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Leon Fanourakisが語る、進化したフロウの秘密

Rolling Stone Japan / 2021年2月10日 18時30分

Leon Fanourakis

ラッパーのLeon Fanourakis(レオン・ファノラキス)が2ndアルバム『SHISHIMAI』を完成させた。客演にはWILYWNKA、JP THE WAVY、LEX、SANTAWORLDVIEWを迎え、海外からは、6ix9ineの楽曲を手掛けたニューヨーク出身のGHXST、Famous Dexに楽曲を提供したノルウェー出身のKrissiO、南アフリカ出身のOakerdidit 、アトランタ在住の日本人Yung Xanseiなどがプロデューサーとして参加。

国内プロデューサー陣にはYENTOWNに所属するトラックメイカー/DJのU-LEE、今回が初共演となるJIGG、大阪発のヒップホップレーベルHIBRID ENTERTAINMENTに所属するトラックメイカー/DJのBULLSET、横浜を拠点に活動するトラックメイカー/DJのNOCONOCO、「ラップスタア誕生!」審査員のYusuke Ito(MurderFaktry) 、都内や横浜等で活動する若手クルーClassy FamilyからAKIなどが参加している。

個性豊かな曲を揃えた全15曲のアルバム。持ち前の「声」の鋭さは変わらず、音楽的なアプローチを一気に広げてきた印象である。「NO LIGHTS」「KAGE」のようにパッと見は「闇」の匂いのするアルバムだが、「CHAMPION feat. LEX」の爆発力や「FALL」のエモーショナルな響きはむしろ「光」を感じさせるし、Leon Fanourakisの生命力が漲りまくった一枚だと言える。インタビューに応じてくれた彼の表情からは「やりきった」という満足感と手応えが感じられた。



ー前回Leonさんに取材したのは2019年の夏頃ですけど、それ以降、AK THE SAVIORとのEP『FLATBU$H ¥EN』があったり、単発で曲を発表したり、あとはいろんなアーティストの曲に参加していましたが、今回のアルバムはそれらを上回る「変化」が感じられました。ラップの表現がより音楽的になったというか。

そこは目指してたところですね。コロナの影響もあって、1年半という時間をかけて試行錯誤しながら作って、いろんな人とのセッションから生み出された選りすぐりの曲をまとめた感じです。JIGGさんと「BEAST MODE feat. JP THE WAVY」で初めてセッションしたり、U-LEEさんとの「ZEKKOCHO」も遊びに行った時に「こういうフックの感じでやろうぜ」ってノリで作った曲で、1人じゃ想像もつかないようなことがプロデューサーと一緖にやって生まれる。たくさんのアイデアが活かされてるアルバムだなって自分は思います。あと、前の作品と変わったところは日本語をより意識した点ですかね。英語も入れてますけど、しっかり自分が言ってることを伝えたいというのと、やっぱり俺が使うのは日本語だし日本のみんなにも届いてほしいから。





ー日本語のラップにこだわりたいっていうのは、前回のインタビューの時も話してましたよね。

はい。なおかつフロウはヤバめで取り組みたかったんで。あとは心境の変化ですね。AK THE SAVIORと一緒に作品を作ったことが大きくて、自分は英語をしゃべれないんですけど、彼とは本当に音楽だけで仲良くなって繋がれた。こっちのラップも何言ってるか通じてないだろうけど、お互いにわからなくても通じ合えるものがあるんだなと。音楽の価値観っていうか、そこで考え方が少し変わったっていうのはあります。



ーAK THE SAVIORとのコラボレーションは、Leonさんにどういう影響をもたらしたんですか?

高校生の頃からThe Underachievers(AKとIssa GoldからなるNYのラップデュオ)
を聴いてたんですけど、たまたま彼と一緒にやる流れになってセッションして曲を作ったわけじゃないですか。去年の1月にニューヨークに行ってスタジオに入って。その中で感じることがたくさんあって、メロディとかフロウとかリリックは全世界共通なんだなっていうのが身に染みてわかったんですよね。



ーなるほど。

今回のアルバムは感情的な曲もあるし、盛り上がろうぜっていうただ単にアガれる曲もあるし、前作よりも自分の内面を出してるリリックだと思います。WILYWNKAさんと作った「Better Now feat. WILYWNKA」の歌詞は特に気に入ってますね。今が一番いいけど、後ろを向いたら足跡が増えている。そうやって自分はちゃんと一歩ずつ進んできてるわけだから、がんばろうみたいな感じの曲です。

ー多彩なアルバムだけど、ハッキリした軸が一つありますよね。

そこを感じてもらえたら、すごくうれしいですね。


使える「武器」を増やしていく

ービートメイカーとはどういうやり取りがあったんでしょう?

Yung Xanseiは今海外に住んでるんで、データのやり取りでしたけど、それ以外はほとんどセッションです。JIGGさんの場合は最初にビートがあって、俺がその上にリリックを書いてJIGGさんのアイデアをさらに足して変化させていったり、LEXと作ったやつはLEXの家で勢いでババッとレコーディングして作ったり。とりあえず気に入ったビートがあったらフロウを乗せてみて、そこからフックやバースを話し合って決めていく……みたいな。

ー全15曲の大半がそういうセッションで生まれたんですか?

半々ぐらいかもしれないです。まずは自分1人でフォーカスして作ったものも多いので。

ーLeonさんはヒップホップを始める前、部屋でずっとギターを弾いたりとか、プレイヤーとしての音楽体験が根っこにあるじゃないですか。そういうバックグラウンドも「より音楽的にしていく」っていう点では強みになりそうですね。

それはありますね。できれば毎日音楽には触れていたいですね、自分は。

ーメロディへのアプローチは実際どうだったんですか。「歌う」っていうのは新境地でもありますけど。

ずっとスピットしてる感じじゃないですか、自分のラップのイメージって。けっこう早口だし、そこからメロディアスになるのって最初はちょっと違うかもと思ったんですけど、そこから探り探り答えを見つけて。やっぱり全然違いますね、ラップとメロディは。でも音楽的に考えたら、一応フロウもメロディなんで、ラップの手法の一つがメロディっていう風に自分は考えてます。

ー「CHAMPION feat. LEX」でもオートチューンを入れたりして、いろんな声が聞こえてくるアルバムだなと。

そうですね。全部含めてこれが俺のスタイルになればいいというか、これからも武器を増やしていきたいと思います。



ー「HOT SAUCE」はグライムですね。

グライムのスタイルは初めてだと思うんですけど、前からみんなにグライムやりなよって言われてて、最初はちょっと抵抗みたいなのがありつつ、だんだん「これはイケるかも」と思ってきたところで、BULLSETさんがこのトラックを聴かせてくれて。即決でした。アルバムに入れようって。

ーこのアルバムには、ニューヨークのGHXST、ノルウェーのKrissiOとか、海外のビートメイカーの名前もクレジットされているけど、日本人のビートメイカーって全然負けてないというか、むしろもっと世界に知られてもいいようなヤバい人がたくさんいるんだなとあらためて思いました。

海外のビートメイカーのビートも入ってますけど、それはネットで見つけたやつってだけですからね。メインは日本人のビートメイカーです。ビートを買うのはいいんですけど、結局ちゃんとしたトラックもらえないこともあるんで、ネットで探すのは大変なんですよね。それよりはセッションの方がいいです。あと「NANIMONO」って曲に参加してるAKIっていうビートメイカーは同い年なんですけど、Classy Familyっていうクルーの一員で、今注目のビートメイカーなんでピックしたいなと思って。


LEXやSANTAWORLDVIEWの存在

ー本作にはLEXが2曲で名前を連ねていますけど、彼も去年アルバム(『LiFE』)を出したじゃないですか。Leonさんも参加してましたよね。喜怒哀楽の感情が詰まっていて、LEXのこれまでの人生が凝縮された内容だったと思うんですけど、彼の存在は刺激になりますか?

LEXはすごく刺激になりますね。音楽との向き合い方が素晴らしいと思うし、18であれができるのはヤバいなって。一昨年ぐらいからちゃんと仲良くなって、去年からスタジオに一緒に入るようになった感じなんですけど、実はお互いに名前とか知らなかった頃から同じハコでライブしたり、横浜のイベントに行ったりしてて、だから聴いてる音楽も似てて「このラップいいよね」みたいなのが近いんですよ。彼の周りもみんなラッパーなんで、何か新しい世代が来てるなって思います。

・LEX「Romeo & Juliet」


ー前回のインタビューの時はLEXの名前はまだ出てきてなかったですよね。

そうですね。その頃はまだよく知らなかったと思います。

ー地元の仲間のSANTAWORLDVIEWは前作から引き続き今回も参加しています。

SANTAとは変わらずずっと一緒に曲作ってますけど、今回は俺らが作るんだったら攻めたやつにしたいよなって出来た曲が「Tryna Be The G.O.A.T. feat. SANTAWORLDVIEW」です。こいつも自分の中ではお気に入りですね。

・前作収録の「BOUNCE feat. SANTAWORLDVIEW」


ーダークなトーンの曲でもすごく外向きな感じがするアルバムですよね。そのへんは意図的に?

暗い雰囲気の曲でも、言ってることは暗くしたくないなと思って。やっぱりポジティヴなメッセージを入れたかったんです。怒ってる曲もいいんですけど、聴いていて疲れるようなものにはしたくなくて。もっと気軽にみんなでアガれるような曲を作りたかったんです。

ー例えば「YORI DEKAKU」とか、リリックを音として捉えている時と文字として見ている時とでは全然印象が変わりますね。

字に起こしてみると「こいつアホだな」みたいな、そういう歌詞は他にもいっぱいあると思います(笑)。それはよく言われますね、歌詞だけ見るとヤベェわって(笑)。

ー超シンプルな日本語だから刺さってくるっていう。

そこを目指しました。これまでは考えすぎて損してるところもあったかもしれないので、もっとシンプルにできたら、さらに届きやすいかなって。

ー自分的に新しいチャレンジだったリリックは?

「NANIMONO」は、みんな周りの目を気にしたりするけど、結局のところは自分がどこにいるかが大事で、誰が偽物で悪者でとかじゃなくて自分なんだよってことを言いたくて作った曲です。あと「What did you say?」はちょっと分かりづらいと思うんですけど、自分の中の天使と悪魔が戦うみたいな曲になってたり。

ー「NANIMONO」にもリンクするところがあると思うんですけど、Leonさんが育った横浜中華街のホームページに掲載されたインタビュー記事では、中学校時代を振り返って国際的な学校で中国人の友達もたくさんいたから、もともと自分の脳みそに差別っていう概念が無いって話してましたよね。

自分が通ってた中学はいろんな人がいたけど、差別はなかったと思いますね。自分は差別とかあんまり受けたことがなくて、でもどっちの気持ちもわかるというか、わかるのかな? まあ、俺からの視点でしかものを言えないですけど。

ー前回のインタビューで「小学生の頃からみんなと同じがすごく嫌いで、ルールに従って生きる意味って何だろうって、すごく考えてたんですよね」と語ってくれましたけど、そういう違和感みたいなのって今もありますか?

あります。いろんなものに刺激を受けて膨らみますね。「これ伝えてぇわ」とか、毎日何かしらキーワードをメモしたりしてるんですよ。それが溜まったら曲にするみたいな。


現代のロックスター

ー「MOON feat. LEX」のリリックで”Shot gun 放つ Like Cobainの様に散り担う破壊と再生”っていう一節もあるけど、ロックは今も好きですか?

ロックはいずれやりたいなと思いますね。ミクスチャーロックとか昔は好きだったし、最近だとデンゼル・カリーが生バンドでやってるミュージックビデオがあるんですけどヤベェなと思って。ヒップホップもロックだと思うんですよ。結局レベル・ミュージックっていうか、大きく見たら向いてるところは一緒かもしれないですね。

ーマシン・ガン・ケリーも今はがっつりポップ・パンクだもんね。

彼はギターも上手いですよね。



ーあのスタイルで全米1位になってますからね。

そうですよね。もうジャンルとか関係ないのかなって。ヒップホップってどの音楽とも相性がいいなって最近すごく思っていて。いろんなスタイルを吸収しやすいのがヒップホップなのかなって。例えばジュニア・リードとか、UKドリルのサウンドにレゲエ・アーティストがトラップを乗っけてたりとか、そういう発見があるのが面白いですね。



ーLeonさんは毎回ミュージックビデオも力入ってますよね。アルバムのリリースに合わせて今回もミュージックビデオを何本も公開してます。

ネットのおかげもあって国境ってないなって思います。知り合いのDJがニューヨークの友達に「お前、Leon Fanourakis知ってるのか?」って言われたとか、そういうのを聞くとうれしいですよね。



ーあとライブも楽しみです。こういう状況ではありますが。

年越しのイベントには出させてもらいましたけど、自分のライブそのものは8カ月ぶりとかなんで、すごく楽しみです。タイミング悪いなと思いつつ、このまま何事もなく落ち着いてできたらいいなと思います。


<INFORMATION>


『SHISHIMAI』
Leon Fanourakis
1%
発売中
各配信サイト:https://linkco.re/U83tUVXz

01. ZEKKOCHO (Prod. U-LEE)
02. What did you say!? (Prod. JIGG)
03. Tryna Be The G.O.A.T. feat. SANTAWORLDVIEW (Prod. Yung Xansei & thats not it)
04. CHAMPION feat. LEX (Prod. Oakerdidit)
05. HOT SAUCE (Prod. BULLSET & TIGAONE)
06. KIMEROYO (Prod. Yung Xansei & Bl$$d)
07. BEAST MODE feat. JP THE WAVY (Prod. JIGG)
08. YORI DEKAKU (Prod. Yung Xansei & Clint Ford)
09. TOBASE! (Prod. Yung Xansei)
10. NO LIGHTS (Prod. rocktee)
11. MOON feat. LEX (Prod. MurderFaktry)
12. KAGE (Prod. GHXST)
13. NANIMONO (Prod. AKI)
14. Better Now feat. WILYWNKA (Prod. KrissiO)
15. FALL (Prod. NOCONOCO)

■ツアー情報

Leon Fanourakis "SHISHIMAI" TOUR

2/13(土)SQUALL 仙台 *DAY
2/20(土)GOLD 土浦
※5/4(火・祝前)に延期BRIDGE 横浜
2/26(金)L2 広島
2/27(土)BRIDGE 神戸
3/5(金)UTAGE 札幌
3/13(土)SEVEN 新潟
3/20(土)MAIRO 富山

Leon Fanourakis "SHISHIMAI" TOUR FINAL

3/28(日) CLUB JOULE 大阪 *DAY
GUESTS: Jin Dogg / LEX / WILYWNKA (A to Z)
OPEN: 17:30
START: 18:30

3/30(火)LIQUID ROOM 東京 *DAY
GUESTS: JP THE WAVY / LEX / SANTAWORLDVIEW / WILYWNKA
OPEN: 17:30
START: 18:30

PRICE:
2/10-2/17 早割先行 ¥3,000 / Tシャツセット¥7,400 ※会場限定タイダイ柄
2/20-2/28 二次先行 ¥3,500
3/6 一般販売 ¥3,500
当日 ¥4,000

TICKET URL: https://ticket.line.me/sp/LeonFanourakis

Leon Fanourakis
Twitter: http://twitter.com/leonfanourakis
Instagram: http://instagram.com/leonfanourakis
Tiktok: https://www.tiktok.com/@leonfanourakis

レーベル:1% | ONEPERCENT
OFFICIAL: http://the1percent.jp
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YouTube: https://www.youtube.com/onepercent_jp

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