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20歳のSSW・伊津創汰が語る、夢を持つ人へ送る歌

Rolling Stone Japan / 2021年2月2日 20時59分

伊津創汰

新潟県出身、20歳のシンガー・ソングライター伊津創汰が、2021年2月3日にファーストアルバム『DREAMERS』を発売する。

2019年に10代限定の音楽イベント「マイナビ 未確認フェスティバル2019」において、応募総数3101組の中からファイナリストに選出。たった一組だけのギター弾き語りシンガー・ソングライターとして、決勝ステージに登場した。

そんな彼によるファーストアルバム『DREAMERS』は、Disc1には昨年リリースされた「Try」など6曲、Disc2は「いちにんまえver.」としてアコースティック演奏での楽曲を収録。20歳を目前に制作された今作は、今の状況や気持ち、やりたいことを詰め込んだ一作となっており、タイトル通り夢に向かっている人々に寄り添いつつも、希望を持たせるメッセージが込められている。

そんな伊津創汰に、音楽との出会いや、夢を持つ人々に伝えたいこと、最新アルバムについて話を訊いた。



ーまず、伊津創汰さんが音楽を始められたきっかけを教えてください。

小さい頃から家の車で音楽が流れていて、マイケル・ジャクソン、Mr.Children、スピッツなどを聴いていました。同時に、10年近く野球をやっていて、高校は野球の強豪校に進学したんです。そこで、周りとの相当なレベルの違いに心が折れてしまって。その頃におじいちゃんがアコースティックギターを持っていることをたまたま知って、それをもらってギターを弾き始めました。野球が冬のオフシーズンの時期だったんですけど、音楽の面白さに気づいて。もしかしたら野球より音楽の方が楽しいかもしれないと思って、冬が明けたタイミングで野球部を辞めてギターにのめり込みました。きっかけはアコギだったんですけど、能動的に何かをやってみたいと思って、没頭して練習を始めたのは人生で初めてのことで。今でも当時と変わらないくらい音楽が好きです。

ー強豪校の野球部を辞めてまで、音楽を始めるのはとても勇気がいりますよね。当時はどんな活動をしていたんですか?

部活も辞めて時間はたくさんあったので、近くのライブハウスに行ってみようと思ったんです。そのライブハウスでは、近くの高校生が集まるようなイベントを時々やっていて。バンドを組んでいる人がほとんどの中で、僕は最初にアコギを持って一人で行ったんですよ。当時はONE OK ROCKが大好きで、僕もそこでバンドメンバーを見つけようと思ったんですけど、見つけられず。そこのライブハウスの店長が「ステージでちょっと歌ってみなよ」と言ってくれて、見てもらってから、時々ライブやイベントに誘われるようになりました。イベントに出ていくにつれて、色々なバンドの曲を一人でカバーしていたんですけど、アコギと歌のみで一人でやっていたので、シンガー・ソングライターの人の曲も聴いてみようと思って。それで秦基博さんの「鱗」を練習してイベントで披露したんです。そのイベントでは史上初の弾き語りで優勝をさせていただいて。その時にアコギ一本、歌一本で勝負するのもかっこいい、それでちゃんと届けられるものがあるんじゃないかな、とシンガー・ソングライターの良さに気づきました。



ー当時はカバー曲が多かったようですが、オリジナル曲を作ろうと思ったきっかけはありますか?

高校二年生の冬頃に、お世話になっていたライブハウスの店長さんに勧められたことがきっかけです。周りの高校生でオリジナル曲を作っている人がいなかったので、曲を作ってライブハウスでレコーディングして、デモCDを作ったら? と提案されて、面白そうだなと思いました。その頃は秦基博さんをはじめ、星野源さんとか高橋優さんなど色々なソロシンガー・ソングライターを聴き始めていたのもあって、自分のオリジナル曲を形にしたいと思って始めました。

ーいきなり曲を作って歌詞も書いて、レコーディングをしてデモ音源を作るってなかなか難しいと思うんです。その苦労はなかったですか?

レコーディングはさすがに手伝ってもらったんですけど、弾き語りの音源なので、作曲は全部自分で最初からでしたね。お世話になっていた方からも、あまり作曲について言われることもなかったんです。コード進行だけ知っていても、歌詞やメロディの付け方は全然上手くいかなくて最初はとても苦戦しました。

ー実際、普段はどうやって曲を作られるんですか?

メロディは、思いついたらすぐに録音するようにしています。お風呂でメロディが浮かんできたら、お風呂を上がって録ったり、街を歩いているときに浮かんだら、ちょっと角に入って録ったりしてます。そうやって溜めたものを、家でギターで合わせてみたりして。それで形になったら、書き溜めていたメモの中から歌に合う物語的な自分の感情を引っ張り出して繋げていって、1つの形にすることが多いですね。物語そのものはあまり書き溜めていなくて、人から聞いた話とか、街を歩いていて見えたもの、それに対する自分の気持ちや感情を書き溜めておくんです。それを改めてストーリーにすることが多いですね。



ー初の全国流通盤『DREAMERS』を作ろうと思った経緯をお聞かせください。

伊津:今回のアルバムの中では、「Try」という曲が最初にできたんです。この曲は、知り合いのプロゴルファーを目指している人に向けて作り始めて、その人の言葉を聞きながら、その人のためにと思って書きました。書いた詞が、夢を目指している僕にもとても当てはまっていたんです。それで、自分のライブで歌うようになった時に、元々知り合いに向けて書いたはずなのに「俺の曲だ!」と思えて。そこから、自分の曲が入ったCDがたくさんの人に渡るということは、自分のことを歌った曲が誰かの手に渡った時にその人の歌にもなる感覚があったんです。自分が思うことを歌った曲が、誰かの手に渡った時にその人の感情や気持ちと重なって。その人の歌になるんだと気づけたのが、今回の一番の最初の指針ですね。そこを意識しながら、他の曲も作り始めました。

ータイトル『DREAMERS』の由来をお訊かせください。

僕自身、シンガー・ソングライターの夢を追う中で、夢を持って動いている人たちと自然と付き合うようになっていって、そんな彼らが好きだったんです。自分の好きな夢を持っている人たちに届いたらうれしいなという想いで、タイトルを『DREAMERS』にしました。大きくても小さくても夢を持ってる人は、他の人よりも多く現実と向き合わなきゃいけないじゃないですか。このアルバムの全体的なメッセージは、自分を含めて現実と向き合っている人のための歌だと思っていて。夢や理想があればあるほど、思う通りにいかないことが大半だと思うんです。

ー伊津さん自身の周りでも、そういう人は多く見てきたんですね。

コロナ禍の中で、周りでもバンドの解散や活動休止で諦めてしまう人たちを多く見ているんです。そういう人たちって理想や夢が高かったからこそ、今この現実で今しか見れなくなっているんじゃないかなと。自分もそうだし、そういう夢がある人は音楽だけじゃなくてもいっぱいいると思うんです。上手くいかないことが多い中で、自分の中でまだ夢への途中だ、まだ良いことが待ってる、と、どれだけ思えるかというのは大事だと思うんです。そう思えているから、僕も折れずにやり続けられているので。こういうコロナの状況だし、現実は見なきゃいけないけど、夢を持っている人たちに諦めてほしくないという気持ちが届いたらいいなと思っています。



ー僕自身もやりたいことや目標があっても、時間がないとかお金がないとか、つらい理由に目が向いてしまって、先の希望が見えなくなるんです。その点、伊津さん自身がポジティブな性格だからこそ、夢の途中だと思えるんじゃないかとも思って。

僕自身は、考えすぎてネガティブになっていくタイプなんです。だからこそ、こういう気持ちを自分で歌にしていたいというか。ポジティブに考える気持ちがないと、諦めちゃうと思うんです。他の人も同じかもしれないからこそ、こういう歌が必要な人もいるんじゃないかと思って。それが形にできたかどうかは、リリースしないと分からないです。でも、今回の曲は、自分の根底にあるネガティブな思考から守ってくれるメロディや言葉たちで。そういうのが歌として、皆が口に出せないことでも届きやすい、大事なものになってほしいですし、そういう曲にしたつもりですね。

ーご自身が元々考えてしまうからこそ、自分への応援歌でもあり、希望を持たせるような曲でもありたい、ということなんですね。

今回は、現実のつらい部分もたくさん詞にして歌っているんです。同じ境遇や夢を持っている人じゃないと、つらいことを話しても俺もそうだよって言ってもらえることが少ないと思っていて。この曲が人に届いた時に、もしかしたら聴いた人も同じ目線でハッピーエンドを迎えにいけるんじゃないかと思えるかもしれない。収録曲の「少年漫画」でも、誰も予想できないのが未来だと歌っていて、ただ一方的に大丈夫だよ、頑張れって応援し続けるのも嫌だし、人の心に届かないと思うんです。人のものになることを一旦考えないといけない。相手に寄り添って現実の暗い部分も一緒になって考えた上で提示してくれるものだったら、僕も受け入れられたんです。だから、自分もそうだし色々な人の中にある感情を歌っているんですけど、同じ目線に立った上で、俺はこうだよと言えるものを、歌の中で提示しているつもりです。



ー本当に辛い人には、元気の押し売りや闇雲に応援をしてもたぶん届かないですよね。収録曲は今作のために書き下ろしたんですか?

「Try」と「そんなこんな」は去年の同じ頃に作ったんです。「そんなこんな」は、心の中で"そんな日もあるよね"、"そんな人もいるよな"と思うことで、自分の気持ちを楽に保っていた時期があって、そういう経験を歌った曲を「Try」と同じぐらいのタイミングで作りました。アルバムを作る話が来たときには、ラブソングとかコンセプトが違うものも作ったんです。自分が20歳になるタイミングでリリースする作品なら、今のこの状況と気持ちとか気づき、やりたいことを詰め込もうと思ってこの選曲になりました。

ー僕は個人的に2曲目「カラフル」が好きで。曲調としては明るくポップな感じですが、「悔いのないようにくたばれるように」とか「クソみたいな日々」と、尖った言葉が並んでいて、サビで一気に希望を持たせてくれる。そのギャップが好きなんです。それも先程仰っていたように、自分の作った曲が他人に寄り添うという感じがしていますね。

皆が普段思っていることは、こういう歌詞みたいなことが多いと思うんです。でも、言わないじゃないですか。自分の中で抑えて、つらさを消すのが普通じゃないですか。そういう言えないことをメロディに乗せて、届きやすい曲という形で言葉を出せるのって、歌を作る人たちだけなんじゃないかなと思っていて。そういうのが素敵だと思うし、この曲ではできたと思います。曲としても、ラップ調に言葉の当てはめて遊んでみたり、サビはポップで。思った通りに書けた曲だったので、気に入ってもらえると嬉しいです。



ー「Try」を聴いていて、最初のサビでは「全ては無駄じゃないからさ」と歌って、大サビでは「無駄じゃなかったよ」と呼びかけるようなフレーズがあります。伊津さんの中で1つ何かを成し遂げた部分があるから、無駄じゃなかったよと胸を張って言えるのかなと思いました。

「Try」を作った時に、ちょうど少し大きい会場とか舞台で演奏できる機会があって。「Try」はきっと、今後のライブでも歌っていく曲かな、とぼんやり思ったんです。夢を目指している人に、「全ては無駄じゃなかったよ」と言ってあげられることになるかもしれない。自分がこれから大きいステージでライブをできた時に、「全ては無駄じゃなかったよ」という言葉が説得力を増して、夢を目指している人たちにもっと届くようになるんじゃないかなというところまで見据えて、一番説得力のある大サビの最後の歌詞はそこに変えましたね。





ー伊津さんがこれからご活躍されて、立つステージの規模が上がっていくほどにこの曲がもっと説得力が増していくと。全体的に希望を持たせてくれる曲も多い中で、5曲目の「SUNNY DAY」は、少し毛色が違う曲かなとも思いました。

そうですね。アルバムを通して聴いた時に1番最後の方にできた曲なんです。全体的な曲の流れを見た時に、いくら寄り添うという風に思って書いてるとは言え、結局は希望を持たせたり、自分の中にある想いとかをガンガン言っている構成になったんです。その中で、ちょっと流れを変えたいなと思って。「カラフル」みたいに尖ったことも歌ったり、「SUNNY DAY」みたいな恋愛らしい曲も入れてみました。

ーアルバムの起承転結をつけようと思ったんですね。

「SUNNY DAY」は、とても晴れた暖かい日に散歩してる中で作ったんです。今作ではメッセージ性の強い曲を書いているとは思っていて、逆に何も考えないで、歌とメロディでドライブや散歩をしている時に、心地よい曲というイメージで作りました。最後の曲「少年漫画」もやっぱり大切な気持ちを歌っているので、その前に一旦ブレイクを挟むことで「少年漫画」のメッセージも引き立つんじゃないかなと思いました。



ー今作だと、Disc1が普通のバンド編成のサウンドで、Disc2はアコースティックサウンドの一人前バージョンが収録されています。アコースティック演奏をいちにんまえバージョンという名前にした理由は何かあるんですか?

アコースティックバージョンって、一人なんちゃらとかaloneバージョンみたいな名前が多いなと思ったんです。一人前は、一人前の大人という意味と、食事とか物の一人分の二つの意味があるじゃないですか。後者は、一人分の小さな規模でちょうどいい音の感覚という意味ですけど、前者は、今作のリリースが20歳になるタイミングだったのでそういう思いも込めつつ、全部一人でやったことにするのは嫌だったので、aloneバージョンとか一人バージョンみたいな名前にはしたくなかったんです。でも、結局は遊び心ですね。聴いている側が自由に解釈してもらって構わないですし、考えてもらえる余白を残した遊び心で良い名前が思いついたので、いちにんまえにしました(笑)。

ー普段ライブでステージに立たれる時も、基本的にステージでは一人で立っていらっしゃるんですよね?

ステージではループステーションという機材とアコギ一本でやるのが、自分のスタイルだったんです。でも、バンドサウンドのバージョンも作ると、バンド編成にして活動もしたいと思って。ありがたいことに協力してくださる方もいるので、今年はバンド編成にも力を入れてやったり、これまで通り一人でもステージに立って、アコギ一本、歌一本のかっこよさも伝えたいと思っています。今作は、当初からの大事なものをちゃんと真ん中に置きつつという意味でも、2枚組のアルバムにしているんです。そこは変わらない軸でありたいつつ、バンドバージョンでやりたいこと、自分で挑戦したいことを2つに分けられたんですよね。



ー高校生の頃に音楽をやり始めた時も、バンドをやりたかったと仰っていたじゃないですか。実際、今作でバンドとして曲を演奏している中で、表現しやすい幅の広さを感じましたか?

色々な人が自分の想像を超える音で鳴らしてくれるのは大きいですね。一人じゃ表現しきれないものがあったり、頭の中で鳴っていても、それが一人ではライブでできないのが現実なんです。バンドだと、自分のイメージしている好きな音を超えて出してくれる人たちと一緒に歌う気持ちよさを、今回のスタジオレコーディングで初めて味わえました。このレコーディングがあったからこそ、もっとバンド編成でやりたい。自分のイメージしている音や曲のクオリティを遥かに引き上げてくれることに気づけたんですよね。年明けから一緒にスタジオに入っているバンドの人たちも、とてもよくて。表現できるものが、今後また広がっていくんだなというのは感じています。

ー今回、ついにファーストアルバムがリリースされて大きな一歩になったと思いますが、これからの目標や挑戦してみたいことはありますか?

伊津創汰が生み出した曲が世に残るという感覚を味わってみたいんです。秦基博さんの「鱗」は今でもテレビで流れてたりするし、奥田民生さんの「さすらい」とか「イージューライダー」、斉藤和義さんの「ずっと好きだった」とか。ああいう時代を越えても残り続ける曲を残したいですね。せっかく音楽をやっているからには、流行や廃りに関係なく、時代に残るものを作りたい。それがこの自分の生きている世代に合っているかどうかは分からないですけど、やはり根底にあるのは作品を残したいということ。今はもっといい曲を、とストイックにできている状況なので、そこが1番の目標でありたいです。


<リリース情報>



伊津創汰
『DREAMERS』
発売日:2021年2月3日
価格:3,000円(税込)

=収録内容=
DISC1
1. はっぴーえんど
2. カラフル
3. Try (DREAMERS mix)
4. そんなこんな
5. SUNNY DAY
6. 少年漫画
DISC2 –いちにんまえ ver. –
1. はっぴーえんど(いちにんまえ ver. )
2. カラフル(いちにんまえ ver. )
3. Try (いちにんまえ ver. )
4. そんなこんな(いちにんまえ ver. )
5. あまもよう(いちにんまえ ver. )
6. 少年漫画(いちにんまえ ver. )

<ライブ情報>

伊津創汰1stワンマンライブ『いちにんまえ』
2021年3月20日(土)三軒茶屋GrapeFruitMoon
時間:OPEN 18:30 / START 19:00
料金:3,000円
チケット予約URL:https://tiget.net/events/116560

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