吉田豪が選ぶ2020年の年間ベストソング
Rolling Stone Japan / 2021年1月5日 18時0分
Rolling Stone Japanでは昨年と一昨年に引き続き、プロインタビュアー・吉田豪氏に2020年のベストソング10選を挙げてもらった。
年間ベストは手間の割にギャラが安い本当に過酷な仕事なんですけど、それでもいつかこういう企画で指名される人間になりたくて頑張ってきた部分もあるので、今年も喜んでやらせていただきます!
1.大森靖子「stolen worID」
まず1位は2020年、本当にしんどいことだらけだった大森さん。シングル「シンガーソングライター」も何度聴いたかわからないぐらい大好きだし、アルバム『Kintsugi』もヘヴィな感情がそのまま反映された名盤だったんですが、あえてアルバム未収録の新曲を選んでみました。これは根本宗子さんの完全無観客オンライン舞台『もっとも大いなる愛へ』のエンディングテーマで、作詞と歌には根本宗子さんも参加。それでも歌詞には思いっきり最近の大森さんが反映されていて、”たいして知りもしない奴が助けられなかったとほざいてる 気持ちよくなってんじゃねえよ 私が死んで ご冥福祈ったら殺すよ? あー 死ねなくなっちゃったなー”というフレーズにやられます。ジャケのイラストは青柳カヲルさん。
2.橋本愛「木綿のハンカチーフ」
『Kintsugi』で大森さんとデュエットして、「私の歌唱の本質を見抜いて、誰よりも大森靖子感がある」「誰が真似してもこうはならない」(大森)と絶賛された橋本愛。そんな彼女が武部聡志のピアノに乗せて太田裕美の名曲をカバーしたら、こちらは大森歌唱とは全然違う、女優ならではの生々しさ全開。「アイドルが感情を込めて歌いすぎて暑苦しく、押し付けがましくなる問題」についてはボクもよく語ってるんですけど、感情をこんなに入れているのにサラッとしてて、それでいて全力で心を揺さぶってくるのがやばい。
3.寿々木ここね「FEVER」
SAKA-SAMAここねんのソロ。もともとフィッシュマンズとかが好きな人なので(「いかれたBABY」のカバー動画もYouTubeに有り)、ボ・ガンボス「魚ごっこ」のカバーもアルバムに入ってたりするんですが、だからこそこのラヴァーズ的なオリジナル曲もハマりまくり。ちなみに、さよならさんかくの「FEVER」カバーも最高です。
4.リルネード「もうわたしを好きになってる君へ」
「でんぱ組虹コンJr.メンバー募集オーディション」の落選者から選ばれたディアステージの3人組。曲が全部いい&ルックスもいいのは知ってたんですけど、イベントに出てもらったらメンバーのキャラクターから人間性から何から全部良くて、プロデューサーである元虹のコンキスタドール・奥村野乃花の手腕はすごいと思いました。メンバー同士もプロデューサーともみんな仲いいのも好感度高い。
5.きららとりつこ「Good day (Acoustic Version)」
川上きらら(うさぎのみみっく!!)と児玉律子(FAREWELL, MY L.u.v)が、お互いのグループの曲を長谷泰宏(ユメトコスメ)らが手掛けたアコースティックアレンジした4曲入りシングル収録の、フェアラブ曲。とにかく曲もアレンジも演奏もいいしメンバーも当然いいし、ライブではダンスもなく歌に専念することで歌声の魅力も再認識。なお、児玉律子さんは最近、思春期をこじらせてフェアラブのライブを欠席したりと不穏な行動も多いんですけど、先日このユニットでボクのイベントに出てもらったとき直接聞いたら、このユニットでの活動は楽しいとのことでした。
6.Rocketship plays くり子「Autumn Melody」
黒猫の憂鬱というセルフプロデュースユニットで作曲を担当していた、くり子。2016年にグループが解散した後は「コバルトブルーは白昼夢」という男女ユニットで活動したり、期間限定で黒猫の憂鬱を再結成させたりしてたけど、Twitterのアカウントも消滅して何をやっているのかわからなくなっていたら、なぜかこんな音源がBandcampで配信開始! くり子の曲を、トラットリアから日本盤が出ていたあのRocketshipがアレンジして歌う! 超名盤『A Certain Smile, A Certain Sadness』以降は難解な音楽性になっていたけれど、これは完全にあの頃のRocketship! そして、最近のRocketshipがあの頃のポップさに戻って活動していることも知る。
Autumn Melody by Rocketship
7.生田絵梨花&海宝直人「Around The World」
コロナの影響で休館を余儀なくされたシアタークリエで行われた無観客配信プロジェクト『TOHO MUSICAL LAB.』の、根本宗子脚本・演出、清竜人作詞・作曲による舞台『Happily Ever After』。主演の生田絵梨花&海宝直人が歌うのがこれなんですけど、乃木坂の人が清竜人25みたいなことやってて、しかもすごくいい曲! とにかく、まずはサントラ盤を出すべき!
8.OKAMOMOS「アイアムモモ」
でんぱ組を抜けてリリースがなくなった後もCMソングとかでボクのベスト10にはランクインし続ける、最上もが。これもOKAMOTOSとのコラボでSo-net=ポストペットのモモをモチーフにした動画に出演したときの曲なんですけど、適度に力が抜けたヴォーカルとバンドサウンドのバランスが絶妙。なお、最上もがは久しぶりに音源も配信リリースしたんですけど、その作曲が小林泉美なことにも驚きました。歌手活動もっとやって欲しい。
9.後藤輝基「悲しみSWING」
ブランキーと長渕剛が好きなフットボールアワー後藤さんが、藤井隆さんのレーベルのコンピで、本田美奈子をカバー。しかも「孤独なハリケーン」と「あなたと、熱帯」の間にリリースされた、あまり印象に残ってない87年作品が、スカート澤部渡さんのアレンジで大人の色気を感じるAORに。マジ歌のとき以上にマジ!
10.高野政所「ドルショック竹下のMADBeatz」
シングルマザーの漫画家・ドルショック竹下先生が、高野政所さんにに自腹で1万4200円支払って、「自分のゆきずりのセックス音声を元にMADBeatzを制作してほしい」とオファー。その結果、音も映像も心底くだらない仕上がりになっていて、バズりはしたけど音楽的に評価する人は皆無みたいだから、ここで評価しておきます。最高。
それ以外に2020年の良かった曲を順不同で。
なにぬねるん?「ボーイズビーアナーキー」
赤い公園「pray」
重盛さと美feat.友達「TOKYO DRIFT FREESTYLE」
井上梨名「恋して❤りなウェーブ」
ダブルハピネス「ソラニン」
ポセイドン・石川「キュン」
しろいこ「テレパシボーイ×アンドロメダガール」
FRUN FRIN FRIENDS「ワンダーランド」
ねもぺろ from でんぱ組.inc「♡夜ふかし乙女のドキドキはっぴぃでぃず♡」
ルカタマ「SUNDAY GIRL」
グデイ「マカロニ&チーズ」
エレクトリックリボン「fallinrollinlove」
ギュウ農フェス応援ソング「Arise-それぞれの場所へ-」
Task have Fun「あしたに向かうダイアリー」
佐々木喫茶「フォーリンラブ (feat. 戦慄かなの)」
Twinkle「花フラワー」
ピューパ!!「ねぇ」
岬イル「タイムクロック」
根本凪「ゆめをみる」
CUBΣLIC「KISS KISS CUBΣLIC」
爆裂女子「Against the drain」
POMERO「虹色ガール」
Mellow Mellow「メインストリートは朝7時」
せかいシティ「台北サイダー」
PANDAMIC「Good DayなDay」
雨宮未來「ハッピーアイスクリーム」
虹のコンキスタドール「ワンルームマジック」
清 竜人「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」
ukka「恋、いちばんめ」
るなっち☆ほし「漫画喫茶」
小日向由衣「咲く」
めろん畑a go go「撃つな琉陀瓶!」
The Grateful a MogAAAz「ジャンキー 〜僕は依存症〜」
connie「笑顔をつれて feat.南波志帆」
ちょ!*s「まるい」
私立恵比寿中学「Sweet of Sweet 〜君に届くまで〜」
nuance「8月のネイビー」
ピンキーポップヘップバーン「P!NGPONG QUEST」
清原果耶「今とあの頃の僕ら」
尾野寺しずく「君への想い」
S.T.O(里仲菜月&竹越くるみ&小野寺梓)「CROSSROAD」
femme fatale「down shout leaf」
加納エミリ「朝になれ」
降幡愛「Yの悲劇」
めぐちゃん(CV:中島愛)「恋のジングル」
mekakushe「想うということ」
ようなぴ「たいむかぷせるたいむ」
唐橋ユミ「失くさないで、忘れないで」
里咲りさ「Love is over」
フレスプ「永遠のラヴァーズ・コンチェルト」
谷のばら「ひゃくぶんのいち」
折坂悠太「トーチ」
木下百花「卍JK卍」
早坂七星「おうちデート!」
テレパシー・モーニング「テレパシー・シグナル」
Kaede(Negicco)「Pinky Fluffy」
HikuteAmata「ヒクテアマタ」
高橋由美子「風神雷神ガール」
2020年はいいアルバムも多かったので、そっちも順不同で挙げておきます(基本、アルバムに選んだ人は曲では選ばないルール)。
大森靖子『Kintsugi』
RAY『Pink』
川上きらら『16歳のアリス』
新山ひな『みんなが変化球に走るので、私、アイドルを独占させてもらいます。』
広瀬愛菜『17』
RYUTist『ファルセット』
NaNoMoRaL『macra no souji』
イヤホンズ『Theory of evolution』
ラブリーサマーちゃん『THE THIRD SUMMER OF LOVE』
回せ!グルーヴ開発部『RGB』
EMOE『Negative』
眉村ちあき『日本元気女歌手』
SAKA-SAMA『君が一番かっこいいじゃん』
なんちゃらアイドル『さよならOdyssey』
武藤彩未『あの頃、君に渡したプレイリストを今でも僕はくちずさむ。』
富山PRガール(仮)『MOUNTAIN』『WEALTH』
ナックルチワワ『おかわり』
サンダルテレフォン『Step by Step』
ステラシュガレット『君と出会った頃』
ごいちー『Shining Wonderland』
電影と少年CQ『クロニックデジャヴのピクチャーショウ』
平日管理委員会『土曜ちゃん日祝ちゃん3』
KOTO『てうりべすとあるばむ2』
OCHAWANZ『Mellow Madness』
彼女のサーブ&レシーブ『kanosare』
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