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イマジン・ドラゴンズが語るバンド再始動の裏側、リック・ルービンと幻覚体験

Rolling Stone Japan / 2021年4月8日 17時45分

イマジン・ドラゴンズ(Photo by Neil Krug)

今年3月、3年ぶりの新曲「フォロー・ユー」と「カットスロート」を発表したイマジン・ドラゴンズ。フロントマンのダン・レイノルズが、来たるニューアルバムにも参加しているプロデューサーのリック・ルービンと、ブラジル産の蔓性植物「アヤフアスカ」の手を借りて、バンドと人生を再構築した過程を説明してくれた。


リック・ルービンとの共同作業

一「カットスロート」はこれまでのイマジン・ドラゴンとはずいぶん違いますね。

ダン:リックとは特にこの曲に力を入れて取り組んだ。リックはこれまで仕事した他の誰とも違っていたよ。なにしろ伝説のリック・ルーベンだから、どうなるか全く予想がつかない。彼がカウチに寝そべって、カニエ・ウェストやらと仕事している姿以外はね。でも彼は、こっちの予想とはまるで違っていた。

一具体的には?

ダン:ずっと彼のことは、好きなようにやらせて全体を取りまとめるタイプ、もしくは口数の少ない人だと思っていた。でもそんな感じじゃなかった。彼は細かく指示を出すタイプで、積極的に関わってくれた。僕の予想通りだったのは、とても率直だった点かな。そこが一番好きだったところさ。たいてい僕らは自分たちの音楽を自分たちでプロデュースしてきた。いいように作用することもあるけど、大変な時もある。全然バラバラの方向を向いている4人が集まっているんだからね。でもリックは舵取りが上手くて、非常に率直で、歯に衣を着せたりしなかった。気に入ったら気に入ったと言うし、気に入らなければ最悪だと言った。僕らにはそれが必要だったと思う。

コロナの最中、この3年で書き溜めた曲を100曲、彼に送った。そしたら彼は1曲1曲すべてにメールでコメントをつけてくれたよ。ちょうど一緒に仕事するかどうか話し合って、互いのことを知り始めていたころだ。まさかそんなことをしてくれるとは思ってもいなかったよ。きっと「こんなにたくさんの曲は聞ききれない」と言われるか、適当に流されると思った。でも彼は全部ちゃんと聞いて、率直なコメントをくれたんだ。



一そもそも彼と知り合ったきっかけは?

ダン:僕はたくさんヒップホップを聞いて育ったから、彼の作品はよく知っていたんだ。カニエにしてもビースティ・ボーイズにしても、彼が手がけたアルバムからとても影響を受けたしね。そう、常にリックがそばにあった。特にカニエとのアルバムでは、居心地が悪くなるギリギリのところまで推し進めているのがわかった。イマジン・ドラゴンズにもそういうのが必要だと思うよ。バンドの最大の欠点のひとつは、安心感だと思う。たとえば「カットスロート」は、僕だったらちょっと居心地が悪くて隠したくなるような部分だけど、彼はそれを気に入った。あまりにもイマジン・ドラゴンズらしくないから、僕だったら絶対あの曲はリリースしなかったし、デモも作らなかっただろう。でも彼のおかげで僕もあの曲を受け止め、自分のそういう部分を好きになれた。それが曲作りにすごく役に立ったよ。

精神疾患や離婚の危機を救った「幻覚体験」

一「カットスロート」は歌詞の中に抗うつ剤やセロトニンが出てくるので、ご自身の鬱の経験を取り上げているんだと思いました。

ダン:そう、あの曲は自己嫌悪の悪魔祓いなんだよ。僕はこの人生で何年も「ああ悲しきかな」と(思いながら)過ごしてきた。僕の鬱は遺伝的なものなのか、それとも宗教的危機が原因なのかはわからない。僕はモルモン教の中で育てられたが、自分にはしっくりこなかった。頭の中でうまく整理できなかった。だが理由は何であれ、10代のころに精神疾患の治療を始めて、セラピストに通ったりいろんな薬を試したりした。

僕の音楽はどれもそういったことが中心で、自分自身にたっぷり焦点を当ててきた。あの曲は一種の悪魔祓いの歌。そういった自己憐憫を取り除いて、人生や自分に与えられたものを受け止めよう、という歌なんだ。「カットスロート」やアルバムの多くの曲は、人生の終焉が大きなテーマになっている。僕も昨年、義理の姉をガンで亡くした。彼女が亡くなった時、僕は兄貴と一緒に部屋にいた。兄夫婦は7人の子持ちでね。故人と同じ部屋にいたのは初めての経験だったから、今までにないショックを受けた。毎日の生活について、人生の生き方について考えさせられたよ。その前の年には、親友の1人が自ら命を絶った。そういうことがあると、自分の健康や1日1日に感謝するようになる。あの曲を聴くと、みんな誰かに怒っている曲だと思うだろう。でも本当は、自分自身に怒っているんだ。

一どういった経緯でそういった境地にいたったのですか?

ダン:僕が試したことで実際に人生を変えるような出来事だったのは、アヤフアスカをやったことかな。自分にとってはまさに分岐点だった。あれのおかげでどうでもいいことが何かわかって、それを手放すことができたし、大事なことが何かわかって、受け止めることができた。僕にとってはすべてがガラリと変わったよ。もちろん、アヤフアスカ博士とかなんとかを気取るつもりはないよ。でも僕にとっては人生を変える体験だった。精神疾患から大きな1歩を踏み出す助けになった。

一どんな状況だったんですか? ジャングルに行ったのか、それともリビングルームでただ座っていたのか?

ダン:実は、妻とは7カ月別居していたんだ。離婚するつもりだった。ちょうど最後のアルバム『エヴォルヴ』を出したころで、僕はツアーに出ていて、7カ月間言葉を交わさなかった。その時点では、弁護士を通じて話をしていた。帰宅して、弁護士の同席のもとで書類にサインすることになっていた。お互いテーブルに向かい合って、ただ相手を見つめていた。会合の直前に、彼女は携帯にメールしてきたんだが、目からうろこがおちるような内容で、胸に
深く刺さった。今まで互いに触れたことのない内容だったんだが、僕はそれですごく癒された。

それで2人も匙を投げたんだ。「これは僕らが求めていることじゃない、僕らに今必要なのはランチに行くことだ」ってね。それで一緒にランチに行った。彼女は、アヤフアスカをやったら人生が変わったと教えてくれた。「あなたがその気なら、一緒に次の週末やってもいいわよ」って彼女が言ったので、僕も自分で少し調べて、一緒にやってみたら本当に人生変わったってわけさ。言葉で説明しようとするとどうしても陳腐に聞こえてしまう。そのくらい奥が深いんだ。

そのおかげでヨリを戻し、それから何年も幸せに結婚生活を送っているよ。16カ月の赤ん坊もいる。それまでたどり着けなかった健全な環境や、自己愛へと導いてくれたんだ。

一私も人からアヤフアスカがいいという話は聞いたことがありますが、あなたの話は一番ポジティブなものかもしれませんね。それでも怖くて個人的にはまだ試していないんですが……。

ダン:そりゃ怖いさ。僕だってみんなに「君もやるべきだ」なんて絶対言いたくないし。一大事だからね。全員に向いてるようなものでもないと思う。でも僕の場合、信心深さがちっぽけなものだと気づかせてくれたんだ。

「アルバムはすでに完成している」

一「カットスロート」の曲作りや、リックの手腕について教えてください。

ダン:ものすごく奇妙なサウンドの曲だったから、彼がどう思うか見当もつかなかった。デモの状態で彼に聞かせたんだが、その段階ですでにかなりアグレッシブだった。でも、幾分抑え気味だったかもしれない。もっとヤバい感じにできたかもしれないね。たしかに僕は今までずっとイカれたところがあったし、この曲を書いたときもかなり躁状態だった。リックは曲を聴くなり開口一番、こう指摘した。「曲のこういう部分をもっと受け止めなくちゃだめだ」 曲ははっちゃけたいのに、はっちゃけきれていない。怒りたいのに怒りきれていない、ってね。

それで曲全体を作り直した。コリー・ヘンリーを迎えたんだ。彼は素晴らしいゴスペル・オルガン奏者で、複数の楽器を操れるまさに天才。リックが彼のことを教えてくれた。彼がスタジオに入ってオルガンで曲を構成していったんだけど、僕にはすごく変な感じがした。でもリックのアイデアだった。それが宗教的ともいえる怒りのほとばしりをもたらした。あの曲が必要としていたのは怒りだったから、アーティストとして僕も大満足だった――怒りと闇は、時に素晴らしいものになることもあるんだよ。

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リック・ルービン(写真左)とのレコーディング風景

一ふだんはどのように曲作りをするんですか?

ダン:長年僕が使っているDAWソフトはAbletonだ。たいてい、今いるこの場所にキーボードやパーカッションや何やらを置いて座る。いつもほぼ毎日、デモを書いているんだ。12〜13歳のころからずっとそうしている。何千というデモを作ってきたよ。ほとんどはまったくお粗末だけど、デモづくりの過程が治療的効果をもたらすんだ。ギタリストのウェイン(・サーモン)かドラマーの(ダニエル・)プラッツマンのどっちかが書いたものを送ってきたり、僕がここで作業したりだよ。

一リックとの作業で一番変わった点は?

ダン:リックとは約40曲を作ってスタジオに入り、そこから実際にどんなテーマなのかを理解しようとした。僕にとってはこれまですごく苦手な部分だった。僕の最大の弱みは、恐れるあまりに比喩的になりすぎること。自分の人生を赤裸々にすることがものすごく怖い。公の場にさらけ出すことで、家族や大事にしている人たちを傷つけるんじゃないかとね。だから、見るからに比喩的な曲ばかり書いていた。

僕たちのディスコグラフィーで、僕が好きじゃない曲、僕にはしっくりこなかった曲はどれも、言いたいことを隠そうとした曲だ。僕が敬愛するソングライターは、ボブ・ディランもキャット・スティーヴンスもポール・サイモンも、みんな的確に表現する。ハリー・ニルソンは特にそうだ。だからこのアルバムでは、僕もそれを受け止めてみることにした。もっと素直になれるよう、リックが力強く背中を押してくれたんだ。

一もうひとつの新曲「フォロー・ユー」はいかがですか?

ダン:「フォロー・ユー」は、アルバムの中ではサウンド的に正反対だ。少なくとも僕の頭の中では、アルバムは2つのまったく違う側面を持っている。外交的にみえる部分と内向的に見える部分、ややオーガニックなところもあれば、時には激しくてカオス的。アルバムの内向的な部分が「カットスロート」だ。

一方で「フォロー・ユー」はきれいにまとまっている。僕たちにしては珍しい。僕にはラブソングはトゥーマッチというか、媚びてるような感じがするんだよ。僕自身、ラブソングを書くが得意なわけでもないし。でもアジャとヨリを戻して、よりにもよってアヤフアスカを通じて復縁した時は胸が張り裂けるような体験だったから、地に足がついていること、愛する人たちへの忠誠がものすごくありがたいものに感じた。「フォロー・ユー」は忠誠心を歌った曲。アジャとの復縁についての曲なんだ。

ヒントになったのはビーチ・ボーイズだ。子供のころよく聞いたよ、すごく遊び心にあふれて楽しかった。ここでもやっぱりリックが背中を押してくれたおかげで、僕たちのサウンドの幅広さや極端さを受け入れることができた。



一アルバムはすでに完成しているんですか?

ダン:ああ、アルバムは完成したよ。この2つのシングルは、いわばアルバムの内容をファンに一足早く垣間見せるものだ。アルバムのもつ二面性や両極端をね。アルバムのタイトルもそれに関連している。まだタイトルを明かすわけにはいかないけど、なるほどというタイトルだよ。

一最近、幼少期を過ごしたラスベガスの家をLGBTQ+の若者を支援するグループEncircleに寄付しましたね。その決断にはどんな意図があったのでしょう?

ダン:僕はあの家で、愛と笑いに包まれて育った。30年間、9人の子供を育てたあの家を売ると両親が言ったとき、ふと思い浮かんだんだ。ラスベガスのLGBTQの若者のために愛と避難所を与えられるとしたら、最高の家じゃないだろうかってね。僕はあの家で愛され、祝福されながら育った。これから先もっと多くの人に喜びをもたらしてほしい、というのが僕の唯一の願いだよ。

From Rolling Stone US.



イマジン・ドラゴンズ
シングル「フォロー・ユー」&「カットスロート」
試聴・購入:
https://umj.lnk.to/ImagineDragons_FollowYou_Cutthroat

イマジン・ドラゴンズ日本公式HP:
https://www.universal-music.co.jp/imagine-dragons/

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