性的人身売買でまたもや訴えられたマリリン・マンソン、虐待の数々が明らかに
Rolling Stone Japan / 2021年7月3日 6時45分
米モデルのアシュリー・モーガン・スミスリーンが、性的暴行、性的殴打、故意の精神的苦痛の賦課、人身売買、不法監禁などの罪でマリリン・マンソン(本名:ブライアン・ワーナー)を訴えた。
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マンソンを訴えたのは、『ゲーム・オブ・スローンズ』の女優エズメ・ビアンコ、マンソンの元個人アシスタントを務めていたアシュリー・ウォルターズ、匿名の女性に次いでスミスリーンが4人目。彼女はマンソンから性的不適切な行為を受けたと主張する十数人の女性の1人でもある。
スミスリーンの訴訟は、先のPeople誌とのインタビューの内容をほぼなぞった形。ワーナーは2010年の夏ごろ、映画に出演してほしい、と言って最初に彼女に接触した。訴えによれば、会話を重ねるうちにシンガーは彼女に熱を上げ、「自分の理想の女性だ」と言って、写真を送るよう頼んだ。彼女いわく、彼は映画『トゥルー・ロマンス』のリメイク版への出演をえさに、その年の11月に彼女をロサンゼルスへ呼び寄せた。到着後まもなく、一生に住まないかと言われたという。
【画像を見る】マンソンを告発したモデル、アシュリー・モーガン・スミスリーン(米People誌表紙)
最初に言葉を交わした当時スミスリーンはバンコクでモデルをしていたが、彼女をロサンゼルスへ移住するようそそのかし、映画出演を約束してモデルから女優に転向するよう勧めた行為は人身売買被害者保護法に違反する、と彼女は主張している。「マンソンはこれらのオファーがでっちあげだとわかっていた。映画の企画制作を完成させようという努力は何ひとつ行われず、今日に至るまでプロジェクトの状況は一切公表されていない」と原告は訴えている。「マンソンはひとえに、スミスリーン氏をアメリカに呼び寄せるために映画の企画を口実にした」(マンソンが90年代後期に設立した会社Marilyn Manson Recordsも、共同被告人として名前が挙がっている)
訴えによれば、2人の関係はここから急速に変化し、マンソンはバンドメンバーの前で彼女を叱責するようになった。彼女がアパート兼撮影スタジオにいるときは、黒い下着を着てメイクをするよう強要されたという。2人は同意の下で性的関係を結んだが、スミスリーンによればこれもまた変化した。ある日意識を失った状態から目が覚めると、手首と足首を縛られた状態でワーナーから挿入されていたという。彼女がやめてと言うと、「うるさい」「黙ってろ」と言われたそうだ。本人いわく、この事件で肋骨にひびが入り、陰部を損傷した。「彼は『好きになった相手にはレイプなんかできない』とずっと言い続けていました」と、彼女はPeople誌のインタビューに語った。
マンソンの代理人は完全否定
マンソンはこの事件の直後にも彼女をベッドに押し倒して首を絞め、再び暴行を加えた。訴えによれば、彼女はその後ナイフで肩、腕の内側、肩と切りつけられ、血を流した。マンソンが彼女の身体に傷を残したというPeople誌とのインタビューの内容を強調した形だ。別の時には腿に「MM」とイニシャルを彫られたという。この傷跡はこの先も消えることはない。
また彼は知り合ってから度々彼女を噛み、噛み跡を残した。「虐待はエスカレートして、そのうちマンソンはスミスリーン氏を揺さぶり、彼女の口に自分の拳を押し込んで窒息させようとした」と訴状には書かれている。「さらに別の時には、マンソンはナチスのナイフをスミスリーン氏に投げつけた。ナイフはすんでのところで彼女の顔を逸れた。マンソンはスミスリーン氏に火傷を負わせたこともあった」。また何度も彼女を鞭で打ち、一度は彼女がベッドで寝ているときに15~20回も鞭打ったこともあった。彼はあざの写真をインターネットに投稿した。彼女いわく、こうした虐待は数カ月続いたという。
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スミスリーンとはマンソンとの関係を2013年1月まで続け、アジアでのモデルの仕事の合間に彼のもとを訪れた。関係を続けたのは、マンソンの虐待が及ぼした「重度の精神的強制」のせいだと本人は言っている。もし別れたいと言えば、命を奪うと脅された。訴状によれば、彼は「もし俺と別れたら、お前を探し出して」「殺す」と言っていたそうだ。別の時には、顔色一つ変えずに「今すぐお前を殺すこともできるんだぞ」と言った。
「我々はスミスリーンさんの主張を断固否認します」 マンソンの代理人はローリングストーン誌に当てた声明でこう述べた。「彼女の主張には、どこからお答えしたらよいかわからないほど嘘ばかりです。2人の関係は、関係と呼べるならですが、2010年に1週間にも満たないものでした。それ以来、マンソンはスミスリーンさんには会っていません」
交際中マンソンはスミスリーンの猥褻な写真を撮ったが、それを彼女に渡そうとしなかった。訴えによれば、彼はこれらの写真を脅しの材料にしていた。「手元の写真があれば、『一瞬で(お前を)滅ぼしてやる』『(お前の)キャリアはおしまいだ』とスミスリーン氏に言った」そうだ。
ユダヤ系のスミスリーンは、旅先でナチス関連アイテムを土産に持ってくるようワーナーから言われたことで、精神的苦痛を負ったと主張している。彼女は彼の要望に応え、鉤十字の飾りがついた手裏剣やマスク、ナイフを持ち帰った。「マンソンはスミスリーン氏がユダヤ人であることを知っており、こうしたトラウマ的な行動を2人の間のジョークとして軽く扱っていた」と訴状には書かれている。「とはいえ、マンソンはスミスリーン氏にできるだけたくさんナチス・グッズを購入するよう要求した。ワーナー氏は怒ると、スミスリーン氏を『汚いユダヤ人』『ユダ公』と呼ぶことがあった」
「マンソンはスミスリーン氏の宗教的権利や、性的差別および性的ハラスメントから解放される権利を脅かした」と訴状はさらに続けている。
身体的・精神的虐待と暴言でスミスリーン氏を完全に支配
スミスリーンいわく、マンソンに自分を証明しなくてはいけない、という気分になったことで、結果的に心的外傷後ストレス障害を患ったという。「マンソンは身体的・精神的虐待と暴言でスミスリーン氏を完全に支配し、スミスリーン氏は無力でマンソンに洗脳されるまでに至った」と訴状には書かれている。彼女はワーナーから気分を害する映像を見せられたと主張し、精神的虐待をさらに詳しく説明している。「スミスリーン氏は惨たらしい自殺や児童ポルノを描いた映画のシーンを見せられた」と訴状にはある。「あまりにも凄惨だったので、スミスリーン氏はマンソンが自分に自殺させたがっているのでは、と疑問に思った。これもまた、マンソンの性的欲求に端を発する故意の行動だ」
去る2月、マンソンの元婚約者のエヴァン・レイチェル・ウッドを含む数人の女性が、暴行を受けたと名乗り出た。以来マンソンのレコード会社、ブッキングエージェント、マネージャーは彼と袂を分かち、予定されていたTV番組『American Gods』『Creepshow』の出演もキャンセルされた。
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