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米国退役軍人省、トランスジェンダーの元軍人に性別適合手術を認める方針

Rolling Stone Japan / 2021年6月30日 11時20分

米退役軍人省長官デニス・マクドノー(Bloomberg via Getty Images)

米退役軍人省長官デニス・マクドノーは米現地時間の2021年6月19日、これまで20年間にわたって禁止されてきたトランスジェンダーの元軍人への性別適合手術を今後認める方針を発表した。

ミリタリー・タイムズ紙がフロリダ州のオーランド退役軍人病院で行われたイベントで入手した資料によると、マクドノー長官は「トランスジェンダーの退役軍人たちのために、彼・彼女らが性別適合手術とそれに伴う諸手続きを行うことを可能にするものです。私たちは今回の変更に関して、倫理的に正しいという理由だけでなく、こうすることにより誰かの人生を救うことができるからだと考えています」と、述べた。また、米国退役軍人省(VA)は組織の運営する「LGBTヘルスプログラム」を「LGBTQ+ヘルスプログラム」に改称することも発表しており、これについて「新たなスタンダードを反映し、今後言葉の選択が変わることを予期して」行なったとのこと。

関連記事:バイデン大統領、米医療システムにおける「性別」を性自認と包括する方針に再転換

VAは近年ではトランスジェンダーの退役軍人に対し、ホルモン療法、メンタルヘルスケア、術前評価、長期で見た際の術後ケア等の医療を提供してきたが、1999年以降、医療福利厚生から「性別の変更」という文言が除外されてから、そのような手術自体が長らく禁止されてきた。

LGBTQ関連のメディアモニタリングを行う非政府組織GLAADは、今回の発表を激励するコメントを発表している。GLAAD代表のサラ・ケイト・エリスは、「トランスジェンダーの退役軍人たちには当然のことながら、医療的に必要かつ命に関わる治療行為を受ける平等な権利があり、そこにはもちろん、性別適合手術も含まれます。今回の知らせはトランスジェンダーの退役軍人たちにとって、やっと訪れた勝利であり、同時にマクドノー長官と退役軍人省の最新の一歩でもあります」と、語った。

今回の決定を最終的に後押ししたものは2016年の出来事だった。VAが発表した当時の方針では「性別違和への理解、それを解消するための手術等医療技術は近年目覚ましく進歩し、そのための外科的処置は現在、医療的に必要な処置として広く認められている」ことが述べられていた。トランスジェンダー退役軍人協会に支援を受けたディー・フルチャー氏とジョー・シルバ氏という2名のトランスジェンダーの退役軍人らがVAに嘆願書を提出するという形でこうした方針が発表されたが、当時は予算の問題で実現しなかった。

マクドノー氏は、バイデン大統領にVA長官に任命された時、「私たちのVAを、女性、有色人種、LGBTQにかかわらず広く間口を構えられる組織にしていく」ことを誓った。また今年1月、バイデン大統領は、トランプ前大統領によるトランスジェンダーの人々が軍に従事することを禁止する方針を撤回している。その翌月にマクドノー長官は、トランスジェンダーの退役軍人、またはスタッフが、自身の性自認や性表現によって差別されることがないよう"組織のあらゆるサービス基盤について"再調査することを命令しており、現在も調査が続けられている。

VAのスポークスパーソンはCNNに対し、今年の夏には変更に向けて始動できるが、新たな規範の作成には数年かかる見通しだと語った。ナショナルセンター・フォー・トランスジェンダー・イコーリティによると、米軍に従事したトランスジェンダーの退役軍人は13万4000人に上り、現在従軍中のトランスジェンダーの軍人は1万5000人だという。

From:VA to Cover Gender Confirmation Surgery for Transgender Veterans

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