ダフト・パンクはなぜヘルメットを被り続けたのか?
Rolling Stone Japan / 2021年2月23日 3時45分
解散することを発表したダフト・パンク。彼らはローリングストーン誌による2013年のカバーストーリーで、フルフェイスヘルメットにこだわり続けた理由を語っている。(※この記事は2013年5月初出)
【画像を見る】ヘルメットを外したダフト・パンクの素顔
ダフト・パンクほど重厚さとおふざけのバランスが取れた音楽活動を送っているグループはいない。彼らは音楽や芸術の進化を高らかに語る一方で、アイザック・アシモフによる80年代のSF小説そのままのキッチュなヘルメットを被っている。
彼らのイメージを担ったロボットのような風貌について、トーマ・バンガルテルはこう語っている。
「僕らはフィクションと現実の境界線に興味があり、架空のペルソナを創造している。クラフトワークやジギー・スターダスト、KISSのようにね。ヘルメットがマーケティングの手段みたいに思われてるみたいだけど、僕らにとっては未来的なグラム表現なんだ」
ロボットの容姿を取り入れたことで、トーマとギ=マニュエル・ド・オメン=クリストは、観客を惹きつける力を発揮することができた。「僕たちはパフォーマーでもモデルでもない。僕たちの素顔を見ても楽しくないだろう」とギ=マニュエルは皮肉を込めて言う。
ヘルメットを被ることのメリットとは?
遡ること90年代、このデュオはプロモーション出演の際に黒いバッグを頭にかぶり、撮影会では不気味なハロウィンマスクを着用していた。フランス人アーティストの友人がデザインしたロボットのヘルメットに、トーマはカールした茶色のウィッグ、ギ=マニュエルは流れるようなウィッグを着けていた。しかし、ヘルメットを初めて披露した2001年の雑誌撮影の途中、ロボットには禿頭のほうが似合うと判断した2人は、髪を引き抜いてしまった。「よりスマートになったよ」とトーマは振り返る。
現在、彼らはいくつかの異なるバージョンのヘルメットを所有している。エアコンや通信システムを内蔵したライブ用のものもあれば、撮影に適した素材で作られたものもあるし、2006年にダフト・パンクが監督を務めたトリッピーな長編映画『エレクトロマ』のために作られたものもある。
トーマによると、最新のヘルメットは「スパイダーマンの最新作を手がけた」ハリウッドの特殊効果チームが製作したものだという。彼はダフト・パンクのことをアートとマス・プロダクションを融合させたアンディ・ウォーホルに例えているが、このデュオはウォルト・ディズニー・カンパニーやコカ・コーラといった知財を守る多国籍企業にも似ている。自家製のロボット・ヘルメットはオンライン上で増殖し、ファンサイトでモデルにされたり、eBayで売られたりもしている。「しかし、写真を見ただけでプロポーションを揃えるのは本当に難しく、どれも少しズレているように見える」とトーマは語る。
太陽が沈もうとしているなか、ダフト・パンクはスタジオを出て、ブロック下のカフェでエスプレッソを飲み、地下鉄に降りて待合列車に乗り込む。車内は4分の3が満席で、誰も(素顔の)2人を気にかけてはいない。アメリカの有名ミュージシャンと一緒にニューヨークの地下鉄に乗るなんて想像できないだろう。彼らは無名のアイコンなのだ。
「マスクについて気に入っていることの一つは、近寄ってくる人がいないところだ。忘れられるのはいいことだよ」とトーマは言う。
ただ時折、マイナスなこともあったそうだ。トーマは数年前にイビサ島で、ある男が自分をダフト・パンクだと言い張り、クラブで法外なバー代を巻き上げている場面に出くわしたことがあるという。
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From Rolling Stone US.
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