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Juice=Juiceが語る、実力派と言われる「歌」をメンバー目線で徹底解説

Rolling Stone Japan / 2021年5月12日 19時30分

Juice=Juice:左から段原瑠々、金澤朋子、井上玲音(Photo by Rika Tomomatsu)

Rolling Stone Japan初登場のJuice=Juice。昨年新メンバーとして元・こぶしファクトリーの井上玲音が加入し、結成当初からグループを引っ張ってきた宮本佳林と高木紗友希が卒業するなどチーム編成が大きく変化した今、改めてJuice=Juiceの歌について話を聞いたところ、金澤朋子、段原瑠々、井上玲音の3人が興味深いエピソードの数々を披露してくれた。

従来のJuice=Juiceとは異なる魅力を堪能できる新曲『DOWN TOWN / がんばれないよ』について話を聞きつつ、Juice=Juice各メンバーの「歌唱」について3人にじっくり解説してもらった。

【動画を見る】Juice=Juice「DOWN TOWN」ミュージックビデオ

―れいれいさんはJuice=Juice加入からちょうど1年が経ちましたがいかがですか?

井上玲音 自分でも変わったと思うことが多いです。歌い方も声の出し方も変わってきて、特に自分の「こうしたい」と思うゾーンが見えてきたのが一番大きい変化だと思います。

―ゾーンが見えてきたというのは?

井上 高音を強く出したいんです。これまでも高音の曲はあったんですけど、どちらかというと私のパートは低音のほうが多かったのでそっちに重きを置いていて。でも、Juice=Juiceに入ってからは高音のパートに挑戦したいという気持ちがあります。

―実際にJuice=Juiceに入ってみて、外から見ていたのと違った部分はありますか?

井上 パフォーマンスの印象は強い女性のイメージのままなんですけど、楽屋だとけっこうワイワイとふざけていることが多くて。

金澤朋子 そうだね(笑)。

井上 私自身もすごくふざけるタイプなので、それに乗ってくれる人、突っ込む人、温かい目で見守ってくれる人がいてにぎやかだなって思いました。

―でも、れいれいさんはもともと人見知りだったんですよね?

段原瑠々 え!?

井上 そうなんですよね。高校2年生ぐらいまで人見知りだったんですけど、3年生ぐらいから治ってきました。

金澤 へぇ~。

―かなともさんと瑠々さんの反応からすると、れいれいさんが人見知りだったのは意外でしたか?

段原 はい、会ったときから全然そんな感じじゃなかったし、わりとすぐに心を開いてくれてみんなと騒いでいたので、のびのびしてくれていてうれしいです。あと、私は玲音ちゃんと同い年なんですけど、それまで私はJuice=Juiceの中だと後輩先輩それぞれとちょっと年齢が離れていて、同じ年代の子がいなかったのですごくうれしくて。同い年だからどうというのはないんですけど、なんか心強いというか、一緒にいると「いいなあ」って思います。

金澤 人見知りだったなんて信じられないぐらい、れいれいは最初からムードメーカー的な存在で、楽屋の雰囲気もこれまで以上に華やかになりましたね。これまでもみんなで集まって何かをする時間はあったんですけど、ひとりの時間もあればみんなが集まるときもあるっていう感じで波があったんです。だけど最近は、一度みんなが揃うとずっと一緒にいることが増えてそれはれいれいが加入してからだと思うので、そういう意味ではJuice=Juiceの雰囲気をよりよくしてくれたメンバーのひとりだと思います。


カバー曲「DOWN TOWN」について

―ライブでのパフォーマンス面はどう変わりましたか?

金澤 ボイスパーカッションというすごい特技をお持ちなので、そういう面ではすごいなと思いますし、新曲「DOWN TOWN」の中でもボイパをやってくれていて、Juice=Juiceの楽曲に深みと厚みが増したと思います。

―いきなりボイパが採用されるなんて。

井上 新曲に入るなんて全く思ってなかったのでびっくりしました。「どこに入れるんだろう?」と思ったし、もしかしたら「1曲とおしてボイパを入れるから歌割りはないよ」って言われるかもしれないと思っていて……。

段原 あっはっは!

金澤 それはないよ!(笑)

井上 実際には、ボイパというよりもヒューマンビートボックス寄りのパフォーマンスを入れさせていただいて、新しい技も取り入れたのでけっこう難しかったです。

―その新技はれいれいさん自らトライしたんですか?

井上 いや、最初に「こういうビートをやりますよ」という仮音源をいただいたんですけど、上手すぎて何をやっているのか全然わからなかったので(笑)、レコーディングの1時間前にレッスンしてできるようになりました。

―「DOWN TOWN」はどういう楽曲になりましたか?

金澤 山下達郎さん率いるシュガー・ベイブさんのカバーということで今までとは違う緊張感やプレッシャーを感じていたんですけど、この曲をカバーすることが発表されてすぐに私の両親が「すごいことじゃないか!」って自分以上に喜んでいたし、「オレたちひょうきん族」世代のファンの方々からも反応があって、そのときに「あ、これは本当に頑張らないといけない!」と思いました。

―確かにそれぐらいの名曲ですもんね。

金澤 楽曲の雰囲気もこれまでのJuice=Juiceとは全然違って新しいノリや見せ場がたくさんあるので、そういった違いを楽しんでもらいたいですし、シュガー・ベイブさんのバージョンと違ってすべて打ち込みでつくられているので、そこも楽しんでいただけたらと思います。

―瑠々さんはいかがですか?

段原 私はレコーディングですごく苦戦しました。グルーヴ感とかリズム感が普段歌っている曲と全然違うので、走っちゃったり突っ込んじゃったりなかなか上手に歌えなくて。でもすごくJuice=Juiceらしく、ポップに明るく仕上がっていたので、この曲のよさをこれから伝えていけたらいいなと思います。

―今回の2曲って実はすごく難しくないですか? 声を張ればいいわけでもないし、おとなしすぎてもダメだし。

井上 「DOWN TOWN」を覚えているときはリズムも取れていたと思ったんですが、それがレコーディングで出せなくて、ディレクターさんから何回も「もうちょっといける?」って言われるぐらい本当にできなくて、見本にディレクターさんが1番を歌ってくださったんですけどリズムの出し方が私と違っていて全然違う曲に聞こえたんです。なので、歌い方や音符の長さの勉強になりました。

―「DOWN TOWN」のポイントはリズムなんですね。

金澤 そうですね。リズムはタイトなんですけど、単純に歌を短く切ればいいということではなくて、跳ねている感じを出さなきゃいけなかったり、逆に伸ばしたほうがいいポイントもあったり。あとは、ブレスの位置が難しい曲だと思いましたね。


Juice=Juiceのユニゾンの強み

―「がんばれないよ」は今までと違う録り方をしたそうで。

金澤 普段のレコーディングではパートごとに録ることが多いんですけど、この曲はソロバージョンも作っているので1曲丸々歌っています。この曲はストーリー性があって1曲の中でテンションが変化していて、歌詞の主人公の気持ちや流れを意識しながらレコーディングするというのは今までになかったので面白かったですね。



―瑠々さんはどうですか?

段原 私は「ほとんど歌わなくていいから、しゃべる感じで、息だけ出してるぐらいの感覚で歌ってみて」と言われたので、感情を込めるというよりは帰り道に下を向いて落ち込みながら口ずさんでる感じで歌ったんですけど、「これがCDになるのか。大丈夫かな?」と思っていて。でも、自分なりのイメージに従って歌ったバージョンとディレクターさんに言われて歌ったバージョンを聴き比べたら、しゃべるように歌うほうがこの曲には合ってると思えたし、歌いすぎなくてもいいという新しい歌い方を見つけられました。

―落ちサビが特によかったです。

金澤 (拍手をしながら)最高。

段原 うふふ。ありがとうございます。

―れいれいさんはどうでしたか?

井上 私はしっとりめに歌うほうが自分の声に合っていて、女の子がちょっと落ち込んでいる様子を歌う最初の場面では、「そんな感じそんな感じ」とディレクターさんも言ってくださったんですけど、徐々に気持ちが上がっていく場面は急に上げてもダメだし、緩やかすぎて上がりきらないのもダメで。声の大きさだけじゃなく、テンションを上げつつ音程も外さないで気持ちの高ぶりを表現するのが難しかったです。

―全員の声が揃ったものを聴いてみていかがでしたか?

段原 みんな違う声なんですけど、ユニゾンになるとキレイに合わさっていて。ディレクターさんが声の相性を考えて決めてくださったと思うんですけど、サビまでソロが続いて、そこからバッと開ける感じになるところがとても素敵だと思うし、私はJuice=Juiceのユニゾンが大好きなので、さらに進化していけたらいいなあと思います。


左から段原瑠々、金澤朋子、井上玲音(Photo by Rika Tomomatsu)

―今回はJuice=Juiceの歌唱面についてじっくり話を聞けたらと思っています。そこで、音源やライブにおけるメンバーそれぞれのボーカルについて、みなさんに解説していただけたらと。

金澤 解説! 面白い。

―メンバーそれぞれの声の判別がつくファンは多いと思うんですが、その特徴をメンバー自ら言語化していただくことで新しい発見があるのかなと。

段原 たしかに!

金澤 表現できるかな?


松永里愛と工藤由愛の「歌」

―では、松永里愛さんからいってみましょう。

段原 里愛ちゃんは柔らかい声なんですけど、急に高い音域になっても鋭い声が出せるのでガツンと聞かせるパートでも目立つし、柔らかい歌でもふわっと馴染みます。誰とユニゾンを歌っても相性がよくて、それはたぶん里愛ちゃんが相手に合わせているからだと思うんですけど、メンバーそれぞれの歌い方を里愛ちゃんがわかっていて、「この人とだったらこういう歌い方が馴染む」と判断して寄せてくれている感じがして、それがすごいと思います。

金澤 本当にそのとおりで、すごく協調性のある歌声というか、誰とでも歌いやすくて、いい意味でクセのない声なのでスッと入ってくるし、ユニゾンで目立つということではないんですけどすごく支えになっていて、Juice=Juiceに欠かせない声質だと思います。

―工藤由愛さんもそうですけど、最近グッと成長している印象があります。

金澤 そうですね。メンバーの変化があって歌割りが変わっていく中で「もっと歌割りをもらってやろう!」というメラメラ感が伝わってきて、すごく面白い後輩たちだなと思います。

段原 確かに。

金澤 今まであまりそういうメンバーがいなくて、「任されたのでやります」というタイプの子が多かったんですけど(笑)、「いや、私がやります!」という気合が伝わってくるのは里愛ちゃんのよさだと思います。

―では、由愛さんのボーカルはいかがですか?

井上 由愛ちゃんは人柄がそのまま声に出ていると思うし、私的には自分の声と由愛ちゃんの声がけっこう真反対だと思っていて。

段原 うんうん、確かに。

井上 由愛ちゃんは明るくてかわいい系の声なので、ないものねだりなんですけど、こういう声で歌ってみたいと思うことがたくさんあるし、高音がスンッと入ってくる感じが「若いのにすごいな」って思います(笑)。

金澤 若いのに(笑)。若いから、なのかもしれないけどね!

井上 あと、ライブの後半は高い音を出すのが苦しくなってくるはずなんですけど、由愛ちゃんはいつでも元気な高音を出していて、いい声してるなと思います。

―Juice=Juiceにおける声の相性のよさというのはどういうものなんですか?

段原 トーンの高さ。同じ音でも低めにいく人と高めにいく人がいて。あとは、息の多さとか。

金澤 声色が高いか低いかで変わってくるところはありますね。あとは、鋭い声で歌う子と柔らかく息たっぷりめで歌う子がいて、そういう傾向が近ければ近いほど歌いやすいとは思うんですけど、同じように聞こえてもつまらないときもあるし、真反対のふたりが歌うからこそいいときもあるので、曲によっていろんなバランスがあります。

―この曲、このパートだからこその組み合わせがある。

段原 絶対あると思います。

金澤 声のマイク乗りもメンバーによって全然違って、由愛ちゃんはすごくマイクに声が乗るので響きもいいんです。それとは反対に、息が多めなのでマイクにははっきり乗らないけど包み込んでくれるような歌声の子もいます。

―マイクに対してちゃんとオンでいるから声が乗るというわけではないんですね。

金澤 それだけじゃなくて、歌い方もあるんです。私も初期の頃はマイク乗りがとにかく悪くて、息多めで歌っていたんですけど、今は息少なめで尖らせて歌うように変えたりしています。もともとの声の特性を自分で変化させる子がいたり、そのまま貫く子がいたり、いろいろですね。


井上玲音と稲場愛香の「歌」

―グループ全体のバランスを考えて声を変えていくこともあるということですか?

金澤 ありますね。

段原 曲によっても、ユニゾンで歌うメンバーによってもちょっと変わります。

―奥が深いんですねえ。では、続いてれいれいさんの歌について解説をお願いします。

金澤 れいれいは低音がよく響くので、低いパートのときの存在感が特にありますね。

段原 あまりない声質なので、ソロでバンバンとバトンをつないでいくときにれいれいの声が入るとハッとするというか、「れいれい、来たな!」というのがわかりやすいです。


井上玲音(Photo by Rika Tomomatsu)

―まだJuice=Juiceとしてのライブはそこまで重ねられてはいないけど、すでに存在感を発揮しているんですね。

金澤 そうですね。ニューシングルでも存在感があると思いますし、ユニゾンで聴いていてもわかる声だと思います。

段原 れいれいはふわっと包んでくれる系の声で、誰の声でもうまく包んでいい感じにしてくれます。

―こぶしのときと比べて歌い方の変化は大きく出ていますか?

井上 全然違うなって最近思いますね。曲自体も全然違うので歌い方は変えています。前までは声量がないことがずっと悩みだったんですよ。

金澤&段原 ええ~?

井上 頑張って声を出そうとしても勢いだけを意識すると今度は技術が疎かになってしまって。でも、Juice=Juiceに入ってからは勢いというよりも繊細な動きが重視されるようになってきて、「大人っぽい歌い方になったね」と言われることが多くなりました。

―続いて、稲場愛香さんはどうでしょう?

段原 愛香はしゃべってる声がかわいらしいので歌声もかわいいのかなと思いきや、歌うとカッコいいのがギャップだなと思いますし、愛香もユニゾンにいると映えますね。

金澤 映えますね。かわいいイメージが先行してると思うんですけど、けっこう芯があって強い歌声なので、カッコよくて強い女性という意味ではJuice=Juiceに合っている声だと思います。

井上 一緒に歌っているときも、声質は違うんですけど、どちらかというと音程の下めの音をとるタイプなのでどっちも消えない声だと思います。

段原 確かにれいれいと愛香は合うかもね。

金澤 どっちも実際の音よりも下に行きたがるかもね。

―それはどういうことですか?

金澤 音は合っているんですけど、取り方が下なんですよ。

段原 声の質がね。ロー(低音)が響く声。


段原瑠々と植村あかりの「歌」

―なるほど。では続いて、瑠々さんについてお願いします。

金澤 瑠々は誰とでも相性がいい声で、誰と歌っても邪魔をしないけど、しっかり存在感がある歌い方。でも瑠々はその曲の大事なパートでは情熱を解き放っているんですけど、意外とユニゾンだと遠慮してるのかなと思うことがたくさんあって。

段原 あはは!

金澤 「あれ? 瑠々っていつもソロのときは声大きいのに、みんなに合わせてくれてるのかな?」って。瑠々はすごく気を使ってくれる子だから、Juice=Juiceの邪魔をしないようにって悩んでたらどうしようって心配もしていたんです。全然そんなこと思ってないのに。でも、最近になってまた前に出てくれるようになったので、ダンスも含めてパフォーマンス面でグループを引っ張ってくれる存在だなと思います。


段原瑠々(Photo by Rika Tomomatsu)

―実際のところはどうなんですか?

段原 遠慮をしているというよりは……なんて言うんだろうな、私がJuice=Juiceに加入したときの5人の先輩方が本当に素敵だったので、その曲を自分が歌うとなると緊張するんですよ(笑)。

金澤 緊張なんだ!? あはは!

段原 なんか、5人のときのユニゾンが私の中に残っていたので、(自分の声が入ることで)違う曲になってしまうなって。まあ、違う子が入れば違うふうにはなるんですけど、だけど……ガクガクと緊張はしてましたね。

金澤 え~、瑠々が緊張するなら私たちはどうすりゃいいの!? って感じですよ!(笑)

段原 自分がメンバーとして初めて参加した曲は「Fiesta! Fiesta!」(2017年8月デジタルリリース)だったんですけど、既存曲のソロパートをもらった時は「もらったからにはがんばらないと」と思いましたし、マネをするというよりは自分なりにがんばって歌わなきゃという感じでした。



―今はどうですか?

段原 体制が変わったことで歌割りもガラッと変わったし、新メンバーも入っていろんな声が入ってきたので、もともとのJuice=Juiceというよりは、新しくやっていけたらいいなと思っています。なので、「引っ張っていきたい」じゃないですけど……「中心になりたい」ということでもなくて……なんて言うんだろうなあ……みんながやりやすいようにやっていけたらいいなと思います。

―引っ張っていっても、中心になってもいいと思いますよ。

金澤 うん、是非そうなってほしい。

段原 がんばります!

―では、次は植村あかりさんについてお願いします。

段原 私が加入した直後は植村さんと一緒に歌うパートがすごく多くて、その頃から植村さんと声の相性がいいと思っていたし、当時のマネージャーさんからもふたりで歌ってるパートが好きだって言われたことが印象に残っています。植村さんは私とか里愛ちゃんと一緒の声質だと思います。

―相性の話がよく出てきますけど、ソロパートよりもユニゾンが気になるんですね。

井上 意識してるかもしれないですね。

段原 ソロパートは割と好き勝手にできるというか、どう歌ってもいいんですけど、ユニゾンは「どう聞こえてるかな?」ってお互いに合わせる意識が強くなりますね。玲音ちゃんが加入したときも「玲音ちゃんとのユニゾンはどんな感じになるかな?」ってけっこう気になってました。


金澤朋子の「歌」

―ちなみに、瑠々さんとれいれいさんのユニゾンはどういう感じになるんですか?

段原 れいれいはいろんな歌い方ができるんですけど、「井上玲音がJuice=Juiceの歌を…」というYouTubeの企画で初めて一緒に歌ったときに「息が多めで合う」と思いました。あと、私は音が高めに当たるほうなんですけどれいれいは低めで、それがいい感じに合わさるなと。

―ちょっと話がズレましたが、引き続き植村さんの歌解説をお願いします。

井上 植村さんのロングトーンは喉を開いた歌い方で、すごく響きがいいなと一緒に歌いながらいつも思います。

段原 植村さんはミックスボイスで歌うときと地声で歌うときでけっこう声が違っていて、「がんばれないよ」はわりとミックスボイスみたいな柔らかい声で歌っているんですけど、「DOWN TOWN」みたいにカッコいい曲を歌う時は芯が強くて細めな声を出すので、その違いが面白いですね。

―では、最後です。かなともさんについてお願いします。

段原 金澤さんの声は唯一無二でそれが本当に素敵だと思いますし、「Juice=Juiceの声」だと思いますね。

―僕もJuice=Juiceの歌唱面における「柱」は瑠々さんで、「顔」になるのはかなともさんだと思います。

金澤 うれしいです、恐縮です(笑)。

段原 どこにもいない声ですし、金澤さんのパートは金澤さんにしか歌えないと思います。

井上 一緒に歌っていて安心感がありますし、ライブでも音を外すことがなくて。

段原 ないっ!

金澤 ありますあります、全然あります(笑)

段原 全然ない!

井上 本当になくて、リハーサルで「今日はちょっと音が聞こえづらいな」というときでも金澤さんの声が聞こえると「あ、ここだ!」って、道しるべみたいになるんですよ。

段原 声、探すよね! 「いたいたいた!」って。


金澤朋子(Photo by Rika Tomomatsu)

―ということですが、かなともさん。

金澤 いや~、私は早取りのクセがあって、それが自分のダメなところだと思っていて。Juice=Juiceだとうえむー(植村)はけっこうゆっくり音を取るので、私はうえむーの声を探して修正していますね。そういうことができるのは自分にないものを持っている人たちがいるグループだからこそだなっていつも感謝してます。

―イヤモニを使うときはどの音を意識してモニターに返していますか?

金澤 基本的に私はベースの音を頼りにしています。シャカシャカしている上の音のほうがリズムを取りやすいのでついそっちに集中してしまいがちなんですけど、ピッチを合わせるときはベースを目安にしてます。曲の軸になっているのはベースだと私は思っていて、その音を頼りにするとズレずに自分を修正できるのでオススメですね(笑)。

―おふたりはどうですか?

井上 私はハイハットをよく聴いています。バスドラムとかスネアでアクセントを取って、チッチッチッチッとずっと鳴っているハイハットでビートを聴いて定着させるんですけど、本当に聴きたいなと思っているのはベースです(笑)。
段原 理想はね(笑)。

―なかなか難しいものなんですか?

井上 ハイハットが自然と入ってきちゃう耳になっております。どっちも聴けるようになりたいと思っているんですけど、自分のクセ的にハイハットが聞こえてしまって。でも、ベースを意識するようにしたらどっちも聞けるようになるんじゃないかなと思います。


ライブ中にしている「工夫」とは?

―瑠々さんが意識している音はなんですか?

段原 私はあんまり……聞こうとしてないです(笑)。

金澤 すごいねえ! 天才型なんだな!

井上 すごい! 感覚が鋭いんだ!

金澤 確かに瑠々がイヤモニの注文してるのとか見たことない。

段原 自分の前の人の歌を聴いてるかも(笑)。

金澤 ああ、すごい。歌詞のつながりね。なんでそれで外さないんだろう?

井上 でも、金澤さんも音感がすごくいいイメージがあって、それはベースを聴いてるからなんだと今の話を聞いて思ったし、モーニング娘。21の小田さくらさんも金澤さんについて「本当に天才! リズム感がすごい!」って言っていて、私も「そうだよなあ」って思いました。

金澤 いやいや、小田さんに言われるなんて恐縮ですよ(笑)。

―瑠々さんも「Tiny Tiny」で中島卓偉さんから歌のリズムを褒められていましたよね。

金澤 いい。早取らないし、遅取らない。ちゃんと響くしね。

井上 いいところにアクセントが入ってくるから、「よしっ!」って思う。

段原 曲の雰囲気をなんとなくしか聴いてない……(笑)。

金澤 ピアノやってるからかな?

段原 ピアノは3歳からやってるので音感はそれで鍛えられたと思います。

金澤&井上 いいなあ~。

段原 あとは、小学校1年生のときにアクターズスクールに入って歌とダンスを並行してやっていたので、そのまま今につながっている感じです。

金澤 基礎がちゃんとできているんですね。

―やっぱり、ピアノってすごいんですね。

段原 ピアノはやったほうがいいなって思いますね。

金澤 そうね、やっておくべきだったよね……今さら(笑)。

―実はライブ中にこういう工夫をしているというエピソードはありますか?

段原 私はもともとそんなにクセがない歌い方で、特にスクール時代はどこにでもある声だと思っていたので、クセをつけたいというか、自分なりにアクセントをつけたり、ニュアンスをつけたりできたらいいなと思っています。声質はもともと持っているものだし変えられないので、歌いまわしで自分なりのよさを出したいと思って、(喉を)絞ったり、開いたり、裏返してみたり、そういうクセをどこで入れようか自分なりに考えて歌っています。

金澤 すごい……。

井上 私はハロー!プロジェクトに入る前から、自分の歌割りの前に歌っている人のクセを入れちゃうクセがあって。Juice=Juiceだと歌割りが自分の前の人とオリジナルの音源との両方が合わさって歌っちゃうことがあるので、自分なりに歌うように気をつけています。

―自然と吸収しちゃうんですね。

段原 いろんな人がいるねえ(笑)。

金澤 ねえ! 面白いわ~。逆に私はめちゃめちゃクセが強くて、初期はそのクセが嫌で、段原瑠々ちゃんとか松永里愛ちゃんみたいなストレートな歌い方にしたいってずっと思っていたんですけど、もともとの声質もあるし歌い方のクセもあるし、どうしても自分のクセを殺し切れないところがあったのですごく悩みました。でも、今は逆に自分自身が金澤朋子のモノマネ芸人になるというか、「金澤朋子ならどう歌うかな?」って一度考えてから、「ここはクセ強めにしよう」とか計算して歌うようになりました。デフォルメした金澤朋子、みたいな。セクシーな曲とか大人っぽい曲だと特にそういうことをやるようになりました。

―「私はこう歌おうと思ってるけど、金澤朋子はどうかな?」みたいな。

井上 あはは! 矢沢永吉さんみたいな(笑)。

金澤 「仮歌はこうだけど、こっちのほうが私っぽいかな」って考えるようになりましたね。


歌割りについて

―面白いですねえ! これから新体制になって歌割りもガラッと変わると思います。歌割りはディレクターさんが決めていると思うんですけど、何か規則性みたいなものはあるんですか?

段原 ない(笑)。

金澤 全然不規則ですね。立ち位置をつけてから「やっぱり、この子が歌ったほうがこの位置にいるからいいんじゃない?」っていう理由で変わったりするし、臨機応変にやってます。あとは、例えばもともと宮崎由加ちゃんが歌っていたパートを私がもらって由加ちゃんぽく歌おうと思ってもなかなかそうはならないし、だからこそそれぞれの個性を光らせて歌えていると思っていますし、歌割りに関してはみんな柔軟に対応していると思います。

―でも、自分の前に担当していた人の歌がどうしても印象に残っているじゃないですか。それをすぐに自分のものにしていくのはなかなか難しいんじゃないかと思うんですが。

段原 家で自分のパートだけ歌って練習するというよりは、みんなでリハーサルをして流れで歌うほうが「あ、ここはこういう流れなんだな」というのがわかりやすいので、みんなでいっぱいリハーサルをして場数を踏めば踏むほど馴染んでくると思います。でもなかなかそういう機会もないので、自分なりにシミュレーションして理解して本番でやってみるという感じです。

―先日行われた「ひなフェス2021」では『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?』の歌割りがガラッと変わっていましたよね。

段原 「ひとそれ」はもともとオリジナルとニューボーカルバージョンがあったんですけど……。

金澤 今はそこからもだいぶ離れたところにいるからね。でも、逆に「ひとそれ」はやりやすいかも。いろんなバージョンがあるので、「このパートはこの人」っていうイメージが定着してなかったりするんですよ。だからそういう曲のほうが私は自分らしさが自由に出せると思っています。逆に、初期からずっと歌っているけど最近あまり歌ってない曲を久しぶりに新メンバーでやるときに、「おお、いつもと違う!」ってなります。



―当たり前のようにやっているからこちらも当たり前のように聴いていますけど、歌割りが変わるのって相当大変ですよね?

段原 当たり前のようにやるしかない(笑)。

―歌割りは自分の好みのパートが振られるものなんですか? それとも思ったのと全然違ったり?

3人 どっちもありますね。

金澤 新曲の場合は、レコーディングで何回も歌わされるから「あ、ここは私なんだろうな」というときもありますし。

段原 あはは! めっちゃある!

金澤 逆に、1回しか歌ってないところが歌割りになってて「なんかの間違いかな?」っていうこともあるので、どういう思考で決められているのかわからないです。なんで私は「キュン!」(「チクタク 私の旬」)とか言ってんだ?みたいなパートもあるので、ディレクターさんもいろいろお遊びをしながら決めていると思います(笑)。


Juice=Juiceらしい「歌」

―敢えて抽象的な聞き方をしますけど、Juice=Juiceらしい歌ってどういうものだと思いますか? 僕はどの時代のJuice=Juiceの歌も好きだし、そういう人はほかにも多いと思うんですけど、そこには何か理由があると思うんですよね。

段原 それは金澤さんが今もいてくださっているからだと思います。Juice=Juiceが結成されたときはみなさんすごく若かったけど、当時から金澤さんは大人っぽい感じ、艶っぽい感じを一番出してくださっているので、Juice=Juiceの品がいい感じや綺麗な感じはいつまでも残していきたいですし、そこにいろんな要素を入れていきたいなと思います。

―初期は背伸びした大人っぽさでしたよね。

金澤 そうですね。結成当時は「自分が実年齢よりも上の女性だと思い込んで歌ってください」と言われていたし、背伸び感というのはずっとありました。衣装も初期の頃からアイドルアイドルしたものより私服っぽいものが多かったので、そこがJuice=Juiceらしさなのかなと思っています。

―なるほど。

金澤 私と植村あかりちゃんが今、インディーズ時代の1stシングル「私が言う前に抱きしめなきゃね」を歌ってもあのときの背伸び感は出せないんですけど、新メンバーが背伸びして歌ってくれることで当時のようなギャップを表現してくれているので、そのおかげでJuice=Juiceらしさを保てているところもあるのかもしれないです。



―では、みなさんがいい歌を歌えたと思うのはどういうときですか?

段原 普通にコンサートをしていた時は歓声が聞けたので、「ふぅ~!」って声が上がると、「おお~」って私も思えていたんですけど、今はメンバーが「ここよかったよ」って褒めてくれたりするのでそれはすごくうれしいですね。

井上 私も人から褒められて自覚することのほうが全然多いですし、親が観に来てくれたときは「あそこが低かったよ」みたいに指摘してくれるので、それは素直に受け止めるようにしています。親の感想って大事だなと思いますね。

―人からの反応が基準になってくるんですね。

段原 自分で「めっちゃ上手く歌えた!」っていうのはないですね(笑)。ライブで練習してきたことを出そうとすると割と”収まってしまう”のであまり考えて歌ってないし、好きにやってるのであまり覚えてなくて(笑)。なので、メンバーから言われると「ああ、そうだったんだなあ」って思いますね。

金澤 私の場合は、いい歌が歌えなかったと自分で思っていた時の方が反応がよかったりします。Juice=Juiceは葛藤や苦しい気持ちを歌詞にしている曲が多いので、自分が悩んでいたり、「これでいいのかな?」と思いながら歌うほうが曲の雰囲気に合うし、逆に気持ちよく歌ってしまうと自分が思ってるほど反応がよくなかったりするんです。

―なるほど。

金澤 自分が楽しむことはもちろん大事だと思うんですけど、自分だけが気持ちよくなってしまうとそれはもうエゴというか、ちょっと違うのかなと思うので、高い音でロングトーンを歌うときもその中で何を伝えるのかということを意識しないといけないと思っています。

―では、今のJuice=Juiceに必要なものはなんだと思いますか?

段原 かわいらしい声。

金澤&井上 ああ~。

段原 愛香ちゃんもそういう感じで歌ったりするんですけど、もともとの声質がかわいい属性の人は由愛ちゃんしかいないかなって。これまでは宮本さんと宮崎さんがかわいい曲を歌っていることが多かったので、かわいい感じの明るい声の子がいるといいなあと思います。


3人が考える「いい歌」とは?

―最後の質問ですが、「いい歌」ってどういうものだと思いますか?

段原 ええ~?

金澤 難しい~! 哲学的な感じ! どうしよう。

―カラオケで高得点を競うテレビ番組があるじゃないですか。あれを観ていて思ったのが、高得点を出す人は本当に上手いしすごいと思うんですけど、じゃあそれがいい歌なのかというと必ずしもそうではないなと。点数はそこまで高くなくても心に響く歌はあるし、「じゃあ、いい歌ってなんなのかな?」と思って。

段原 世間一般にウケる歌声と専門家にウケる歌声で全然違う気がしますし、時代によっても違うと思います。私は世間一般でウケる歌声がどういうものかわかるし、いいなあとも思うんですけど、そこにハマらない感じでいきたいし、いろんな歌声があっていいと思います。歌が上手く聞こえる声質というものがあって、それがすべてではないですけど、「お、この人上手い!」って思わせることができたら勝ちなのかなって思います。

井上 私的には、上手い下手は関係なく、歌詞でもいいし、その人の感情が伝わってくる歌がいいなと思っていて。口下手で音楽でしか自分を表現できない方とか、自分の感情を表に出す手段が音楽だという方もいらっしゃると思うし、たとえ上手くなくても、喉をギュッと締めて苦しそうに歌っていても、こちらに伝わってくるものがあればそれはいい歌だと思います。

金澤 つい最近、とあるアーティストの方とお話をする機会があって、その方もカラオケの採点についてお話されていたんですよ。ピッチとかしゃくりは人に伝わる伝わらない以前の話だから、点数に左右されるというのは本来よくないんだよねということをその方から聞いたばかりだったので、今の話を聞いて「ああ、そのとおりだな」と思いました。あと最近、エレカシの宮本浩次さんが「スッキリ」でパフォーマンスされているのを観て、宮本さんはめちゃめちゃすごくて歌も上手い方なんですけど、スタジオを飛び出してPAのほうまで行っちゃったりして好き勝手に歌っていて、後半はリズムもめちゃめちゃ遅れていたりしたんですけど、きっとワザとやられてるんだろうなというのが伝わってきたし、上手い下手というのはそういうことじゃないんだなということをそのパフォーマンスで気付かされました。私も普段ステージに立つときにピッチやリズムを常に意識しているところがあるので、そういうことを気にせずに思いっきりパフォーマンスをしたらどうなるんだろうってそのパフォーマンスを見ながらワクワクしたし、人に響くというのは上手い下手ではなくて、目には見えない魂とかそういうところにあるんだろうなと初めて思ったので、グループなので気にするべきところはもちろんあるんですけど、あまり気にしすぎずに歌うことも必要なのかなと思っているところです。

―ありがとうございます! すみません、なんだか考えさせる質問ばかりで。

金澤 難しかったですね(笑)。でも、こういうことは考えたことなかったなあって。

井上 普段、こんな話しないもん。私、ずっとふざけてるから。

段原 ね(笑)。でも、面白かった!

【画像を見る】ハロプロ随一のクールビューティ、Juice=Juiceの金澤朋子、段原瑠々、井上玲音

<INFORMATION>

通常盤A


通常盤B


『DOWN TOWN / がんばれないよ』
Juice=Juice
発売中

http://www.helloproject.com/juicejuice/






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