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マクドナルド「BTSミール」誕生秘話  

Rolling Stone Japan / 2021年6月1日 14時0分

先週からマクドナルドでBTSミールと関連グッズの発売が開始された。昨年のマクドナルドのマーケティング部門の最高責任者がBTSなどのミュージシャンたちとのコラボレーションをローリングストーン誌に語ってくれた。

K-POPの王者のような食事に憧れるだろう? 米国現地時間5月26日水曜日の朝、全米のマクドナルド・レストランで一斉に「BTSミール」が発売された。これはチキンナゲット10ピース、Mサイズのフライドポテト、Mサイズのコーラ、スイートチリ味とケージャン味のディップソース付きのセットだ。ちなみにこのディップソースは韓国国内のマクドナルドで販売されているレシピにヒントを得たと言う。このミールに続いて、同日の米国東部標準時間午後7時から販売開始されたのがBTSミール関連グッズで、これはBTSの親会社HYBEが作成した韓国プラットフォームであるアプリWeverse Shopの独占販売となる。

マクドナルドがローリングストーン誌に語ったところによると、関連グッズのアパレル商品はメニューアイテムからインスパイアされたもので、フード付きパーカー、バスローブ、靴下、サンダルなどがある。また、カラーはBTSのトレードマークのパープルと、マクドナルドのお馴染みのカラー、赤とゴールドを組み合わせていると言う。さらに、BTSの最新シングル曲「Butter」をフィーチャーしたマクドナルドのコマーシャルが、アメリカ国内では現地時間5月26日よりテレビ放送されている。そして、マクドナルドのアプリでは「いまだかつてないデジタルサプライズ」が登場すると発表している。

ロックダウン中、音楽業界ではブランドとのパートナーシップが大流行し、直接の接触を避けて収入を得るこの方法にアーティストたちは先を争うように飛びついた。例を挙げると、レディ・ガガはアルバム『Chromatica』にちなんだピンクとグリーンのオレオを作り、ポスト・マローンはポケモン25周年記念イベントに参加したスターの一人となり、セリーナ・ゴメスはブラックピンクとのコラボシングル曲にちなんで、セレンディピティ・アイスクリームのフレーヴァーを生み出した。一方、最近のマクドナルドは話題をさらうセレブ起用戦略を短期間に連続投下してきた。昨年のトラヴィス・スコットとJバルヴィンに続き、今年はBTSが起用された。(ちなみにフォーブス誌によると、昨年マクドナルドとの提携でスコットの懐に入った金額は2000万ドル前後のようだ)。ただし、スコットとの提携以前、マクドナルドのメニューにセレブが登場したのは、1992年のマイケル・ジョーダンが最後である。

今回はメールでのやり取りでこのインタビューが実現したのだが、質問に答えてくれたのはマクドナルドUSの最高マーケティング責任者モーガン・フラットリー氏、USフランチャイズ加盟店のマーケティング委員会議長ヴィッキー・チャンセラー氏の二人。晴天の霹靂の如くいきなり登場した驚異的マクドナルド・ミールの舞台裏を丁寧に説明していただいた。



―このセレブリティを起用したマーケティング戦略はどんなふうに思いついたのですか? また、パンデミックがあったからこそ実現したキャンペーンだったのでしょうか?

モーガン・フラットリー(以下MF):このフェイマス・オーダー・プログラムのアイデアはパンデミック以前に出ていました。誰もが好みのメニューがあるわけで、有名セレブであってもそれは同じです。ですから、このアイデアをスーパーボウルのコマーシャルに採用して、2020年2月に複数の大人気セレブの「定番トレイ」を登場させました。

マクドナルドは若い世代のファンの動向を注視しており、常に彼らと一緒に最先端を歩きたいと考えています。今回のプログラムは新たな世代とのつながりをもたらしてくれましたし、マクドナルドというブランドが一つの文化として定着したと思います。

>>関連記事:BTS表紙インタビューを完全翻訳、Rolling Stone Japan次号に一挙掲載

―トラヴィス・スコット起用はどんなふうに始まったのですか? 誰がどのような経緯でどこにアプローチしたのですか?

MF:トラヴィス・スコットが地元ヒューストンで子供の頃からよくマクドナルドを食べていた長年のマクドナルド・ファンだということは知っていました。ですから、私たちがレストランで最初のセレブミールを提供すると決めたとき、トラヴィスこそがこのアイデアを実現する最良のパートナーと考えました。


―音楽系アーティストとのコラボにマクドナルドは何を求めていたのですか?

ヴィッキー・チャンセラー(以下VC):私たちが探しているのは本当のマクドナルド・ファンのアーティストです。この「本当のファン」というのが重要なのです。それと同時に、お客様やマクドナルドのスタッフが大好きなセレブを起用したいと考えています。レストランオーナー兼経営者である私は、マクドナルドのフェイマス・オーダーがローンチされた時の興奮状態をこの目で見ています。去年ドライブスルーにお越しになったお客様は車の中でトラヴィス・スコットやJバルヴィンの曲を大音量で流していたり、SNSで自分のお気に入りテイクアウトメニューをシェアする人がいたりと、見ているこちらが楽しくなってしまうほどです。

MF:彼らの起用は紛れもないコラボレーションです。去年、トラヴィス・スコットとJバルヴィンがそれぞれのキャンペーンに独自のスタイルと風味を持ち込んでくれました。二人とも積極的にこのコラボレーションに取り組んでくれ、シグネチャーミールのメニュー選びから、関連グッズのデザイン協力やテレビCMのスポット制作の手伝いまで、彼らの色を全面に出したキャンペーンを作り上げてくれたのです。そして、今度はBTSとのコラボです。マクドナルドとBTSの共同ブランドとして出す関連グッズ・コレクションの一部には、K-POPファンが必ず欲しがるフォトカードも入れました。これはBTSと共同で作ったものです。そして、テレビCM。これは今週解禁されますが、BTSのカラフルなミュージックビデオ風の仕上がりになっています。

VC:これまでやってきたセレブのフェイマス・オーダー・プログラムは、期間限定のプロモーション以上の意味を持っています。彼らとのコラボによって、マクドナルドはお客様との結びつきが強くなり、マクドナルドというブランドが文化の真ん中に登場する結果となりました。

―このようなマーケティング戦略を実現するとき、大きな障害となるハードルはどんなものですか?

MF:私たちはフェイマス・オーダー・プログラムを始めて以来、キャンペーンを実現するたびに様々なことを学んでいます。今回のBTSとのコラボでは、それまでの米国限定キャンペーンを一気に50カ国近くにまで広げることになっていて、フェイマス・オーダーを世界規模で展開するためにはシステム準備などにマーケットの垣根を超えて数多くのチームが動くことになり、どう統制するかが問われます。例えば、どの国のマクドナルドであっても、お客様はアメリカのマクドナルドと同じ購買体験をしなくてはいけません。それこそが、どの国のマクドナルドも似たような造りと雰囲気になっている一番の理由です。

―この戦略がどれほど成功しているのかを示すデータがあればえていだけますか?

MF:このキャンペーンは大きな成功を収めています。マクドナルドが世間に与えた興奮度を示す証拠としては、トラヴィス・スコット起用を発表したSNSコンテンツがTwitterトレンドの1位と2位を同時に独占し、YouTubeでもトレンド3位になりました。そしてBTS起用の発表をしたときには、世界中のTwitterでトレンドとなる一方で、マクドナルドのSNSの閲覧回数が新記録を達成しました。

ビジネス視点からは、トラヴィス・スコットもJバルヴィンもそれぞれのフェイマス・オーダー・プログラムで、アメリカ国内の2020年の年間売り上げの半分をはじき出し、それと同時に彼らのおかげでマクドナルドのデジタル・ビジネス部門が強化されました。この2つのキャンペーン期間中にマクドナルドのアプリをダウンロードするデジタル顧客が増え、現在もそれを維持しています。(編注:マクドナルドはフェイマス・オーダー・ミールの利益の何パーセントがアーティストに支払われるかの明言を避けた。またJバルヴィン・ミールやカクタス・ジャック・ミールの売り上げも教えてくれなかった。さらに、計画していたJバルヴィンのミール関連グッズは「制作上の問題」という理由でキャンセルになった。)

―それでは、BTSとのコラボはどのように始まりましたか? BTSのどんなところが理想的なパートナーと映ったのでしょうか?

MF:BTSは世界規模の現象がどんなものかを見せつけたグループです。彼らには非常に熱心で忠誠心の高いファンベースがあり、彼らを起用した大きな理由の一つがそれです。しかしそれ以上に重要なことが、BTSがマクドナルドの大ファンだということ。メンバーそれぞれにマクドナルドでの体験や思い出があります。

―BTS起用を公表したときの反応はどうでしたか?

MF:BTSのファンベースから非常の多くのサポートがありました。自作のミームを作ってSNSに投稿したり、マクドナルドとのコラボに前向きな内容の投稿をあげてくれたり。私のSNSアカウントもK-POPファンのフォロワーが新たに増えました。

―BTS起用がこれほど注目される理由は何ですか?

MF:K-POPスタイルの楽曲リリース戦略にインスピレーションを得て、ファンへの公表を早めに、かつコンスタントに行いながら、シングルリリース日に向けてプロモーションを強化するという手法を真似ました。つまり、4月のBTS起用の発表から実際にBTSミールをレストランで販売するまでの間、リリーススケジュールを公開したり、BTSのコンセプト写真を投稿したり、最近は関連グッズコレクションのティーザーも公開したのですが、そんなふうにSNSへの投稿で情報をアップデートし続けたわけです。また、例えばTwitterで「7」の上付き文字を入れるというふうに、私たちのSNSのハンドル名にBTSを彷彿させる何かを加えたりしつつ、今回はデジタル戦略にかなりの比重を置いて、BTSファンが毎週投稿を心待ちにする舞台裏の様子などをマクドナルド・アプリで独占的に公開しました。

>>関連記事:BTSが世界で成功を収めた理由:K-popのルールや価値観を覆したBTSの軌跡

―BTSミールは、世界50カ国、6大陸を「ツアー」するマクドナルド史上初のフェイマス・オーダーとなります。世界展開が重要と考えた理由は何ですか? また各地の食文化の特性によってメニューの内容は変わるのですか?

MF:まずは、アメリカ国内で展開したフェイマス・オーダー・プログラムの成功に興味を示したマーケットがあったこと。そしてBTSのファンベースが世界規模である点。これにより、フェイマス・オーダー・プログラムに興味を示したアメリカ以外のマーケットにとって、BTSとのコラボがこのキャンペーン実現の格好のチャンスとなったのです。世界中のマーケットで販売されるBTSミールの内容は同じです。違いがあるとすれば、国によってはチキン・マクナゲットが9ピースになったり、セットの飲み物がそのマーケット独自の選択になるぐらいでしょう。

―今後もマクドナルドはフェイマス・オーダー・プログラムにアーティストを起用する予定ですか? 続ける予定であれば、すでに約束を取り付けているアーティストは何人いますか? また、女性アーティストとのコラボはいつ頃実現しますか?

MF:新たなコラボレーションをすでに模索しています。フェイマス・オーダー・プログラムにはたくさんのチャンスがありますし、このコラボレーションはまだ始まったばかりなのです。

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