサイズ相当)
※VIPチケットはID-S BASIC会員のみの受付となります。
※VIPチケットはニコニコ生放送での視聴になります。

シド オフィシャルサイト:http://sid-web.info/

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