グリーン・デイ、ウィーザー、フォール・アウト・ボーイら勢揃い「ヘラ・メガ・ツアー」幕開け
Rolling Stone Japan / 2021年8月5日 19時0分
米現地時間2021年7月21日にテキサス州ダラス近郊のアーリントンに位置するグローブライフ・フィールドで幕を切った「ヘラ・メガ・ツアー」。ヘッドライナーを務めたグリーン・デイのビリー・ジョー・アームストロングが会場に明かりをつけるよう促すと、そこには35000人の観客がいた。コロナ禍が始まって以来、世界中でも間違いなく最大規模のロックコンサートがついに始まった。
「周りを見てみろ。これが人と人とのつながりだ。もう誰も俺たちを閉じ込めておくことはできない。一緒に暴れよう」と観客を煽るビリーの発言からは、5時間半にも及ぶコンサートで、インタラプターズ、ウィーザー、フォール・アウト・ボーイら全出演者たちが皆等しく噛み締めていたであろう気持ちが感じ取れる。また、最近のデルタ株の出現により、アメリカでも再び感染拡大が起こる中、マスク着用令が復活し、これから先の見通しがまたしても不確かなものになってしまったことを忘れさせるのに十分な興奮だった。観客たちも同様に、このようなことには一才気を取られず、マスクを着用しているのは300人に1人と言ったところだった。
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コンサート自体は極めて素晴らしいもので、最初に開催が予告されてから2年もの期間待たされたファンたちも納得の出来だったと言える。2005年に発売されたiPod shuffleで音楽を聴くように、フォール・アウト・ボーイの「Sugar, Were Goin Down」からウィーザーの「Beverly Hills」に繋がり、次はそのままグリーン・デイが「Wake Me Up When September Ends」を演奏する。1年半以上も大きなステージに立っていなかった各バンドの面々は、ゲートから解き放たれた競走馬のようにエネルギーに満ちていたように見えた。
ビリー・アイリッシュの「Bad Guy」をユニークにカバーしたビデオで人気を得たロサンゼルスのスカ・パンク・バンド、インタラプターズがオープニングアクトを済ませると、ウィーザーが現れた。口ひげと妙な髪型で現れたボーカルのリバース・クオモを彼だと認識するのは少し難しかったが、スタッズが大量にあしらわれたレザージャケットを着たリバースは、数々のメタルバンドへのオマージュを取り入れた最新アルバムの「Van Weezer」を本当に気に入っている様子が見てとれる。
ウィーザーのセットリストの序盤では、「Hero」や『All The Good Ones』、「The End of the Game」などの新曲が多く、スタジアムで行われるコンサートにしては大胆な選曲だったと言えるが、「My Name is Jonas」の最初の一音が聞こえると、堰を切ったかのように「Undone – The Sweater Song」、「Surf Wax America」や「Island In The Sun」などの名曲が次々と披露された。何年にも渡り、幾度となく披露されてきた曲だが、間違いのない名曲だ。
Natalie Perez for Rolling Stone
「El Scorcho」の演奏中はその夜で一番の歓声が会場中に響き渡った。なぜならこの曲の歌詞には、意中の女の子にグリーン・デイのコンサートに行こうと誘う場面があるからだ。そしてその後「Africa」の演奏が始まった。演奏の途中、リバースが少し困惑し、モゴモゴと口ごもる場面があった。それもそのはず、近年のウィーザーの中でもかなりの大ヒットとなった曲が、1982年リリースのTotoのカバーソングだったという事実は彼にとって少し喜ばしくないことだったのかもしれない。観客がしばらくリバースの代わりに歌っていると、サビに入ってようやく彼が復帰した。「California Snow」のライブでの初披露を終えると、観客たちと一緒に歌えるようにアレンジされた「Say It Aint So」と「Buddy Holly」を演奏し、彼らの出番は終了した。
フォール・アウト・ボーイは他の2バンドと比べると少し若く、この場にいることに若干の違和感を感じるが、ベーシストのピート・ウェンツ自身も同様に感じていたようだ。ピートは「俺たちのバンドにとってこの場にいることがどれだけマインドファックなことか想像できるか? 俺たちはグリーン・デイとウィーザーと一緒にスタジアムツアーをやるなんて間違いなく薬でブッ飛んでるんじゃないかと思うくらい、彼らから影響を受けてるんだよ。大きな夢を持つもんだ。言ってる意味がわかるか?」と興奮していた。
彼らは文字通り、最高のパフォーマンスを見せてくれた。オープニングナンバーの「The Phoenix」のパフォーマンスでは、キッスのコンサートよりも大量のパイロ演出があり、ピートのベースに直接炎が浴びせられる場面もあった。ボーカルのパトリック・スタンプがピアノの前に腰掛け、「Save Rock and Roll」を歌い始めると、またしても会場中から花火が上がった。俳優のロン・リビングストンが、まるでトワイライト・ゾーンのロッド・サーリングのように登場する映像を用いたイントロも披露された。
フォール・アウト・ボーイのセットリストでは、2018年のアルバム『Mania』からの演奏は「The Last of The Real Ones」だけにとどまり、その他の楽曲は歴代のヒットナンバーである「Uma Thurman」、「Centuries」、「Dance, Dance」や、「A Little Less Sixteen Candles, a Little More Touch Me」のような2000年代のヒット曲からも披露された。年長の観客たちがゆっくりとビールを飲みながら演奏を楽しむ一方、若い観客たちは一言一句違わず一緒に歌い上げていた。
Natalie Perez for Rolling Stone
彼らが2005年ごろにティーンたちの間でブレークした時は、あまり長続きするバンドではないように思われた。2009年に無期限の活動休止を発表したときは、誰もがジム・クラス・ヒーローズと同じ道を行くものだと想像しただろう。しかし、彼らはロックの歴史上でも驚くべき、活動再開後の2度目となる大成功を収めた。そして今回のツアーが彼らのロックバンドとしての3度目の大成功となるに違いない。こんなことをいったい誰が想像していただろう。
グリーン・デイがステージに現れると、すでに日が沈み、観客たちは待ちかねたメインイベントに準備万端のようだった。「American Idiot」から始まった彼らのパフォーマンスに観客たちは爆発したようで、そのまま「Holiday」、「Know Your Enemy」と演奏が続く。昨年のアルバム『Father of All Motherfuckers』はヒットしたが、そこからは一曲も披露しなかった。「Longview」、「Welcome to Paradise」や「Brain Stew」などの往年の名曲の演奏では、1994年に戻ったかのような巨大なモッシュピットが場内に突然出現した。ファンたちは着ているTシャツを引き裂き、お互いに激しくぶつかり合い、ロックダウンの18ヶ月間で溜まった鬱憤を『Dookie』の名曲たちで晴らすかのように発狂しまくっていた。
アルバム『American Idiot』からの楽曲はセットリスト中に散りばめられていて、9分以上になる「Jesus of Suburbia」や「Wake Me Up When September Ends」なども披露された。これらはジョージ・ブッシュが大統領だった時期に作られた楽曲だが、現在でもその歌詞は全く意味を失っていない。ますます愚かな国へと成長しつつある我々にとって、これらの楽曲はもはや時代の関係ないアンセムとなっている。
Natalie Perez for Rolling Stone
終盤に差し掛かり、2016年のアルバム『Revolution Radio』から「Still Breathing」が演奏された。この楽曲は、困難な時を乗り越えた後の人生における意味を探すという歌詞で、コロナ禍において新たな意味を持つようになった楽曲でもある。「Im like a soldier coming home for the first time, I dodged a bullet, and I walked across a landmine/Oh Im still alive(初めて家に帰ってきたみたいだ。銃弾を避けて、地雷原をくぐり抜けて。あぁ、まだ生きている)」
この歌をグリーン・デイと一緒に歌えたこと、そしてこれまでの時間を過ごしてきた今、スタジアムで生のロックンロールを聞けたことは大きな喜びだった。数ヶ月先にどうなっているかすら分からない現在だが、少なくともこの夜だけは、私たちは呼吸していたし、歌を歌っていた。
From: Green Day, Weezer, Fall Out Boy Launch Hella Mega With Epic, Emotional Dallas Concert
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