1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 音楽

PassCodeが武道館に立つ意味、サウンドプロデューサーと南菜生が語るグループの軌跡

Rolling Stone Japan / 2020年12月24日 21時0分

写真左から、PassCodeサウンドプロデューサーの平地孝次、PassCodeの南菜生

PassCodeがメジャー3作目となるフルアルバム『STRIVE』を発表した。彼女たちの特徴であるヘヴィなサウンドに、今回は良質のメロディも注がれ、3作目にしてついに名刺代わりとなる傑作に仕上がった。

PassCodeのサウンドをメンバーとの二人三脚で支えるのはサウンドプロデューサー平地孝次。これまで積極的に表舞台へ出てくることのなかった彼が、今回ついに登場。この機会に、メンバー南菜生も交えてPassCodeサウンドについてじっくり掘り下げようとしたが、話は思わぬ方向へと展開。結果的に、平地とメンバーの精神的な結びつきを理解することでPassCodeという稀有なグループの正体が見えてくるのだった。

―まず、最新アルバム『STRIVE』について聞かせていただきたいんですが、平地さんはどういう意識で今作の曲作りを始めたんでしょうか。

平地孝次 今年5月にシングル「STARRY SKY」を出した段階で、次の作品がフルアルバムになることは決まっていて、「ATLAS」(2019年9月リリースのシングル)などの既存のシングルやそのカップリング曲が収録されることもほぼ決まっていました。今回に限った話ではなく、アルバムの場合は最終的にどういうバランスになるのかというのが一番大事なので、4曲目は「ATLAS」、みたいにある程度曲順を決めておいて、「じゃあ、この曲とこの曲の間にはこういう曲があったほうがいいかな」みたいな感覚で曲を作っています。穴埋め系の作り方ですね。



―ということは、今作の全体像も最初からあったわけですね。

平地 ある程度は。例えば、1曲目は「SPARK IGNITION」みたいなミドルアップテンポのPassCodeらしい曲で、2曲目は変な曲、みたいな。なので、最初にすべての曲に仮タイトルを付けていくところから始めるんです。



―仮タイトルを付けていく?

平地 はい。「なんとなくこんな曲」っていう。ちなみに、2曲目の「Majestic」は「変態」という仮タイトルでした(笑)。

―(笑)。平地さんはサウンドプロデューサーという立場ですけど、ある意味では言葉も大事にしているということですよね。

平地 そうですね。曲を作り始める前の仮タイトル「変態」があって、そこから曲を作り始めて、まだ歌詞がついていないデモを提出する段階ではもうちょっとまともな仮タイトルを付けて、そこから作詞をしてもらって、歌が入って、正式タイトルが決まるという流れです。

―じゃあ、歌詞は平地さんが付けた仮タイトルを元に作られていくということですか。

平地 ああ、それも影響してるみたいですね。


サウンドプロデューサーが描いた最新アルバムの「設計図」

―ということは、例えば「Seize Approaching BRAND NEW ERA」は「STARRY SKY」のカップリング曲ですけど、その時点でアルバムを見据えて作っていたということですよね。

平地 でも、カップリング曲にも初回限定盤に入る曲と通常盤に入る曲の2種類があるんですけど、作った段階ではどっちのカップリングにするかは決まってなくて、「この曲はアルバムに入れたいからこっちのカップリングにしよう」っていうふうに決めてます。

―ん? それはどういうことですか?

平地 なぜかいつも初回限定盤のカップリング曲をアルバムに入れることになってるんです。でも、今回はスタッフとちょっとした議論があって、「ATLAS」初回盤のカップリングで今作の11曲目に入っている「GOLDEN FIRE」は、同じく「ATLAS」の通常盤に入ってる「Futures near by」とどっちにするかギリギリまで迷ってたんです。どちらも入れる案もあったんですけど、それは違うかという話になってこうなりました。

南菜生 そうなんや。「Futures near by」は初回盤じゃないから最初から入らないと思ってたんですよ。「GOLDEN FIRE」も「Futures near by」もライブの主要曲になってて、メンバーの中でもカップリング以上の価値がある存在なのでどっちが入ってもおかしくないと思ってたけど、アルバムの聴き心地を考えると「GOLDEN FIRE」やったんかなって。

―今回、作品全体の設計図を作る時点でどういう作品をイメージしていたんですか?

平地 これまでもアルバムのテーマはなんとなくあって、1stアルバム『ZENITH』は激しい曲ばかりが入った、PassCodeの挨拶代わりになるようなアルバムにしようと思っていて、2ndアルバム『CLARITY』でバラエティ豊かになって、その2枚を経た上で、今回はふたつのアルバムのいいところを取ることでアップデートしたいと思ってて、『CLARITY』みたいな幅広さもありつつ、『ZENITH』みたいな激しい曲もある新しいものにしたいと思ってました。





―なるほど。『ZENITH』以上に激しいし、『CLARITY』以上にメロディアスでキャッチーなものになったと思います。やちいさん(南の愛称)は今作についてどう感じてますか?

南 録ってるときよりも出来上がってからのほうが好きでよく聴いてます。自分たちの曲をアルバムリリース前に繰り返し聴くことはあまりないんですよ。練習とか振り入れの時に聴きたくなくても聴かなきゃいけないんで(笑)。だけど、今回のアルバムは何か作業しながら聴くことが多くて、それはメロディがよくなって聴きやすい曲が揃ってるからなんだと思います。

―今作はアルバムの流れがすごくいいと思うんですが、それは最初からしっかり設計図ができていたからなんですね。

平地 僕の目標どおりになったのでうれしいです。


アイドルソングを作るセンスが全然なかった

―4人の歌が入ることで新たに感じたことはありましたか?

平地 昔に比べてできることが増えてると思いました。昔は「これを歌えるようにしなきゃ!」って感じでレコーディングに臨んでいたんですけど、今回は歌えることは当たり前で、その上で何ができるか……例えば、高嶋楓ならあのキャラを曲の中にたくさん入れたいし、4人それぞれが自分を出していくことが僕の中でのテーマでした。

―今回、各メンバーの声がこれまでよりも聞き分けやすくなったように感じているんですけど、それは平地さんの意識がそうさせたんでしょうか。

平地 それがいい形で表れたんだと思います。全員で歌うところとひとりで歌うところをより差別化するために今回からやり始めたことがあって、これまでは4人で歌うところはオートチューンをかけっぱなしにしてたんですけど、今回はオートチューンを外して、生の声を重ねてるから4人で歌うときの圧がすごいんですよね。逆に、ひとりになったときはそれぞれのキャラに合ったオートチューンがあるので、そうやって差別化するのを目標にしてました。

南 最近、夢菜(今田夢菜)以外の3人がユニゾンで歌うパートが増えていて、昔のアルバムを聴くとユニゾンが子供っぽく感じる時があったんですけど、今回はメンバーそれぞれの歌もそうですし、平地さんがやり方を変えたこともあるのかもしれないですけど、ユニゾンが聴きやすくなってると思って。あと、普通に歌うと3人とも声質が似てる部分があるので、「このパート、誰が歌ってたんやっけ? あ、3人や」ってことがよくあるよなっていう話をメンバーともよくしてます。

平地 最近の曲だと3人のユニゾンが多いから、その重なった声がもうひとつのPassCodeの声になってきてるところはあるかもしれないですね。

―そもそも、平地さんは作曲を始めた頃からこういう曲を作ってたんですか?

平地 最初は全然違う音楽をやってたんですよ。元々映画音楽の作曲家になりたいと思ってピアノを弾いてた人間なので、ジブリ音楽の久石譲さんから入ってるんです。

―そこからどうやってこの音楽にたどり着くんですか?

平地 歌が入った曲に興味を持ち始めるきっかけになったのが作曲の専門学校に入ったタイミングで好きになったAKB48さんで、「こういう曲を作れるようになったら仕事になるのかな。自分でもアイドルを作りたいな」と思ったんです。そこからすぐに南と出会って作ったのが旧PassCodeと言われるもので、そのときはAKBさんみたいな曲を作ってました。

南 AKBだけじゃなかったですよね。SUPER☆GiRLSっぽい曲もあったり。

平地 でも、そういうアイドルソングを作るセンスが全然なくて(笑)。


PassCodeサウンドが生まれた背景

―平地さんは自分でバンドもやっていたんですよね。

平地 アイドルを作るちょっと前に、PassCodeが所属している事務所の社長・法橋昂広と、PassCodeのデザインなどをやってる映像制作チームTHINGS.の大山卓也と組んでました。でも、普通のバンドをやるのも面白くないから、僕は作曲の学校でパソコンにも触れるし、「シンセサイザーの音を一緒に流すようなバンドやろうや」って。僕はPerfumeも好きやったんでオートチューンも使うことにして、それが今のPassCodeの音楽につながってるんですよね。

―なるほど。

平地 で、旧PassCodeを始めて1年ぐらい経ったときに、「あかん! センスない!」ってなって。

南 そのバンドでやってた曲のひとつが、今でもPassCodeの曲の中でファンの方から一番人気のある「Club Kids Never Die」なので、それは平地さんが昔からいい曲を作ってたってことなんですよね。あの曲が盛り上がるのって自分たちの力じゃなくて、楽曲のよさなんですよ。この曲をセットリストに入れておけば安心できるし、絶対みんなが楽しんでくれると思えるんです。

平地 あの曲には本当にお世話になってるというか、もはや人生なんですよ。元々あの曲は専門学校時代の課題用に作った曲で、のちにバンドをやることになったときに、「あ、あの曲をやろう!」ってことでバンドでも使うようになって、そのあとPassCodeをやることになったときに「あ、あのバンドのときの曲をやろう!」って。だから、学校に提出した曲が回り回ってPassCodeの曲になって、ずっと僕の人生に寄り添ってくれてるんですよ。

―やちいさんとしては旧PassCodeの曲はどうだったんですか?

南 全然悪くなかったんですよ。オートチューンを使ってる曲もその頃からあったし、今のPassCodeをやる上で必要な過程だったんだろうなって今は思ってます。平地さんはAKBみたいな曲を作る才能がなかったって言いますけど、当時はアイドルの数が多い時代だったし、たまに昔の映像を見て思うのは、単純に自分たちの実力不足なんですよね。歌もダンスもやったことなかったんで、「どれだけいい曲もらっても売れへんやろ」って思うし。だから、今聴いてもいい曲はたくさんあるので、埋もれてしまってたのがもったいない気はずっとしてます。

―形を変えて復活するっていう手もあるんじゃないですか。

南 ファンクラブの会員限定とかで公開したら面白いかもしれないですね。でも、今のPassCodeがそれをやってもあのときの感じって出ないんですよ。もちろん、当時も本気でやってたんですけど、お遊びにしか見えへんっていう(笑)。

―今の自分からすると(笑)。

南 そうそう(笑)。でも、それはそれであの頃のよさやったんやろうなって。今みたいな路線になったときに、それまでファンだった方が自分たちの好みではないからってライブに来なくなってしまったんですけど、それは楽曲が変わったからPassCodeのことを嫌いになったわけではないんですよ。誕生日になると未だに「おめでとう」ってリプライを送ってくれる人もいるし、そういうことも全部含めていい期間だったなって今でも思ってます。


今後の方向性を決めたミーティング

―AKB的な曲から作風がガラッと変わるわけですが、今の形になった経緯を教えてください。

平地 旧PassCodeで1年ぐらい活動してたんですけどお客さんが全然増えず、体力だけ消耗するような時間が続いて、当時僕が働いてたミスタードーナツの店内でやちいと会議をして、このままやっていくのか、それともリニューアルするのかということになったんです。でも、当時は大阪で激しい音楽をやってるアイドルはいなかったし、僕らが出させてもらってたイベントも狭いシーンで仲良くさせてもらってた人たちだったので、音楽性を変えることでそういう人たちから嫌われて活動の場がなくなってまうかもしれんっていう不安もあって。だから、「音楽性を変えてみてあかんかったら辞めよう」って話してたんですよ。「1年もやったし、ええ思い出になるんちゃうかって。でも、もしこれがきっかけで見てくれる人が増えたら、そのときは元のスタイルに戻ってもいいなとも思ってて、あくまでも入り口として変わったことをやってみたかったんですね。

南 その1年って観に来てくれるお客さんは多くて10人ぐらいで、自分たちのことを知ってもらうのも大変やったし、ファンの人たちも「自分たちが毎回行かないと」っていう意識が多分あって、お互いがすり減っていくような活動をしていたので、この状態でずっと続けるのは厳しいなと思ってたんです。そういうときに「メンバー増やしてみん?」とか「曲の方向性変えてみん?」みたいな話になったので、「あ、これは辞められへんぞ! タイミングを失った!」と思って(笑)。

―あっはっは!

平地 やちいは進学も考えてたもんね。

南 そうそう。そのときは高校2年生だったから受験があったし。まあ、辞めんでよかったから全然いいんですけど、そのときは「新しいメンバーが入る? 辞められへんぞ? どうする?」っていう思いと、自分も元々バンドサウンドのほうが好きなので、「ちょっと楽しみやな」っていう思いがあって。でも、そのときはPassCodeを仕事にできるとは思ってなかったし、当たり前のようにちゃんと高校卒業して大学に行かなあかんと思ってました。あのときのPassCodeはただ楽しいというか、平地さんの真面目なお遊びに自分も参加してる、みたいな感覚のほうが強くて、売れるとか売れへんとか以前の話やったかもしれない。

平地 でも、あの当時の僕らが思ってた「売れる」って、大阪BIGCAT(850人キャパのライブハウス)でライブすることだったんですよ。

南 そうそうそう(笑)。しかも、ワンマンじゃないですよ? 「BIGCATのステージに立てたら売れてる!」みたいな感覚だったんですよ(笑)。


全部自分たちの手元で回ってる感じだった

―あはは! そういう状態だと、音楽性を変えることに対してもそこまで重く考えずに、面白そうだからやってみようぐらいのノリだったんですか?

平地 どっちかと言えばそうですね。ただ、当時ついてきてくれてた10人以下のお客さんも無理して旧PassCodeの活動を支えてくれてたので、そういう人たちを悲しませる結果になるかもしれないっていうリスクはありました。

南 そこだけでしたね。私は元々バンドサウンドのほうが好きっていうのは平地さんには伝えてたし、曲が変わることに対して抵抗はなかったんです。それよりも、1年間ずっと支えてくれてた人たちのことを裏切ることになっちゃうんかなっていう不安が大きくて。10人以下のファンだったけど、自分たちのことを好いてくれてるお客さんの人数ってあまり関係ないんですよ。だから、そこだけは心配してましたね。

―違う音楽はやってみたいけど、ファンのことは裏切りたくない。そうやって苦渋の決断の末に生まれた曲が「アスタリスク」なんですね。

平地 そうです。懐かしい。



南 でも、「アスタリスク」を作ってるときにはもう、『ALL IS VANITY』(2014年9月にリリースしたインディーズ1stアルバム)の曲もどんどん作ってましたよね。

平地 そうだね。あの頃は最小規模で制作してて、今アルバムを作るとなったら、ドラムから録って、エンジニアさんにミックスしてもらって……っていうことになるんですけど、あの頃は全部自分でやってたんで、えげつないスピードで曲を作ってたんですよね。

南 そうそう(笑)。平地さんは「上手くいかんかったら辞めよう」みたいなことを言ってましたけど、こっちから見てるとやる気満々だったんですよ(笑)。そんだけ用意されたらこっちもやるしかない。

平地 なんか、あれはあれでいい時代でしたよ。

南 全部自分たちの手元で回ってる感じでしたもんね。

平地 僕の作業部屋と同じ建物でメンバーが練習してたんで、練習の合間にメンバーが僕のところに来てレコーディングしてって、本当にフットワーク軽くやってましたね。

―「ここ、ちょっとできたから歌って」みたいな。

平地 本当にそんな感じですわ。


目標よりも「気合い」で勝負

―リニューアル後のライブはどんな反応だったんですか?

平地 「アスタリスク」のMVを公開してちょっと時間を置いてから初ライブがあったんですけど、人生初の何十人っていうラウドアイドルファンのお客さんがPassCodeの取り置きチケットで東京から観に来てくださって、その瞬間は「これはもう、勝ったんちゃうか?」と。しかも、評判もよかったんですよ。

南 それまでは動画の再生回数が1000回超えたことがなかったんですけど、「アスタリスク」のMVが1000回を超えたので、「1000超えてる~! 売れてる~!」って(笑)。

―あはは!

平地 それでちょっと調子乗って、2回目のライブやったらお客さん2人やったんですよ(笑)。「甘ないな、人生」って。

南 全然うまいこといかんかった(笑)。

―そこからどうやって今の形へとサウンドを研ぎ澄ませていくんですか?

平地 どういう感じスか、やちいさん。

南 平地さんがやってみたい曲を作って、それをメンバーにライブでやらせてみて、その反応を見て、「あ、これはちょっと違ってたか」「これはいい感じの反応やな」って感じでやっていってましたね。メジャーデビュー以降はいろいろとやり方が増えたんですけど、それまでは本当にいきあたりばったりで。計画的じゃなかったし、「売れるやろ」みたいな感覚もなかった気がします。「面白そうやね」っていう気持ちでしか動いてなかった。

平地 そうやんね。いついつまでにこういう目標を達成するっていうやり方じゃなくて、その日その日の対バンで勝ちに行くしかないっていう気合い。

南 当時は本当に適当でしたもんね。


ターニングポイントになった曲「Its you」

―平地さんが個人的に転機になった曲はありますか?

平地 難しいけど、「Its you」ですかねえ。



南 ええ~! けっこう最近ですねえ。

平地 それまでのライブでは「Seize the day!!」という曲で締めるのが恒例だったんですけど、それに変わる曲がほしいよねという話になって。「Its you」は「Seize~」のパーツを組み込んだ特殊な作りにして、しかも珍しくメジャーコードを使ったんです。アイドルがメジャーコードを使うとかわいくなりすぎちゃうのであまり使ったことがなかったんですけど、上手く使えば力強くてポジティブな感じになると思って、それが上手くいった曲ですね。ライブでも予想を上回るいい光景が見れて。



南 たしかに、「Its you」がなかったらPassCodeのライブはもっと違うものになってたと思うし、この曲がなかったら自分たちの感情を未だに上手く表現できてなかったと思います。

―「Its you」を作ってから曲作りの幅が広がったところはあるんですか?

平地 だいぶありますね。それ以前に「Ray」というシングル曲を作ったことで「Its you」ができたし、「Its you」ができたことで「ATLAS」にもつながったし、昔やったらこういう曲はあまり浮かばなかったと思います。

南 それこそ、「Anything New」(10月リリースの配信シングル)なんて昔やったら絶対できなかったじゃないですか。あの曲は「STARRY SKY」とか「Its you」とか全部が合わさったことでできたものなんやなってライブをしててすごく感じます。これまでの曲のうちどれかひとつでもなかったら違う曲になってたと思うし、今回のアルバムもまったく違うテイストになってたんだろうなと思うとこの形でよかった。そう思えるのも、これまで出してきたものがすべてよかったからなんだなって。



―これまでに作ってきたひとつひとつの曲に意味があると。

平地 そうですね。僕、けっこう歴史を大事にするというか、続きモノが好きなんですよ。例えば、「STARRY SKY」があったことで「Anything New」が生まれたり、「Seize the day!!」があったことで「Its you」ができた、とか。実は、「この曲ができたからこそこの曲ができた」というのはいっぱいあるんですよ。「Futures near by」があったことで「SPARK IGNITION」ができたり。

南 ふ~ん、そうなんや。

平地 なので、『STRIVE』があるからこそ次の曲がこうなった、みたいなことになると思います。

―平地さんは曲のストックをしないそうですけど、それはストーリーを大事にするからこそなんですね。

平地 きっと、そういうことなんだと思います。ストックしてしまうとそれをリリースするタイミングではもう美味しい状態ではなくなってる気がして。作りたてが一番美味しいし、時間が空くと自分の気持ちも作ったときから変わってしまうと思うんですよ。


「平地さん、武道館で泣くんじゃないかな」(南)

―最近はPassCode以外のアーティストにも楽曲提供をするようになってますけど、そういう活動から刺激を受けることでPassCodeにフィードバックすることもあるんでしょうか?

平地 ほかのアーティストに曲を作るときはまったく別の作業になるので、PassCodeにはつながらないんですよね。モードが違うというか。

―やちいさんは平地さんの世界が徐々に広がっているのを見て、どう感じてますか?

南 平地さんもそうなんですけど、PassCodeのライブのバンドメンバーもずっとPassCode専属みたいな感じでやってくれている方が多いので、それ以外の仕事が増えたという話を聞くと、PassCodeも少しは協力できてるのかなってすごくうれしく思えるようになりました。昔はちょっとヤキモチというか、平地さんがほかのアーティストに楽曲提供してると、「えー! PassCodeの平地さんやのに!」みたいな感覚があったんですけどね。でも、PassCodeの曲はPassCodeの曲でよかったなと思うし、きっと楽曲提供されたアーティストの方も自分の曲に対して同じように思ってるはずなので、今はヤキモチはないです。

―やちいさんにとって平地さんはどういう存在ですか?

南 曲が作れる親戚のお兄ちゃん。

―あはは!

南 「昔はこうやったよな~」っていろんなことを話せる親戚なんやけど、曲も作れるっていう(笑)。曲が作れるっていうのは後からついてくる感じです(笑)。

―「親戚のお兄ちゃん」が先にくるんだ(笑)。

南 「プロデューサー」と「メンバー」みたいな形で接してると思ってる人が多いと思うんですけど、親戚のお兄ちゃんですね。もちろん、尊敬はしてますよ? 平地さんの曲は信頼してるんで自分たちが口を出すまでもないし、平地さんが「これがベスト」って言うならそういうことなんやろうと受け止めて、自分たちができることをやるっていう感じです。

―やちいさんは今後、平地さんに何を望みますか。

南 「STARRY SKY」ができたときに「いよいよやな」って思ったんですよ。それまでは売れる、売れへんよりもステージに立てることが嬉しいし楽しいっていう感覚が大きかったんですけど、「STARRY SKY」ができたときに「こんな曲が売れへんなんておかしいやろ」って思って、実際、オリコン1位を獲ったのに一度もテレビで流れなくて、それがすごくもったいないし、聴いてさえもらえればもっといろんな人に好きになってもらえるのにって思ってたんで、来年「STARRY SKY」を超えるようないいメロディの曲ができたらいいなあって。そういう曲が武道館に立つまでに1曲でも増えたらまたライブが変わると思います。



―今回、結成当初からの話を振り返ったことで、PassCodeが日本武道館に立つということによりグッときます。

平地 本当ですね。

南 去年はZeppツアーをやるってことでキャーキャー言ってたのにね(笑)。

―平地さんとしても武道館は感慨深いんじゃないですか。

平地 そうですねえ。BIGCATに立てたら成功と思ってたところから始めてるんで……おばあちゃんにもちゃんと報告しよう。

南 呼んであげてくださいよ、お兄さんとかも。

平地 ああ、僕の兄は元々PassCodeの運転手をやってくれてたんですよ。

南 本当に身内がなんでもやってたグループで、平地さんのお兄ちゃんに運転してもらって東京まで行ったり、パナさん(所属事務所社長の愛称)のお父さんを借り出して東京に連れて行ってもらったり。

―なんか、今日は思いがけずいい話が聞けました。

南 平地さん、武道館で泣くんじゃないかな。

平地 泣くと思いますよ。

南 でも、けっこう冷徹な人間やからなあ。PassCodeのライブで泣いたことないでしょ?

平地 いやいやいや……でも泣いたことないかな。武道館までとっとくわ。

南 泣いてほしいなあ(笑)。なんか、いろんなものを持っていたグループが武道館に立つのとは意味が違うと思っていて。PassCodeみたいにゼロからみんなで作ってきたからこそ感じられるものがたくさんあると思うのでそれがうれしいです。「何も持ってなくてよかった!」って思うんですよね。



<INFORMATION>

・初回限定盤 [CD+DVD]


・通常盤


Major 3rd Album
『STRIVE』
PassCode
USM JAPAN
発売中

https://passcode.lnk.to/STRIVE

【CD】

01. SPARK IGNITION
02. Majestic
03. Shedding tears
04. Seize Approaching BRAND NEW ERA
05. Yin-Yang
06. ATLAS
07. Stealth Haze
08. STARRY SKY
09. Anything New -PrayInTheSky Edit-
10. yours
11. GOLDEN FIRE
12. Remnants of my youth

【DVD】
PassCode Documentary & Interview 2020
SPARK IGNITION -Music Video- & -Behind The Scene-
Anything New -Music Video- & -Behind The Scene-
STARRY SKY -Music Video- & -Behind The Scene-
ATLAS -Music Video- & -Behind The Scene-

「ROAD TO BUDOKAN」特設サイト
https://passcode-official.com/budokan/

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください