薬物に翻弄されたクラブ界の元カリスマが死亡、自称「わがままなジャンキー」の歩み
Rolling Stone Japan / 2020年12月27日 19時0分
伝説のパーティ・プロモーター、マイケル・アリグが現地時間25日に亡くなった。
米ニューヨーク市にあるアッパーマンハッタンの自宅で、ドラッグの過剰摂取と思しき原因で死亡したという。ニューヨーク・デイリーニュース紙が公式筋からの情報として報じている。享年54歳。
報道によれば、アリグはヘロインを服用してまもなく午前3時ごろに意識を失った、と彼のボーイフレンドが警察に語ったそうだ。救急救命士が現場に駆けつけたときには死亡していたという。
90年代、アリグはピーター・ガティエン氏が経営するナイトクラブ帝国(ライムライト、パラディウム、トンネルなど)のパーティ・プロモーターとして名を馳せ、ヴィレッジヴォイス誌のマイケル・ムスト記者から「若いクラブ仲間のカリスマ的存在」と呼ばれた。1996年、アリグは麻薬密売人のアンドレ・エンジェル・メレンデス殺害に関与したことを認め、17年間服役した。ドラッグ絡みの金の問題は暴力沙汰へ、最終的には凄惨な事件へと発展。「フリーズ」ことロバート・リグスがメレンデスの頭をハンマーで殴りつけたあと、アリグがスウェットを押し付けて窒息死させた。
2人は切断した遺体をバスタブに隠した後(氷とCalvin Kleinの香水エタニティをまき散らしてごまかした)、1週間以上もパーティに明け暮れ――ヘロイン、ケタミン、コカイン、フルニトラゼパムを乱用してぶっ飛びながら――別室でメレンデスの遺体が腐敗しているにも関わらず、友人らをアパートに招き入れていた。腐敗臭に耐えられなくなると、2人は遺体をバラバラにしてハドソン川に投げ捨てた。
この事件は、友人の一人であるジェームズ・セント・ジェームズ氏の回顧録『Disco Bloodbath(原題)』の題材となり、のちにフェントン・ベイリー監督とランディ・バルバート監督のドキュメンタリー『パーティ・モンスター』でも取り上げられた。その後アリグの話にインスパイアされた同名の長編映画が制作され、アリグ役をマコーレー・カルキンが、セス・グリーンがセント・ジェームズ役を演じた。また別のドキュメンタリー『Glory Daze: The Life and Times of Michael Alig(原題)』が現在ストリーミングで配信中だ。
【動画】アリグの波乱に満ちた半生はマコーレー・カルキン主演で映画化もされた
刑務所で学んだことは「忍耐」
アリグは2014年に釈放され、本人曰く更生してニューヨーク市に戻った(もっとも、彼が知っているナイトライフはもはや姿を消してしまっていた)。「刑務所で学んだ一番大きなことは忍耐だ」。当時彼は、ローリングストーン誌にこう語った。「昔は独りよがりで自分勝手だった。でも、刑務所では真っ先に施設の時間で行動することを学ぶ。フリーズと僕が最初にメタドン治療のクリニックに行ったときは、36時間ぐらいそこにいた。待合室で寝るんだよ」
「僕はヘロイン中毒の状態で刑務所に入ったが、ヘロインは断薬するのがすごく大変なんだ――とくに刑務所ではね」と彼は付け加えた。「薬を断って、禁断症状を経験して、1週間か1か月も経てば回復するだろうと期待する。それでも回復しなかったので、『畜生、こんな恐ろしい罪を犯した僕のことなんか、きっと誰も許してくれない、だったらいっそハイになって全部やめちまえ』と決め込んだ」
またアリグは、ドラッグに手を出したために独房に入れられたことが心底堪えたとも語った。「あそこは8、9、10年ぐらい経験した。一時期は2年ぐらい素面でいたこともあったんだけど、脳を元通りにするには不十分で、結局またドラックをやり始めてしまった」と本人。「4年ぐらいたってようやく脳がまともに機能し始めた。ああ、質問は独房のことだったね。尿検査で陽性反応が出るたびに、1年独房生活を喰らうんだ。麻薬更生プログラムに入ると、徹底的にやられる。独房に入れられるんだが、そうなるとますます麻薬に手を出したくなるんだ!」
2017年、保釈期間を終えたアリグは、再びナイトクラブの住人として返り咲こうとし、それを記念するパーティを開いた。ゴシップページPage Sixの報道によると、パーティを開いたせいでアリグは脅迫状を受け取った。多くの批判的な人々が、有罪を受けた殺人者を「祝う」ことに非難の声を上げた。「悪い奴らは本当に質が悪い」と、アリグはローリングストーン誌に語った。「彼らは『お前を殺してやる、お前は電気椅子に掛けられるべきだ、この州では死刑が認められていないから、俺たちが代わりにやってやる』って言うんだ」
ドラッグ、中毒、逮捕などさまざまな問題を抱えていたにも関わらず、アリグは悔恨の念を抱きながら社会に溶け込もうとしていた。「あれから18年、昔の自分を振り返ると、恥と嫌悪感しか感じない」。2014年、ニューヨークポスト紙に掲載された記事でアリグはこう書いている。「僕はわがままなジャンキーで、他の人を殺したんだ」
【画像を見る】ドル札吹雪が舞い、クラブ丸ごと精神病棟に 90年代NYのナイトライフを写真で回想
【関連記事】90年代のニューヨークの夜はヤバかった 伝説的クラブの元経営者が追想
from Rolling Stone US
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「ロシアを愛するからこそ、勝たせてはならない」 毒殺未遂・投獄――自由を手にしたロシア反体制活動家が訴える“未来”
日テレNEWS NNN / 2024年11月22日 12時10分
-
リアム・ペインさんの葬儀にワン・ダイレクションのメンバーが参列 黒の服装で別々に会場入り
クランクイン! / 2024年11月21日 14時0分
-
《周りを囲みテーブルの上で行為を強要も》豪華なセレブから囚人へ…ディディ、刑務所で迎えた55歳の誕生日の献立
NEWSポストセブン / 2024年11月13日 11時15分
-
「ワン・ダイレクション」リアム・ペインさんの死に関わる容疑者がテレビで発言
東スポWEB / 2024年11月12日 15時50分
-
「ワン・ダイレクション」リアム・ペインさんの遺体を家族に引き渡し許可
東スポWEB / 2024年11月4日 11時41分
ランキング
-
1とんでもない通帳残高に妻、絶句。家族のために生きてきた65歳元会社員が老後破産まっしぐら…遅くに授かった「ひとり娘」溺愛の果て
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月21日 8時45分
-
2紅白「旧ジャニ出演なし」に騒ぐ人の"大きな誤解" 出演しない理由についての報道の多くがピント外れ
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 13時30分
-
3ファミマの「発熱・保温インナー」はヒートテックより優秀? コンビニマニアが比較してみた
Fav-Log by ITmedia / 2024年11月21日 19時55分
-
4「洗濯離婚」や「エアコン離婚」が起きる納得の理由 熟年離婚の引き金となるのは「ささいなこと」
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 16時0分
-
5カップヌードル、約1割が“アレ”を入れて食べがちと判明 ギャル曽根も「すごい好き」
Sirabee / 2024年11月19日 4時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください