ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードが選ぶ「歴代最高のアルバム」10作

Rolling Stone Japan / 2021年2月21日 9時50分

ロブ・ハルフォード

ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードが 「至高のメタル・アルバム10作」に続いて、ローリングストーン誌 「歴代最高のアルバム500選」に投票するためオールタイム/ジャンル不問でアルバム10作をセレクト。メタル・ゴットが選ぶ生涯最高の作品とは?

過去50年に渡り、ロブ・ハルフォードはジューダス・プリーストのフロントマンとして、また彼のグループFight、2wo、Halfordで、ヘヴィメタル界のサウンドとルックスを定義する重要人物として君臨し続けてきた。最近自伝『Confess』を出版した彼は、たゆまない活動の中で「メタル・ゴッド」の名前をほしいままにし、ブラック・サバス、メタリカ、パンテラと並んでメタル界の第一線で歌い続けてきた。しかし、ハルフォードは常に多様な音楽スタイルを好み、その姿勢はジューダス・プリーストでジョーン・バエズ「Diamonds and Rust」やフリートウッド・マック「Green Manalishi」をカバーしてきたことにも表れている。

ローリングストーン誌が「歴代最高のアルバム500選」を刷新するにあたって、ハルフォードが選出したお気に入りのアルバム10枚にスレイヤー、エンペラー、ベヒーモスのようなメタルバンドのみならず、ビートルズ、キャロル・キング、マディ・ウォーターズが入っていても何ら不思議はない。今回の投票に参加してくれたアーティストの一人であるハルフォードが、自身のトップ10について解説してくれた。

1. ブラック・サバス『黒い安息日』(原題:Black Sabbath、1970年)


彼らは俺の地元の連中で、プリーストと同じ地域の出身だ。文字通り、俺たちは一緒に育ったし、愛して止まない音楽ヘヴィメタルを一緒に考案した。『黒い安息日』を選んだ理由は、多くのバンド同様に、1stと2ndアルバムはそのバンドの方向性を決定づけるからだ。プリーストで言えば『ロッカ・ローラ』と『運命の翼』だ。この『運命の翼』はバンドの音を決定づけたアルバムだから、俺たちは今でも大いに気に入っている。一方、ブラック・サバスだと、『黒い安息日』がヘヴィメタルのサウンドのあるべき姿を具現化した最初の例だった。テクスチャーも、トーンも、構成も、楽曲すべてがそうだ。そして、オジーの唯一無二の声も。ブラック・サバスのディスコグラフィでこれが非常に重要なアルバムになった。



2. レッド・ツェッペリン『レッド・ツェッペリン』(1969年)


このアルバムにはブルースのヴァイブを色濃く示すヘヴィでハードなロックの変遷を見て取る。それに彼らはバンドとしてのキャリアの始まりにブルースがあったと正直に認めていた。



3. クイーン『クイーンII』(1974年)


昔からクイーンの大ファンだ。俺が聞いたクイーンのアルバムにはそれぞれに異なるキャラクターとアイデンティティがあって、その点ではプリーストと同じだ。かつてエレメントの部分でプリーストとクイーンは似ていると言ったことがあるのだが、その理由はプリーストにも二つと同じアルバムがないからだ。クイーンも然り。彼らの2枚目のアルバム『クイーンII』はそれを物語っている。『クイーンII』を作る頃のクイーンは非常に大胆になっていた。彼らの音楽風景が広がっていた。彼らの音楽はとてつもなく大きな景色を網羅していたのだ。特に歌声の点では、メンバー全員で驚異的なハーモニーを作り上げた。俺がクイーンを愛するもう一つの理由がそれ。つまり、全員で歌っているということ。ロジャー(・テイラー)とブライアン(・メイ)がメインで、ときどきジョン・ディーコンも入る。シンガーである俺にとってクイーンのボーカルが与えたインパクトは計り知れなかった。本当にたくさんの事を教えてもらったよ。

4. ビートルズ『ハード・デイズ・ナイト』(1964年)


これは難しかった。実は『サージェント・ペパーズ』を選ぼうとしていた。だってみんなそうするだろう。でも、トーンに気になる点があった。この2〜3年前の「シー・ラヴズ・ユー」に比べると、かなりシリアスな方向性に変わってきた。曲の構成が変わったし、彼らはミュージシャンとしてソングライティング能力を向上させようと考えた。これは前に進みながら育てていく部分だ。だから『ハード・デイズ・ナイト』収録の楽曲すべてに、彼らがバンドとして変化している様子、多くのミュージシャン同様にミュージシャンとして成長する過程で直面する問題に真剣に取り組んでいる姿が表れている。


5. ザ・ローリング・ストーンズ『ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト』(1970年)


ストーンズのライブ・アルバムを選んだ理由は、ストーンズのライブを観たことがあればわかるけど、彼らのようなバンドは他にいないからだ。スタジオ・ワークをライブ・パフォーマンスに変換する彼らの手腕は電撃的なんだよ。どんなバンドでもステージに上がると常に新たな次元を体験する。それがストーンズの場合は言葉では言い表せない体験になる。彼らのライブは必ず観るべきだ。それに、このアルバムは偉大なロックンロールバンドのカリスマ性と特性をすべて捉えた最高の例だと思う。史上最高のロックンロールバンドが1枚のレコードに詰まっていると言えるだろう。


6. ディープ・パープル『マシン・ヘッド』(1971年)


『マシン・ヘッド』を選んだのは獰猛で緊迫した作品だから。ハードロック・バンドなのか、ヘヴィメタル・バンドなのかという論争がパープルには常に付きまとう。プリーストは彼らと一緒にツアーしたことがあるし、俺はステージ脇で彼らのライブを繰り返し何度も見せてもらった。彼らはヘヴィだと思うし、実際に本当にヘヴィなんだ。ただ、彼らが作ったディープ・パープル名義のアルバムの中で俺が一番しっくりくるのがこのアルバムだね。

7. ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス『アクシス:ボールド・アズ・ラヴ』(1967年)


俺はいつだって満足できずにストレスを感じるギタリストで、ギターを手にしては練習するんだけど、結局は挫折してしまう。巷のギタリストたちがあんなふうに演奏できるのが不思議で仕方ないよ。ほんと、信じられない! だからジミ・ヘンドリクスはギター・マエストロだね。60年代後期以降に彼が披露したギタープレイはギタリストにとってのゲームチェンジャーだった。そして、『Axis:Bold as Love』に収録されたヘンドリクスの音楽をまとめ上げる手腕は本当に特別だ。彼が作ったレコードはすべて最高だが、一番つながりを感じるのがこのアルバムだよ。


8. デヴィッド・ボウイ『ジギー・スターダスト』(1972年)


ここでファンを一つの旅路に誘導した男に登場してもらおう。彼はジギー・スターダストだったのか? 彼はシン・ホワイト・デュークだったのか? ハンキー・ドリー? 「ヒーローズ」? サイドプロジェクトのティン・マシーン? 彼が最後に作った輝ける音楽作品(ブラックスター)? でも、ボウイがそれぞれのレコードで作り上げた心象には、彼以外の誰も触れることができない。彼は変装の達人だった。俺たちはみんなボウイの新作が出ると聞くとワクワクして待ち望んだ。そんなアルバムの中で『ジギー・スターダスト』が俺にとって一番だ。理由は、イギリスでウォルヴァーハンプトン・シヴィック・ホールでジギー・スターダスト・ツアーをこの目で観たから。そのとき、彼らはこのアルバムを最初から最後までほぼ順番に演奏したのだが、あれほどの説得力を持って驚異的なパフォーマンスするボウイの姿に、俺はとにかく驚愕した。あのとき彼はジギー・スターダストだったし、あのキャラクターで世界中を魅了したんだ。


9. クリーム『カラフル・クリーム』(原題:Disraeli Gears、1967年)


このアルバムは3人の男の驚くべきミュージシャンシップで紡がれた最高の例だ。トリオとして全員が結びつくのは本当に難しいのだけど、彼らのインタラクション、特にジンジャー(・ベイカー)とジャック(・ブルース)のリズム・セクションは非常に特別だった。このアルバムには純粋な個別意識がたくさん詰まっていた。そして、それをエリック・クラプトンのパフォーマンスで仕上げているし、彼の特別な声がロックンロールという大きな世界でクリームを非常にユニークなバンドにしている。


10. パンテラ『カウボーイズ・フロム・ヘル』(1990年)


パンテラが登場したのは90年代初頭だ。彼らはその前から存在しているのだが、『カウボーイズ・フロム・ヘル』の衝撃で一気に浮上した。音楽とロックンロールをよく知っていると気付くのだた、新たな10年間が始まるときというのは素晴らしい出来事が起きる。だから、『カウボーイズ・フロム・ヘル』をたっぷり聞かされたとき、これが新たな変化のきっかけだと確信した。パンテラの連中がプレイしていた全てのスタイルを詰め込んだ音楽が、文字通り世界を揺るがすだろうと予感したし、実際そうなった。このバンドの素晴らしさはみんなが知るところだし、特にダイムバッグ(・ダレル、ギタリスト)はこのバンドの機動力だったと思う。彼らがプレイしていたのは徹底した暴力と攻撃で、彼らがその後に出した『脳殺』(Far Beyond Drive)と『鎌首』(Great Southern Trendkill)以降の素晴らしい作品ではこの部分がさらに強まり、大きな説得力を持った。でも、俺にとってはこのレコード、つまり彼らの1stが最も強くアピールする作品だ。

From Rolling Stone US.


レジェンドが選ぶ「史上最高のメタル・アルバム」
①オジー・オズボーンが選ぶ、究極のメタル/ハードロック・アルバム10作
②ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードが選ぶ、至高のメタル・アルバム10作
③メタリカのラーズ・ウルリッヒが選ぶ、最強のメタル/ハードロック・アルバム15作
④スレイヤーのケリー・キングが選ぶ、不滅のメタル・アルバム10作

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