デヴィッド・ボウイの人気ミュージックビデオ10選
Rolling Stone Japan / 2021年1月10日 11時30分
2020年1月10日、五周忌を迎えたデヴィッド・ボウイ。彼の長いキャリアにおいて、特に人気のあるミュージック・ビデオを紹介する。(US版記事初出:2016年1月10日)
2016年にデヴィッド・ボウイがこの世を去ってから、インターネット上に公開されているボウイのMVにファンが殺到。VevoやYouTubeでは過去に例を見ない再生回数を記録した。記憶に残るシングル曲のビデオクリップを見ることは、世間をあっと言わせたアート感覚と斬新な音楽を自由自在に融合させたロックスターを追悼するにあたり、最もふさわしい手段だった。本誌はボウイのファンに向けてMVの人気投票を開催。集計結果は以下のとおり。
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10.「モダン・ラヴ」(1983年)
ボウイがそれまでのメタファーを捨て、ゴスペルのような会場との一体感を目指したシングル曲。ブカブカの黄色いスーツに身を包み、ビッグバンドを率いている。アリーナ席の観客を前に演奏するスタイルで撮影されており、リトル・リチャードにインスパイアされたコール&レスポンスのスタイルを強調している。
9.「サーズデイズ・チャイルド」(1999年)
David Bowie - Thursdays Child from wndr★ on Vimeo.
「サーズデイズ・チャイルド」のビデオの中で、ボウイは過去を振り返り、自分はどうあるべきだったのか考えている。ある日の終わり、ボウイと妻がバスルームの鏡の前に立ち、2人で寝る前の支度をしている。すると鏡には、自分を見詰め返す若かりし日のボウイが映っている。その横の妻も、若い頃の姿にすり替わっている。
8.「ハーツ・フィルシー・レッスン」(1995年)
David Bowie - The Hearts Filthy Lesson from Josu Sein on Vimeo.
90年代半ばにリリースされたアルバム『アウトサイド』では、再びプロデューサーのブライアン・イーノと組み、ゴシック色を強めている。インダストリアル・ロックの要素を多く含むこの曲のビデオは、暗く悲惨な世界が描かれており、異教の儀式と共に、流血シーンやバラバラ死体などが映し出される。
7.「ヒーローズ」(1977年)
シンプル極まりないこのビデオでも、ボウイは聴衆を釘付けにした。冒頭シーンでは、背後から眩しいライトに照らされ、エイリアンを思わせるシルエットでボウイが浮かび上がる。歌い始めたボウイは曲に合わせて体を揺らしながら、前を見据え、最後まで同じ場所に立ち歌い続ける。
6.「ブラックスター」(2015年)
この超現実的なミュージック・ビデオは、10分におよぶこの長い曲の中で歌われている、政治、宗教、そしてボウイ独特の神話を絶妙に融合させた世界を描いている。長い尻尾を持つ女性が宇宙飛行士の死体を見つけるシーンから映像は始まる。死んでいるのは「スペイス・オディティ」に登場したトム少佐だ。このビデオの中でボウイは、神父、そして遺作「ラザルス」にも登場する「ボタン目の男」など、3つの役柄を演じている。
5.「レッツ・ダンス」(1983年)
同名アルバムのタイトルトラックである「レッツ・ダンス」のビデオでは、西洋による帝国主義、人種差別、弾圧の問題を取り上げている。ボウイと共に監督を務めたのは、デヴィッド・マレット。ボウイは1983年に本誌の特集記事で、この「レッツ・ダンス」と「チャイナ・ガール」のビデオで伝えたかった共通のメッセージについて、「非常にシンプルで、直接的なもの」と述べている。またMVが短編映画風に作られ、世界中で視聴されるようになったことから、「社会に対するメッセージを伝えるプラットフォームとして活用したいと思っている」と話している。このビデオクリップには、日常生活で西洋の帝国主義と葛藤するアボリジニのカップルが登場する。
4.「ラザルス」(2016年)
これがボウイ最後のMVとなったが、暗い予言を伝える内容となっている。ボウイは病室で、死に瀕している人物を演じている。「最も辛かった時期」と言及していた、アルバム『ステイション・トゥ・ステイション』時代に着用していたような白と黒のストライプの服を着た躁状態のボウイが、病室で踊ったり、書き物をしたりしている。監督はヨハン・レンク。ラストシーンでは、ボウイが闇夜のように真っ暗なクローゼットの中へと消えていく。ボウイの死去に際して、プロデューサーのトニー・ヴィスコンティは、アルバム『★』が、ボウイからファンへの「餞別」だったとし、その死を「芸術作品」と表現した。
3.「火星の生活」(1973年)
ボウイ4番目のMV(当時はプロモーション・ビデオと呼ばれていた)で、シンプルかつ華やかな仕上がりとなっている。監督はミック・ロック。明るいオレンジ色に染めたマレットヘアのボウイは淡いブルーのスーツに身を包み、安っぽい化粧をして、何もない真っ白な背景に一人で立ち、まるでグラムロックスタイルの宇宙人であるかのように、この特徴的な曲をドラマチックに歌っている。
2.「Jazzin for Blue Jean」(1984年)
20分間のショートフィルムで、この曲の世界観を映画的に表現している。このビデオの監督は、2年後に映画『ビギナーズ』でも共に仕事をするジュリアン・テンプル。ボウイは一般人「ヴィック」とロックスター「スクリーミング・ロード・バイロン」の2役を演じている。冴えない男ヴィックは、バーでバイロンの大ファンだという女の子に出会い、バイロンの知り合いであると嘘をついてしまう。ヴィックはライブ会場で、女の子を引き合せたいと何とかバイロンを説得する。約束は果たされたが、せっかくのデートは、バイロンにとって代わられてしまう。
1.「アッシュズ・トゥ・アッシュズ」(1980年)
この作品は単に人気があるだけでなく、80年代における最も象徴的なMVの一つとも言える。80年代初めにリリースされた当時、このビデオクリップの制作費はMV史上最高額を記録した。この時代においてもMVは依然として目新しいメディアだったが、ボウイは自分の軌跡と幼い頃好きだったもの(このビデオでは全編にわたり、ケバケバしいピエロの格好で度々登場する)を未来的なシーンの中に描き、時代の先を行く姿勢を世に示している。また刺激的な効果を高める映像色彩補正を至るところに割り込ませ、最先端の特殊効果をうまく利用している。
From Rolling Stone US.
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