クリスマスに聴きたいメタル名曲15選
Rolling Stone Japan / 2020年12月23日 19時15分
クリスマスといえばメタル。AC/DC、ディオ、KORNなどのヘヴィなリフが聖夜に轟く。サイレントでもホーリーでもないクリスマスソング15選。
かつてスティーヴィー・ワンダーは「クリスマスには誰もが子供になる」と言った。スラッシャー系も例外ではない。メタルバンドは長年にわたり、上下反転させた十字架をこの時だけは元に戻し、もっともヘヴィで、やかましく、耳をつんざくホリデー賛歌をいくつか世に送り出してきた。今回は、これまでレコーディングされた中でもとくに拳を突き上げ、大絶叫し、ヘッドドバンギングして盛り上がれるヘヴィメタ・クリスマスソング15選をご紹介しよう。
【画像を見る】クリスマス大好きロブ・ハルフォード&メタル・クリスマス名曲プレイリスト
AC/DC「ミストレス・フォー・クリスマス」
大部分の人々は世界中が善意に包まれることを願いながらクリスマスを過ごすが、AC/DCのブライアン・ジョンソンが望むのは火遊びを少々。「ミストレス・フォー・クリスマス」で、彼はサンタクロースにちょっとした情事をお願いしている。楽しんでいる様子から察するに、この年の彼は間違いなくサンタクロースの「悪い子」リストに名前が載ったに違いない。
トゥイステッド・シスター「ママがサンタにキスをした」
80年代に一般家庭を震撼させ、ペアレンツ・ミュージック・リソース・センター[訳注:過激な性表現や暴力的表現の音楽にステッカーを張ることを義務付ける倫理委員会]に真っ向勝負を挑んだトゥイステッド・シスターが、まさか全曲クリスマスソングのアルバムをリリースするなどいったいだれが予想しただろう? 驚くなかれ、バンドは「ママがサンタにキスをした」を比較的ストレートに演奏している。
タイプ・オー・ネガティヴ「レッド・ウォーター(クリスマス・モウニング)」
ブルックリン出身の洗練されたゴシック・メタルのひねくれ者連中は、彼ららしい暗鬱とした哀歌で過去のクリスマスの亡霊にとりつかれてしまった。ピーター・スティールは陰気くさい嗄れ声で、惜しくもこの世を去った友や家族を嘆き悲しむ一方、皮肉も忘れてはいない。”今年のテーブルセッティングはたった7人分/去年は11人で食卓を囲んだ”。代表的なクリスマスキャロル「鐘のキャロル」や「世の人忘るな」をわざと大真面目に引用している点にもご注目――この曲にインスパイアされた優秀なファンビデオも必見。
スパイナル・タップ「Christmas With the Devil」
巨大なサンタのスカル、悪魔のしっぽ付きレザーパンツをはいたハリーシェアラー、三重奏ソロ。これぞまさにスパイナル・タップのクリスマスだ。何より笑えるのが、彼らがいかにも大真面目にやっているように見える点だ。
マノウォー「きよしこの夜」
マノウォーは戦をこよなく愛する。中世の戦いを歌った曲は数知れず、どれも最初は静かに始まるが、最後には顔面も溶けだす壮絶なクライマックスを迎える。彼らはこの「きよしこの夜」で(歌詞はドイツ語!)剣をしばし脇に置いているものの、いつもの通りクレッシェンドで終わる――王にふさわしいフィナーレだ。
ハルフォード「我らはきたりぬ」
ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードはクリスマス好きが高じて、3枚目のアルバム『Halford III: Winter Songs』を全曲クリスマスソングでまとめた。メタルの神様は「我らはきたりぬ」を、ユダヤ教徒とキリスト教徒、両方の胸に響くクリスマスソングに仕上げた。メタルの伝説だけがなせる業。
KORN「サンディ・クローズを誘拐しろ」
キルトにデッドロック、バギーパンツ。KORNが好きなものリストの中には、さらにクリスマスシーズンも入っているようだ。ニューメタルの元祖は20年にわたるキャリアの中で、「ジングル・ベル」(デスメタル調に再解釈された「ジングル・ベル」)やクリスマスの名作詩「クリスマスの前の晩」(粗削りで無機質な「クリスマスソング」に変形)を抑え気味にアレンジしてきた。だが、彼らが贈るもっとも太っ腹なクリスマスプレゼントは間違いなく、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』でロック・ショック・バレルの悪ガキ三人組が歌う「サンディ・クローズを誘拐しろ」。ジョナサン・デイヴィスとその仲間たちは、悪意に満ちたシリアルキラーの幻覚パーティに仕上げている。
アモン・アマース「Viking Christmas」
メロディアスなデスメタルバンド、アモン・アマースは、「Viking Christmas」で修正主義的なキリスト教の歴史に異を唱えた。いや、血に飢えた彼らも、やはりジンジャーマン・クッキーが好きだと認めたのか? さまざまな解釈ができそうだ。
キング・ダイアモンド「No Presents for Christmas」
「No Presents for Christmas」は、店内BGM風にいくつかのクリスマスの定番曲が流れる形でスタートする。そこへキング・ダイアモンドの悪魔のような笑い声が炸裂。キング・ダイアモンドが悪魔崇拝に走ったのも、子どものころにサンタクロースが彼の家を素通りしたせいだろうか?
ディオwithトニー・アイオミ「世の人忘るな」
これぞサバスの本領発揮。何世紀にもわたって愛されてきた讃美歌「世の人忘るな」にほんの少々アレンジを加えただけで、破壊的な楽曲に変えてしまった。アイオミのリフは、ブラック・サバスの『Vol.4』にも劣らぬほどヘヴィー。ディオは絵にかいたようなオペラ的パフォーマンスを披露している。
レミー、ビリー・F・ギボンズ、デイヴ・グロール「ラン・ルドルフ・ラン」
チャック・ベリーからキース・リチャーズ、ビリー・アイドルからシェリル・クロウにシーローまであらゆる人々がカバーし、もはやクリスマスの定番ソングとなった「ラン・ルドルフ・ラン」。だが今回のバージョンは、酒焼けしたレミーの声のせいか、3人がクリスマス「スピリット」にどっぷり浸りながらレコーディングしたようなサウンドだ。
グワァー「Stripper Christmas Summer Weekend」
グワァーは夏にクリスマスを祝う……ストリッパーと一緒に……それも週末ずっと。宇宙からやってきたからといって、彼らモンスターがホリデーシーズンに反応しないわけではない。この曲で、彼らは殺人的なエイリアンならではの祝い方をしている――サンタ本人を犯してしまうのだ。
ヘンリー・ロリンズ「クリスマスの前の晩」
この曲は厳密にいえばヘヴィメタではない。だがヘンリーの曲なので、よしとしよう。ロリンズ版クリスマスの名作詩は、サイレンや銃声などアバンギャルドな音のコラージュをバックに、彼が詩を朗読するというもの。だがロリンズ版では、彼がサンタクロースにハローと手を振るや、かわいそうなサンタはミサイルで空に飛ばされてしまう。
オーガスト・バーンズ・レッド「鐘のキャロル」
クリスチャン・メタルコア集団オーガスト・バーンズ・レッドはクリスマス好きが高じて、メタル風にアレンジしたクリスマスキャロルと定番曲でまとめたインストゥルメンタルアルバム『August Burns Red Presents: Sleddin Hill, A Holiday Album』を2012年にリリースした。だが彼らが最初にクリスマス・スピリットに足を踏み入れたのは2007年、みんな大好き「鐘のキャロル」をカバーしている。もともとかなりメタル調な楽曲が、さらに破壊的で壮大な楽曲になった。
クリストファー・リー「リトル・ドラマー・ボーイ」
重厚で力強いリフがバックに鳴り響く中、91歳のイギリスの名優クリストファー・リーがこの世のものとも思えぬ低いバリトンで、荘厳としか表現しようのないパフォーマンスを見せる。今回のリストに登場したメタラーたちもそれぞれに素晴らしいカバーを送り出しているが、「ラ・パ・パン・パン!」と唸るサルマン本人を超えられる者などいるだろうか?
From Rolling Stone US.
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