「リゼロ」ファンの米アーティスト、アシュニコが語る「私が反抗する理由」
Rolling Stone Japan / 2021年4月4日 11時0分
TikTokで280万以上のフォロワーを持つアシュニコ。米ノース・カロライナ生まれ、現在は英ロンドンで活動中。「ポップのアンチテーゼ」と呼ばれる彼女は、アート、音楽、性差別撤廃を活動の軸に据えるアーティストだ。今年1月にミックス・テープ『デミデビル』をリリースした彼女のオフィシャルインタビューをお届けする。
—15歳の時に作曲を始めたそうですが、それから10年経ちミックス・テープ『デミデビル』が発売になりました。曲作りを始めてからここに辿り着くまでの道のりがどんなものだったか教えてください。
15歳から今までは、本当に長い道のりだった(笑)。今の私は別人になった。いまだに15歳の自分だったら嫌だろうから、良かったかな。この間に、本当に一杯曲を書いて。ものすごく沢山ね。それを出来るだけ発表するようにしてきた。ほぼ毎日曲を書いてたかな。スタジオにいる時もあれば、スタジオに入ろうとしてる時もあったし、私をスタジオに入れてくれる人と会おうともしたし、そういう人達に会える場所にも出向いた。たくさん曲作りとハードワークを続けて実現させた。曲を書いたノートを何十冊も持っていて、20~30冊はある。本当に一生懸命働いてきたんだ。
—ここまでのキャリアでのハイライトは何ですか?
私は作曲が大好きで、何よりも好き。だから、「スチューピッド」と「デイジー」が(イギリスで)ゴールドになった時、それからミックステープ『Hi Its Me』がゴールドになった時は、本当に誇らしかった。その後でドージャ・キャットの「ボス・ビッチ」って曲を共作して、それがプラチナムになって。私はソングライターになりたくて曲作りを始めて、今はソングライターになって、アーティストでもある。だから、やりたかったことを実現したんだ! ゴールドを達成した時も、本当に嬉しかった。
—2017年の『Sass Pancakes』、2018年の『Unlikeable』、2019年の『Hi Its Me』と、これまでの作品は全てヒップホップにカテゴライズされていましたが、『デミデビル』はポップとされています。これは意図的な変化でしたか、それとも自然とポップになったのですか?
『Unlikeable』にもポップ要素と歌はあったし、ヒップホップもあった。だからずっと、ポップの要素はあったかな。「No Brainer」っていう『Unlikeable』の曲は、すごくポップ・パンクだし。だから、過去の作品を通してずっと、そういう要素はよく出てた。ストリーミングサービスで私の作品が何にカテゴライズされるかっていうのは、私が決められることじゃなくて。でも私の音楽は、常に偽りじゃない場所から出ている。
私の曲に出てくるのはフィクションのキャラクター
—『デミデビル』のオープニング曲「デイジー」のストーリーは最高だと思います。この曲の内容を教えていただけますか?
これは私の分身で、自警団をやってるデイジーの物語で、彼女はDCコミックスの世界に住んでいて。私が思い描く彼女は、夜中に高層ビルの上にガーゴイル彫刻みたいに立って、私達のことを見守ってる存在で。そして街にいる、家父長制度を邪悪に利用して恐ろしいことをする最低でグロテスクな男達をやっつける。ガラスの厚底ブーツで家父長制度を踏みつけて粉々にするんだ。それで自分の名刺代わりに、ベッドサイドテーブルにデイジーの花を置いていく。そのデイジーは「これから行くよ」って警告なのか、始末した後に置いていくのかはまだ決めてなかったんだけど、両方だと思う。でも彼女はいい人なんだ。
—あなたの曲は、どれも凄くパンク精神が感じられますね。パンク・ロックは自分自身であるために権力に対抗する反逆の音楽でしたが、家父長制度も権力だし、通じる部分があると思います。いつからこの反抗的な姿勢を持つようになったのですか?
反抗的な面は、第二の天性だったんだと思う(笑)。小さい頃から反抗的な子供だった。でも家父長制度に怒りを感じない人は、多分この問題に加担していると私は思う。状況を良く見られていないとも思う。人々がお互いをどんな風に扱っているか、権力者達が人々をどんな風に扱っているかを見ると、本当に怒りが湧いてくるし、すごく悲しくなる。この話は延々続けられるけど、すごく腹が立つことで。誰もが怒るべきことだと私は思うよ。
—あなたの音楽に、日本文化の影響が見えるのも嬉しいです。『デミデビル』の「スランバー・パーティ」には日本語の歌詞が出てきますよね。他にも日本文化にインスパイアされている部分はありますか?
私は日本が大好きなの。世界で一番好きな場所の一つで、日本に行く度に楽しんでる。私はヴィジュアル面で、日本のアニメにすごく感化されてる。スタイルのイメージボードに貼ってあるのは、基本的に日本のアニメかコミックブックかカートゥーンのキャラクターで。だから、全部フィクションのキャラなんだ。
アヴリル・ラヴィーン「スケーター・ボーイ」をカバーした理由
—日本のアニメで特に好きなのは?
私は『美少女戦士セーラームーン』のファンで、『Re:ゼロから始める異世界生活』のファンで、『PSYCHO-PASS サイコパス』とか、『僕だけがいない街』も好き。それから『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』も好き。『食戟のソーマ』も大好き。アニメの食事って、なぜか満足感を得られるんだよね。どんなアニメ作品でも、食べ物が出てくると凄く美味しそうに見えるから。
—あなたの定番のツインテールは、『美少女戦士セーラームーン』の影響もあるんでしょうか?
うーん、そうだね、セーラームーンはツインテールの女神だし。でも小さい頃からツインテールはしてたかな。ツインテールはキュートだから、大好きなんだ。
—19歳の時に、1カ月日本を訪れていたと聞きましたが。
うん、すごく楽しかった。東京と、京都にも行ったよ。最高の時間だった。ディズニーランドにも行ったし。
—『デミデビル』の話に戻りますが、「クライ」ではあなたが尊敬するカナダ人アーティストのグライムスとコラボレーションしていますね。この共演はグライムスがあなたのInstagramをフォローしたのを見て、連絡を取って実現したとのことですが、グライムスとはどんな話ができましたか?
「あなたの大ファンです。私の曲に参加してくれませんか?」って彼女に聞いたんだ。彼女は曲を聞いて気に入ってくれて、彼女の歌を送ってくれた。それだけかな。パンデミック中だったから、インターネット上で話をしただけで、まだ会えてないんだ。
—「レイター・ボーイ(L8r Boi)」はアヴリル・ラヴィーンの「スケーター・ボーイ」(2002年発表)を実にあなたらしくカバーした曲になっていますが、この曲のアイデアはどんな風にして思い付いたのですか?
私はアヴリル・ラヴィーンの大ファンで。あと、自分の大好きな曲を自己流に変えるのが大好きなの。「スケーター・ボーイ」は私というアーティストを形成する上で助けになってくれた曲だから、聴く度にすごくノスタルジーを感じるの。だからカバーしなきゃって思って、歌詞を書き換えたんだ。よりモダンな歌詞にして、自分の曲にしたの。
—アルバムの最後を飾る「クリトリス!ザ・ミュージカル」は、アシュニコならではのユーモアが炸裂している曲で爆笑しました。この曲についても教えて下さい。
私はただ、2021年になってもまだシスジェンダーのヘテロセクシャルの男性が、クリトリスがどこにあるのか分かってないという状況が信じられなくて。実際は簡単に触れる体の一部だし、その場所は学んでよっていう。
「実際の私って、そんなに怖くないと思う」
—(笑)この曲で、Tik Tokのアカウントなどで見られるあなたの面白い面が打ち出されているのがすごくいいですね。ホラーなヴィジュアルのMVだけを見て、アシュニコって怖いかもと思う人もいるかもしれないけれど、それはあなたのほんの一面でしかないと思うので。
そうね、実際の私って、そんなに怖くないと思うよ。
—『デミデビル』の中で、一番誇りに思っている曲はどの曲になりますか?
どれが一番とか、選びたくないな。全曲、私の子供だから。全部大好き。
—そうですね。『デミデビル』はあなたの新章となる素晴らしい作品になったと思います。この先、あなたが叶えたい一番の夢は何ですか?
多くのアーティストが、『グラミー賞を獲りたい』とかって言うけど、私はもう自分の夢は叶えたの。私はただ、常に音楽を作り続けていきたい。そして、ハッピーであり続けたい。すごくシンプルよ(笑)。そして世界中をツアーして、ショウをやって、死ぬまで音楽を作り続けたい。今の自分は、その道を辿れていると思う。
—次に日本に来る時は何をしたいですか? どこか観光したい場所とかありますか?
まず何よりも、ショウをやりたい。あとは、スーパー・ニンテンドー・ワールドに行きたい。それから、ジブリパークにも行きたいな。アミューズメントパークが大好きで。
—最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。
もちろん! みんなに会うのをすごく楽しみにしてる。私のことを応援してくれて、私の音楽を聴いてくれて、本当にありがとう。近いうちに、私達が一緒に歌えるように願ってる。きっと最高のエネルギーが感じられるショウになるよ。
<INFORMATION>
『デミデビル / DEMIDEVIL』
アシュニコ / Ashnikko
ワーナーミュージック・ジャパン
2021年1月15日リリース
https://AshnikkoJP.lnk.to/DEMIDEVILPu
トラックリスト:
1. Daisy
2. Toxic
3. Deal With It
4. Slumber Party (feat. Princess Nokia)
5. Drunk With My Friendz
6. Little Boy
7. Cry (feat. Grimes)
8. L8r Boi
9. Good While It Lasted
10. Clitoris! The Musical
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