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『ロリータ』作者、スーパーマンの性生活に関する妄想を詩で綴っていた

Rolling Stone Japan / 2021年3月7日 6時45分

左がラジミール・ナボコフ(Fred Stein/picture-alliance/dpa/AP; Columbia Pictures/Getty Images)

小説『ロリータ』で知られるロシア生まれの米作家、ウラジーミル・ナボコフが1942年に書いた詩『The Man of To-morrows Lament』が見つかった。スーパーマンについて書かれた未公開の詩は、鋼の男が人間の女性と結婚した後、普通の性生活を営めるかという疑問から生まれたものだという。

同作品の存在は知られていたものの紛失されたと思われていた。だがロシア人の学者アンドレイ・バビコフ氏が、イエール大学ベイネック稀覯本図書館のエドモンド・ウィルソン氏の書庫から発見した。

ニューヨーカー誌からボツにされた『The Man of To-morrows Lament』は、1942年6月、ナボコフがロシアからアメリカへ移住した2年後に書かれた。『ロリータ』の作者はアメリカ文化の代表格に注目し(彼は8歳の息子にコミックを読み聞かせていた)、コミックブック・ファン最大の疑問の一つに飛びついた。すなわち、主人公のクラーク・ケントとヒロインのロイス・レインは性的関係を結べるのだろうか?

詩の中でクラーク・ケントは、ロイス・レインを愛してはいるものの「結婚は自分にとって殺人に等しい」と思い悩む。結婚初夜の睦言でおそらくロイスは命を落とし、新郎新婦が泊まっているホテルと「隣の幾分小さなホテル」を破壊することになるだろう、と。

「仮に愛のほとばしりに/彼女のか細い身体が耐えられたとしても――どんな子供を身ごもるのだろう?」 タイムズ紙の文芸誌Times Literary Supplement(TLS)で初出版された詩の中で、ナボコフはこう問いかける。「さぞや巨大な赤ん坊が、外科医を叩きのめし/恐怖におののく街をよちよち歩くのでは?」

「そう、だからこそ私は行く先々で/赤いマントと青いタイツ姿で、黄金に染まる空を飛び/悪党どもや盗人どもを追いかけても、何のスリルも感じない/そして気落ちした胸板の厚いケントは/ゴミ箱からコートとズボンを拾い上げ/スーパーマンの衣装をしまい込む」と、ナボコフは鋼の男の悲痛を描写する。「そして彼女はため息をつき――セントラルパークのどこか/私の巨大な銅像がそびえる場所で――「ねえクラーク……/彼って素敵じゃない!?!」 私はまっすぐ前を見つめ/むしろ普通の人間だったら、と願うのだった」

セントラルパークを2人が歩くシーンとロイス・レインの歓喜のセリフ(句読点も含め)は、1942年5月に出版された『スーパーマン』第16号の表紙からそのまま引用されている、とバビコフ氏はTLSの中で注釈している。

1969年、SF作家のラリー・ニーヴンは「Man of Steel, Women of Kleenex」と題したエッセイの中で、ケントとレインの肉体関係を検証した。それから四半世紀後、永遠の問いは、かなりふざけた形ではあるが、ケヴィン・スミス監督の『モール・ラッツ』で再び議論に上っている。

いつか答えは出るのだろうか? おそらく出るまい。だが20世紀を代表する文豪が、人間の女性がスーパーマンのスーパー精子に耐えられるのか、とわざわざ思いをめぐらせた人間だったことがわかったのはなによりだ。

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from Rolling Stone US

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