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和田たけあきが語る、メインストリームに近づくボカロシーン

Rolling Stone Japan / 2021年3月31日 21時0分

和田たけあき

ネット発の新世代アーティストを支援し、リスナーまで届けることに特化したブランド「正夢」が発足した。

第一弾として、ネット発の音楽クリエイターやアーティストの楽曲を集めたコンピレーションアルバム『正夢』を全国のTSUTAYAにてレンタル限定でリリースするとともに、ライブ企画「正夢ライブ」も開催。インターネット発祥の音楽クリエイターの楽曲をリアルでも体験できる企画となっている。

現在レンタル中のコンピレーション・アルバム第一弾『正夢vol.1』ではボカロP、歌い手、VTuberなど8組のアーティストたちを特集。そして、開催されるライブ「正夢vol.1」では、収録アーティストの中から、NORISTRY、ベアードアード、そして音楽系VTuberのぼっちぼろまるらの出演が発表されている。

関連記事:ネット発新世代アーティスト集結コンピアルバム『正夢vol.1』TSUTAYA限定レンタル開始

今回Rolling Stone Japanでは、今回の第一弾企画の中から特に注目の3組のクリエイター・表現者を特集。第二回はアルバム参加のアーティストの中から、和田たけあきのインタビューを敢行。シンガーソングライター・ボカロPとして活躍をする中、ギタリストとして”はるまきごはん”など、さまざまなアーティストのライブやレコーディングにも参加。そんな彼に、自身の音楽との出会いから、ボカロPから自身が歌うようになったきっかけ、現在のネット発祥の音楽シーンについての話を訊いた。


ーまずはじめに、和田さんと音楽の出会いからお伺いしたいです。楽器を演奏し始めたきっかけを教えていただけますか?

実はきっかけが何もなかったんですよね。中学2年生の春頃にギターでもやってみようかなと、ふと思いついたんです。当時2000年ぐらいで、初めて買ったのがアコースティックギターなんですけど、19、SOPHIAなどをコピーで弾いていました。当時はネット上でコードと歌詞が載っているサイトがなかったんですよね。「月刊歌謡曲」みたいな歌詞とコードがたくさん載ってる雑誌を買ってきて、知ってる曲のコードを追ってみる遊びをずっとやっていて。そこからギターを弾いていて、大学時代にはバンドもやっていました。もともと初期の頃の椎名林檎さんとか、矢井田瞳さんのサポートをやっていたギタリストの西川進さんが大好きで。そのきっかけはバンドをやっていた時に、地元のフェスに出させてもらったことがあって、その時に矢井田瞳さんのステージが遠くから物販の場所まで聴こえてきていて。「Buzzstyle」って曲のイントロのギターのリフが聴こえてきた時に、「うわ、なんだこれ! こんなに遠いのにダイレクトに聴こえてくる!」って衝撃を受けました。



ー大学時代にはバンドをやられていて、その後ボカロPを始められたきっかけは何かあったんですか?

初めてボーカロイドを聴いたのは、まだ上京していない時でした。Supercellの「メルト」を聴いた時に、「ボカロって話には聞いてたけど、こんな曲できるんだ!」と衝撃を受けて。当時、ボカロと西川進さんと好きなものが2つあったんですよね。その後、上京した時に、西川進さんがローディーを募集していて、すぐに応募しました。それで、しばらくお手伝いをしていたんですけど、西川さんがsupercellの「君の知らない物語」でギターを弾くことになって。で、たまたまその現場に僕が行っていて、好きなものと好きなものが一緒になっちゃった感覚があったんです。初音ミクの初ライブ「ミクFES09」でsupercellも初めてライブをしたんですけど、西川さんがその時にバックで演奏していて、それを観て感動しちゃって。それで、自分でもボカロをやろうと思ったのがきっかけです。

ー憧れていたギタリストの西川進さんがsupercellのバックで演奏されて、好きなものが掛け合わされたということですね。

そうですね。「俺もボカロでギター弾きたい!」って思いました。だから、当時は曲を作りたいというより、好きなもののバックでギターを弾きたいのがモチベーションでした。

ー今回の『正夢Vol.1』に収録される「わるいこになあれ」はご自身で歌われています。ボカロではなく、ご自身で歌うようになったきっかけは何かあるんですか?

一番はライブがしたいというところですね。ボカロの音を流してライブをするなら、「マジカルミライ」みたいにちゃんと映像もありきでやらないと、正直おもしろくないんです。人に歌ってもらったこともあったんですけど、自分の名前でライブをしているのに違う人が歌っていることに違和感があったんですよね。純粋に音楽のことだけを考えれば、歌の上手い人が歌った方が絶対いいんですけど。ボカロPをやっていると、好きになってもらえるのは、ボカロPじゃなくて曲なんですよ。今は違うかもしれないですけど、少なくとも僕が歌い始めた当時はそうでした。一応肩書きがアーティストであるというところで、自分で歌っていなくてもアーティストだと自分の中では考えているんです。ただ、周りは全然そう思っていない感覚があって。僕は2016年に「チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!」って曲を出して一気に認知されたんです。その時に音楽って自分だけでやるものではなくて、聴く人、受け手側あってのものだなと、すごく感じて。なので、自分の中での正義を貫き通すというよりは、音楽で世界に認識されるようになるためには、無理やりにでも自分で歌うしかないという思って歌い始めました。だから、実はポジティブな理由ではないんです。歌う選択肢しか残されてなかった状態ですね。



ー和田さんがボカロP・シンガーソングライターとして活動されて10年ほど経ちますが、10年の間でネットクリエイターシーンの変化は感じられましたか?

むしろ、変化しかしてないですね。具体的にとなると、歴史を語る感じになっちゃうからそれだけでこのインタビューが終わっちゃいますね(笑)。

ーネットクリエイターの方々に限らず、サブスクリプションサービスが使われるようになって、短い曲が増えたり、音楽のジャンルだとシティポップとか一昔前のものが流行していたり。そういう変化と、ネットクリエイターの方々のメインストリームは違うものですか?

むしろ、今まで全然違っていたものがだいぶ近づいてきている感覚ですね。ざっくり言うと、今のJ-POPで流行ってる音にボカロが寄っていっている感じがします。やっぱり、ボカロって映像が大事で、YouTubeでMVをあげるのが基本なので、映像の流行との親和性もあるのかなと僕は思っています。例えば、映像面で言うと、ヴェイパーウェイヴみたいな表現だったり、1980年代リバイバルとか、ちょっと古めかした表現が最近は流行っていると思うんです。そういう映像と、一昔前のボカロで流行っていた音数がめちゃめちゃ多い+速いテンポの曲調では合わないからではないかと。だから、映像に限らず、クリエイティブな界隈全般での空気感がそうなってきている感じはしますね。

ー和田さんがお好きな西川進さんは感情直結型ギタリストと形容されることがあると思うのですが、一方ボーカロイドは打ち込み音楽で、僕的には無機質なイメージがあって。そこは相反するものとしてお考えですか?

この感覚はちょっと世間とズレがある自覚はあるんですけど、僕はボーカロイドが無機質だと思ったことは一度もないんです。僕はあまり歌に興味がなくて。音楽の中での歌に興味がないと言うと言い過ぎなんですけど、音楽を構成する要素の1つだと思っています。世の中のリスナーは、歌に付随するものとして、他の音も聴いていると思うんです。僕はボカロだからと言って声質の違いも、声の良し悪しも分からないんですよね。悪いメロディは分かるんですけど、良いメロディが分からなくて。なので、僕は音楽を聴く時の感覚が、人とかなり違うと思います。逆に考えると、人間の歌に対して、あまりエモーショナルなものを感じてないとも言える。人間とボーカロイドの歌の違いが分からないので、ギターがエモーショナルだろうが、そうじゃなかろうが、それもオケのバリエーションの中だから、別に関係ないですね。

ー歌はあくまで1つの楽器という感覚なんですね。今回収録の「わるいこになあれ」を含め、ご自身で歌うものとボカロで制作するもので棲み分けはあるんですか?

一応、あるにはあるんですけど、明確に言語化して変えていくことはないですね。曲を作る時にボーカロイドで作るか、自分の歌で作るか。それを耳で聴いて、どういう編曲をするかだけなので、めちゃめちゃ感覚的にやってしまっているかもしれないです。ボカロで作った曲を自分で歌ってみると良い感じになったり、自分の歌として作ったはずなのにボカロの方が合いそうだなと思ったり。最近は棲み分けがめちゃくちゃになってきているので、悩んでます(笑)。分けていたつもりだったんですけどね。



ー社会的にコロナの影響が出ているなど常に変化し続けるなかで、ネット社会でもスマホの普及もあって、誰もがインターネットに接続できる時代になっており、SNSにおける空気の悪さなども問題になっていますよね。今の時代だからこその、今後クリエイターとして挑戦したいことはありますか?

あまりないですね。それによってスタイルを変えてしまう方が、むしろ不誠実だと思っています。歌詞に表れたり、勝手に影響を受けることはもちろんあるとは思うんですけど、それをきっかけに何かを意識的に変えるということはあまりないのかなと思います。


<作品情報>

『正夢vol.1』

2021年2月27日(土)レンタル開始 
※レンタル限定盤につき、販売はございません。
=収録楽曲=
1. 和田たけあき/わるいこになあれ
2. Teary Planet /コペルニクス的転回
3. R Sound Design/flos
4. Lanndo feat.bis/vivid a
5 .ぼっちぼろまる/嘘つき犬が吠える
6 .NORISTRY/Sing
7. ベアードアード/ベアードアード
8. おはようございます/極普通

<ライブ情報>

「正夢ライブ vol.1」

2021年3月22日(月)TSUTAYA O-Crest
時間:開場/開演/終演:17:00/17:30/20:00 ※変更可能性あり
出演」NORISTRY/ベアードアード and more    
チケット:3000円(w/1 drink)
2月26日 18時より販売開始
イープラス:https://eplus.jp/masayume/
チケットぴあ:https://t.pia.jp/(Pコード:193-982)
ローチケ:https://l-tike.com/order/?gLcode=70364(Lコード: 70364)
配信チケット:1500円
Streaming+:https://eplus.jp/masayume-st/
※ご購入の際に関しては、専用URLでの詳細をご確認の上ご購入いただきますようお願い申し上げます

TSUTAYAニュースページ:https://tsutaya.tsite.jp/news/music/41574803/

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