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カート・コバーン「生前最後の写真」がオークションへ

Rolling Stone Japan / 2021年5月3日 15時30分

写真家のジェシー・フローマンが捉えたカート・コバーン(© Jesse Frohman)

いまは亡きニルヴァーナのフロントマンの姿をとらえたアイコニックな写真が米現地時間5月3日からオークションに出品される。

ヒョウ柄プリントのジャケット、ボーイッシュなトラッパーハット、そして白いフレームのJackie Oサングラス——目を閉じれば、はっきりと思い浮かべることができる。これらのアイテムはすべてカート・コバーンのものであることは確かだが、当の本人は角度によって少し違う表情を見せている。ひょっとしたらそれは、被写体である彼が炎のような性格の持ち主だったからかもしれない。無秩序に揺らめいたり、消えまいと必死に戦っていないときに限り、それは明るく鮮やかに燃え上がった。

まもなくニルヴァーナの熱狂的なファンは、バンドのフロントマンがこの世を去る前に行われた最後の公式写真撮影の親密な瞬間を間近で見ることができる。撮影は、コバーンの死のわずか数カ月前、1994年の春に行われた。

米現地時間4月28日、写真家のジェシー・フローマンがオークションサイトを立ち上げた。フローマンのサイトでは、彼が「The Last Session」と呼ぶ、コバーンとの最後の写真撮影でカメラに収められた100点以上の写真がNFT(非代替性トークン)で売りに出される。コンタクトシートやネガフィルムのなかには、いままで一度もスキャンされなかったものも複数含まれるため、今回発表される写真の一部は未公開のものだとフローマンは本誌に語った。4月28日正午(米東部標準時)時点では、誰もがサイトからサムネイル画像を閲覧できるが、高画質バージョンを手に入れられるのは落札者のみだ。

オークションは5月3日正午(米東部標準時)にスタートし、7日午後6時に終了する。一点物の作品の開始価格は、コバーンが27歳で他界したことを踏まえて27.27 ETH(イーサリアム)に設定されている。本記事掲載時点では、この額は7万2000ドル(約780万円)に相当する。

「こっちでは1枚の写真を、あっちはでまた別の写真を、ここではスリーショットなんかをといった具合に誰もがやっていましたから、いままで誰もやっていないようなことがしたかったんです」と、104点の写真をひとつのNFT商品としてまとめ上げたことについてフローマンは述べた。「これは二度とできない特別なものです」。フローマンは、コバーンとの最後の写真撮影を歴史的な瞬間だったととらえ、しかるべき評価を受けるのは当然だと考える。絶えず変化するコバーンのエネルギーにより、一度にすべての写真を観るのは一本の映画を観るようなものだと言う。「まるで映画研究ですよ」とフローマンは話した。

>>関連記事:カート・コバーンのギター、約6億4000万円の史上最高額で落札される

これらの未公開写真を手に入れる唯一の方法は、「The Last Session」と命名された完全版のNFTを購入することだ。だが、ほかにもより手頃なオプションが用意されている。「Nevermind Editions」と名付けられた全10点の独特なカラーが特徴的なコバーンの4連写真の開始価格は、2.7 ETH、およそ7000ドル(約76万円)。フローマン自身、この作品のひとつを額装した巨大なフィジカルバージョンを持っていて、ビデオ会話アプリで本誌のインタビューに応じる際もリビングルームの壁にかけられているのが画面越しに見える。「実は、これと同じサイズの作品をマイリー・サイラスが購入しました」とフローマンは話す。

今回のオークションでもっとも手頃なアイテムは、こちらも独特なカラーが特徴的なコバーンのポートレイトと、クリス・ノヴォセリックとデイヴ・グロールとのスリーショット写真を含む全20種類(1種類/5点)の「In Utero Editions」だ。「いますぐ購入」をクリックすれば、1 ETH(約2600ドル/約28万)でオークション開始と同時にすぐに落札できる。


© Jesse Frohman

オークションの収益はすべてJED Foundationに寄付される。JED Foundationとは、自殺防止とアメリカのティーンエイジャーの心のウェルビーイングを推進する非営利団体だ。コバーンのエステート(遺産管理団体)やニルヴァーナの現存メンバーにも収益が配分されるのかという質問に対し、フローマンはそのような取り決めは行っていないと答えた。だが、コバーンのエステートは今回のプロジェクトの全貌を把握しており、JED Foundationともすでに協力していると述べた。


フローマンは、ギャラリーや第三者を介して作品を販売することには慣れている一方、コレクターに直接販売した経験はない。だからこそ、今回のNFTオークションにワクワクしていると言う。「たまにセレブリティや誰かが直接私に問い合わせてくるのですが、ほとんどは私のコネクションとは関係のないものです」と話す彼は、NFTが作品に「いままでと違う命」を吹き込んだと語る。「私は、とりわけカートを一種の偶像としてとらえています。クリプト界のヒーロー的な存在とでもいいましょうか。仮想通貨は、既存のシステムに抵抗することが大好きですから。私にとってカートは、まさにそんな存在でした。彼は、秩序といったものに対してはきわめてアンチな人物で、それを公言していました。カートなら、NFTアート空間というものにとても興味を持っていたでしょう」。フローマンがこのように言うのは、フローマンが今回のプロジェクトに取り掛かるずっと前から、コバーンのこうした精神を受けて多くの暗号資産支持者たちが彼の写真をプロフィールのアイコンとして使いはじめたことが挙げられる。

これらのNFTは、意図的にオンラインマーケットプレイスでは購入できないようになっている。代わりに、Serotoninという会社(「斬新なテクノロジー向けのマーケティング会社およびプロダクトスタジオ」を自称するこの米企業は1年近く前に立ち上げられた)がデザインしたホームページが回収を担当する(Serotoninは技術面でのハンドリングと今回のプロジェクト運営にも関わっている)。

>>関連記事:カート・コバーンが残した12の名言

「人々をあっと驚かせる独創的なすべての芸術品にとっての理想的な体験は、作り手と作品の背後にあるストーリーとの絶対的な没入体験にあると考えます」とSerotoninの共同創業者兼パートナーのマシュー・アイルズ氏は話す。「私たちは『人々にカート、ニルヴァーナ、そしてその先にいるジェシー(・フローマン)とのダイレクトなつながりを感じてもらうには、どうしたらいいだろう?』と考えました。現状のNFTマーケットプレイスには候補となる良いオプションがいくつかありますが、完全に独立していて、今回のプロジェクトに特化したものはありません」


© Jesse Frohman

個人主義者としてのコバーンの本質に敬意を表するために制作されたコレクションの完成形を前に、Serotoninとフローマンはだだっ広いバーチャル倉庫的な空間でコバーンを製品のように扱わないことにこだわった。「Crypto Punk(訳注:アルゴリズムで生成された24x24ピクセルのアート画像)と関わったり、そうした世界に取り囲まれたりすることがあまりピンとこなかったんです」とフローマンは話す。「そうしたものに問題があるわけではありません。私はただ、[この連作が]失われてしまうと感じたのです。撮影から今回の発表に至るまでのすべてのストーリーを語ることができないと思いました」。フローマンは、作品のプレゼンテーションとストーリーの伝え方をもっとコントロールしたかったのだ。さらに彼は次のように言い添えた。「それに、こっちのほうがずっと面白いと思ったんです」

All Photographs © Jesse Frohman
すべての著作物は著作権で保護されています。写真の転載など、いかなる方法であれ、作品またはその一部を複製することは法的規制の範囲内でのみ認められます。違反者は刑事告訴されることがあります。

From Rolling  Stone US.

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