BAND-MAID、武道館お給仕セトリで見せつけたバンドの実像

Rolling Stone Japan / 2021年2月22日 11時30分

BAND-MAID(photo by MASANORI FUJIKAWA)

BAND-MAIDが、2021年2月11日にオンライン配信ライブ「BAND-MAID ONLINE OKYU-JI(Feb. 11, 2021)」を開催した。

BAND-MAIDは、本来同じ日程で日本武道館での公演「日本武道館お給仕(BAND-MAIDのライブの呼称)」を開催する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大状況を考慮し中止を決定。代わりに、日本武道館お給仕で披露予定だったセットリストで無観客お給仕を開催、国内外のご主人様・お嬢様(ファンの呼称)に向けてオンラインで有料配信した。

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新型コロナウイルスの影響は多くの音楽従事者やミュージシャンに大きな影響を及ぼしているが、バンド初の日本武道館お給仕をこのような形で迎えることになったBAND-MAIDもまた、その影響を受けたバンドともいえる。これまでも何度か配信ライブを開催してきた彼女らが、どんなライブを見せるのか? 注目が一層高まるお給仕となった。



開演時刻の17時を少し過ぎた頃、オープニング映像とSEが流れて激しい点滅をくり返す照明の中メンバーが登場し、「Warining!」からスタート。強烈なギターのリフとスラップを織り込んだベースが絡み合う。クールな表情でパフォーマンスする中、小鳩ミクが時折楽しそうな笑顔を見せ、「DICE」ではSAIKIが画面の向こうのファンを手招きするように誘う姿でさらに画面に釘付けにさせる。続けて、「Screaming」のテンションの上がっていくギターソロでは、当初は緊張した顔つきに見えたKANAMIの表情が一転、腰を据えてうっとりとしたギターヒーローの表情を見せる。

序盤から爆速で攻撃的なセットリストが続く中、一息もつかせまいとするように新曲「BLACK HOLE」を畳み掛ける。MISAは頭を振り回し、AKANEは地鳴りのように激しくドラムを叩きながら、笑顔の表情のギャップで魅せる。


MISA(photo by MASANORI FUJIKAWA)

2021年初のお給仕を迎えられたことに感謝を伝えるショートMCを挟んだ後は、2nd EP『New Beginning』から「Thrill」を披露。曲が始まる前には、時間が巻き戻る演出の映像があり、これまでのバンドの活動を振りかえるように同曲を披露した。バンドの音楽的な方向性を決定づけたというこの楽曲は、今でも盛り込まれるテクニカルな速弾きやドラムのツーバスが取り入れられ始めた、まさにBAND-MAIDの原点ともいえる。発表当時よりも演奏中のメンバーの表情は豊かで、曲のサウンドやアレンジもより勇ましく進化した。


AKANE(photo by MASANORI FUJIKAWA)

同じく2nd EPから「REAL EXISTENCE」、「Dont let me down」、さらに時間が進み始めると、2016年の3rd EP『Brand New MAID』から「alone」、「FREEDOM」を立て続けに披露。ここでエンジンがかかってきたSAIKIが「さあ世界中の皆さん声足りてないんじゃないのー! かかってこいよ!」、「もっと!」と、画面の向こうに高まる熱を叫んで煽り、小鳩とKANAMIは間奏のギターソロで掛け合いを見せ、ステージはどんどん白熱していく。我々視聴者がかかっていく以上に、BAND-MAIDの方が力強く迫ってくるようだ。



再度時間が巻き進んでいくと、2017年の1stアルバム『Just Bring It』から「YOLO」、「Dont you tell ME」の2曲を披露。当時とは異なる彼女らなりの"今"を盛り込んだ楽曲へと進化している様が観てとれる。時期ごとの楽曲の幅と、ライブ全体を勢いづけるヘヴィなサウンドで、見て聴いて気持ちよくなるロックをノンストップでブチかます。世界を股にかけ、侵略的に活動を続ける彼女らが、これまでの活動を熟成させながらぶつかってくる勇ましさを感じられた一幕であった。

ここでMC。小鳩とSAIKIを中心にこれまでのセットリストのコンセプトを振り返る。小鳩の気の抜けるような話し方とSAIKIのクールなあしらいのギャップは、これまでガンガン攻め立てる演奏の姿とのギャップもあり、見ていて朗らかな気持ちになる。


小鳩ミク(photo by MASANORI FUJIKAWA)

「次は最新アルバムからまた曲をやっていってもよいでしょうか! まだまだ盛り上がれますか!」と、最新アルバム『Unseen World』から「After Life」、「NO GOD」を披露。「After Life」では、ギターの低音弦の重々しいリフとうねるように楽曲に絡みつくMISAのベースが楽曲を底から持ち上げていくようで、その上をSAIKIの力強いボーカルが引っ張っていく。先ほどまでの歴史を振り返った一幕とはまた違う新しい姿を見せてくれた。

「輪廻」はヘヴィな曲の世界観にも関わらず疾走感あふれるナンバーで、KANAMIの一層太くなったサウンドの速弾きと、退廃した世界で強く歌うかのようなSAIKIの力強い表現力が、改めて感動を与えていく。その重々しさが一気に開けていくように、続けて「without holding back」。AKANEのツーバスを盛り込んだ軽快なテンポで、KANAMIのライトハンド奏法のフレーズが休ませまいとさらにエンジンを加速させていった。


KANAMI(photo by MASANORI FUJIKAWA)

ここで暗転すると小鳩のおまじないタイムを経て、小鳩がボーカルをとる「サヨナキドリ」へ。根幹の攻撃的なサウンドはあるものの、思わず跳ねて拳を上げたくなる軽快な曲調とSAIKIのボーカル、それとは異なる小鳩のポップな声質が印象的だ。これまでにないほどに高音を張り上げていくラスサビは、ポップな要素だけではない勇しさもあり、また新しい見せ場を作りあげた。



ここまでBAND-MAIDが培ってきた楽曲を今の姿で披露する前中盤とは一転、SAIKIからご主人様お嬢様への想い、そしてコロナ禍でのBAND-MAIDの心中を語るMCで、雰囲気が大きく変わった。


SAIKI(photo by MASANORI FUJIKAWA)

「約一年前から怒涛の日々が続いています。初めてのことだからびっくりしたし、人と対面できないことが(今まで)全然なかったから、最初は悲しみの方が大きかったけど、私たちが悲しんでいる場合じゃないなって。ご主人様お嬢様の方が気を病んでいて、これはいけない、BAND-MAID皆で元気付けたいなと思った一年でした。本当は日本武道館で会いたかったけど、まだコロナさん的にはダメみたいなのでまた会える日を待ちましょう。そして、(次にやる曲は)この一年でコロナ禍を経験して皆を勇気付けたいという気持ちで、武道館向けて作った曲です。日本武道館でやるはずだったし、ご主人様お嬢様に届けたいなと思った曲です。武道館は通過点でゴールではないので、まだまだもっと広い会場でライブをするし、連れて行ってあげるし、もっともっといい曲を届けてあげるので、もう少し元気に頑張りましょう。では、ご主人様お嬢様に届けます。聞いてください」

SAIKIがそう語り、「about Us」を披露。『Unseen World』リリースからわずか15日後、日本武道館公演を開催する1週間前に突如発表されたバラードの楽曲である。優しいアコースティックギターのアルペジオから始まり、SAIKIが語ったように、コロナ禍で気落ちしたご主人様お嬢様に優しく寄り添おうとする歌詞と気持ちを、メンバー全員が目一杯の姿勢で伝えようとする。



今回、BAND-MAIDの日本武道館でのお給仕は叶わなかった。それを発表するにあたって「「ちょうど一年前、日本武道館の発表をした時、私達は大きな挑戦に不安を抱えていました。しかし、この一年を通してコロナ禍で活動の制限もありましたが、皆様の温かい声援のおかげで、武道館お給仕がきっと出来ると信じて活動してきました。日本武道館お給仕を発表した時の、地鳴りのような歓声と拍手は凄く、メンバー全員で歓喜したことを今も強く覚えています」と、公式にコメントしている。

世界征服を目標とするメンバーが「日本武道館は通過点である」と語ったとはいえ、これまでの活動で培ってきた想いや準備してきたものをぶつける場所を失ったと考えると、気落ちしていることは想像に難くない。このコロナ禍の中で「明日が見えない不安に溺れていって 何もできない不甲斐なくって」と、自分たちの不安とファンへの申し訳なさと同時に、「会えない日々でも僕らは育っていくんだ 変わらない気持ちちゃんと包んで ただ前へ ただただ前へ 差し伸べるよ」と、世界へ向けて、これまでと今のBAND-MAIDが培ってきたものと精一杯の想いを屈託なく伝える。できることなら直接会ってファンを元気付けたいであろうし、見失いそうな希望を感じさせるために作られたこの楽曲も直接届けたかったはずだ。それでも、SAIKIがバンドを代表して語った気持ちとともに、彼女らが精一杯奏でる一縷の望みが画面を超えて混沌とした世界中に届けられた。

ここからさらに一時間以上彼女らのライブは続く。メンバー皆がMCで大はしゃぎして仲睦まじい様子も見せれば、BAND-MAIDの持ち味であるヘヴィでアッパーなサウンドで最後までギアを上げていく。彼女らにとってはお得意でもあるステージでの姿が、先ほどのSAIKIの言葉によって、より皆を力付けさせるものに感じられた。「また絶対に会える日が来るので」。自分たちとファンへ言い聞かせるように、奮い立たせるように力強く叫んで、最後は定番曲「DOMINATION」でライブは終了。これまでのBAND-MAIDを遡りつつ、今の世界に伝えたいことをしっかりと体現してくれた最高の彼女たち。いつか必ず日本武道館の舞台から直接その想いを届けてくれる。そんな日を、今からすでに待ち遠しく思う。


<公演情報>

BAND-MAID
オンライン配信ライブ「BAND-MAID ONLINE OKYU-JI(Feb. 11, 2021)」
開催日:2021年2月11日(木)

=セットリスト=
1. Warining!
2. DICE
3. Screaming
4. I cant live wtihout you
5. BLACK HOLE
6. Thrill
7. REAL EXISTENCE
8. Dont let me down
9. alone
10. FREEDOM
11. YOLO
12. Dont you tell ME.
13. After life 
14. NO GOD
15. 輪廻 
16. without holding back
17. サヨナキドリ
18. about Us
19. Daydreaming
20. Mirage
21. Bubble
22. Manners
23. onset
24. Choose me
25. Blooming
26. different
27. Giovanni
28. DOMINATION

BAND-MAID HP: https://bandmaid.tokyo/

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