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ミック・ジャガーが激白、陰謀論者と反ワクチン派は「議論しても無駄」

Rolling Stone Japan / 2021年4月17日 9時0分

ミック・ジャガー(Photo by Michael Hickey/Getty Images)

さる4月14日、デイヴ・グロール参加の新曲「Eazy Sleazy」をサプライズ公開したミック・ジャガー。同曲の制作背景と「トンネルの向こうに見える光」、トランプ前大統領の「その場しのぎ」のパンデミック対策、陰謀論者と反ワクチン派について、ローリング・ストーンズのフロントマンが激白。

【動画を見る】ミック・ジャガー新曲「Eazy Sleazy」MV

ミック・ジャガーは先月、自宅でくつろぎながらパンデミックの状況を追っていた。新曲のアイデアがふと浮かんだのはその時だった。彼はパーソナルな観点とグローバルな観点の両方でこの1年を反芻し、世界はいまだパンデミックで身動きが取れないものの、以前の生活は少しずつ元に戻っていることに気が付いた。そうして完成したのが、過去1年ジャガーが目にした数々の悲劇、不条理、陰謀論、そして希望をまとめたデイヴ・グロールとの共作曲「Eazy Sleazy」だ。

”ワクチンを接種する/ 俺の血管にビル・ゲイツが流れる/マインドコントロールだ” 自ら「陰謀論へのあてつけ」と呼ぶパートで、ジャガーはこう歌う。”地球は平らで冷たい/温暖化なんて起きちゃいない/北極はかき氷状態/神の再臨は遅れている/ディープステイトはエイリアンだらけ” だがローリング・ストーンズのフロントマンは、「狂騒の20年代」ふたたびと言わんばかりに楽観的な考えをあちこちにちりばめる。”すべてがきっと最高になる”とジャガーは歌う。”地上の快楽の園になるだろう”


「Eazy Sleazy」ジャケット

肉厚でメロディアスな曲を完成させると、ジャガーはそれをデイヴに送り、2人は翌日からさっそく作業を始めたと言う。「サー・ミックと一緒にこの曲をレコーディングするのが自分にとってどれだけ大きなことか、とても言葉では表現できないよ」とデイヴはローリングストーン誌に語った。「夢が叶う以上の出来事だ」ミックはボーカルとギター、デイヴはギターとドラム、ベースを担当し、この1カ月互いに音源をやりとりした。

長年コラボレーションをしてきたマット・クリフォードのプロデュースによるこの曲は、2017年にジャガーがやはりワンオフでリリースした政治色の濃い2曲「England Lost」「Gotta Get a Grip」をさらに前向きにしたような曲だ。ジャガー(ちなみにワクチン接種は終えている)は快く電話を取り、「Eazy Sleazy」について、反ワクチン派について、トランプ政権とバイデン政権の違いについて語ってくれた。

「Eazy Sleazy」が生まれるまで

―どのような経緯で曲ができたんですか?

ミック:歌詞は速攻で書いた。パンデミックそのものや、パンデミックから脱け出したいという思い、トンネルの向こうに見える光を歌ったコーラス部分。なかなかいい出来だった。それで「これは今すぐ出さなきゃ、3カ月、6カ月経ってからじゃ何の意味もない」と思った。「本当にすごいヤツとやりたい、自宅から作業してくれるやつと」ってね。デイヴとは前から知り合いだったし、(フー・ファイタイターズが)アルバムを出したばかりだったから、彼が暇してるのは分かっていた。「デイヴ、興味あるかい?」と電話すると、彼は(アメリカン・アクセントまじりで)「ああ、暇を持て余してたんだ!」「アルバムを出したばかりだもんな」「本当暇でさ! やるよ! 仕事したいんだ!」 それで俺は「わかった、曲を送るよ」と言った。そのあとはあっという間だった。激しいロックだったから、デイヴも気に入った。俺も激しいのが好きだから、いい感じになった。

―そもそもあの曲を書こうという気になったきっかけは? 何か特定の出来事を目にしたからですか、それともこの1年間に感じたフィーリングからでしょうか?

ミック:最初に歌詞をいくつか書いて、そこから空白を埋めていった。でもそうだな、去年1年間を振り返ったのがきっかけだ。精神的にも肉体的にも社会にのしかかる重圧さ。俺たちは1年ずっとこうして過ごし、その間いろんな感情を味わって、見切り発車しては立ち止まり、規制を緩和しては都市封鎖を繰り返してきた。(笑いながら)去年の夏の終わりはすべてが順調に見えて、みんな外を出歩いて最高だった。それが、とくにヨーロッパでは再び都市封鎖されて、社会的交流は一切できなくなった。みんな長いことそれに耐え忍んでいる。(それに)学校に行けなかったり社交生活が送れなかったりで、人々や子供たちも精神的に深い影響を受けている。これから先(長期的に)どうなるか、見当もつかない。


Photo by Bryan Adams

―あなた個人はいかがでしたか? パンデミックの間、どんな気持ち、どんな精神状態でしたか?

ミック:ひたすらじっと耐えていたよ。最初は数週間で終わると思っていたのが、こいつはかなりあっという間に悪化する(だろう)という気づき(が訪れた)。それから長期戦になることに気づき、「ここからは様子を見よう、こればっかりはどうしようもない」となる。「もしかしたら不便を感じるぐらいだろう」という状態から「この世の終わり」という状態(に変わっていった)。今じゃ死神が世界を闊歩して、胸を痛めている。もちろん自分もその数には加わりたくないから、安全には気を付けている。

一部の場所では本当に辛い思いをして、俺たちのような恩恵にあずかれていない人々もいる。右往左往して、順応しなくちゃならなかった。たしかに俺は大半の人よりもラッキーなほうだ。これほど長く国内にいたことはないね。いつも何かしら国外に行く理由があった。都会のアパートに閉じ込められて、一歩も外に出られないなんて――俺の友人はみんなそうだ――きっとものすごく辛いはずだ。人と会ったり、会話したり、交流したり、誰かと一緒に演奏するのが恋しくなる。そういうのが全部変わった。だけど、俺も大変だったとは言えないな。自分で望んだわけじゃないが、家にこもるにしても運よく居心地のいい場所がいくつかあったおかげで、対処できた。でもみんながそうとは限らない。

トランプ前大統領の「その場しのぎ」

―2番の歌詞ではTikTokダンスやZoom会議、料理、暴飲暴食や断捨離について触れていますが、ロックダウン中の人々の行動を反映していると同時に、からかっているようにも取れますね。

ミック:1番では序盤がどれだけ恐ろしかったかを歌っている。どれだけ大勢の人が死んでいったかとか。衝撃的だった。政府の人間はみなたわごとばかり口にして、5分おきに考えを変える始末だ。イングランドではかなり混乱状態だったし、トランプ政権では奴はナンセンスなことばかり言っていた。首をかしげるようなことばかりだったのを覚えているかい? グラフだの数字だの。それで行き着いた先が今の状態。ようこそ、新作映画をバーチャルで見る世界へ。バーチャル・アートギャラリー、バーチャル・プレミア、バーチャル・コンサートの世界さ。

そのあと、長いロックダウンからさらにこういう経験を重ねていく。きれいな女の子を見ても、ワクチンを受けるまでは声もかけられない。それで、「自分磨き」をしなくちゃいけない、と感じて、時間つぶしにくだらないことにチャレンジする。みんな何かを始めようとしてただろう? やっきになって料理したり、ダンスしたり、他の言語を学んだり。

―あなたもパンデミック中は自分磨きをしましたか?

ミック:ぶっちゃけ、そうでもない。全くだ。もし俺が(嫌味っぽい声で)「ああもちろん。俺も前よりいい人間になったと断言できる。自分自身を振り返るいい機会だった」なんて言ったらバカみたいじゃないか。こういうことすべてを茶化してるのさ。他の言語を学ぼうとしたりとかそういうことをさ。

―2017年に「England Lost」と「Gotta Get a Grip」をリリースした際、あなたは「ころころ変わる政局への不安と不確かさ」について語り、「明らかに今は問題だらけだ。自分は政治的に楽観的か?……答えはノーだ」とも言っていました。あれから多少なりとも楽観的になりましたか?

ミック:アメリカでは物事を正しい方向へ導こうとする人もいるようだし、パンデミックを乗り越えて、なすべきことを理解する可能性が高まっているようだ。前政権はそうじゃなかった。来る日も来る日も、この先どうなるのかわからないまま過ごしていた。すべてにおいてプランが全くなかった。少なくとも現政権は長期的な目標や課題をはっきりわかっていると思う。全てうまくいくわけじゃないにしても、少なくとも努力はしている。アメリカに関しては、俺も去年の今頃よりずっと楽観的だね。

―たしかに。ここ数年、あなたはトランプ前大統領はとても好きになれないと明言していましたしね。

ミック:当たり前だ! 好きなもんか。(声を荒げて)奴は何もかも適当だったんだよ。いつだってその場しのぎだった。パンデミックはその場しのぎでは解決できない。そうするわけにはいかない。少なくともトランプは、ワクチンに関しては頑張った。それはいいことだ。金をたくさんかけて、その甲斐もあった。(アメリカとイギリスでは)政府がいろんな形で介入した。違いは、イギリスは最初のうちアメリカよりずっとうまくワクチン接種を実施したってことだ。バイデン政権になるまで、アメリカのワクチン計画は存在しないも同然だった。だがもちろん、どっちの国も他に大きな問題を抱えていて、経済は大打撃を受けている。抜け出すにはまだまだかかる。

陰謀論者と反ワクチン派に思うこと

―陰謀論について曲を書こうと思ったのはなぜですか?

ミック:多くのことに関してわりと分別があるような人でも、受け入れられないことを抱えているように見える。俺にも何人か友人や知り合いがいて、わけのわからないことを言い出す……理不尽になるんだ。もちろん、相手にそれを言ったところでどうにもならない。向こうは受け入れないんだ。彼らは自分が信じるものだけを受け入れ、それを鵜呑みにする。こっちが何を言おうと関係なく、信じるんだ。合理的な考えはお呼びじゃない。

18世紀に合理主義を誇ったフランスのような国が、西欧諸国ではもっとも反ワクチン派が多かったりする。(ワクチンは)なにも新しいものじゃない。俺が子供のころ、もうかなり前の話だが、人々はポリオで死んでいった。次の日には姿を消していた。それもワクチンですっかり撲滅した。貧しい子供たちはポリオで死ぬか、障害を負っていた。俺の友だちも大勢がそうなった。もし自分に子供がいたらワクチンを受けさせるか、それともみすみす子供の足を動かなくさせるか? ああいう奴らと議論しても始まらない。そんなわけで、反ワクチン派を通して陰謀論にふれたってわけさ。歌詞の中でははっきり言っていないが。もっとも言い出したのは俺だから、ひょっとしたら歌詞に書くべきだったかもな(笑)

―ちょっと話を戻してもいいですか? 実際に陰謀論を口にする「友人や知り合い」がいるとおっしゃいましたね?

ミック:ああ、反ワクチン主義者とも話をしたよ。

―本当ですか?

ミック:ああ。無駄だがな……。

―でもどうやったらそんな風になるんです? どんな状況になったら、ミック・ジャガーが反ワクチン主義者と話すことになるんですか? Facebookで返信したとか?

ミック:いや、電話でだよ。ただ「いつワクチンを受けるんだい?」って聞くのさ。暇つぶし程度にね。「実はまだ受けてないんだ」「そうか、でもなぜ? 順番待ちかい?」「いいや、ワクチンには反対なんだ」 そういう人間が少なからずいることに気づいたんだ。何人かいるよ。だがこれに関しては――最初のころは大勢がそうだった――俺だって、ワクチンを受ける第1号にはなりたくなかったかもな。しばらく経てば考えを変えた人もいるだろうが、でもそれ以外の人はみな「選挙に勝ったのはトランプだ」とかなんとか言うのさ。俺もいちいち(曲に)盛り込んだりはしなかったが。

―曲の歌詞は悲惨な状況を描いていますが、コーラス部分は楽観的な雰囲気を残していますね。

ミック:国によって状況は違うが、ワクチンの量(が増えたり)だとか、ロックダウンが敷かれたりだとか、人々の考えが変わったり、断続的な経済再開だったり。でも今、多くの国ではトンネルの向こうに光が見えているように思う。光が見えるようになったから、ロックダウンの経験を曲に書いてみようかと思ったのさ。願わくば、これをきっかけにもう少しばかり自由になってくればいいがな。


From Rolling Stone US.

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