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SUGAが語る、BTSが世界制覇後もハングリー精神を保ち続ける秘訣

Rolling Stone Japan / 2021年6月24日 9時0分

米ローリングストーン誌より、BTSのSUGA(2021年4月6日、韓国・ソウルにて撮影) Photograph by Hong Jang Hyun for Rolling Stone. Fashion direction by Alex Badia. Shirt and pants by Dior Men.

「たしかに時折、『どうしてあんなに長い時間をスタジオで過ごさなければいけなかったんだろう?』と思うことはあります」とSUGAは語る。

胸が痛くなるような告白めいた歌詞、ときにはバスタ・ライムスばりの感情の激しさを爆発させるテクニカルでヘヴィなフロウ、多岐にわたる制作活動と作曲家としてのクレジット、さらには仕事に対する不屈の信念。SUGAは、BTSがグループとして持つアーティスティックな魂に欠かせない存在だ。今年の4月、彼は韓国・ソウルの所属レーベルの本社からグレーのニットキャップ、白いマスク、黒のパーカというスタイルで、うつ病との闘い、作曲プロセス、世界制覇後もハングリー精神を保ちつづける方法など、さまざまな話題について米ローリングストーン誌に語ってくれた。

※先月、米ローリングストーン誌がBTSが本誌の表紙を飾ったことを記念して、各メンバーをフィーチャーしたデジタルカバーストーリーを数日にわたって掲載した。日本版も「Rolling Stone Japan vol.15」発売日の6月25日へのカウントダウン企画として、完全翻訳記事を毎日掲載していく。

【動画を見る】BTSのSUGA 表紙メイキング映像


ー昨年の11月に肩の手術を受けたそうですね。練習生時代の怪我が原因だと聞いているのですが、その後、調子はどうですか?

ずっと良くなりました。やらないといけないリハビリがまだまだ残っていますけど、かなり良くなりましたよ。おっしゃる通り、20歳のときの事故で肩を怪我してしまって、それがどんどん悪化し、とうとう手術を受けることを勧められました。幸い、スケジュール的にも手術を受けられる余裕があったので、受けることにしたんです。

ーこの数年間、怪我を抱えた状態でここまで高度な振り付けをこなしてきたとは驚きです。いったいどうしたらそんなことが可能なのでしょうか?

手術を受ける前の年には、ほぼ毎月治療を受けたり注射を打ったりしていたと思います。でも、コンサート中に腕を上げられなくなったり肩をフルで動かしたりできなくなることも何度かありました。ですから、問題は痛みではなかったんです。どちらかと言うと、パフォーマンスを続けられるかどうかが問題でした。実際、パフォーマンス中はアドレナリンだか何だかが出ているのであまり痛みを感じません。でも、その翌日に痛みや違和感を覚えたり、腕を上げられなくなったりするんです。

ーピアノと音楽に対する子ども時代の愛を歌ったソロ曲「First Love」が大好きです。歌詞を見る限り、音楽への愛はあなたにとっては苦しみの源でもあるような印象を受けるのですが、その背後にはどのような想いがあるのでしょうか?

「First Love」制作中は、複雑な感情を表現したいと思っていました。初恋はいいこと尽くめではありません。苦味もありますからね。そういうわけで、パン氏(HYBE創設者)に初恋という比喩を使って僕と音楽の初めてのふれあいを重ねてみることについて相談しました。この曲では、ピアノが愛情の対象として描かれていますが、それは友人や他のどんなものでも良いと思います。そこから、初恋を通じて経験するいろんな感情を表現したかったんです。



ー歌詞のなかでご自身が経験したうつ病などの苦しい経験についてオープンに語っていますね。いまはどうですか?

いまは落ち着いていて、気分も良いです。でも、こうしたネガティブな感情は、現れては消えるものです。寒い時期と似ていますね。毎年繰り返しやってくることもあれば、1年半おきのときもあります。でも、僕の作品を聴いて心が穏やかになったり、こうした感情を描いた歌詞に慰められたりしたというコメントを聞くと、すごく嬉しくなります。とても励みになりますね。誰にとっても、こうした感情は隠さないといけないものではないと思うんです。それは表現され、話し合いの対象となるべきものです。僕が感じているどんな気持ちであれ、以前のように表現できる準備はいつでもできています。

ーBTSだけでなく、ご自身や他のアーティストにも数多くの曲を提供していますが、普段の作曲プロセスについて聞かせてください。

作曲プロセスは、楽曲によって全然違うんです。頭にパッと浮かんだ言葉から組み立てていくこともあれば、「こういう感じに歌を展開してほしい」と、リクエストを受ける場合もあります。たいていの場合は、テーマをひとつ決めて、そこからさらに大きなテーマへと自由に発展させていきます。でも普段の作曲では、まずはテンポを決めて、メロディー、ラップ、最後に歌詞という順番で作業します。これが普段のプロセスですね。

ーギター演奏のほうはどうですか?

肩の調子がとても良いので、ギターも再開しました。もちろん、練習のために他のアーティストの曲をコピーしていますし、いつか弾き語りができるようになるのが楽しみです。いまは、それが僕の目標ですね。


BTSのSUGA(2021年4月6日、韓国・ソウルにて撮影)
Photograph by Hong Jang Hyun for Rolling Stone. Fashion direction by Alex Badia. Shirt and pants by Dior Men.

「DOPE」のなかに、スタジオで作業に没頭するうちに青春が過ぎていくことを歌った素晴らしい歌詞があります。あなた自身は、後悔することはありますか?

スタジオにこもって作業していたことは後悔していません。あの頃があったからこそ、現在、そしていまこの瞬間のチャンスが与えられたのですから。なので、悔やんではいません。でも、たしかに時折「どうしてあんなに長い時間をスタジオで過ごさなければいけなかったんだろう?」と思うことはあります(笑)。どうしてもっと早く仕上げられなかったのか不思議です。身を粉にして働くきらいがあったんです。どうしてもう少し休んだりリフレッシュしながらできなかったんだろう? と考えることはありますね。

ーSUGA、RM、J-HOPEの3人は、二重や三重の意味を持つ言葉を使ったり言葉で遊んだりするのが得意ですね。でも、こうした言語的な要素が韓国語を話さないリスナーには届かない場合もあります。すべてが訳せるわけではありませんから。海外のファンに伝わらないかもしれないことがあるという状況に対して、苛立ちは感じますか?

もちろん、子どもの頃はアメリカのヒップホップやポップスを聴いていましたが、僕はそこまで英語が得意ではありません。ですから、もとの歌詞と翻訳されたものを読んでいました。当然ながら、英語を母国語として話す人たちが主なライン、ヴァース、パンチラインととらえるかもしれない部分は、僕にはよくわかりません。というのも、言葉が複雑すぎるからです。でもこれは、言葉という壁の避けて通れない要素だと思います。だからこそ、両方の言語や文化、あるいは他の言語を話す人々にもわかるハッピーな媒体のようなものを見つけることが大切だと思います。それと、たくさん英語を勉強しているおかげで、だんだん英語に慣れてきました。韓国語と英語を母国語とする人たちの両方が理解できる歌詞が書ければ最高ですよね。でも何度も言うように、これは僕自身が経験していることでもあります。

ーご両親は、あなたがラップすることに反対だったそうですね。歌詞が書かれた紙を破られたこともあるとか。これらがあなたに与えた影響は?

両親はラップを理解することができませんでした。僕とは別の世代の人たちですし、ラップなんて聴いたこともありませんから。ラップは、彼らが子どもの頃から聴いてきた音楽ではありませんでした。ですから、反対したのは当然だと思います。それにもちろん、ミュージシャンはかなり不安定な職業ですよね。なので、僕がしていたことに両親が反対したのもわかるんです。でも両親の反対があったからこそ、もっと努力して自分の実力を証明したいというモチベーションが湧いてきたと思います。僕にもできるんだ、ということを両親に見せたかったんです。そのおかげで、もっともっと頑張らないと、というモチベーションに駆られたと思います。

ーBTSがこれほどの偉業を達成してもハングリー精神を保ち続ける秘訣は?

僕は、人は変わるものだと思う一方で、変わらなければいけないとも思っています。こうした情熱を維持するのはとても大事だと思います。僕たちは、実際にハングリーだった頃から自分たちでルーティンを決めて、人として成長してもそれを守りつづけてきました。いまでも、ハングリーだった頃の自分たちを手本にすることができると思います。だからこそ、あの頃の仕事に対する信念を維持して、いまもハングリーでいられるんです。たとえ僕たちが変わって人として成長しても。いまの僕たちは、ハングリーというよりは、より”hangry”(訳注:hungryとangryを掛け合わせた造語)なのかもしれません! お腹が空きすぎてイライラしているんです(笑)。

From Rolling Stone Japan US.

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Rolling Stone Japan vol.15
発行:CCCミュージックラボ株式会社
発売:カルチュア・エンタテインメント株式会社
発売日:2021年6月25日
価格:1100円(税込)
photographed in Seoul on April 6th, 2021.
Photograph by Hong Jang Hyun for Rolling Stone. Fashion direction by Alex Badia. Hair by Han Som, Mujin Choi, Lim Lee young, Lee Da Eun. Grooming by Kim Da Reum, Seo Yuri, Kim Seon Min. Styling by Kyungmin Kim, Lee Ha Jeong, Kim Hyesoo, Hong Sil, Seo Hee Ji, Kim Hyunjeong. Vs jacket; Sugas T-shirt; Jins top and necklace; Jungkooks coat; RMs jacket and necklace; Jimin and J-Hopes shirts and jackets by Louis Vuitton.

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