中島みゆきから世間へのエール プロデューサーの瀬尾一三とともに振り返る
Rolling Stone Japan / 2021年1月7日 19時30分
日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出していく。2021年1月の特集は、中島みゆき2021。2020年12月に発売になったセレクションアルバム『ここにいるよ』を全曲紹介。第1週目は本アルバムのDisc1エール盤を、1988年以来、中島みゆきのプロデューサー、アレンジャー、音楽監督を務める瀬尾一三をゲストにお送りする。
田家秀樹(以下、田家):こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」案内人、田家秀樹です。今流れているのは、中島みゆきさんの「空と君のあいだに」。昨年12月に発売になったセレクションアルバム『ここにいるよ』の1曲目です。今週と来週の前テーマはこの曲です。
関連記事:中島みゆきは「戦友」 プロデューサー/アレンジャーの瀬尾一三が語る
今月、2021年1月の特集は中島みゆき。1975年デビュー、押しも押されもせぬ日本を代表する唯一無比の揺るぎないシンガー・ソングライター。去年の12月には、セレクションアルバム『ここにいるよ』が発売になりました。2020年は人類史に残る悲劇の年になりました。地球上から音楽が消えてしまった。中島さんも昨年のラストツアーが中止になるという、初めての経験をしました。今年こそ音楽が戻って欲しい。音楽に留まらず、誰もが日常に帰れるようになってほしい。そんな願いを込めて、2021年最初の特集はこの2枚組セレクションアルバム『ここにいるよ』の全曲紹介です。
ゲストには1988年以来のパートナー、プロデューサー、アレンジャー、音楽監督の瀬尾一三さんをゲストにお迎えしました。去年も一昨年も1月のゲストは瀬尾さんなんです。3年連続恒例のゲストになりました。あけましておめでとうございます。
瀬尾一三(以下、瀬尾):あけましておめでとうございます。変わり映えしないでごめんなさい。恒例でなくてもいいんですけど、本当にありがたいことです。こんなおじさん2人でいいんですかね?(笑)
田家:昨年、一昨年、その前の年は年始ではなく年末でしたが4年連続です。なぜかというと、瀬尾さんのコンピレーションアルバム『「時代を創った名曲たち」〜瀬尾一三作品集 SUPER digest〜』の1、2、3や、中島みゆきさんの新作やライブセレクションなど、作品のリリースがあってということでした。今年は中島みゆきさんのセレクションアルバム『ここにいるよ』の全曲について伺おうと思っております。まずは、同アルバム1曲目、「空と君のあいだに」をお聴きください。
空と君のあいだに / 中島みゆき
田家:1994年のシングルで、アルバムは同年にリリースされた『LOVE OR NOTHING』に収録されております。今回のセレクションアルバムのタイトル『ここにいるよ』も、この曲の歌詞からとったんだなと思いました。
瀬尾:そうです。
田家:なぜこの曲で始まっているかがよく分かるというのが、「ここにいるよ」という歌詞が入っているだけではなくて、「君が笑ってくれるなら」という一節ですね。去年から今年の年明けの気分でもあるんだと思うんですね。
瀬尾:明るい話題があまりになかったので。せめて笑っていたいですよね。おかしくて笑うだけではなくて、夢見て微笑むとか家族や家庭など身近なものに対して、今まで仕事などで忙しくて見過ごしていたものを見つめる時間を作ってくれたのかもしれないですね。そこには幸せや微笑ましいことがあったりするかもしれないので、そういうものを感じて欲しいというのもあったかもしれません。
田家:Disc1にはエール盤というサブタイトルがついています。
旅人のうた / 中島みゆき
田家:続いて同じく2枚組セレクションアルバム『ここにいるよ』のDisc1の2曲目「旅人のうた」。1995年のシングル、アルバムは1996年『パラダイス・カフェ』に入っておりました。イントロがとても耳に残る曲ですね。瀬尾さんは、イントロの魔術師と言われております。
瀬尾:これもドラマ『家なき子』のシーズン2の曲で、前のシーズンの主題歌「空と君のあいだに」に負けない感じにしようと。
田家:「空と君のあいだに」の広がり方と「旅人のうた」の重さは違いますね。
瀬尾:そうですね、こっちの方がずっしりというか。お腹に響くような感じで作った感じではあります。
田家:このセレクションアルバム『ここにいるよ』の企画はいつから考えられていたんですか?
瀬尾:コロナ禍の中でツアーが思うようにできなくなってしまった時点で、ツアーに代われるものにはならないですけど、中島さんの気持ちをわかってもらうためにはこの作品で伝えるしかないというのと、新しいレコーディングもこの状況ではできなかったので。だったら、過去に出した作品から皆さんにエールを送れる曲と、側に寄り添ってくれる作品ということで作ろうかという話になりました。
田家:こういう時期だからこそ、こういう選曲のアルバムになったんですもんね。
瀬尾:もしかしたらこういう選曲でセレクションするということがなかったかもしれませんね。
田家:「空と君のあいだに」の後にこの曲が入っているというのもこのアルバムだけかもしれないですね。
瀬尾:さっきの「空と君のあいだに」の広がりの中で言うと、こちらの方がある意味で精神世界を歌っていると思います。「空と君のあいだに」は本人も犬目線で書いたと冗談っぽく言っていますけど、これはもう少し人間の心の中を歌っているので、その辺がちょっと違うんですね。なので、サウンドも少し重くしているんですけどね。
田家:「空と君のあいだに」は、"ここにいるよ"と歌っていましたが、「旅人のうた」は"ここにあるよ"と歌っていました。
瀬尾:”ある”と”いる”では意味が違いますけども、”いるよ”というのはさっきも言った犬の気持ち。”あるよ”というのは、彼女の消えない夢がここにあることを皆に言いたいと思っているので。夢という抽象的なものが、必ずここにあるからねと言っているんだと思います。
田家:人がいるよ、愛があるよと歌っている。「空と君のあいだに」では、”君が笑ってくれるなら”。「旅人のうた」では、”君よ歌ってくれ”。ここですね。
瀬尾:そうですね。歌うっていうのは笑うというよりも能動的なんですね。本当に声を出して歌うわけでなくてもいいんですけど、ちゃんと行動しているという点で前向きな感じですよね。
田家:2021年、世界よ歌ってくれという歌でもあります。
宙船 / 中島みゆき
田家:続いて3曲目。2006年にTOKIOに提供した曲で、「宙船」は2006年のアルバム『ララバイSINGER』でセルフカバーされておりました。
瀬尾:TOKIOの方は船山基紀さんがとてもカッコいいアレンジだったので、僕もちょっとプレッシャーがありましたね。曲は中島さんのものですけど、皆さんの中の先入観としてはTOKIOの方があるので、それと同じくらい認めてほしくて。中島さんが歌うとどうなるのかを考えながら、舩山さんとTOKIOにチャレンジという形で楽しかったです。舩山さんは僕より先に中島さんと仕事していた方ですので、その辺のプレッシャーもありました。
田家:曲順も「空と君のあいだに」、「旅人のうた」からテーマも繋がっているわけで。更に、「旅人のうた」では"あの愛は消えても"と歌って、「宙船」は"お前が消えて喜ぶものにお前のオールを任せるな"と続いている。失うもの、失われるものに対する姿勢が前の2曲よりもっと強くなっている。
瀬尾:結局その人の存在にはそれぞれ理由があるわけなのに、その存在理由さえも無視されてしまうようなことが今の状況では増えてくるわけじゃないですか。無視せざるを得なくなっている人たちもいるかもしれませんが、無視された方は溜まったもんじゃないですよね。でも、その人たちもそれなりに戦っていくしかない。戦うという言い方は良くないかもしれないけど、君はそんなに弱い存在ではないよ、と。だからと言って、強くなって弱いものをいじめるわけでもなく、君がここにいることに理由があるということを分かってくれればいいので。"お前が消えて喜ぶものにお前のオールを任せるな"というのも、あなたの人生はあなた自身で漕げということを言っているわけで。最近、色々な業界単位で瀬戸際が来てますけど、周りに動かされるのではなくて自分自身が進む道、進まなきゃいけない道を探さないといけない。雰囲気だけでは生きていけない時代になってきたので、この歌はぴったりだと思います。
田家:瀬尾さんの作品集『「時代を創った名曲たち」~瀬尾一三作品集 SUPER digest~』もそうだと思うんですが、選曲はスタッフに委ねる部分もありますよね?
瀬尾:最終決定はもちろん本人がします。変な言い方ですけど自分で選ぶと偏ってしまう感じもありますし。ある意味、公平で色々な人の意見を聞きたいというのもありますので、一応皆で色々な案を出して決めます。でも、中島も最終的には選曲や曲順についても「この曲じゃなくてこっち」とか言いますから(笑)。
田家:それでこういう選曲になりました。お聴きいただいたのは「宙船」でした。
糸 / 中島みゆき
田家:そしてこれですよ。4曲目「糸」がここで出てきたかと。
瀬尾:前の3曲で攻撃しすぎたので、少し和んでいただこうと思いまして(笑)。
田家:1992年のアルバム『EAST ASIA』に収録、1998年のシングル『命の別名』のカップリング曲でした。2020年には色々なランキングが年末に発表されましたが、カラオケで一番歌われている曲の上位5曲や10曲には必ず入っていますね。なぜこれほど歌われる曲になっているんでしょう?
瀬尾:テーマも難解ではなく歌詞通りのものなので。若い方から高齢の方までも直接耳に聞こえた言葉がそのままの意味なので馴染みやすいのかもしれません。色々な方がカバーされていますよね。30か40くらいのバージョンがあるらしいんですけどね。
田家:瀬尾さんが色々な方のカバーをお聴きになって、共通してここがちょっと……ということもあるんでしょうか?
瀬尾:田家さん、私が人の歌のことを言えるわけないでしょう(笑)。ただ、中島さんの特徴としては、節と節の間を必ず繋げるんですよね。音程が次の音程に行く前に前の音も残っていたりするんです。例を挙げれば、この曲の冒頭で「なーぜー」っていう部分も"な"と"ぜ"の間で音が繋がってるんですよね。そういうのが曲の中に多々あるんですよ。それで中島さんの個性になっている部分もあります。。
田家:誰もが歌いたい曲になっているんですけど、なかなかみゆきさんのようにはならないですもんね。
瀬尾:それはやっぱり譜面だけを追っているからです。彼女の歌い方を聴かないといけない。
田家:ライブを見ていて思ったんですけど、なーぜーと歌うときに、みゆきさんが少し笑顔になっていますよね。でもカバーだと皆本気で歌おうとするから、その笑顔の感じが出ていないんですよね。
瀬尾:彼女は口角を上げるということが歌う上でとても必要だと思っているのと、表情から歌うということがあるんです。それが中島みゆきという天才たる由縁だと思うんですよね。言霊としても届くじゃないですか。せっかくの作品でも届くか届かないかというのは歌い手の力量になるので、偉そうなことは言えませんけど、皆さんも「糸」でチャレンジしてみてください(笑)。
田家:去年のラストツアー「結果オーライ」では、「宙船」も「糸」もセットリストに入っていましたよね。去年のツアーのことは今どう思われてますか?
瀬尾:ツアーはこれで最後にしましょうというつもりで始めたのですが、全公演の1/3で終わってしまったんですね。これで全国を回るのは終わりにしますという区切りのものだったので、昔の曲とか色々なものを届けようと思って今回こういう曲も入れました。
田家:大阪の1日目のステージでみゆきさんが中止という話をした時に、どういう心境だったんでしょう。
瀬尾:うーん……。その頃は今ほど深刻ではなかったし、まだやれるかもしれないという感じではあったので、その先の会場やミュージシャンも押さえていたんです。それが完全に自粛という形になってから、これで本当にできなくなるんだと思って、ラストツアーなのにこのままでいいのかな? と尻切れとんぼになってしまったのが残念です。
田家:この続きは来週またお伺いしようと思います。お聴きいただいたのは、「糸」でした。
ファイト! / 中島みゆき
田家:アルバムは既にお持ちの方もいれば、お持ちでなくても曲順は知っている、つまり「糸」の後に「ファイト!」が来るのをご存じの方も多いわけで。
瀬尾:これは自画自賛ですけど、今作はベストではなくてセレクションアルバムなので、だからこそ曲順も自由にしていると思います。
田家:「ファイト!」は1983年のアルバム『予感』の最後の曲で、「空と君のあいだに」と両A面シングルでした。『予感』は瀬尾さんが関わられる前の作品ですね。オリジナルは当時、どういう風にお聴きになってました?
瀬尾:僕は吉田拓郎さんのカバーがきっかけで知りました。歌はもちろん知っていたんですけど、そこまで歌だとは思っていなくて。本家のものを改めて聞いたら、これはすげえやと思って(笑)。
田家:説明しますと、泉谷しげるさんが雲仙普賢岳の噴火や阪神淡路大震災の後に日本を救えというチャリティムーブメントを起こして、スーパーバンド構想というのを提唱しました。そこには吉田拓郎さん、小田和正さん、浜田省吾さん、忌野清志郎さんなども参加したんですね。その武道館公演があって。拓郎さんはこの曲をギターで弾き語りしたんですね。
瀬尾:そうでしたよ、ギターしか弾けないし(笑)。
田家:彼は、これは俺の曲だと言ってました。
瀬尾:彼が歌ってもなんの遜色もなかったですもんね。僕も中島さんの曲だというのは知っていましたけど、これは拓郎節だなと思いましたね。字余り的な歌詞から何から全て。でもやっぱり本家はすごいですよ。拓郎さんの方は男としての迫力があるけど、中島さんの方の「ファイト!」は全く違う。中島さん本人に「皆でいけー! っていうファイトなの?」って聞いたら、女の子が優しくファイトって言ってるだけだと。納得しましたね(笑)。
田家:これは有名な話ですが、中島みゆきさんのオールナイトニッポンに来た手紙が曲の元になってます。この「ファイト!」のアレンジは井上堯之さんなんですね。
瀬尾:これ最高ですよね。これ以上のものは作れませんし、もう絶対にいじれません。「ファイト!」は唯一無二で、これしかない。
田家:中島さんが井上堯之さんに編曲をお願いしていたというのがどういうことなんだろうと思ったりしたんですね。
瀬尾:僕も同じ疑問を持ってます(笑)。
田家:それはまだ訊けてないという。
瀬尾:なんでもかんでもは簡単に訊けませんよ(笑)。30年かかって、やっと「ファイト!」について訊けたんだから。
田家:(笑)。「ファイト!」は何度もステージで演奏されてきましたが、このアレンジじゃない時もありましたよね。
瀬尾:それは本編最後やアンコール最後にこの曲を持ってきた時に、もっとパワーを持って帰って欲しいので、心にふわっと届く「ファイト!」じゃなくて、上着に来て欲しいような「ファイト!」にしようとした時があったので、そういう大袈裟にした時期もありました。
田家:大阪公演のアンコールの最後でこの曲を聴いた時に、ゴスペル風で演奏をされて号泣した記憶がありますね。原曲とは違うエネルギーがすごかったんですよ。
瀬尾:あれは舞台上の演出も兼ねてのアレンジなので。そういう認識をしてください。
田家:それもどこかのセレクションアルバムで……。
瀬尾:入れません(笑)。これでいいんですよ、「ファイト!」は。あのアレンジは、たまたまそこに出くわして観に来て下さった方のための「ファイト!」であって。
田家:それがライブ、それが一期一会です。
ひまわり "SUNWARD" / 中島みゆき
田家:続いてセレクションアルバム『ここにいるよ』の6曲目「ひまわり "SUNWARD" 」オリジナルは1994年にリリースされたアルバム『LOVE OR NOTHING』なのですが、このアレンジすごいですね。
瀬尾:気に入りました? ありがとうございます。
田家:今日お聴きいただいている中では、一番映像的と言いますか。
瀬尾:僕は頭の中でいつも映像をイメージをアレンジしているんですが、この曲はひまわり畑の映像が出てきたので。それになるべく近づくように、イメージしやすいようにと思って、イントロはなるべく遠景から始めようと思って。カメラが引いていくと一面にひまわりが生えている。そこからどんどん端っこにカメラが動いていくと人間模様も描かれていたり、色々なものが見えてくる部分を出したいなと思っていました。
田家:鉄条網、戦場、難民キャンプとか想像される歌詞ですしね。
瀬尾:カメラですごくグローバルな視点で物を描いて、そのことについて直接的な表現は一切しませんけども、それが人間対自然だったりとか、そういうところに持っていくのがとても上手で。この曲も諸行無常、自然は続いていくし、人間は名前は変わっても血族みたいなものは続いていくものだから。儚くて必然な描写が、腹立つくらい上手いですよ(笑)。
田家:このイントロから歌の始まりとサビの激しさと間奏の口笛、これいいですね。
瀬尾:ありがとさんです。僕の思ったようにまんまとツボにハマってますね(笑)。
田家:この曲は、一番と二番、三番と歌い方も違うでしょう?
瀬尾:そうですね。ある意味で、この曲でひとつのショートフィルムができる感じで。彼女の中では歌い方でも起承転結をつけていると思います。
田家:そして必殺の転調感。
瀬尾:なんの予告もなしの突然転調ですね(笑)。
田家:この歌の素晴らしさというのもあるんですが、改めてこの歌を聴いて2020年の世界というのはどう見えてきますか。
瀬尾:新型コロナウイルスという自然が作り出したものが全員に平等に降りかかるという絶対性のようなものはコロナ以外にない。僕も老いさばらえていますけど、まだやりたいことはあるし生き残りたいと思うので。田家さんも生き残ってください(笑)。
田家:どんな名前の人の庭にもウイルスは忍び込んで来ますからね。
瀬尾:負けないようにしましょう。
瞬きもせず / 中島みゆき
田家:続いて7曲目、「瞬きもせず」。
瀬尾:この曲はイントロ的に彼女が歌うわけで、予告編的なものが前触れとしてあって本編に入るという感じなので、イントロは短くしました。その後にすぐ彼女自身で予告編をやるという。
田家:予告編という言葉が出ましたが、この曲は山田洋次監督の作品『学校III』の主題歌でした。それもあって最初に予告編があるような作りになったりしたんでしょうか。
瀬尾:だからそうしたというわけではないんですけどね。まず映画のどこに流れるかわからなかったので、どの場所でも編集して繋げられるように作ったはずなんですね。ドラマや映画については、時間が何分何秒と決まっているので、それが大変ですね。
田家:この「瞬きもせず」はまさに時間の歌でもあるわけです。さっき瀬尾さんが人生の残り時間の話をしていましたけど、それは去年誰もが考えさせられたことですよね。
瀬尾:僕はとてもいい機会だったと思っています。自粛の初めの頃はほとんどリタイアした状態だったので、何もしないで家にいたんです。僕は75歳でリタイアしようと思っていたんですけど、それを予行演習させてもらったように感じまして。その瞬間につまんない! やりたいことがまだあるんだな、と思って。だから、このコロナ禍で僕はリタイアを先延ばしにしました。
田家:なるほど。去年の自粛期間のStay Homeの時期をリタイアの先取りと考えられたのは、一つの乗り越え方のヒントになるかもしれませんね。
瀬尾:僕の年齢の方が必ず考えることでしょうけど、可哀想なのは、まだ血気盛んで人生の山を登っていかないといけない人、道半ばの人たちですよね。彼らがこれで挫けてほしくないんですよ。と言っても75歳の定年を延ばしている僕が、もしかしたら老害かもしれないですけど(笑)。でもそれぐらい思っているんだから、皆さんも本当に挫けないでほしいなと思います。僕はそういう風にコロナ禍を捉えています。
田家:なるほど。先月発売になった中島みゆきさんのセレクションアルバム『ここにいるよ』のDisc1のエール盤というタイトルのように、コロナ渦を乗り切って頂ければと。来週もそういう話になればと思います。
田家:FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」、中島みゆき2021Part1。先月発売になったセレクションアルバム『ここにいるよ』の全曲紹介。プロデューサー、アレンジャー、音楽監督の瀬尾一三さんをゲストにお送りしました。流れているのは、この番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説(レジェンド)」です。
2021年、ラジオをお聴きのあなたはどんな始まりをされているんでしょう。去年はどんどんライブがなくなってしまって、ライブを見ることができない日々がこんなにも空疎で、こんなにも虚しいのかということを生まれて初めて経験しました。その中で、自分のキャリアもこれで終わってしまうのかな? と思ったりしてしまいましたが、さっき瀬尾さんの話を聴いて、やっぱりまだたくさんやることあるぞ、という気持ちになってきました。
年明け1月の特集が中島みゆきさんというのは、去年、一昨年とやはり瀬尾さんをゲストにお迎えしてお送りしてます。ふっと思ったのですが、一昔前はみゆきさんとお正月はそぐわないと思われていたかもしれませんね。みゆきさんの歌はおめでたい雰囲気に向かないのではないかというイメージがあった。今は全然違いますね。みゆきさんの歌で色々なことが始まったり、みゆきさんの音楽を支えに毎日を暮らしている方もたくさんいらっしゃるわけです。今回のセレクションアルバムはまさにそういう方のため、そして、音楽がそういう風が聴かれるというアルバムになったと思っております。
Disc1がエール盤、Disc2が寄り添い盤であります。こういう時代だからこそ聴きたくなる曲が入っております。来週もこの話を続けようと思うのですが、今週はお年玉プレゼントがあります。セレクションアルバム『ここにいるよ』の発売を記念しまして、オリジナルクオカードを10名の方にプレゼントします。ご希望の方はFM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」の番組のブログから、ご応募ください。番組ブログのリクエスト・プレゼントバナーから応募フォームを開いてプレゼント希望にチェックを入れて、プレゼント名「中島みゆきオリジナルクオカード」と記入してご応募ください。締め切りは2021年1月31日、当選発表は発送を以て返させていただきます。
<INFORMATION>
田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp
「J-POP LEGEND FORUM」
月 21:00-22:00
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